ピクニック隊長と血みどろ特殊部隊   作:ウンバボ族の強襲

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遂に始まる神機兵護衛任務。

……の、ブリーフィング




phase37 オートマタ

「間に合った……な、何とか間に合った……!」

 

 はぁはぁ、ぜぇぜぇと息を切らせる整備員や研究員の死屍累々。

 積み上がった屍の上に立つは、1体の巨人。

 ……巨…………人……?

 

 ……人……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………人……じゃあないよなぁ……アレ……。

 

 

 

「どっちかって言うとゴリラだよなー」

「アウトぉおおおお!!」

「はいー、ロミオ先輩おでんパンだよーーっ!」

「ぬわーー!」

 

 皆思ってたのに言わなかったんだからさぁ……空気読んでくださいよ……先輩……。

 

 ……前見た時は、確か上半身パーツだけだった。あの時点じゃまだ人型だった。

 神機だけを見た時も、「デカいなー」位にしか思わなかった。

 ……それなのに、何故……すべてを足し合わせるとゴリラに……。

 

 

「何でゴリラになったの……どうして……こんな…………」

「うっほっほーうほほほー♪ うっほっほーうほほー♪」

「さるーゴリラちんぱんじー♪ さるーゴリラちんぱんじー♪」

「歌わないで下さい!!」

 

 元気なブラッドムードメーカコンビを無視して隊長の姿を探そう……と思ってたら……。

 ……シエルちゃんの姿が目に入った。

 一瞬だけ視線が合って、すぐに逸らされる。

 

 

 

 

 ……。

 

 ……避けられてるよねー……。

 ……嫌われたよねぇ……これぇ……。

 

 

「……ゆーいーちゃーん……? シエルちゃんにー何かしたー?」

「…………はい……」

「やっぱりぃー……なんでそうゆうことするかなぁ~~? 大事な大事な稼働テスト前に何で部隊の仲をこじらせるのかなー? ばかなの? 死ぬの? 唯ちゃんは天才なのかなー? 失敗の天才かなーー?」

「……返す言葉もゴザイマセン……」

「ねぇ、反省してるなら態度で示してねー? さっさと関係を修復しておくことー! ゴタゴタを持ち込まないでよね副隊長! 死ぬなら勝手に一人で死んで~~」

「うわぁナナちゃん乾いてるね……そうゆうカッサカサの所嫌いじゃないよ……」

「私は唯ちゃんの湿っぽいところ好きじゃないよーー」

「……心も体も水分抜かれてミイラと化せば今ならとってもお得だよー」

「肺に水溜まって溺死すれば? すっごくすっごく苦しいよー」

 

 はぁ……と、ため息しか出ない。

 ナナちゃんと変な会話した所で、シエルちゃんと仲直りできる――訳ない。

 

 ……という作戦だったのか。ナナちゃんの誘導に乗っている間にロミオ先輩がシエルちゃんを引っ張ってきた。

 

 

 

「はいシエル一丁~! あとは若い二人で仲良くなれよー!」

「ローミオ先輩っ♪ 私たちはあっちでゴリラ見ようー!」

「イイねー! 慣れればアレ、カッコいいよなー。よっしゃ行くぞナナ……ってナナぁ!? う、腕……腕当たってるって! 腕……」

「何?」

「だ、だからさぁ……!! ……~~っ!!」

 

 

 うるせぇな背後……。

 圧倒的な沈黙にこっちが耐えているというのに嬉しそうにキャンキャンと……。

 

 ……でも正直私の所為だから一応ちゃんと謝るという選択肢を選ぶ。

 

 

 

 

「……シエルちゃん……あの……この前はごめんなさい……。余計なことばっかり知ったような口をききまくりましたマジで反省しています全面的に私が悪かったんで本当ごめんなさい」

 

「……」

 

「私が一方的に悪かったと思っていますスミマセン」

 

「…………」

 

「甘ちょろい癖に勝手に批判なんぞする価値もないのに本当に申し訳ありませんでした」

 

「…………………………」

 

 

 

 

 

 

「自分の情けなさには反省の言葉もありませんというか私に言われたくはなかったよねシエルちゃんそうだよねこんな生きてる価値特にない雑魚イーターになんか上から目線で偉そうな説教されたくなかったよね特に努力もしてこなかったテメェが何言ってんだよこのクソがと思った事だよね分かるよ私が逆の立場だったら今頃マジギレしてどっか逃走してる頃だもん、生まれてきてごめんなさいちょっとこの世に誕生した罪を償ってきますオウガテイルの生餌になってきます私のことなんか忘れてしっかり生きてって下さいシエルちゃ……」

 

「副隊長」

 

「は、はいっ!?」

 

「……」

「黙らないで!?」

「……に言われたことをずっと……考えていました」

「何で溜めたの!? どうしてチャージしたの!? シエルちゃん……?」

「私の意志は……何処にあったのでしょう……と」

「……あ、ハイ……」

 

 ……どうやら、まじめな、はなしだったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

「……ずっと、ずっと考えていたんです……。私の意志は、どこに、あったのか……と。

 言い訳にもなりませんが……。今まで、周りの期待に応えることで精いっぱいだった。周囲が期待することを……自分に課せられた使命と命令とを……果たしていくのに精一杯で……考えていなかった……考える事さえ放棄していた…………すべて私の怠慢なのだと思います……」

 

 

 

 シエルちゃんは、少しずつ……戸惑いながら、言葉を吐き出す。

 長い間降り積もっていた……ずっと昔に吐き出すべきだった、言葉を。

 

 シエルちゃんはきっと……良い子なのだ。

 周囲から兵士になることを期待をされ、ソレに精一杯努力をして応えてみせた……そういう子だ。

 

 

 

 ……嫌だ、無理だと投げ出して、逃げた私とは違う。

 

 期待にも応えられず……かといって何がしたいのか、も分からず……ただ、目の前に落ちて来たチャンスに縋りついただけの、運が良かっただけの……私とは。

 

 

 

「私には……意志がない。……どうすればいいのか……分からない。……だから……副隊長、教えてください。私は……どうすれば自分の意志を見つけることができるのでしょうか? ……何をすれば、いいのでしょうか?」

 

「……」

 

「…………人に、聴くことでは……ありません……よね……」

 

 

 なぜ黙っているんだろう私……。

 何か……応えなければいけない……そんなことは脳内でも重々承知だった。

 何かを言わないといけない、答えないといけない……。

 

 

 ……こんな時、隊長なら……何て、言うんだったっけ……?

 

 

 

 

「……も」

「も……?」

 

 

 も……。

 

 

「もし! シエルちゃんが……シエルちゃんの意志が分からないって言うんだったら……今だけ、今回の任務だけだから……その…………い、一緒に………どうかなぁ……?」

「……え?」

 

 

「だ、だからね……? そ、そのっ……! ……私と一緒に…………なって……くれる……?」

 

 

「ふ、副隊長!? ……な、何を言って……」

「だから……シエルちゃん……あのね……? シエルちゃんが何をしていいのか、分からないって言うんだったら……私と同じことを……思ってほしいなー……なんて……」 

「副隊長と……同じ……気持ちに……」

 

 胸に手を当てて頬を紅潮させるシエルちゃん……。

 ……すごく……かわいいです………。

 

「あの…………上手に口……に……できないんだけど……。私は……神機兵……ほしいから……だから、ちゃんと作らないと……いけないから…………だから、シエルちゃんも……いっしょに……やってくれる?」

「でも副隊長……」

「む、無理ならいいよ! でも……シエルちゃんが一緒なら…………」

「……ふくたいちょ……」

 

 ……何だか変な雰囲気になってきちゃったので、ここらで軌道修正しましょう。

 

 

「神機兵が今、本当に必要だってことは分かってくれるよね? ……全然、世間知らずの甘い考えかもしれないし、何理想論ブッこいてんだって言われるかもしれない……。でも、神機使いが足りていない支部や神機使いが居ないサテライト拠点……そうゆう場所は本当に一刻も早く―――神機兵が必要なんだ、って思ってる。

 だから……早く完成させたい。だから……今回のテストを絶対に成功させたい」

 

「……はい」

 

 真摯に私だけを見つめてくる目。

 ……その目に少しだけ心が曇る。……そんなに見上げられるほど、私の決意は固くない。

 ……そう言って思わず――逃げたくなる。

 

 

 ……だけど、今だけは……逃げちゃ駄目だ。

 

 

 

「……シエルちゃん……私、すっごく弱いんだ……。もう知ってると思うけど。私本当に雑魚い。……意志も弱いし、物理的にも弱いし……ついでに頭も弱い方だし……」

「……そんなこと……」

「だから。シエルちゃんが後ろから押してくれると……凄い助かる。同じ意志を持ってくれてるってだけで……隣に居てくれるってだけで……多分、私は諦めないで頑張れる。

 だからもし……シエルちゃんが今、自分の意志を見つけられないって言うんだったら……今回は……駄目な私のサポート役……なんだけど……嫌だよねー……?」

「……サポート、ですか?」

「うん。ただ隣で頑張れ頑張れって言ってくれるだけでいい。多分……シエルちゃんにしか、頼めない」

「……私、にしか……?」

 

 ロミオ先輩やナナちゃんは――――駄目だ。

 あの人達は、何だかんだでしっかり『自分』を抱えている気がする。自分が今何をしたいのか、何ができるのかを……おそらくは理解していると思う。

 だから、手に余ることはやってくれない。

 

 そして隊長は……まだ遠い。

 意志も力も強い人だから……そして、その分孤独だから。

 それでも、と皆の先を歩いていくだけの力強さがある。

 ……今は、追いかけるだけで精一杯。

 

 だけど、今、同じ様に迷っているシエルちゃんになら、頼めるような気がした。

 

 他の誰にも言えないような……ダサい悩みを。

 

 

 

「副隊長!」

「な、何? シエルちゃ――うわっ!?」

 

 むぎゅっ……という、程よい圧迫。

 胸に当たるのは……柔らかい、感触。

 ……や、やだ……コレって……コレって……!

 当たって……

 

 

「もちろんですとも! お任せください!」

「や、やだシエルちゃん……ちょっと苦し……」

「嬉しいです副隊長……! 誠心誠意、全力で任務に当たらせて頂きます!」

「し、シエルちゃん……すごい大きい……」

「副隊長……もう少し……こうしてても……宜しいですか?」

「も、もー……シエルちゃんたらぁ……。

 

 

 

 …………あまりキツくしないでね……?」

「もー!」

 

 

 ふわっふわだなー……ふわふわしてる……。

 もうちょっとだけ……この感触に溺れた――――

 

 

 

 

 

 

 

 と、暫くそんなことをやっていると、奥の扉が開いてほぼゾンビの様になった超絶美形と、クソ野郎が半分死臭をまき散らしながらおぼつかない足取りで地獄の窯の底から湧き出してきた。

 

「さ、さいしゅうちぇっく……おわったよぉ……」

「ぶ、ブラッド……しょうしゅーだ……か、各員はいちにつけ……」

 

 

「隊長!!?? 大丈夫ですか隊長ーー!?」

「ジュリウス隊長……!?」

 

 あぁ、萎れてる……頭の上のバナナが萎れてしまってる!

 シエルちゃんと一緒に隊長の下へと駆け寄る。

 ふらふら、としていた隊長はそこでガックリと崩れ落ち、膝をついた。

 ラケル先生一人を難なく支えることができる強靭な膝も今日ばかりはぶるぶると小刻みに震えている……!

 

「どうなさったのですか隊長!?」

「何してたんですか!? うわ……かなり好意的に見てもヒデエ顔色です……」

「……問題ない……最終チェック作業を…………日……徹夜でこなしていたまでだ……副隊長、体力増強剤を取ってくれ……腰のポーチに入ってる……」

 

 と、言われたので。

 ちょっと失礼して隊長の男性にしては細いなーと思う腰、のポーチをゴソゴソ漁ると、何とそこには。

 

 ……使い切った体力増強剤の空き箱が。

 

 

「何してるんですか隊長!?」

「自分の体力に限界が来たと感じたらいつでもドーピングできるように箱ごと――――」

「貴方戦闘員ですよ!? 分かってるんですかぁ!? あぁこんなもの使うたびに隊長の貴重なテロメアがどんどんどんどんすり減っていく……」

「落ち着いてください副隊長、体力増強剤では、減りません、少し人間の臨界点を超えるだけです」

「ふっふふふふふっ……こんなもの、軽いピクニックだ……」

「隊長落ち着いてください焦点が!? 焦点が合ってません既に目の!!」

「一度気絶させて再起動させましょう副隊長! コレは何かがエラーを起こしています」

「シエルちゃんやめて隊長は機械じゃない!!」

「問題ない……ただラケル先生さえいらっしゃれば俺は……俺は……!」

 

 

 などとのたまう隊長へ、ほぼ無理やり体力増強剤を口の中へと流し込み。

 咽る隊長の口を無理やり抑え込み、二人がかりで喉を通したところで――――。

 ……やっと隊長は正気に戻った。

 それでも依然として疲労の濃さは感じ取れる。

 

 

 

 ……あぁそう言えば遥か後方で唸ってる謎の生命体がもう一体存在するけどそれは無視しますね。

 全くもって自己管理がなっていない。良い年した大人なんだから徹夜位でぶっ倒れないで欲しいよね本当。倒れて他人に迷惑かける位なら余計なことしなければいいのに情けない奴だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「妹と同じ空間に居れば大復活!! 特殊部隊ブラッド第017号任務『無人神機兵護衛任務』についてのブリーフィングを開始しまぁっす! フランさん」

「……シスコン……生理的に……無理…………全員、こちらの作戦域概要をご覧ください」

 

 今回画面に現れたのは地図。

 既にA地点、B地点、というフリップが点滅している。

 

「本作戦は神機兵3体の護衛となります。

 ブラッド隊を分割、各チーム1地点での戦闘になります。神機兵αをブラッド-01。神機兵βをブラッド-06。そして神機兵γをブラッド-02、03、04、05で当たって下さい。神機兵γの陣頭指揮権は04。本作戦総指揮権はブラッド-01。以上です」

 

「はいフランさん!」

 

「……何ですか副隊長?」

 

「……分隊分けがおかしい。隊員6名に対し護衛対象が3体ならば、1体につき2名ずつ人員を配備できるハズ。……単騎行動の理由は? 納得ができる説明を求めます」

 

 明らかにおかしい……そもそも単騎行動という事自体が死を招きかねない。

 ……それでも隊長はまだ納得ができる。

 だが、シエルちゃんの方の人事は一体どうゆうことなのか。

 ……シエルちゃんは、まだ新兵の域を脱していないのに。

 

 

「そちらの説明は……神威技官」

「各員のバイタルデータ及び戦闘記録で高い順から2名に離脱してもらった結果だ。アランソンさんについては単騎行動にはなるが、周囲アラガミの脅威は少ない。また、アランソンさんの銃はスナイパー。その効率的な戦闘方法は前回のロシア支部戦でデータが取れている。よって連係よりも単騎での撃破効率が高い」

「……神威技官、ソレはロシア支部の……イェン・ツィー戦でのログを見た結果言ってること?」

「はい、そうですブラッド副隊長」

 

 確かにシエルちゃんの狙撃スキルは高い……少なくとも私よりも全然。

 ……だけど……。

 

「副隊長……私は、やれます」

「……」

「大丈夫です!」

「……」

 

 

「……まぁシエルならやれるんじゃない? 射撃成績はオレやナナよっか上なんだし!」

「そうだよー! いざとなったら前みたいにさっさと逃げちゃえばいいんだからねー!」

「……本当はこの場所はブラッドー05にやらせる予定だったのだが却下された」

「…………俺か?」

「単騎行動でならKIAしても違和感がない」

 

 

 

 

 

「んじゃ続けるよーー! 本作戦の目的は神機兵対アラガミの一対一のテスト環境の整備、及び神機兵の護衛。確認されているのはシユウ、コンゴウの中型種、戦闘面についてはヴィスコンティ大尉お願いしますー」

 

「神機兵αとγ周辺には戦闘状況が発生する。今回の標的、コンゴウは聴覚に優れたアラガミだ。戦闘の気配を感じたらすぐに駆けつけてくるだろう。よってコンゴウを先に片付けろ。シユウは遠くの戦闘音には気づかないハズだからな。

 作戦域西端、A地点にコンゴウを誘導し、炎や破砕属性の神機と銃弾で速やかにケリをつけろ」

 

「了解!」

 

「なおー、今回の作戦のオペレートはフランさん。こっちからは技術オレぺートとしてクジョウ博士が参加するんで無線が混雑する可能性があります。注意してくれなー……特に唯ちゃん!」

「帰って」

 

 

 

 

「よく飽きないよなーお前らさー……兄妹ってそんなもんなの?」

「分かんないよねー」

「……そう言えばさっきからあんまり喋らないなゴリラ。何だよ……ま、また頭でも痛いのかよ?」

「脳溢血?」

「いや……神機兵……だったよな……? ……なんかあの頭に見覚えがあるきがすr」

 

 

「よ、よし頑張ろうな皆!!」

「神機兵をしっかり守ろうねー!」

 

「珍しくやる気があるロミオだな……ふっ……。

 

 ブラッド総員に告ぐ、今こそフライアの実力を示す時だ!

 アラガミと本部に我らの有用性を教育してやれ!!」

 

 

「了解!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ▼▽▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神機兵の最終調整を担当した研究員は思った。

 

 スキルインストール……オラクル細胞の中にある思考する分野――その中でも、記憶を司る領域に干渉し、スキルの永続性を図る技術。

 

 ……理論は完璧に作動はした。だが、そのせいで――急速成長させた神機兵は、突貫工事もいいところだ。

 焦り過ぎている……。そんな空気は、フライア中に漂っていた。

 

 

 本部からの了承が得られないのではない……恐らく、本部側には神機兵を本気で叩きつぶしに来ている――節さえ見受けられた。

 

 

 

 神機兵計画が凍結されれば、フライアは最早存在する意味がなくなる。そうなればフライアの研究機関は解散されるのも時間の問題となるだろう。

 ……そこで研究されていた技術は恐らく、様々な支部がよってたかって食い荒らす。

 事実、リクルートが来ていないわけではない……技術的に後れを取っている支部は嫌でも研究員を取りに来るだろう。

 おそらく、ソレは他の人材――フライアの実動部隊『ブラッド』でも例外ではない。

 

 世界で唯一『感応種』に対抗できる力を持ち――ブラッドアーツを使用する最新鋭のゴッドイーター達をやすやすと逃すほど、世界は甘くはない。願わくば彼らが全員本部に残るか……もしくは、何処か技術的にも後れを取っていない場所に引き取られるか、が達成できればと願わずにはいられなかった。

 

 

 ……P-66偏食因子の扱いは非常にデリケートである。

 

 彼らは言わばゴッドイーターの感応種。存在するだけで周囲に影響を与える存在となり得る。

 

 自分たちは恐らく気づいても居ないだろうが……その検査頻度やデータ収集の仕方は神経質すぎる域にまで到達しつつある。

 そこまで神機使いに注意を払っている場所は……フライア以外にはない。

 

 

 もし、神機兵が凍結され、フライアが解体し、ブラッドが解散されるようなことがあれば……。

 

 

 

 最悪、彼らは別々の場所で……恐らくは全員、悲惨な最期を遂げるだろう。

 

 

 

 ……決して被害妄想ではない、本当に有り得てしまう最悪のシナリオを思い浮かべながら、研究員は自分の妹がブラッドに在籍しているという――開発チームの青年を見た。

 

 ……彼に、血のつながった家族が、そうなるかもしれない未来が見えていないわけがない。

 

 

 

 

 

 

 

「えー皆さん。何か全てがかなり急ピッチですがー……我々は最善をつくしましたってことで、後は結果を待ちましょう! 何も気にすることない!! なるようにしかなりません! つー訳で皆頑張りますぜー!」

 

「了解!」

 

 

『こちらCP。神機兵α、β、γ。それぞれ配置完了しました。いつでも始められます』

 

 

『ブラッドー01、周囲のアラガミ、掃討を完了した。早速交戦だ』

『ブラッド-06、神機兵β尚索敵中です』

『こちらブラッド-04、今ロールアウト完了しました』

 

 

 次々に入ってくる通信と報告。

 それらを受けた開発チーフ――九条博士が穏やかな声色で告げた。

 

「それではテストを始めましょう」

 

 

 

 

 

 

『神機兵α、これよりアラガミとの戦闘に入る!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









































『こちら制御班ー! 神機兵回収部隊へ。聞こえますかドウゾー』


『こちら回収部隊、感度良好。聞こえています。技術中尉』


『まずは運搬お疲れさまでしたー……と、イザって時の指示の確認ッス』


『了解。想定ケース09……最悪の場合――ですね?』


『はいソレです。……まー、そうならないことを祈るのみですが』


『……』






























『打ち合わせ通りに――――万が一、神機兵が大破し、神機使いのKIAもしくはMIAが起こり得た場合は……腕輪や神機の確保よりも、神機兵の回収を優先して下さい』


『了解……ですが……』


『何か?』


『……分かりました、その様に』





















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