問題児たちと妖怪の血を受け継ぐ者が異世界から来るそうですよ? 作:篠咲リクヤ
申し訳ありません。
投稿が遅れました。
それではよろしくお願いします。
───箱庭二一〇五三八〇外門・内壁
鯉音、飛鳥、耀、ジン、三毛猫の四人と一匹は石造りの通路を通って箱庭の幕下に出る。
四人と一匹に眩しい光が降り注いだ。
遠くに聳える建物と空を覆う天幕を眺めた。
「外から見たときは箱庭の内側は見えなかったのに」
「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんですよ。あの巨大な天幕は太陽の光を直接受けられない種族のために設置されていますから」
「あら。この都市には吸血鬼でも住んでいるのかしら?」
「え、居ますけど」
「・・・・・。そう」
(吸血鬼が存在しているのか・・・。一度手合わせを願いたいものだ)
複雑そうな顔をする飛鳥。
吸血鬼の存在に胸が躍る鯉音。
そんな中ジンが話を進める。
「皆さんは、こちらに召喚されたばかりですから詳しい話は、食事を取りながらでも」
「そうだな、ちょうど俺も休みたかったんだ」
「では、こちらえ」
そう言ってジンは鯉音たちをカフェテラスに案内をする。
「いらっしゃいませー。御注文はどうしますか?」
店に入ると猫耳の少女が飛び出してきた。
「えーと、紅茶を二つと緑茶を一つ。鯉音君はどうするの?」
「俺はアイスコーヒーで頼む」
「そう。じゃそれと、あと軽食にコレとコレと」
『ニャー(ネコマンマを)!』
「はいはーい。ティーセット四つにネコマンマですね」
「「「え?」」」
猫店員の発言に鯉音と飛鳥とジンが首を傾ける。
「三毛猫の言葉、わかるの?」
「そりゃ分かりますよー私は猫族ですからね」
『ニャーニャニャー(ねーちゃんも可愛い猫耳やな。今度甘噛みしに行くわ)』
「やだもーお客さんったらお上手なんだから♪」
店員が去った後、耀は嬉しそうに三毛猫を撫でた。
「・・・箱庭ってすごいね、三毛猫。私以外に三毛猫の言葉が分かる人がいたよ」
「ちょ、ちょっと待って。貴女もしかして猫と会話ができるの?」
「うん」
動揺した飛鳥の質問に耀は頷いた。
鯉音も耀の発言に興味を持った。
「なら、他の動物と話ができるのか?」
「生きているなら誰とでも話はできる」
「そ、それは心強いギフトですね。箱庭においては幻獣との言葉の壁は大きいですから」
ジンも耀のギフトに将来性を感じていた。
「そう・・・春日部さんは素敵な力があるのね。羨ましいわ」
「久遠さんは──」
「飛鳥でいいわ。よろしくね春日部さん」
「うん。飛鳥はどんな力があるの?」
「私?私の力は・・・酷いものよ。そんなことよりも鯉音君はどんな力があるの?」
突然飛鳥から来た質問に鯉音は少し驚きなが答えた。
「俺か?俺の力は───」
「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最低辺コミュニティの“名無しの”のリーダー、ジン君じゃないですか。」
2mを超えピチピチタキシードを着た男現れた。
(なんだ?コイツ)
「貴方の同席を認めた覚えはありませんよ。ガルド=ガスパー」
「用があるのはお前じゃなくて、そちらの御三方です」
「失礼ですけど、同席するならまず名乗ったのちに一言添えるのが礼儀ではないかしら?」
「おっと失礼。私は箱庭上層に陣取るコミュニティ“六百六十六の獣”の傘下である「烏合の衆の」コミュニティのリーダーをしている、ってマテやゴラァ!!誰が烏合の衆だ小僧オォ!!!」
(こんな近くででかい声出すんじゃねえよ)
肉食獣のような牙と鋭い目つきをジンに向け怒鳴り声をあげた。隣にいた鯉音はガルドの声にたまらず耳を塞いぐ、
「口慎めや小僧ォ・・・・紳士で通っている俺でも聞き逃せない言葉もあるんだぜ・・・」
「森の守護者だった貴方なら相応に礼儀で返していましたが、今の貴方はこの箱庭を荒らす獣にしか見えません」
「そうゆう貴様は自分のコミュニティがどうゆう状況に置かれているか理解できてんのか!」
「ハイ、ちょっとストップ」
険悪な二人の間に手を上げた飛鳥。
「事情はわからないけど貴方達の仲が悪いことはわかったわ。それを踏まえたうえで質問したいのだけど───」
飛鳥はが睨む。しかし睨む相手はガルドでなく、
「ねぇ、ジン君。ガルドさんが指摘している、私達のコミュニティが置かれている状況というものを説明していただける?」
「そ、それは・・・」
「そうだな。自分のコミュニティに入って欲しいならそのコミュニティが置かれている状況を説明する義務があるはずだ」
飛鳥の言葉に鯉音は賛同した。
「貴方達の言う通りだ。コミュニティの長として新たな同士に箱庭のルールを教えるのは当然の義務。しかし彼はそれをしたがらないでしょう。よろしければこの私が、コミュニティの重要性とジン=ラッセル率いるコミュニティ“ノーネーム”について客観的に説明させていただきますが」
飛鳥はジンを見るがジンは俯いて黙り込んだままだ。次に鯉音と耀を見る。
「俺はいいぜ」
「(コクッ)」
鯉音は飛鳥の考えに気づき賛同し耀は首を縦に振って続いた。
「・・・・そうね。お願いするわ」
「承りました。まず、コミュニティというのは複数の人数で作られる組織の総称です。そしてコミュニティ活動する上で箱庭に“名”と“旗印”を申告しなければなりません。特に旗印はコミュニティの縄張りを示しています。もし自分のコミュニティを大きくしたいと望むなら、両者合意で『ギフトゲーム』を仕掛ければいいのです。私のコミュニティは実際にそうやって大きくしましたから」
(そういや、じいさんも昔はそんなことやっていたと言っていたな)
自分の世界は勝った者に弱い者が従う世界であって、鯉音が産まれる前は、戦いが頻繁に起きる時代であると聞かされていたのだ。
「さてここからは貴方達のコミュニティの問題。実は貴方達の所属するコミュニティは数年前まで、この東区画最大を手のコミュニティでした」
「あら、意外ね」
「とはいえリーダーは別人でしたけどね。そして彼らは敵に回してはいけないモノに目を付けられた。彼らはギフトゲームに参加させられ、たった一夜で滅ぼされた。この箱庭の世界、最悪の天災によって」
「天災?」
「俗に“魔王”と呼ばれる者達です」
(魔王か・・・。面白そうな奴が居るんだな)
強い者と戦うためにこの世界に来た鯉音とっては魔王の存在は興味の的になりうっすらと笑う。
「なるほどね。大体理解したわ。つまりジン君のコミュニティは彼らに潰された。そうゆうこと?」
「その通りです。名も、旗印も、主力陣の全てを失い、残ったのは膨大な居住区画の土地だけ。そこまで落ちぶれたコミュニティに人は集まるでしょうか?」
「そうね・・・・誰も入りたいと思わないでしょう」
「同感だな。そんな衰退し活動も儘ならない所に入る奴なんていないだろう」
飛鳥の考えに賛同し鯉音も自分の考えを言った。
「そう。彼は出来もしない夢を掲げて過去の栄華に縋る恥知らずな亡霊でしかないのですよ」
「・・・そう。事情は分かったわ。それで、どうして私達にそんな話をしてくれるのかしら?」
「単刀直入に言います。もしよろしければ黒ウサギ共々、私のコミュニティ“フォレスガロ”に来ませんか?」
「な、何を・・・!」
「結構よ。ジン君のコミュニティで間に合っているもの」
は?とジンとガルドは飛鳥の顔を窺う。
「鯉音君と春日部さんは今の話どう思う?」
「俺は強い奴と闘うために来たんだ。どこに入ろうが変わんねえよ」
「別に。私はこの世界に友達を作りに来ただけだから」
「あらそうなの。じゃあ私が友達一号に立候補していいかしら?」
「・・・・うん」
『よかったなお嬢・・・』
ホロリと泣く三毛猫。その様子を見て微笑む鯉音。
「貴方はどうなの鯉音君?」
「俺は言っただろ、強い奴と闘えれば───」
「そうじゃなくて、こんな可愛い子が友達欲しいと言っているのに貴方はなろうとしないの?」
あ、ああ。と自分が勘違いしていることに少し恥じらいを持つ鯉音。
「そうだな。考えさしてくれ」
「あら、意外ね。普通の男性なら心よくなろうとするのものでないの?」
「普通はそうだろうけど。ただ、俺にも事象があるからな簡単には決められねえよ。悪いな」
「そう。そうゆうことなら」
「私も別に・・・」
鯉音は自分が妖怪であるから人間に嫌われている存在だと自覚しているので友達になろうとしなかったのだ。
「失礼ですが、理由をお聞きしても」
ガルドは飛鳥達の答えに不満があり質問した。
「私、久藤飛鳥は──財力も家柄も全てを捨ててこの世界に来たの。今更恵まれた環境に喜ぶとでも思う?」
な!?と飛鳥の言葉に驚くガルド。諦めたのか鯉音に目を向けた。
「で、では、貴方はどうでしょう。強敵と闘うことがお望みならギフトゲームを多く開催する私のコミュニティに────」
「断る‼」
「な、何故!?」
鯉音の言葉が強く響いたのかガルドも強く聞き出す。
「確かに俺は強い奴と闘うためにこの世界に来たがテメェのような野郎と手を組むつもりは無いぜ」
「お、お言葉ですが────」
「黙れ‼」
鯉音から出る畏れに言葉を失うガルド。
「なぁジン。コミュニティ同士を掛けたギフトゲームはそうそうあることなのか?」
「は、はい。やむを得ない状況なら稀に・・・」
鯉音の気迫に畏れながら答えるジン。
「そうだな。自分のコミュニティを賭けるなんてそうそう出来ない。そんなこと魔王と言っていたな・・・。だが、魔王でないテメェが何故出来たんだ?」
「そうね。私も聞きたいわ。教えてくださる?」
睨み付けるように言う鯉音に続いて飛鳥も質問した。
「そ、それは・・・・」
........
「教えてくださる?」
ガルドはまるで操られたかのように話し出す。
「あ、相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫しゲームに乗らざるを得ない状況に追い込んだ」
「クズがやりそうな手だな」
「でも、そんな方法で組織が成り立つの?」
「各コミュニティから、数人ずつ子供を人質に取ってある」
ガルドの言葉に鯉音だけでなく飛鳥に耀にジンが表情を変える。
「・・・・・そう。それで、その子供達は?」
「もう殺した」
その場の空気が凍りつく。
「初めてガキを連れて来た日、泣き声が頭にきて思わず殺した。それ以降は、連れてきたガキをその日に始末することにした。だが、これがバレれば組織に亀裂が入る。だから始末したガキの遺体は証拠が残らないように───」
..
「黙れ」
ガチン‼とガルドの口が勢いよく閉ざされた。
「素晴らしいわ。ここまで絵に描いた外道はそうそう出会えなくてよ。エセ紳士さん」
飛鳥は指をパチンと鳴らす。それが合図なのかガルドを縛り付けていたものが無くなりガルドはテーブルを勢いよく砕き、
「こ・・・・この小娘がァァァァァァァ‼」
雄叫びとともにガルドはワータイガーと呼ばれる混在種になった。そして、飛鳥に向けて剛腕を振り上げると刀が首筋に当たる。
「おい・・・。子供を殺しそれがバレ怒りで女に手を出すとは、器の小せぇ奴だ」
「な、なんだとこのガキィィィィィィ‼」
標的を鯉音に変え殴りかかる。
ボォォォ。と音とともに剛腕が貫き鯉音の体から黒い煙のようなものを出しながら消えた。
「ど、どこだ!?」
それを見ていた三人は驚きで声も出なかった。
ガルドは動揺したのか辺りを見渡すと、
「こっちだ」
後ろから鯉音が現れガルドの首筋に刀を当てた。
「こいつ‼」
「どうした?その程度か・・・」
「舐めるなァァァァァァァ!!」
と、もう一度殴りかかるといち早く気が付いた耀が腕を伸ばしガルドの腕を掴み地面に叩きつけた。
「喧嘩はダメ」
「ッ!!」
驚きが修まった飛鳥が見下すような目線で告げた。
「さて、貴方にはここで二つの選択肢があるわ。一つはここに居るもの全て殺して口封じを謀るか、もう一つは法の手に届かない所に逃げるか、どちらにしても貴方のような外道は罰せられるべきよ。」
「ッ!!」
ガルドは押し潰されて声が出ないのか怒っているような声を出す。
それを見た飛鳥が続けた。
「それで提案なんだけど・・・。私達と『ギフトゲーム』をしましょう。貴方の“フォレス・ガロ”存続と私達“ノーネーム”の誇りと魂を賭けて、ね」
今回も読んでいただきありがとうございます。
次回はもう少し早く投稿できるように頑張ります。
では、ご感想などお待ちしてます。