『メインステップ!』
とあるテレビ画面でバトルスピリッツで対戦している二名の人物が映される。一人は帽子をし、その帽子からはみ出した髪は青色の少年らしき人物。もう一人は白デッキを使っている、金髪の少年。今の状況は互いのライフが三で白デッキの男の場には機人フィアラルLv.2。翼神機グランウォーデンLv.2が一体ずつ。もう一人の場にはグランガッチ、ロックゴレムLv.2が一体ずつ、ネクサスは”崩壊する戦線”が二枚のみ、そして第7ターンを迎え、青年のターン。
『マジック発動”マジックドリル”と”マジックハンマー”を使用』
『またデッキ破壊か!』
マジックドリルの効果は相手の手札と同じ枚数デッキを破棄。そして。今、相手の手札枚数は5枚、つまりマジックハンマーの効果と合わせて、合計10枚デッキを破棄される。
『じゃぁそろそろ終いだ、オリハルコンゴレムをレベル2で召喚』
『!?』
どこからか青い宝石のような物が出現し、それが砕けたかと思うと地面が大きく盛り上がり、そこからオリハルコンゴレムが現れる。
”グオオオオォォォォォ────ッ!”
『さらにグランガッチと合体(ブレイヴ)させる』
ワニの姿をしたグランガッチがオリハルコンゴレムと一体となり、BPが11000となる。
『行け、合体(ブレイヴ)スピリット』
プレイヤーがアタックを命令したと同時に、スピリットの目が青く光り、次の瞬間、機人フィアラルはグランガッチの合体時能力で破壊される。
『ライフで受ける!だが、フラッシュタイミング、デストラクションバリアを使用!これにより転生を持たない合体(ブレイヴ)スピリットを破壊』
オリハルコンゴレムはそのまま突っ込み、飛び上がると同時に大きな爪を振り下ろす。プレイヤーの周りにバリアのような物が展開されるが、オリハルコンゴレムの攻撃の前に簡単に破壊されてしまう。だが、オリハルコンゴレムが相手のライフを削り、地面に着地したと同時にデストラクションバリアの効果によって破壊される。
『どうだ!』
『?……だからどうした?狙いはライフじゃなくてデッキだけど?』
『なっ!?』
そう言われると同時に自分のデッキを確認するが既にデッキ枚数はゼロ。そしてその後、ターンエンドを宣言し、相手のターンになるが、ドローできなくなった事で負けが確定し、そのまま決着してしまう。
『お、俺の負けだ』
*
そして次に画面が変わり、アナウンサーの女性が現れる。
『さぁ今のが、チャンピオンシップ一回戦の試合です!これが決勝戦と言っても過言ではない試合を展開してくれた青デッキ使いの川村劉選手の対戦動画でした!そして早速彼にインタビューでも──』
続きを言おうとした瞬間、”ブチッ”とテレビの切れる音がする。
「やっぱすごいぜ!バトスピ!」
さっきまでテレビを見ていたその少年はソファーを立ち上がり、さっきの映像の感想を言う。彼の名は若槻和人。13歳で彼もまたバトスピが大好きな少年なのだ。
「かっこいいよな、よし!もう我慢できねぇ!早速バトスピセンターに直行だぁーーーッ」
すぐさま赤いデッキケースを持つと、玄関を飛び出しバトスピセンターというバトスピ専門の店へ足を急がせるのだった。
*
────バトスピセンター。
バトスピ専門店。それがバトスピセンター。この店では、たくさんのバトスピカードを取り扱ったり、店中に置かれた台座でバトスピをプレイしているたくさんの人達。
「うおおおおおッ!」
和人は店のすぐ目の前まで駆け寄るとそのまますごい勢いで店へと入店する。
「いらっしゃ──って、和人君か」
「おーっす店長!」
「今日は遅かったね、知り合いの咲ちゃんはもうとっくに来てるよ?」
「マジ!?」
和人とは顔馴染みの様子。この人物は村井知恵という名前でバトスピの知識に関しては群を抜くほどで、ここのバトスピセンターの店長をしているらしい。そして村井の言う咲とは、和人の幼馴染の女の子、木野咲のことだ。
「あっ、和人!どうしたの?遅かったじゃない」
「おぉ!実はバトスピニュース見ててすっかり遅れちまって」
「はぁ~、和人らしい。まぁ、さっさとバトルしない?」
「いいね!俺のデッキと早速バトルだ!」
そんな会話をしながら二人は台座にデッキを置き、バトスピの対戦を始める。
*
────10分後……。
「はい、ガブノハシでアタック」
「ら、ライフで受ける」
最後のライフが削られ、和人の敗北が確定。
「はぁ~、まだバトスピ経験浅い私に負けるんなんて」
「しょ、しょうがないだろ!今のは手札回りが悪かったんだ!フレイムサイクロンとかバスタージャベリンが来てれば!」
「前はそれを加えた手札で、レイニードルやディノニクソーが来ればとか言ってなかった?」
「うっ!」
ちなみに言うとこれまでの二人の対戦成績は10戦中で木野が6勝4敗、和人が4勝6敗。経験で言うと和人の方が上なのだが、実力はまだ初心者同然の木野より若干下。簡単にいえば、まだ彼は実力的に十分ではないという事だ。
「まぁ、もしかして私がバトスピ経験があるのかな?」
「くそぉ~!」
もう一回と頼みこもうとする和人。だが、彼がそのお願いをする前に突如周りの人達から「おぉ~」という声が聞こえてくる。
「!、やだ、今の勝利はまぐれなんですってば」
「おい木野、言っとくけどお前じゃないらしいぜ?」
「えっ?」
ふと後ろを見ると、そこでは髪型がアフロでサングラスをかけた一人の男性が既に何人共バトルし連勝しているからだ。
『すげぇよ、もうこの人10連勝中だ』
『戦ってみたいけど、俺じゃぁ手も足も出ないんだろうな』
観戦している何名かの声が聞こえてくる。それを聞いていた和人はデッキを持ち、その人の所に歩み寄る。
「さぁ、次の対戦相手は誰かな?誰でも受けて立つよ?」
「はい!はい!!はい次、俺やります!」
「おぉ~、いいよ!君の名前は?」
「若槻和人!おじさんは?」
「俺の名は、人呼んでアフローヌ!さすらいのカードバトラーさ!」
自信満々な様子で決めポーズを決め、名を名乗るアフローヌと言う人物。
「アフローヌ?ま、まぁともかく!早速バトルお願い!」
「おっと、ちょっと待って。君さっきそちらの女の子とバトルしてたよね?」
「えぇ?まぁそうですけど」
アフローヌと言う人物は木野を示しながらいい、その言葉に和人は頷く。
「その対戦を見てふと思ったんだが、少し君のデッキを見せてくれないかな?」
「あぁ、はい」
言われるままに和人はデッキをアフローヌに渡し、デッキを見てもらう。
「ふ~ん、ロクケラトプスやディノニクソーの軽量スピリットにフレイムサイクロンやトライデントフレアの除去系マジックがあるのか」
「ど、どうですかね?」
「確かに君のデッキはイイ感じだけど、もうひと押し足りないね」
「どういう事ですか?」
「赤は本来攻めることが最大の基本だ。だけど、君のさっきの戦い方を見て思ったが、君はどちらかというと守りの向けの戦い方をしていたね」
「えぇ、中々BPの強いスピリットがなくて」
「ふ~ん、どうやら君のデッキには運命の一枚がないらしいね」
「?」
「ただカードの効果がいいとか、見た目がいいという理由じゃなく、自分が心の底から何かを感じたカード、それが運命の一枚だ!」
「運命の、一枚」
「よかったらカードを購入してみたらどうだい?少しの間待っててあげるよ」
「はい!」
すぐさま駆け出し、商品の棚にあるブースターパックを見る。
*
『どうだい?どれを買うか決まったかい?』
「少し待っててくださーい!」
大きな声で返事をするも、全部で14弾もあるブースターパックのどれを買うか中々決められずに迷っている状態だった。
「あれ和人君?カードを買うのかい?」
「あっ!店長。まぁね」
「へぇ~、でもどれを買うか悩んでるようだね。まっ、じっくり選んでよ」
「はい!って、店長それは?」
和人はふと知恵の持っている一つの箱が気になる様子。
「あぁ、第7弾のパックが切れたからね、在庫から持ってきたのさ」
「へぇ~、確か第7弾って、どんなカードがあるんでしたっけ?」
「えぇ~と、確かメテオヴルムやビャクガロウとか、アレクサンダーとかかな?」
「う~ん……」
「あれ?もしかしてこれが気になったの?」
「ま、まぁそんなところです」
「へぇ~、じゃぁ少しお安くしてあげようかな?」
「いいんですか!」
「どうする?これにする?」
「はい!」
お金を渡し、知恵から第7弾のブースターパックを受け取る。
「よし!じゃぁバトルしに行ってきます!」
「中身確認しないの!?それに後少し待てば例のあれがもうすぐ──」
続きを聞く事なく和人はアフローヌが待っている場へと急ぐのだった。
*
「おじさん!カード買ってきましたよ!」
「随分早いね。早速開封したらどうだい?」
ゼェ、ゼェと荒々しい息を一通り整えると、和人は直ぐにそのパックを開封する。
「そのパックは第7弾か。いいカードが当たるといいね」
「はい!」
開封後、中身のカードを取り出し一枚一枚をじっくり見つめる。そしてその中の一枚に和人はふと気に取られる。
「このカード……!」
「どうだい?いいカード手に入った?」
「はい!何だかさっきおじさんが言ってたみたいにビビッと感じました!」
ブースターパックの中にあったうちの一枚、「剣皇龍エクスキャリバス」というカードを取り出しながら言う。
「へぇ~、中々いいカードじゃないか」
「はい!俺、早速こいつをデッキに入れてぜひ勝負お願いします!」
「いいよ!じゃぁ早速始め──」
『お~い!和人君!!』
バトルを始めようとした矢先、それを止めるかのように知恵が現れる。
「店長!どうしたの?」
「ハァ……ハァ……どうしたのって、今日はあれが届くって前から言ってたでしょ?バトルするならそこでどうかなって」
「?」
「あぁ~!確かこの店でもついにあれが届く日だったね」
アフローヌは何かを思い出したかのように言う。
「あれ?」
「和人、陽昇マヒルって人知ってる?」
「うぅん」
首を横に振りながら和人は答え、それに木野はあきれた様子だった。
「あのね、陽昇マヒルはリアルバトルフィールド、つまり人類最大の発明をした人でしょ?」
「あぁそう言えば!確かこの店でも!」
「そう、そのバトルフィールドがこの店でも設置されるのよ」
「そうだった、そうだった!リアルバトルフィールド、俺ぜひそこでバトルしたいと思ってたんだ」
「そうか」
その言葉を聞いたアフローヌは笑みを浮かべながら口を開く。
「だったら、今から僕とやる試合はそこでしないかい?」
「えっ!」
「君も運命のスピリットを手に入れたようだし、大迫力のフィールドでスピリットと会いたいだろ?」
「はい!ぜひお願いします!!」
「そう言う事なら、ぜひこの店のフィールドで戦う第一号として頑張ってね二人とも!」
「「勿論!」」
それだけ言うと、二人はステージの前まで行き、他の観戦者達はステージの横にあるモニターを必死に眺める。
「じゃぁ、二人とも、あのセリフは言えるよね?」
「勿論!行くよおじさん!」
「あぁ、それじゃぁ始めるか!」
「「ゲートオープン!開放!!」」
二人がその言葉を放つと、光に包まれ二人はその場から消え、リアルバトルフィールドへと移動するのだった。