Chaos;an onion HEAD   作:変わり身

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咲き誇る炎の華 編

大停電。

施設の大規模メンテナンスにより、午後八時より十二時までの四時間の間、麻帆良のほぼ全域で通電が止まる日である。

 

住宅街、商店街、道路、校舎。何時もは夜でも明かりの灯っているそれらの場所から光が消え、闇の帳が深く落ちる。

しかし、当然ながら完全に機能が停止する訳では無い。幾つかの場所……動力室や救護室、学園長室を含む一部の部屋、その他数点。都市にとって重要である場所には非常用の電力が通り、通常機能するようになっている。

 

もし緊急を要する案件や、病人等が出た際にいち早く対応する為だ。幾ら麻帆良が魔法使いの為の街だとしても、やはり魔法では全てを補う事は出来ないという事だろう。

 

――そして、アーニャもまたその内の一部屋で夜を過ごしていた。

 

女子中等部校舎より程近い体育館だ。この建物は災害時に避難場所として使えるよう設計されており、独立した電気機構の他、寝具やシャワーなどの設備もある程度は揃えられている。

流石に一階部分は運動場としての役割が大きい為に少人数での宿泊には不向きであるが――二階部分には幾つかそれなりの広さを持つ個室もあり、アーニャ達は今日一日に限りこの場所で寝泊まりする事を許されたのだ。

 

……黒を怖がるアーニャと言えど、カーテンで夜暗を遮り複数の灯りを点けていれば錯乱には至らない。

夜間での使用も想定され、至る所に照明の設置されている体育館は、彼女にとってはむしろ普段の教員寮よりも夜という地獄をやり過ごすに最適な環境であった。

 

加えてその様子を見た学園長が気を利かせ、一階の大半を占める運動場部分の照明も点ける事を許してくれたおかげでアーニャの気分は上がり調子。

運動場を駆け回り、一緒に泊まり込む事となった幼馴染を振り回しスポーツを楽しんだりと、停電という事態にも反しおよそ六年ぶりとなる「楽しい夜」となっていた――――

 

――のであるが。

 

 

「――――こぉんの、エロタクゥゥゥーーーーーーーーッ!!」

 

「――――ッへぇンィぎギゃぁぁあぁぁああああああああッ!?」

 

カッキーン! と。

それはそれは爽快な音が体育館に轟き、ひとつの人影が勢い良く飛んで行く。

「ご、ぐひっ」赤い髪を振り乱し、口端から悲鳴を漏らしながら何度もバウンドしながら吹き飛び、転がり。衝撃波をまき散らしながら壁に激突、ズルズルと力無く地に落ちた。

その対面上には大きく足を振り抜いた姿勢のアーニャが屹立し、頭から怒気を吹き出している。

つり目がちの紅瞳を更に釣り上げ、ぜぇぜと息を切らし。そこには「楽しい夜」の残滓は欠片も無く、随分とお怒りの様子だ。

 

「……な、何。なんっ、でぇ……! いきなり、こんなぁ――――」

 

「なんでも何も無いわよ! これ見なさいよ、これ!」

 

蹴られた部分を抑え、よろめきつつ立ち上がる幼馴染――タクミの抗議の声をピシャリと遮り、アーニャは懐からPHSを取り出し掲げた。

その背面には鮮やかな紅による魔法陣型の彫り物が施されている。電話に刻む事で通信補助の効果を齎す魔法の一つだ。

 

魔力と電波を重ね合わせる事で通信状況を良くし、且つ通話相手の感情の機微を光の強弱で伝える。魔法使い達の間では生活に根付いたポピュラーな技法の一つである。

……本来は通話中にしか発揮されないその魔法陣だが、今現在においてはその相手を必要とせず燦然と輝いていた。

 

「……そ、それが。ぐ。何だって言うんだよ。ぼ、僕がっ、蹴られる理由には……」

 

おそらく内向的な性格なのだろう。タクミは無体を働いたアーニャに抗議の視線を向けようとしたが失敗し、明後日の方向を睨みながら文句をつける。

その情けない様子に呆れるでも無く、彼女は先程と同じ怒りを滲ませたままズンズンとタクミへと近づいていく。ビクリと彼の肩が跳ね上がった。

 

「え、あの……ちょ、ホント何……?」

 

「……魔法に疎いあんたは知らないかもしれないど、この魔法陣は持ってれば電話に付けなくてもちょっとだけ使えるの。想いが電波の代わりになるから」

 

「で、でっていう。つか想いとかクサ杉」

 

「それで、この魔方陣を渡した相手には――――チサメには、『視線を感じたら私を想って』って伝えてあるの。……で、今光ってんのよ、これが」

 

――どういう事か、分かる?

 

ついにタクミの目の前に立ち、仁王立ちでそう問いかけるアーニャ。

その迫力たるや6年前のXデーに感じたそれと同等以上のもので、ここに至りようやくタクミは彼女が単に癇癪を起こしただけでは無い事を悟った。

……ヤバイ。何かマジで怒っている。情けない悲鳴を上げ、尻餅をつく。

 

「し、しらない……僕は無罪だ! 弁護士を、成歩堂を要求――!」

 

「――あんたが! またチサメを覗き見してるって事でしょうがぁぁぁぁ!!」

 

「ぃいひいいいいいぉあああッ!?」

 

ズッドーン! と。

床板を踏み抜かんばかりに強く振り降ろされた足を必死に転がり回避し、そのままこの場からの逃亡を試みる――が、しかし。運動能力でタクミがアーニャに勝てる筈も無く、呆気無く襟首を捕まれ引き寄せられた。

お互い額をごっつんこ。女人の敵を見るかの如き苛烈な視線が至近距離から打ち込まれ、純粋な恐怖がタクミの身を炙る。まるで蛇に睨まれたカエルのようだ、誰かたしけて。

 

「……前は、わ、わたしが心配だったっていうから許したけど、今回は……!」

 

「ちょまぁッ、ま、待ってよ!? た、確かに前はみ、見てたけど! 今は何言ってんのか、ま、マジで意味ワカンネッ……!」

 

感情が昂ぶる余り涙まで滲み始めたアーニャに慌て、タクミはわたわたと手を振って宥めようと試みるが――やはり、前科がある以上信用を得る事は難しい。

どれだけ言い訳を弄そうとも彼女の目から疑念が晴れる事は無く、焦りは重なり積もって行く。

 

――タクミ。西條拓巳、或いはネギ・スプリングフィールドは、つい先日まで長谷川千雨を監視していた。

 

……と言っても、それは悪意あっての事では無い。ただ純粋にアーニャの事を心配しての事だった。

六年前に故郷を悪魔達に襲撃されてからこちら、彼女の心には未だ癒えぬ傷跡が残っている。黒に苦しみ、ふとした事で取り乱す様を一番近くで見てきた彼は、どうしてもアーニャを放って置けなかったのだ。

自らに宿る超能力めいた異能――ギガロマニアックスとしての力を使い、こまめにアーニャが占い師として活動する様を観察。すぐに駆け付けられるように気を配る。

 

捻くれたタクミの性格、そしてこれ以上周囲に頼らず修行を終えると意気込むアーニャの思いもあり、当初それは秘密裏に行うつもりであった。否、そもそもアーニャの感知能力の低さからして、彼の行動が公になる確率は必然的に0であったのだ。

 

……しかし、そんな中で誤算が一つ。そう、長谷川千雨とアーニャの出会いである。

 

初めは取るに足らない事だと思っていた。

嬉しそうに彼女の事を語るアーニャは鬱陶しかったものの、心の支えになる物があるというのはそう悪いものでは無い。むしろ心配事が減る分歓迎すべき事とも思えていた。

――これなら、そんなに心配しなくても済むかもしれない。

幾分か気も軽くなり、試しに長谷川千雨と戯れるアーニャの様子を覗いてみたのであるが――その時に何故か、一緒に居た千雨の方に視線を気取られてしまったのだ。うそーん。

 

(……まさかチート染みたこの僕が遅れを取るとは思わんだろ常考……!)

 

以降、長谷川千雨はタクミにとっての警戒対象となった。

ギガロマニアックスである彼の気配を読み取ったという事は、千雨も同じギガロマニアックスである可能性があったからだ。同族の力は同族にしか感知できない。つまりはそういう事である。

 

……基本的に、ギガロマニアックスに碌な奴は居ないと言って良い。

一度精神的に強い負荷を受けている事が覚醒条件となっている以上、どれだけまともに見えようともその精神構造には何かしら致命的なマイナス面が存在する為だ。

 

二重人格、メンヘラ、暴力癖、人の話を聞かない、身勝手な人類救済願望、その他色々。タクミの短い生で関わってきた者だけでも癖のあるものばかりであった。

もし千雨にもそれに準ずる何かが秘められているとしたら――……その推測が正しいとは限らないとはいえ、もしアーニャに害する類の物であったとすれば、何かが起こった後では後悔してもし切れない。

 

しかし千雨を友人として気に入っている彼女にそんな事を話せば、反感を買いフレイムキックで蹴っ飛ばされるに決まっている。さぁどうするか。

 

(――なら、バレないように監視するしか無い。そうして何か事が起こった場合に、止めるしか無い)

 

タクミは密かにそう決意(そこに至るまでの粘つく思考回路は割愛)し、アーニャの観察という目的に千雨の監視も加え、最近までそれを続けていたのである。多量の不審と微量の嫉妬を胸に、それはもうじっとりと。ねっとりと。

 

本当は思考盗撮が行えれば一番苦労が少なかったのだが、千雨はその気配に敏感出会った為に「監視」という名目では難しく――何よりタクミ自身がそれを忌避していた為に実行する事は無かった。

……まぁ、結局は千雨の告げ口によりアーニャに察知され、「心配してくれたのは嬉しいけどチサメのプライバシーが云々」と照れ隠しも交えこっ酷く説教されたのであるが。

 

「――いや、でも、もっ。もうホントに監視とか止めてる……っからぁ! ホントにぃ!!」

 

「……むぅー」

 

しかしながらその際に行われた肉体言語により完全に躾けられたタクミは、今現在はアーニャの言に従い千雨の監視を休止していた。

 

今更その事で彼女に文句を言われたとしても、それはもう過ぎた事だ。他に心当りがない以上は否定を続ける事しか出来ず。

その必死な形相にようやく信じる気になったのか、アーニャは襟首を掴む力を緩めタクミを地面へと下ろし。そうして律儀にその襟元を正しながら発光する魔法陣を突き付け、念を押すように問いかける。

 

「……ほんっとにあんたが何も知らないんなら、これはどういう事? ものすごーくピカピカしてるんだけど……!」

 

「だ、だから知らないって……何か、僕じゃない他の奴に見られてるとか、そんな感じじゃないのかよ……」

 

「…………」

 

一応は信じる方向に傾いたらしいアーニャに適当に返しながら、タクミは大きく溜息を吐いた。

 

全く、とんだとばっちりだ――自分の行動を棚に上げてブツブツと呟く彼を他所に、しかしアーニャの表情は晴れないままだ。

この魔方陣が光っている理由がタクミでは無いとしたら、一体何が理由で光っているのだろう? 鮮烈な赤い光に目を眇め、考える。

 

渡した紙切れを手に持ったまま、試しに私を思い浮かべてみた。若しくは自然と私を思い出してくれたとか。「……えへ」そうであったら嬉しいと少しだけ頬が緩みかけるが――脈動する光の激しさは、そのような穏やかなものでは無いように思えた。

 

太陽のように大きく発光したかと思えば、すぐに蝋燭の火よりも小さくなり、不安定に瞬いている。

それは見ているだけで不安になってくるような、切羽詰まった感情の発露だ。例えるならば――――そう、恐怖や焦りを想起させる信号。

……まさかタクミの言う通り他の誰かに見られており、私に助けを求めている。とか――?

「…………」そう考えた途端、決して小さくない不安が鎌首をもたげた。

 

「……ね、ねぇ、タク。あんた前にチサメの部屋まで『見た』のよね……?」

 

「んぐ、く……言っとくけどっ、ああ、あれは着替えが始まりそうになってすぐ止めたから、ノーカン……」

 

「じゃあ……その、ちょっとだけ、様子見てくれない……?」

 

「――は、はっ?」

 

それはつまり覗けという事か。今までの言葉とはまるで逆の頼みにタクミは素っ頓狂な声を上げ、思わずアーニャの顔を見る。

その顔色は血の気の引いた青とバツの悪さを湛えた赤の複雑な色に変わっており、軽く引いた。

 

「……い、いや、何で。それだと僕が蹴られた意味とか、よく分かんない事に」

 

「良いから! 後でチサメには私から謝るから、無事かどうかだけ! お願い!」

 

「…………な、何なんだよぅ……ホントにぃ……」

 

アーニャの必死な様子にただ事ではない何かを感じたのか、タクミは泣き言を漏らしながらも顔を上げ。

そうして何も無い中空へと小さな右手を這わせたかと思うと――それを掴み、ズルリと引き抜く。

 

――それは、剣と呼ぶにはあまりに長く。今にも折れそうな繊細さと、夢幻なる気品に満ちていた。

 

絢爛さは露ほどもなく、魂が吸い取られるかのような清純なる悪意と。畏怖を感じさせるかのような流麗さを持ち合わせていた。

 

唯一柄の部分に巻き付いた茨が不釣り合いに見えるものの、不思議とこれ以上無い程の――まるで完成されたパズルの如き調和を見せている。

……タクミのディソード。ギガロマニアックスがギガロマニアックスである証。妄想を行使する為の鍵が、今ここに顕現したのだ。

 

「…………」

 

身の丈の何倍もあるそれを握りしめ、タクミは心の裡へと意識を溶かし、沈める。茨の蕾が赤い光を放ち、体育館の中を斑に染める。

これまで行ってきた監視のお陰で千雨の家の位置は既に分かっていた。後はチャネルを開き、繋げ。第三の目の役割を持たせた茨の一本を顕現させるだけで良い。

 

タクミと「世界」との繋がりは未だ切れていないのだ。詳細な情報さえ把握できていれば、あらゆる物事を観測し続ける「世界」を利用し、この程度は容易いものであった。

 

そうして彼は以前のように茨を差し向け、千雨の部屋を覗き見る。視界を共有するため茨の一本をアーニャの腕に巻き付け――外が停電中である事を考慮し、彼女の視界にだけ薄緑のフィルターを掛け――心を重ねた。

 

「――開け」

 

長い睫毛が目元を擽るような感覚。粘着質な音と共に妄想の眼球が瞼を開き、焦点の定まらない視界がタクミの脳を突き刺して。

新たに繋がった存在しない視神経を辿り、虚数の情報が流れ込む。

 

「……? 誰も、居ない……」

 

「……どういう事? っていうか何これ、緑っ」

 

……しかし、開いた目に映ったのは無人の一室。千雨の姿は捉えられなかった。

どこかに隠れている様子は無かった。停電に伴い全ての灯りが消えており、人の気配は皆無。別室からも物音は何一つとして聞こえず、暗い静寂だけが部屋を満たしている。

 

目立つものといえば、乱雑に散らかった衣服や鉢植えとテーブルの上に並べられた蝋燭くらいの物だろう。その数はおよそ十個、中心にある半ばまで溶けた一つだけが僅かに白煙を立ち昇らせ、夜風に吹かれ揺れていた。

 

……夜風?

 

「……窓が、空いてる」

 

ふと見れば、居間の窓が一つだけ開いていた。緩やかにカーテンが揺れ、少量の風が吹き込んでいる事が分かる。

……この時間帯に不用心な。そう思いつつ何気なく観察し――――

 

「……!?」

 

その光景に息を呑む。

単なる閉め忘れだと思っていたそれは、しかし確かに閉まっていたのだ。窓枠はしっかりと噛み合い、鍵も固く閉じられている。

 

――開いていたのは、窓枠の中身。ガラス部分のみが広範囲に渡りくり抜かれ、夜街へと続く空洞が穿たれていた。

 

「これ、は……」

 

「――――」

 

……一目で分かるものではない。しかし把握してみれば、極めて異常な光景だ。

 

おそらく何か高温の物で無理やり焼き切ったのだろう。窓枠に僅かに残ったガラス片はその断面が泡立ち凝固し、金属部分にこびり付いている。

その他に目立った外傷は無く、焦げ跡もヒビ割れも無い。ガスバーナー等の器具では決して不可能な現象である。

しかも内外含め窓の周囲には切り取られたガラスの類が見当たらず、泥のような汚れが付着しているだけで綺麗なものだ。これを成した者が持ち去ったか、或いはガラスその物が全て溶け落ち消滅したとしか思えない。

……その理由を除外し、現実的に考えれば前者であるが……タクミには後者であるように思えてならなかった。

 

――リアルブートした、ディソード。高温の刃で全てを焼き切る彼の剣ならば、この状況を作り出す事も不可能ではないのだから。

 

そして、剣を持つ候補は現状一人しか居ない。タクミの抱いていた疑惑が確信へと変わった。

 

「……ねぇ、アーニャ。これ、何があった……のかな」

 

茨を通して同じ光景を見ている筈のアーニャに声をかける。

窓の穴から抜けだしたのか何なのか。少なくともこの部屋で何か物騒な事態があったのは確かだろう。けれど、それがどのような物なのかが予想できなかった。

しかし千雨と一番近くで接していた彼女ならば、もしかしたら現状に関する心当りの一つでもあるかもしれない――そう期待しての問いかけだった、のだが。

 

「…………?」

 

返事がない。彼女の性格であれば、どういう事だと詰め寄られてもおかしくない筈なのに。

疑問には思ったものの、まぁ静かなのは良い事だ。わざわざ視界を元の体育館の中に戻し確認する必要も感じられず、他に何か異常は無いかと茨を動かして。

 

「ッ!? あ、っづァッ!!」

 

――――瞬間、火花が散る。

 

突如現れた火柱がタクミの半身を炙り、その火傷する程の熱により強制的に意識が引き戻された。

第三の目が途切れた事による急激な現実回帰。眼球がグルグルと周り突発的な吐き気を催し、状況が把握できずに混乱する。

……何だ、何が起こった。タクミは酷く明滅する視界に耐えつつ、咄嗟にアーニャの方へと視線を向け、

 

「……へぁ?」と、間抜けな声が漏れる。

彼の隣。先程までアーニャが居た場所。

そこには既に誰も居らず、焼け焦げた茨の欠片がただ舞っているだけだった。

 

 

 

 

走る。

 

「はぁ、っぐ、……!」

 

走る、走る、走る。只管に、走る。

目指す物も辿り着きたい場所も無い。本能的に感じる恐怖と危機感のまま、全力で足を動かすのだ。

私はインドア派なんだよ。そう愚痴りたい所だったが、そんな文句など思い浮かびもしない。――ただ、逃げるだけ。

 

「く……は、っく、そっ……!」

 

痛い程に酸素を求める肺をいなし、背後を振り返る。

目に映るのは、夜の闇に包まれたモダンな町並み。それと身体を動かす毎に視界と擦れる洋服のフリルだ。それ以外には何も見えず、私の足音と荒い息遣いが建物の隙間に反響し、溶けていく。

 

……傍目には何も無いかもしれない。けれど、私には分かっていた。そこかしこに立ち並ぶ建物の影から、誰かがこちらを見ているのだ。

そう――「ちう」の衣装を身に纏った私を、無様に逃げ惑う私を。粘性を帯びた目でもって、襲う隙を伺っている。

 

「ひ……ッ!」

 

――ぎょろり、と。流れ去る塀の隙間から突然眼球が覗き、私の視線と一瞬だけかち合った。

その気持ち悪さに肩が跳ね、バランスを崩しかけ蹈鞴を踏む。慌てて壁に手をつき立て直し、擦れた指先に痛みを感じつつ走り去る。通りの角を曲がっても減速せず、少しでも前へと進むのだ。

……そうして脳裏をよぎるのは、つい先程自室のPCモニターに映ったおぞましい悪夢。醜く穢れ、画面越しにも分かる程の悪臭に溢れた、あの。あの――!

 

「……~~~~ッ!!」

 

……嫌だ。もし捕まればきっと私は次の「ちう」になる。

逃げろ、逃げるのだ。目的地など無くていい、あんな目には逢いたくないだろう。だったら走れ。あいつらの追ってこない場所まで、走れ。走れ走れ走れ――走れ!

「……っぐ!!」喘ぎを漏らし、硬い地面を踏みつけて。私は心の内側から響く声に従い、限界を無視して更に足を速めた。

 

――――おそらく、もうすぐ午後九時になるかどうかという時刻。私は「長谷川千雨」では無く「ちう」となり、真っ暗な麻帆良を走り回っていた。

 

いつの間に着替えたのか、どうやって部屋から出たのか。その一切を私は知らない。

件の映像を見た瞬間に意識が飛んで、気付いた時には既に千雨の仮面を脱ぎ捨てていた。モニターに映っていた「ちう」の姿そのままに、夜街を逃げ惑っていたのだ。

 

何故逃げるって?

そんなのは決まっている。追われている、追われているんだよ私は。誰かに――そう、あの「ちう」に群がっていた黒い男達に、何もかも把握しないままに追われている。

 

(くそっ、何で。何でこんなになってるんだよ……!)

 

どうして、何がどう作用すればこうなるんだ? 車の往来を無視して街道を横断しながら、そう毒突く。

訳も意味も分からず記憶も無い。明らかに「普通」ではない、あらゆる意味で「異常」な事態。あっていいのか、こんな事が。

幻覚や妄想の類では決して無い。「普通」の私が「異常」をきたすなんて許容できない。即ちこれは紛れも無い現実であり、だからこそ脳が混乱で満ち満ちる。

 

奴らは何者か? そんなものは知らない。その目的は? そんな事知る訳が無い。どこから出てきた? だから知らない!

 

しかし彼らのやりたい事だけはこれ以上ない程に理解している。そして、今できるのはそれに対する場当たり的な行動だけだ。

逃げるのだ。奴らの視線の届かない場所へ、手の届かない安全地帯に。一刻も早く、早く!

 

「……だ、誰かぁ! 誰か、はっ、たすけっ……!」

 

止まれば捕まる――そんな強迫観念にも似た焦燥の中、私は大声を上げた。息も絶え絶え、声は掠れて声量も足りなかったかもしれないけど、今の私に出せる全力の声量だ。

正直この「ちう」の格好を見られるのは自殺モノの羞恥だが、この際気にしていられない。

アンナ、ネカネ先生、高畑先生、裕奈、綾瀬、その他大勢。無意識に知っている奴らの顔を浮かべながら、誰でもいいから助けてくれと切実に願い。何度も、何度も、何度も、何度も。声を張り上げ、助けを求める。

 

……しかし。

 

(何で、誰も来ない……!?)

 

無機質な街並は闇の静けさに包まれたまま、人の気配すらも感じられなかった。通りすがりに建物の壁を叩き扉を引っ張っても皆施錠されており、反応も梨の礫。

確かに今までがむしゃらに走り回った所為か、私は現在位置がどこなのか把握出来ては居ない。西区か、東区か、それとも北区か。

 

雰囲気から言って寮のある居住区からはそう離れていない場所の筈なんだ。世界樹の位置から土地勘を得るなんて器用な事は出来ないものの、その程度は分かる。

 

幾ら停電といえど、外出禁止令が出されている以上は誰か居るに違いないのに。何故出てくれない、助けてくれない。このままでは私は、私は。

 

「……ッ!!」

 

……ベタリ、と。何処かで物音が響いた。

助けが来たのか。そんな希望に縋り咄嗟にその方向に目を向けたが――すぐに見なければ良かったと後悔する。

 

「……っぁ、何……?」

 

近場にあった倉庫のような建物。その扉の隙間から黒い粘液が漏れ、不快な音を立てて蠢いている。

最初はそれが何なのか見当すら付かなかった。しかしそれが大きく波打ち、震えだし――その中から大量の血走った眼球が姿を覗かせた事でその正体を悟った。

 

――あれは、人の形を成す前の黒い男だ。常識や物理法則を無視した事象にも関わらず、極自然に、疑いなく、決定的にそう確信していた。

 

……後から思えば、こんな思考ができた時点で私は既に「普通」では無かったのかもしれない。混乱や焦燥で言い訳できる範囲を超えているのだから。

しかし当時の私にとってはそれは紛れもない真実だった。恐怖に身体が震え、身が竦む。そうしてすぐにこの場から離れようとして――――瞬間、ギシリと一斉に周囲から何かが軋む音を聞いた。

 

「うわっ!?」それは決して大きな音では無かった。しかし全方位から響いたそれは私の頭を多方向に揺らし、数瞬の間思考能力が停止する。

……そして注意力の散漫の末に訪れるのは転倒であり。気付けば足が縺れた私の身体は投げ出され、地面に向かって飛び込んでいた。

 

「――っぐ! って、ぇ……!」

 

咄嗟に手を突いて衝撃は和らげられたものの、全力疾走中の出来事の為か完全にとは行かなかったようだ。身体を打ち付け、少しの距離を転がった。その際無意識に握りこんでいた掌から紙切れが落ちたが、気にする精神的余裕は無い。

……腕が痛い、掌が熱い。指の一本を動かす度に妙な感覚が神経を走る。折れ曲がっていないのが不思議な程だ。

私は慌てて身を起こしながらも、何があったのかと周囲に視線を振り回し――――

 

「……は、」

 

黒、だ。黒い粘液が私を取り囲もうとしている。

周囲の建物の扉から。今まさに入ろうとしていた通りの先から黒い粘液が溢れ、次々と盛り上がり、変形しているのだ。

みちり、みちりと。それらは私の見ている前で、筋肉の繊維が結ばれるような異音と共に人の形を作っていく。頭があり、胴があり、手足があり――出来上がるのは先程自室のモニターで見た光景と同じ、肥満体型の男の姿。

 

目玉から粘液が溢れたか、粘液から目玉が溢れたか。その程度の違いはあったが、きっと些細な事だろう。彼らは少しの間眼球をギョロ付かせているだけだったが、やがて私を捉えた順にゆっくりと近づいてくる。

気持ちが悪い。精神が犯され、嫌悪に陵辱されていく。

 

「か、ひゅ……はっ、は」

 

最早声すら失くした私は、必死に逃走を再開しようと足掻き、足掻き、足掻く。

しかし一度止まってしまった足は中々言う事を聞いてくれず、ただ酷い疲労に悲鳴を上げるだけだった。ガクガクと震え、壁に体重を預けなければ立つ事すら覚束ない。

 

いや、足だけじゃなく全身が悲鳴を上げている。滝のように流れる汗は睫毛を濡らし、痙攣する肺は酸素すら満足に吸い込めなかった。ともすれば吐瀉物を撒き散らしそうだ。

 

……限界なんだ。私は、既に。

 

「……や、だ。いやだっ……!」

 

けれど、止まる事はしたくない。

嫌なんだ、まだ14なのに、好きな人も出来てないのに、あいつら相手なんて絶対に嫌だ……!

 

私は唇を噛み締め、疲労とは別の意味で痙攣する身体を必死に押さえつけ。ズルズルと地面を這い進む。

可憐な衣装が擦り切れ、フリルが千切れボタンが飛んだ。一瞬勿体無い気分になるが、そんな思考はすぐに淘汰されていく。

 

――――ちうタンだ。ちうタン。何時も見てる。、液の詰まった。特定して。ちうタンの。見てる。俺は見て、見てい、ちう。見て。見。見見みみmm――……。

 

……誰かのメッセージが聞こえる。ノイズ混じりの酷く聞き取り辛いものだ。

それはつまり、声が聞こえる程の近さにまで黒い男達が迫ってきているという事だろう。しかし背後を確認する勇気は無く、私は反射的に目に付いた路地裏へとボロボロの体を引きずった。

暗く、細い道だ。先は見通せなかったが、よく目を凝らせば向こう側に道が繋がっているのが分かる。

幸運にもその先にはまだ奴らは見えず、逃げ道としては最適だ。一筋の光明が見えた――――そう、おもったのだ。が。

 

「……あ……?」

 

――路地、裏?

ふと、嫌な予感が背筋を走り。それ以上進む事を本能が拒否し、入り口から少し進んだ所で。牛歩の足が止まった。

そうだ、自室で見たあの映像。あれに映っていた場所は確か、このような暗い所では無かったか?

 

「ちう」のインパクトが強く、良くは覚えていない。だけど、確かにこの路地のだったような気がする。そして彼女が倒れていたのは、丁度この辺りで。

……私が「ちう」の格好をしている事、黒い男達に追われている事、路地裏に入った事……積み木を組み上げるかの如く、様々な予感が積み上がり一つの絵を描く。

 

――――この状況は、まるであの光景のリプレイじゃないか――――?

 

「――うぁッ!?」

 

その事に気づき、急ぎ路地を抜けようと踏み出した足が、動かない。

慌てて目を落とせば、いつの間にか這いよっていた黒い粘液が足首を拘束しその場へと固めていた。

無理矢理に動かそうとも粘液は外れる事は無く、むしろより深く足を飲み込んでいく。おそらく手で触れようものならより拘束は深まるだろう。

早く解かなければ捕まる。焦る気のまま背後を振り返れば、

 

「…………は…………」

 

――――無数の瞳と、目が合った。

 

黒が。あの粘液が。路地の入り口一杯に広がり、詰まり。そこに浮かぶ無数の眼球がこちらを見つめていた。

向こう側の景色なんて見えない。黒は私の身長を越え、建物の大きさを越え、見上げるままに天まで昇り、夜空へと融け合い一つのものとなっていて。

 

……否、もうそれは夜空じゃない。そこに浮かぶ星の一つ一つまでもが血線の走った眼球に変貌している。

20か、200か、2000か。多分「ちう」のホームページの訪問者数と同じ数。降り注ぐ視線の全てに情欲が宿り、私が、「ちう」が囚われる様を望み、見つめているのだ。

 

「は、はは……は」

 

もう、何の罵倒も悲鳴出ない。

笑うしか無いというのはこの事だろう。心に大量に絶望の泥が降り注ぎ、しかし反対に表情には笑顔が浮かぶ。

私には知る術は無かったが、それは奇しくも先の「ちう」が浮かべていた同じものだった。目から光が消え、感情が壊死し消えていく。

 

……おそらく、あの映像は今の光景を映していたんだ。この無数の眼球をカメラとし、「ちう」の、私の未来を撮っていた。

あり得ない。そう思っているのに、それを私の中で真実とする気力が沸かない。端的に言えば諦めたのだろう――誰かに助けられる事も、自力で助かる事も。「普通」すらも諦めた。もう、逃げられない。

 

「……あは、は」

 

広がる黒が小さく千切れ、男を産んで。その全てが私に向かって手を伸ばす。距離はもう目と鼻の先だ。

意思とは関係なく未だ足が抵抗を続けていたが、意識的に止めさせる事も出来無い。感情がぶっ壊れ、現実をモニター越しに眺めていた。

 

そうして無数の眼球の中に、怯えた私を――数刻前の自分自身の姿を見る。

幻覚か、妄想か。何れにせよ状況はループし、眼球を通じて現在と過去は繋がった。後の展開は決定事項であり。流れ作業にも等しい。

 

「……う、ぁぐっ」

 

足を、腕を、頭を、腿を、肩を、腹を。男の腕に掴まれ、地面に押さえ付けられる。彼らの一挙手一投足に粘着質な音が響き、不快感を強く煽った。

 

彼らが見下ろす。涎のように粘液が垂れる。止めろ、キモい、嫌だ。嫌だが、しかし――何かが出来る筈も無く。零れた涙が黒に溶け、消えた。

 

……さて、あの映像の「ちう」は最後に何と言い残していただろう。確か、明るい声で我が身の魅力を嘆いていたような気がするな。

ハハ、お気楽なこって。そうバカにしたかったが、今なら彼女の気持ちがよく分かる。それ以外にどうしろってんだ、こんなん。

 

「ぁは、ふ。ぃ、いや。ち、ちうタン……は、あはっ☆」

 

私は黒に浮かぶ眼球、その中に居る過去の自分達に向かい、空元気を振り絞った。

どうしてそんな事をしたのか、私にも分からない。だけどまぁしょうがないんじゃないのかな。私は奇妙な義務感を抱きながらも、「ちう」の言動をトレースしようと試みる。

……そうさ、ファンに愛されていると思えばそう悪い事でも無い。アンチも特定厨も居ない。「ちう」を求めてる時点で、どんな奴だろうがそれはファンなのだ。

自己愛による自己暗示。最早思考すらおぼつかない私は大きく、明るい笑顔を浮かべ――――嫌悪と諦観を置き去りにして、彼らの事を受け入れた。

 

 

――――――!!!!!!!!!

 

 

……すると、それが分かったのだろう。彼らは歓声のノイズを発し、まるで獣のように私の身体に群がっていく。

ああ、終わりだ。終わるのだ。虚ろな瞳で、私はそれをただ眺め続けるだけで。

 

――まず服が破られ、素肌が晒される。外気は冷たく、生理現象として肌がざらついた。

 

――腕を上げられ、二の腕から腋の窪みをなぞられる。擽ったさなど感じない、黒い粘液が肌に付着し悪寒が走った。

 

――足を開かれ、無数の腕が腿を這う。気持ちが悪い。気持ちが悪い。気持ちが悪い。

 

……そして、その手が徐々に位置を変えていく。同時に、腋を嬲っていた指先も。ゆっくりと、じりじりと焦らすように、蛇の舌をも連想させる手つきで移動し、そして――――

 

 

 

「―――――ォォォオオオオオオアアアアアアアアッ!!」

 

 

 

――――誰かの絶叫と、轟音。それらがその一切を吹き飛ばした。

 

 

 

「っ、きゃ、っうわぁッ!?」

 

ドン! と大きな衝撃と熱風が舞い踊り、男達の手が離れ。拘束が外れた私は当然それに耐えきれる筈も無く、呆気無く地面を転がった。

「っぐ」壁に背をぶつけ、声が漏れる。その際頭の中でスイッチが入ったような音が響き、世界が急速に色付き始め。腐った脳が一部機能を取り戻す。

……何だ、何が起こった。詰まった息を咳に変え、地面に手を突き顔を上げ、

 

「……、あ?」

 

……それを見た瞬間に晒した間抜け面は、生涯一のものだろう。

私は不快感を忘れた。男達を忘れた。恐怖を忘れた。諦観を忘れた。「ちう」を忘れた。忘れ、忘れ、忘れ忘れ忘れ―――そして、見惚れる。

 

――――煌々と、轟々と。激しく燃え盛り、赤い光と熱を撒き散らす炎の巨塔。先程まで黒のあった場所全てに、紅き灼熱が顕現していた。

 

「……な、ん」

 

……あれは何だと問いかけようとも、声は出ず。答えは火の粉として還る。

 

どうやらそれは天から落ちてきたらしい。黒と眼球の空には切り裂かれた延焼痕がハッキリと残り、焦げ滓となった眼球が粘液の中へと沈み、消える。

焦げ付く悪臭は殆ど無かった。未だ燃え続ける炎の渦が回転し、手近な男達を巻き込みながら大気をかき混ぜているのだ。彼は次々とその数を減らし、炎の燃料にくべられていく。

 

「は、はは……!」

 

吹き抜ける熱風が眼の表面を軽く焼く。熱い、しかしそれは不快な物ではない。眩い、ああ、ああ、歓迎すべき事だとも。何て、綺麗で温かい――。

……そうして暫しの間目を奪われていると、巨塔の根本に何か……そう、人のような影を見つけた。

 

「……?」

 

風に揺られる赤い髪が炎に混じり、違和感無く溶け込んでいた為気付くのが遅れたようだ。

それは……何と言ったらいいのだろう。真っ赤な籠手のような、剣のような、華のような。良く分からない武器らしきものを構え、俯いている小さなもの。

 

――それは、剣と呼ぶにはあまりに歪。今にも砕けそうな脆弱さと、灼熱なる血気に満ちていた。

 

絢爛豪華にその身を誇り。魂が燃え尽きるかのような、清澄なる善意と。赫怒を感じさせるかのような苛烈さを持ち合わせていた。

 

両手に握られたその二つは腕の外側を覆うように刃が流れ、肩の付近からガラス状の巨大な花弁を3枚ずつ咲かせている。どうやら炎はその隙間から溢れているようだ。

見様によっては、舞い散る火吹と合わせチューリップのような形にも――――

 

「……ちゅー、りっぷ?」

 

呟き、もしやと思い当たる。

「普通」の思考では無いし、到底信じられる事では無い。顔も服装も、火炎の逆光で良くは見えないのに、どうしてそうと決められよう。

 

……しかし、赤い髪と小柄な体格、そして彼女自身が語った言葉により、半ば確信を持って理解した。してしまった。

 

 

――――任せときなさい! 私の剣でチリチリパーマにしてやるわ!――――

 

 

「……アンナ、なのか?」

 

「……、……」

 

冗談だと。私を元気づけるための方便だと思っていた。しかし、切り捨てるには現状との一致が多すぎる。

……その恐る恐るの呟きが聞こえたのか、人影は――アンナはゆっくりと俯いていた顔を上げた。

 

「――……チ、サメぇ……!」

 

自らの吐き出す炎に照らされた彼女の顔は、泣きそうな程に弱々しく、錯乱しそうな程に脆く。凛々しさも笑顔も無かった。

 

ただ、どうしようもなく頼りない。それこそ怯える子供のような小さな声音で、私の名前を噛み解したのだ――――

 

 

【挿絵表示】

 

 


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