問題児たちと妖怪の血を受け継ぐ者が異世界から来るそうですよ? 作:篠咲リクヤ
今回もよろしくお願いします
第一幕 異世界
──箱庭二一〇五三八〇外門居住区画、第三六〇工房。
「・・・・うまく呼び出せた?黒ウサギ」
「みたいですねえ、ジン坊ちゃん」
黒ウサギと呼ばれた十五、六歳に見えるウサ耳の少女は、肩を竦めておどける。
その隣で小さな体躯に似合わないダボダボなローブを着た幼い少年は不安そうに黒ウサギに声をかけた。
「彼らの来訪は・・・・僕らのコミュニティを救ってくれるだろうか」
「・・・・さあ?けど“主催者”曰わく、これだけは保証してくれました」
黒ウサギはスカートを靡かせ振り返る。
「彼らは・・・人類最高クラスのギフト所持者だ、と。」
上空4000mから落下した四人と一匹は、落下地点に用意してあった湖に投げ出された。
「し、信じられないわ!まさか問答無用で引き摺りこんだ挙句、空に放り出すなんて!」
「全くだ。呼び出すならもっと優しく呼び出してほしいもんだ」
「右に同じだクソッタレ。場合によっちゃその場でゲームオーバーだぜコレ。石の中に呼び出された方がまだ親切だ」
「・・・・。いえ、石の中に呼び出されたら動けないでしょう?」
「俺は問題ない」
「そう。身勝手ね」
鯉音と二人の男女はそれぞれが服を絞りながら罵詈雑言を吐き捨ていた。その頃もう一人の少女は猫を引き上げながら、
「此処・・・・どこだろう?」
「さあな。まあ、世界の果てっぽいものが見えたし、どこぞの大亀の背中じゃねいか?」
猫を抱えた少女の呟きに少年が応える。
適当に服を絞り終えた少年は髪の毛を掻きながら話しだした、
「まず間違いないだろうけど、一応確認しとくぞ。もしかしてお前達にも変な手紙が?」
「そうだけど、まず“オマエ”って呼び方を訂正して。──私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこで猫を抱きかかえている貴女は?」
「・・・・春日部耀。以下同文」
「そう。よろしく春日部さん。次に刀を腰に下げている貴方は?」
「俺か?俺の名は奴良鯉音。呼び方は奴良でも鯉音でもどっちでもいいぞ」
「そう。よろしく鯉音君。最後に、野蛮で凶暴そうな貴方は?」
「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と容量を守った上で適切な態度で接してくれよお嬢様」
「取扱説明書をくれたら考えてあげるわ」
「マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけ、お嬢様」
心からケラケラ笑う逆廻十六夜。
傲慢そうに顔を背ける久遠飛鳥。
我関せず無関心を装う春日部耀。
(さて、どうやって帰るか・・・・)
帰る方法を考えながら腕組む奴良鯉音。
そんな彼らを物陰から見ていた黒ウサギは思う。
(うわぁ・・・・なんか問題児ばっかりみたいですねえ・・・・お一人様だけ真面目そうですけど・・・・)
黒ウサギは陰鬱そうに重くため息を吐くのだった。
十六夜は苛立たしげに言う。
「で、呼び出されたはいいけどなんで誰もいないんだよ。この状況だと、招待状に書かれていた箱庭とかいうものの説明をする人間が現れるもんじゃねえのか?」
「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」
「・・・・。この状況に対して落ち着き過ぎているものもどうかと思うけど」
「そうゆう春日部も落ち着いているな・・・・
(全くです)
黒ウサギはこっそりツッコミを入れた。
もっとパニックなってくれれば飛びだしやすいのだが、場が落ち着いているので出るタイミングを計れないのだ。
(まあ、悩んでも仕方ないのデス。これ以上不満が噴出する前にお腹を括りますか)
飛び出す心の準備をする黒ウサギ。
そんな中ふと十六夜が呟く。
「──仕方ねえな。こうなったら、そこに隠れている奴にでも話を聞くか?」
物陰に隠れている黒ウサギはその一言によって驚きながら冷や汗をかいた。
黒ウサギに四人の視線が集まる。
「なんだ、貴方も気づいていたの?」
「当然。かくれんぼじや負けなしだぜ?そっちの二人も気づいていたんだろ?」
「風上に立たれたら嫌でもわかる」
「あんなの隠れているうちに入らねえよ。俺ならもっとうまく隠れられる」
「・・・・・へえ?面白いなお前ら」
四人は理不尽な招集を受けた腹いせに殺気の籠もった冷ややかな視線を黒ウサギに向ける。
「や、やだなあ御四人様。そんな怖い顔で見られると黒ウサギは死んでじゃいますよ?ええ、ええ、なので黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」
「断る」
「却下」
「お断りします」
「同じく」
「あっは、取りつくシマもないですね♪」
バンザーイと降参ポーズをとる黒ウサギ。
そんな中、春日部が不思議そうに黒ウサギの隣に立ち、黒いウサ耳を鷲掴みし、
「えい」
「フギャ!」
力いっぱい引っ張った。
「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用で黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」
「好奇心の為せる業」
「自由にもほどがあります!」
「へえ?このウサ耳って本物なのか?」
「じゃあ私も」
今度は十六夜と飛鳥が左右から掴んで引っ張る。
「ちょ、ちょっと待───!」
左右に力いっぱい引っ張られた黒ウサギは、言葉にならない悲鳴をあけた。
そんな様子を見ていた鯉音は、
「はあ~。こんな調子で大丈夫かよ・・・・・」
頭に手を当て呆れていた。
読んでいただきありがとうございます
主人公の台詞少なかった・・・・
これから少しずつ増やせるように頑張ろうと思います
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少し手直しをしました。