101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行 作:biwanosin
「えーっと……『この話は、リクエストにお応えして駄作者が旅行直前に慌てて書いた短編です。本編とは一切関係ないので、そのつもりでいてください』……だ、そうよ?」
「はじまりからメタすぎませんかね!?」
テンが何か言い出した!テンがメタいことを言い出した!
仕方のないことなのかもしれないけど!
「ケホケホ・・・まあ、本編でハロウィンをやろうとすると、かなり先になってしまいますしね。原作では夏休みは海にいったあたりですから・・・」
「大体最終決戦辺りって予想になるわけだ。カミナー、ファイッ」
「待て待て待て。テンとティアはともかくとして、姫子までここにいていいのかよ?」
と、何かしれっと発言してきた姫子にツッコミを入れる。なんか『ロアだらけのハロウィンパーティー』とか横断幕あるんだけど、その辺りいいのかよ!?
「あー、大丈夫大丈夫。どう考えても読者の中にウチがロアじゃないって思ってる人いないでしょ。むしろ正体特定してる人だっているだろうし」
「おっ、そう言うことなら私もいても大丈夫ってことだよな?」
なんか先輩も出てきた。ホントにいいのかな、これ……
と、そんなことを考えていたら扉の開く音が。そちらを見れば鈴ちゃんと絵さんの姿が。
「あ、いらっしゃい。出てこれたんだ?」
「ハロウィンですからね!」
「私たちは都市伝説であり、すなわち幽霊みたいなものだ。出てこれるだろうさ」
「なるほど、それはよかった」
「それに短編ですし!」
鈴ちゃんにまでメタられてしまった。これはもうだめだ、どうにもならない。
「あ、そうだパイセン。一人一緒に行きたいといってたので連れてきてしまったんですけど、大丈夫でしょうか?」
「えっと、その子はロアなのかな?」
「それは間違いないと私が保証するよ。それに、危害を加えようという意志もない」
「そう言うことわかるんですか、絵さん」
「長く生きてずっと子供たちを見てきたんだ。それくらいは分かるさ」
さすが絵さん、変顔さえなければダンディで完璧で頼れる大人の男だ!
変顔さえなければ!
「失礼よ、カミナ」
「仕方ないだろ……それが大きすぎるんだから……」
変顔のインパクトというか、存在感が大きすぎる。どうにかならないものなのか。
「あのー、そろそろその子にも入ってきてもらっていいですか?」
「あ、はい。大丈夫ですよ」
と、絵さんについてこの上なく残念に思う要素について考えていたらティアが許可を出していた。まあ俺としても歓迎以外の意図はないために問題はない。アレクみたいにロア出はない人が来てしまうのは問題だけど、そうじゃないんだし。
「やっほー、お兄さん♪」
「さすがにこれはアウトでしょう!?」
原作知ってる皆さん!絶対もう正体分かってるとは思うけどそれは言わない!けどこれが大問題だってのは分かってもらえるよね!?
~しばしお待ちください~
「落ち着いた?」
「オチツキマシタ……何考えてるのさ、ラインちゃん」
「うーん、正直その名前だと原作のキャラと被っちゃうし、この機に変えるべきなんじゃないかな、とか?」
「だから、そう言うメタい話はやめてあげて……作者だって同じこと思ってるんだから……」
よくこの作者がやる『ナレーション=作者』の状態だったら、この場に謝罪の文字が出てたんだろうな……まったく、『神社とその先にある世界なら鳥居か道だし、鳥居って英語わからないから道でいいか!』とか考えるんじゃないぞ……え、違う?元はそんなんじゃなかった?じゃあなんで……『シュライン』から切り取っただけ!?
「もっと考えてあげて!」
「どうしたの、お兄さん?まるで私の名前が後付けだったのを知ってしまったかのような悲鳴を上げてるけど」
「やけに具体的!」
はぁ……もう気にしない。気にしないぞー。ラスボスが出てきたとかなんか色々怒ってるけど、これは外伝みたいなものなんだ。大元にはかかわってこないだったら関係ないし気にしない。全員知り合い。そう考えれば問題ない気もしてくるし、何かいつの間にか来て参加している姉さんとかも一切気に……ならなくはないけど、流せはする。うん、問題ない。いけるいける。
「よーっし、もう気にしない!紙食器も届いた、お菓子もある!」
「開き直ったわね」
「開き直りましたね」
「開き直るしかないですしね!」
「意識の切り替えは大切だよ」
「たまにびっくりするくらいでかいことも流すけどね、カミナ」
「それがなぎくんのいいところだとお姉ちゃんおもうわ!」
「トリック・オア・トリート!」
「最後の誰だー!」
一人!聞き覚えのない声が混ざってる!
その事実に今更気づき、この場にいるメンバーを見回してみる。
赤髪巨乳の姿となってところどころに包帯を巻き大鎌を持っているテン。
ちょっと露出のある魔女の格好をしているティア。
ザ・花子さんって感じの服装になっている鈴ちゃん。
いかつい顔なベートーヴェン(が変顔している)の絵さん。
今にもひゅ~どろどろ~とか言い出しそうな白装束の姫子。
騎士っぽく鎧と剣を見につけている姉さん。
カボチャ頭で襤褸切れのマントを身に着ける(体つきから察するに)女性。
……うん。
「ホント誰ですか貴女!?」
「言われてみれば確かに、見覚えないわねそのカボチャ」
「確かに見覚えないねー、カボチャさん」
「お二人はなんでそんなゆったり!?」
「「まあ大体正体わかるし」」
もー、優秀だなぁ、この二人は!それをおしえてくれれば完璧なのになぁ!
「……それで、改めて貴女はどなたです?」
「私かい?ふっふっふ……」
と、体を少しひねり、それを戻す勢いでマントを翻す。ちょっとカッコいいと感じてしまったが、カボチャで全部台無しになった感じがある。
「そう、私が、私だ!」
「カボチャかち割るぞテメエ!」
「そう、私が、カボチャさんだ!」
「やめろ!止めないでくれ鈴ちゃん!」
「いや駄目です!そのロアの能力はさすがに出しちゃいけないやつです!」
ついうっかりこのメタ空間に任せて発動したら鈴ちゃんが後ろから羽交い絞めにして止めてくる。……仕方ない、この柔らかさに免じてやめるとしよう。
「はぁ……で、あなたは?」
「トリック・オア・トリート!」
「やめろ!止めるな姫子!」
再びキレかけた俺は悪くない。だから姫子、何のためらいもなく足払いをかけて上に乗るんじゃない。
もう何もしないという意図を示すために能力を解除したらどいてくれた。
「まったく、まだ私も出せないんだからやめてよ?素で止めないといけないじゃん」
「素で止めれちゃう辺りがあれだよな・・・」
と、そう考えながら目の前の相手について考える。本人が教えてくれいない以上は自分で考えるしかなく、そして難しいかどうかはともかくとして、見た目から考えられはするんだ。考えろ、考えてみろ……
目の前の相手は、何より特徴的なのはカボチャ頭だ。カボチャ。
そして考えてみれば、今日はハロウィンだった。……考える必要性、なかったなぁ。
「ジャック・オー・ランタンのロアさん?」
「イッエース!そう、私こそが現代ハロウィンの主役!ザ・ベスト・オブ・主役のジャックさんです!気軽にメアリーって呼んでね!」
「ジャックなのに!?」
ナイスツッコミ―!とか元気そうに言っている。つ、疲れる……
「というわけで改めて皆様方、トリック・オア・トリート!」
「はい、どうぞ」
と、そう言いながら何のためらいもなくテンが席をすすめ、自分が持ってきたお菓子をその前に置く。それに続くようにして他の人たちもどんどんお菓子を置いていった。
「おやおやおや?そちらの主人公さんは?」
「あー……そういや俺、場所の確保と準備が仕事で菓子持ってきてないや」
「おやおやおや!それはもう、トリックで行くしかないね!」
と、そう言って立ちあがったジャックさん……いやメアリーさん……?なんにせよ、ジャック・オー・ランタンさんが俺の前まで歩いてきた。
「え、えっと……それってもしかしなくても、ロア的な何かだったり?」
「ま、そだねー。いやー、我ながらかなり有名だからさ。十月三十一日はどのロアに会っても持ち歩かれてて、これ使うの実に久しぶり!」
「テンー!俺聞いてないぞー!?」
「ごめ、忘れてた」
「テーン!!!!」
というか、それでか!それで俺以外の皆菓子持ってきてたのか!
「え、えっと……そうだ、今から買ってくるなり作るなりするんで、それでお見逃しいただくってわけには……?」
「そうは問屋が卸さない!」
「デスヨネー」
ロアにとってそれは絶対。であれば、やられないというわけにはいかないものなんだろう。というわけで、大人しくやられることにした。さあ、どんとこい!
「ではではそれでは……『
この後起こったことを、俺は思い出したくない。そもそも文章では表すことができないような体験をしたから、それを誰かに伝えることすらできない。ただそれでも、それでも心に誓ったことが一つだけある。
十月三十一日。この日だけは絶対に、必ず手に届く範囲にお菓子を一つ置いておくんだ、と。
「うんうん、そう言う自分の失敗から学んでいく姿勢は大事だとジャックさん思うね!」
「なんでしれっと同じ学校にいるんでしょうか、ジャックさん?」
「ロア時はカボチャ頭に襤褸切れの幽霊、平常時はピンクの髪にグラマラスな体形の美少女。そんなハロウィンの主役が次に現れるのは、あなたの元かもしれない!」
「確かに読者向けのそう言う終わり方ってよくあるやつだけど!」
「一回やってみたかった!反省も後悔もしていない!」
「あーもー!あーもー!!!」
「あ、ついでだから物語に入れて入れてー。時系列的に本編に出てくることはないけど!」
「どうしたいんですか貴女は!!!」
大歓迎ですけどもね!!
今日は一日、お菓子を持ち歩きましょう。大丈夫、ジャックさんは寛大だから、美味しいお菓子なら何でも許してくれるさ!