バトルスピリッツ激震の勇者   作:ブラスト

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第11話『粉砕炸裂!デッキ沈没!?』

 

「すぅ~~、はぁ~~」

 

待合室で、深く息を吸っては、また息を大きく吐く。そんな事を繰り返している少女、木野咲。

 

「何だよ、まだそんな調子なのか?」

 

さっきからその様子ばかり見ていた和人は、呆れた様子で咲に言う。

 

「だって次の私の対戦相手、川村劉って人なんだよ?リクト君も勝てなかった相手だし、私が勝てるかどうか……」

 

「だから諦めんなよ。お前だって実力は最高!俺が保証するさ!!」

 

「……でも」

 

「まだ時間もあるし、最終デッキ調整でもしたらどうだ?俺も手伝うぜ」

 

「ほんとに!?ありがとう。助かるよ!!」

 

咲はすぐさま自分のデッキを広げ、そして予備のカードを取り出しデッキ調整を図る。

 

「でも和人って緑デッキの構築なんて出来るの?」

 

「馬鹿にすんな!他のカードの扱いだって俺は……」

 

「?」

 

「その……何て言うか」

 

意気込んで言おうとする和人だったが、自分が今まで赤しか使っていない事を思い出し、冷や汗をかきながら思わず口籠ってしまうのだった。

 

「はは、まぁ和人らしいね」

 

「ともかく!俺もできる限り力になるぜ!」

 

「ありがとう。でもやっぱりその気持ちだけで十分かな?」

 

「えっ?」

 

「別に和人は必要ないってわけじゃないけど、やっぱりこういう事まで誰かに頼る訳にはいかないでしょ?自分の力がどこまで通じるのか、試してみたいって思うじゃない」

 

「ふ~ん」

 

「それに、いつまでも和人に頼ってられないしね」

 

「えっ?」

 

「何でもない。次の試合、精一杯頑張るから応援してね」

 

「あぁ!」

 

”ピンポンパンポン”

 

刹那、二人の会話を遮るようにその音は会場に鳴り響いた。

 

『まもなく次の試合を開始します。至急、出場選手はバトルフィールドに』

 

次の試合は和人の番、そのアナウンスを聞いていた和人は、デッキを持ち……。

 

「……じゃ俺の番だから行って来る!お前もデッキ調整頑張れよ!!」

 

「ありがとう。和人も頑張ってね!」

 

「おぉ!!」

 

それだけ言った後、和人はその場を立ち去り、それを見た後、咲はデッキ調整に励む。

 

 

 

 

 

 

 

 

「激神皇カタストロフドラゴンでアタックだ!!」

 

『ら、ライフで…………うわあぁッ!』

 

舞台は変わりバトルフィールド、和人の宣言と共にカタストロフドラゴンは火球弾を放ち、残り一つのライフが砕け、勝負が決する。

 

『さぁ勝者は若槻和人選手!熱いバトルを繰り広げた二人に拍手を!』

 

三回戦を勝利し、和人は一旦その場を離れ、一息つきながら近くのベンチに座る。

 

『お疲れ』

 

ふと声を掛けられ、見上げると目の前に居たのはリクトだった。

 

「リクト!さっきの試合、俺勝ったぜ!!」

 

「あぁ、ばっちり見てたさ。随分絶好調って感じだな」

 

「サンキュー、これなら誰にだって負けないぜ」

 

「これから戦うかもしれない相手に向かって、か?」

 

「へっ!お前にだって絶対勝ってやるさ!!」

 

「……相変わらずだな。だがそれはそうと、次の試合は確か」

 

「あぁ、咲の番だぜ」

 

「対戦相手は、川村劉。どうなることだろうな」

 

「大丈夫だって!咲も簡単に負けたりしねぇよ!」

 

「まっ、ともかく試合が楽しみだな」

 

”ピンポンパンポン”

 

『まもなく次の試合が始まります。出場選手はバトルフィールドへ』

 

「噂をすればなんとやら、早速俺達も見に行くとするか」

 

「あぁ!そうときまったら、早速行くぜ!!」

 

二人はもう一度試合場所へと足を向かわせ、バトルフィールドへと向かって行った。試合場所の方では、リクトや和人達だけでなく、試合を楽しみにしてる観客達も揃い、全員モニターに注目してる様子。その中には惜しくも敗退してしまった光達の姿もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

『さぁ!まもなく三回戦最後の試合、川村劉選手vs木野咲選手!一体どちらが勝つのか!両者には熱いバトルを期待しているぜ!!』

 

ギャラクシーの進行で観客達が熱くなる中、後方から少しざわめいてる様子が聞こえる。それに気づいた和人達が振り返った先には、ゆっくりと川村が歩み寄り、そしてフィールドへと昇っていく。

 

『あれが川村劉か』

 

『やっぱ強そうだよな』

 

『当り前さ、俺なんか初戦でデッキアウトさせられたもん』

 

観客達からのざわめきが聞こえる。一方バトルフィールドの方では、川村が来たものの、まだ対戦相手の咲の姿はまだなかった。

 

『おや?咲選手の姿が見えないようだが?』

 

それに気付き始めた観客達はまたもざわつき始める。

 

「何してんだよ、咲!」

 

「和人、お前なんか知ってんのか?」

 

「嫌、俺が知る訳ないだろ!!」

 

「ともかく、理由が何であれこのままじゃ不戦敗って事も考えられるな」

 

「何してんだか……(速く来いよ、咲!)」

 

観客達がざわめく中、一向に咲が来る様子はない。川村も待ちくたびれたという様子で、ため息をついている様子。

 

『仕方ない。咲選手、不在のため、この試合は────』

 

「待ってください!」

 

”ガチャン”と扉が開く音が響き、その声の主は間違いなく木野咲だった。

 

『おぉっと、ここでようやく咲選手到着だ!』

 

咲が来た事で、焦っていた様子のリクトと和人は安心した様子で一息つく。

そして咲の姿を見て、川村はデッキを構える。

 

「随分待たせてくれるね」

 

「遅れてすいません。でも、デッキの調整は完璧です」

 

「なるほど、それは楽しみだね。いいバトル、期待してるよ?」

 

『さぁ気を取り直して!両者準備はいいか?それではゲートオープン!』

 

「解放っ!」「解放」

 

そして二人は光に包まれ、バトルフィールドへと戦いの場を移す。

 

 

 

 

 

 

 

 

────第1ターン。

 

「さて精々楽しもうよ。スタートステップ」

 

川村の先行から始まり、スタートステップ後、続くドローステップを行って、手札は5枚。そしてメインステップへ。

 

「メインステップ、ストンスターチュと爪剣のラザルスを召喚」

 

開始早々全てのコアを使用して二体のスピリットにコアを乗せてフィールドに置くと、二つのサファイアが出現とともに砕け、体全体が石で出来ているゴーレムのストンスターチュと爪のような剣を握りしめるラザルスが現れる。

 

「召喚時効果で相手デッキを一枚破棄」

 

召喚と共にストンスターチュは目を光らせ、上から一枚、咲のデッキが破棄される。

 

「早速始まりましたね。デッキ破壊」

 

「まだまだ、でも一応このターンはエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第2ターン。

 

「スタートステップ!コアステップ、ドローステップ!」

コア、手札共に5つに増え、コアと手札を見ながらメインステップを迎える。

 

「メインステップ!メイパロットを召喚!」

 

一つのエメラルドが出現と共に砕け、鳥のような姿をしたメイパロットが現れる。

 

「メイパロットの召喚時効果でこのスピリットの上にボイドからコアを一つリザーブに置く」

 

召喚時効果でメイパロットの体は緑色のオーラに包まれ、自動的にLv.2となる。

 

「そしてメイパロットをLv.1にダウンして、ネクサス、神葉樹の森を配置!」

 

もう一枚カードをフィールドに配置すると、今度は後方に木のようなネクサス、神葉樹の森が配置され、さらに咲はもう一枚カードを持つ。

 

「バーストセット!これでターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第3ターン。

 

「メイパロット、戦略はコアブーストか」

 

「どうでしょうかね」

 

「まぁいいけど、続けるよ。スタートステップ!」

 

メインステップまでの準備を進め、コアは5つ。手札は4枚となる。

 

「行くよ、ツンドッグゴレムを召喚!」

 

手札からスピリットを呼び出し、ラザルスと同じく粉砕を持つツンドッグゴレムが現れる。

 

「召喚時効果発揮!このターン【粉砕】、【大粉砕】の効果を持つスピリットが破壊されても、疲労状態でフィールドに戻る」

 

「!……その召喚時効果発揮でバースト発動!」

 

「!?」

 

咲は待ってましたと言わんばかりに、バースト発動宣言。バーストカードの発動でカードはオープンされ、それは咲の手に収まる。

 

「マジック、武迅衝!効果により相手スピリットを疲労させる、指定するのはツンドッグゴレム!よって疲労させます」

 

「ちっ!」

 

マジックの効果でツンドッグゴレムはその場に座り込み、疲労してしまう。

 

「さらにコストを支払って、メインの効果!ボイドからコアを1つ、リザーブに」

 

「!?」

 

「コスト確保でメイパロットを破壊」

 

メイパロットは維持コストを失って消滅するも、咲のリザーブにコアが一つ置かれる。

 

「メイパロットを破壊してまで効果を使うなんてね」

 

「これも戦略です」

 

「ふっ、続けるよ。爪剣のラザルスをLv.2にして、アタックステップ!爪剣のラザルスでアタック!【粉砕】の効果発動でデッキを二枚破棄!」

 

「ライフで受けます!」

 

ラザルスは駆け出すと共に青い波動を放ち、咲のデッキから二枚破棄され、そしてメインのアタックで、ラザルスは飛び上がり、爪剣を展開されたバリアに突き刺す。

 

”ガキィンッ!”

 

「うわぁッ!」

 

ライフが砕け、その衝撃が咲を襲う。後ろに弾き飛ばされそうになりながらも何とか持ち応え、その痛みに耐える。

 

「ストンスターチュ、続け!」

 

「させませんよ!ネクサス、神葉樹の森の効果発動で、【神速】を持つカードに軽減シンボルを与えます。これによって維持コスト1を支払って、マッハジーを神速召喚!そしてブロック」

 

「!」

 

『出たぁーーっ!緑属性ならではの効果、【神速】!!川村選手の【粉砕】に対して、咲選手も負けていないぞ!!』

 

ギャラクシーの実況で、モニターを見てる観客達はさらに盛り上がる。バトルの方では、咲に向かうストンスターチュの前にエメラルドが出現し、それが砕けると同時に、緑色の閃光が飛び出し、それは真っ直ぐストンスターチュの体を貫くと、ストンスターチュは消滅し、閃光の正体であるマッハジーが姿を現す。

 

「仕方ないね。ターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第4ターン。

 

咲のターン、メインステップまでの準備を進め、コアは9個、手札2枚。

 

「メインステップ、バーストセット」

 

「またもバーストか」

 

「まだまだ!さらにグラントベンケイをLv.2で召喚!」

 

コア3個をグラントベンケイに置き、フィールドに出すと、マッハジー達より大きめのエメラルドが砕け、そこから大きな昆虫を思わせるグラントベンケイが出現する。

 

「召喚時効果発揮!これにより、手札を一枚破棄してもらいますよ!」

 

「仕方ないね。これを破棄するよ」

 

そう言いながら一枚カードを選択する川村。しかし、その選んで破棄したカードは何とキャッスルゴレムだった。

 

「Xレアを!?」

 

「これも作戦だよ。それよりまだそっちのターンだから続けなよ」

 

「……マッハジーをLv.2に、アタックステップ!グラントベンケイでアタック!」

 

「ライフで受ける」

 

グラントベンケイは大きく足踏みをしながら、攻撃宣言と共に川村へと突っ込んでいき、そして展開されたバリアにグラントベンケイは強靭な角を叩きつける。

 

”ガキィンッ!”

 

「ぐッ!」

 

ライフが砕け、それ相応の衝撃が川村を襲う。川村は片手で帽子を抑えながら、その衝撃に耐える。

 

「ターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第5ターン。

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ」

 

コアは7個、手札は4枚となり、そして続くリフレッシュステップで、疲労していたラザルスとツンドッグゴレムは回復する。

 

「(さて、相手の手札は0、スピリットはグラントベンケイとマッハジーの二体。そして問題視すべきはあのバースト)」

 

川村は咲の伏せているあのバーストがどうも気になっている様子。

 

「(残すブロッカーをBPの低いマッハジーにしたのを見ると恐らく、相手による自分のスピリット破壊だと見た。そしてそのバースト効果なら間違いなく、風の覇王!)メインステップ!バルカンアームズを召喚!召喚時効果でデッキから3枚ドロー」

 

「!」

 

引いた三枚を見ながらその内の二枚に手を掛け、マジックハンマーとデモリッシュのカードを破棄する。しかしそれを見ていた咲はその召喚時効果で……。

 

「相手の召喚時効果でバースト発動!」

 

「!?」

 

風の覇王と思っていたバーストが召喚時効果で発動するなど思ってもみなかった川村は思わず動揺を隠せなかった。そして発動したバーストカードがオープンされ、そのバーストカードは……。

 

「マジック!双翼乱舞!!」

 

「手札増強系のマジック!」

 

「バースト効果で二枚ドロー!さらにコストを支払ってもう二枚ドロー!!」

 

コストをグラントベンケイとマッハジーから確保し、二体は脱力したように肩を落とし、レベルダウンするも、計4枚のカードを咲はドローし、チャンスを広げる。

 

「くっ、でもこちらもバーストセット!」

 

「!?」

 

川村もここでバーストをセットし、咲はそれに警戒する。

 

「(バーストを読み違えたのは計算外だったけど、バーストを発動し終えたのなら、警戒する必要はない!)アタックステップ!バルカンアームズ、爪剣のラザルス、行け!」

 

「ライフで受けます!」

 

「【粉砕】の効果で二枚破棄するよ!」

 

またも咲のデッキから二枚のカードが破棄され、その後メインのアタックで、バルカンアームズはバルカン砲を咲に向けて連射し、ラザルスは剣をブーメランのように投げ、それは真っ直ぐ咲に向かっていき、展開されたバリアに剣と銃弾が一度に決まり、一気にライフを二つ削られ、より強烈な衝撃が先へと襲い、思わず後ろに弾かれる。

 

「うわぁっ!」

 

残りライフ2。

 

「ターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第6ターン。

 

咲のターン、メインステップまでの準備を進め、コアは12個、手札は5枚となる。

 

「メインステップ!ムシャメガを召喚!」

 

ムシャメガが出現し、そして召喚時効果の発揮でムシャメガ、グラントベンケイ、マッハジーにBP1000が加えられる。しかし、その召喚時効果で川村のバーストが発動する気配はない。

 

「……バーストセット!そしてアタックステップ!ムシャメガでアタック!」

 

「(あのバーストは、恐らく……)ライフで受ける!」

 

ムシャメガの突進をライフで受け、ムシャメガの突進が展開されたバリアに直撃する。

 

「ぐあっ!」

 

残りライフ3。

 

「マッハジーでアタック!」

 

「ライフ!」

 

今度はマッハジーの特攻がバリアに炸裂し、ライフが砕かれる。

 

「ッ!」

 

残りライフ2。

 

「フラッシュタイミング!」

 

「!?」

 

咲は手札の一枚に手を掛け、そして叫ぶ。

 

「速攻特攻、疾風(ハヤテ)となりて現れよ!音速なりし騎士、蛮騎士ハーキュリーを神速召喚!」

 

「!?」

 

咲の真上に影が現れ、上を見上げるとそこには蛮騎士ハーキュリーが姿があり、フィールドに着地すると、片手に持つランスを軽々と振り回し、勝鬨を上げるかのように、天に掲げる。

 

「蛮騎士ハーキュリー!これが私の新たなキースピリットです」

 

「「わあぁーーーーッ!」」

 

モニターを見ている観客達は激しい試合の展開に盛り上がっていた。

 

「蛮騎士ハーキュリー、あれが咲の新たな一枚か」

 

「すっげ!すっげぇ!!これなら行けるぜ!!」

 

リクトや和人達も、他の観客達動揺盛り上がっている様子。

 

「召喚時効果発揮!神速を持つすべてのスピリットを回復!」

 

蛮騎士ハーキュリーの持つランスから緑のオーラが放たれ、そのオーラを纏うムシャメガとマッハジーは回復する。

 

「この4体のスピリットでこのターンを決めて見せます!」

 

「それはどうかな?」

 

「えっ?」

 

「まだ分からないの?そのハーキュリーがトリガーを引いたんだよ」

 

「まさか!」

 

「ふふ、大方予想通りだよ」

 

川村は自分のバーストに目を向け、そしてそのバーストがオープンとなる。

そして川村の手に収まったそのバーストカードは、鉄の覇王サイゴードゴレムだった。

 

「バースト発動!鉄の覇王サイゴードゴレム!」

 

「!!」

 

「バースト効果発動により、蛮騎士ハーキュリーのコスト分、つまり7枚をデッキの上から破棄!」

 

「!?」

 

サイゴードの効果で咲のデッキから7枚カードが飛び、破棄されたカードは上からカッチュウムシ、ムシャメガ、ゴクラクチョー、カーミュラー1、ハンドリバース、タケノサイガー、そしてラスト一枚のカードが上から飛び、そのカードはバースト効果を持つショカツリョーのカードだった。

 

「!」

 

「バーストカードがあったので、サイゴードゴレムを召喚できる!」

 

川村の手に収まっているサイゴードのカードをフィールドに置く。

 

「打ち砕け!ぶち壊せ!強靭な覇王(ヒーロー)よ!Lv.2で爆砕召喚!」

 

ラザルスはLv.1になった後、転送されるかのようにサイゴードゴレムがフィールドに姿を現し、そして目を輝かせ、強靭な腕を構える。ハーキュリーと同じくXレアだけあって、存在するだけで威圧感が感じられる。

 

「……でもこのターンは押し切れる!蛮騎士ハーキュリー、行って!」

 

「フラッシュタイミング、絶甲氷盾。コストはバルカンアームズとサイゴードゴレムから確保」

 

絶甲氷盾の効果は、バトル終了時、相手のアタックステップを強制的に終了させるマジック。このコスト確保のため、サイゴードはレベル1となり、バルカンアームズは消滅。そしてマジックの効果でハーキュリーの後ろに居るムシャメガ、マッハジー、グラントベンケイは吹雪に見舞われ、このターンの行動を制限される。

 

「そんなマジックが!」

 

「ふん、青だけだと思ったら大間違い。ハーキュリーはライフで受ける」

 

ハーキュリーは駆け出し、そして展開されるバリアにランスを突き刺す。

 

「うわっ!」

 

Xレアだけあって今までの攻撃より強力に感じられる。そしてその衝撃に川村は後ろに後退させられ、その拍子に帽子が落ちそうになり、川村は慌てて帽子を抑える。

 

「……おっと」

 

それを不思議に思ったのか、咲はふと口を開き……。

 

「川村さん、帽子外してた方がよくないですか?」

 

「!、急にどうしたの?」

 

「いや、バトル中、邪魔になるんじゃないかって思って」

 

「か、関係ないでしょ。放っておいて!」

 

気のせいか、帽子について聞いただけなのにさっきまで冷静だった様子の川村が少し焦ってるように見える。そして川村はさっきより帽子を深く被る。

 

「それよりそっちはターンエンド?」

 

「あっ、はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第7ターン。

 

メインステップまでの準備を進め、川村のコアは11個、手札は4枚。そしてリフレッシュステップでスピリット達が回復。

 

「行くよメインステップ!ツンドッグゴレム、ラザルス、サイゴードゴレムをLv.2にアップ!」

 

フィールドのスピリット全てがレベルアップし、一気に勝負を決める気でいる様子の川村。

 

「さらにマジックハンマーを使用!メインの効果、よって相手デッキを5枚破棄!」

 

「デッキ破壊に拍車をかけてきましたね」

 

「このターンで決めるからね。アタックステップ!サイゴードゴレム、行け!【大粉砕】の効果発動!この効果発揮により、このスピリットのレベル一つにつき、5枚。よって10枚破棄!」

 

サイゴードゴレムは青い波動を放ち、それは咲を襲う。

 

「きゃぁっ!」

 

デッキから10枚破棄され、その内の一枚はバースト効果を持つ烈風神空覇のカード。

 

「バースト効果を持つカードがあったので、グラントベンケイを破壊!」

 

サイゴードゴレムは駆け出し、グラントベンケイに拳を叩きつけ、それに吹っ飛ばされグラントベンケイは爆発を起こし破壊される。

 

「!、相手による自分のスピリット破壊でバースト発動!」

 

「来たか」

 

バーストカードがオープンされ、そのカードは咲の手に収まり、そのバーストカードは風の覇王ドルクス・ウシワカのカードだった。

 

「ドルクス・ウシワカのバースト効果でツンドッグゴレム、ラザルスの二体を疲労!さらに自分のフィールドにコアが8個以上あればこのスピリットを召喚できる!」

 

風の覇王のカードから風が放たれ、その風によりツンドッグゴレムは座り込み、ラザルスは片膝を突き、二体とも疲労してしまい、さらにコアが8個以上あるため、ドルクス・ウシワカの召喚条件を満たしている。

 

「疾風(シップウ)となりし覇王(ヒーロー)よ、全てを薙ぎ払う嵐となれ!緑の覇王(ヒーロー)Xレア、風の覇王ドルクス・ウシワカをレベル3で召喚!」

 

突如フィールドの中央に旋風が巻き起こり、その中心にあるエメラルドが砕けると、そこから風の覇王ドルクス・ウシワカが姿を現し、そして旋風を振り払い、ゆっくりと地面に降り立つ。

 

「サイゴードゴレムは風の覇王ドルクス・ウシワカでブロック!」

 

”ギャオオオオオォォォォォ────ッ!”

 

ドルクスは翼を羽ばたかせながら、向かって来るサイゴードを迎え撃つ。

両者のBPはどちらも10000。このままでは相討ちとなる。

 

「フラッシュタイミング!ハンドリバースを使用!フラッシュの効果で風の覇王ドルクス・ウシワカにBP+2000、不足コストはムシャメガから確保」

 

ムシャメガが消滅するも、風の覇王は緑のオーラを纏い、BP12000となる。

 

「これで風の覇王の勝ちです!」

 

「ふん、おめでたいね」

 

「えっ?」

 

「まさかマジックを持ってるのが自分だけだとでも?」

 

「!」

 

「こちらもフラッシュタイミング!爆砕轟神掌を使用!不足コストはラザルスとツンドッグゴレムをLv.1にして確保」

 

「そ、そんな……」

 

「勿論このマジックの効果、知ってるよね?このマジックの効果は自分のスピリット一体を回復。さらに回復させるスピリットをこのターン、レベルを一つ上の物とする。よってサイゴードゴレムはLv.3、BP13000となる!」

 

サイゴードゴレムの眼は輝きを増すと、Lv.3となり、そしてドルクスとサイゴードは互いに相手に突っ込んでいき、ドルクスは翼を、サイゴードは拳を突き出す。そして次の瞬間、互いに両者の攻撃が決まるも、勝負はBPの高い方が勝者、つまりバトルは言うまでもなくサイゴードゴレムの勝ちとなり、ドルクスは力が抜けたかのように、その場に倒れ込み、そして消滅する。

 

「ドルクス!!」

 

キースピリットであるドルクスの破壊は精神的に応える。咲にとって最もつらい瞬間と言ってもいい。

 

「まだまだだよ、回復しているサイゴードでもう一度アタック!アタック時【大粉砕】の効果発揮!今度はLv.3につき、15枚破棄!」

 

「!、うあっ!!」

 

またも青い波動が咲を襲い、残りのデッキを全て破棄し、さらにその中にバースト効果を持つ仁王壁のカードがあり、それによってまたもスピリットが一体破壊される。

 

「ハーキュリーを指定!そしてメインアタック!」

 

「マッハジーでブロック!」

 

サイゴードゴレムは両腕を突き出し、そしてロケットパンチとでも言うように、両腕は飛び出し、その二本の腕はマッハジーとハーキュリーの二体を捕え、二体は爆発を起こしながら破壊される。

 

「これでターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第8ターン。

 

続く咲のターンだが、デッキ枚数は0。

 

「……私の負けです」

 

デッキアウトによる負けが決まり、勝負が決する。

 

『デッキアウトーーッ!咲選手、神速で対抗するも、川村選手の粉砕、大粉砕を前に惜しくも破れてしまった。しかし熱いバトルを展開してくれた二人にぜひ拍手を!』

 

観客達は勝敗に関係なく咲と川村に惜しみない拍手を送る。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~~、勝てなかったな」

 

試合が終わり、別室で咲はすこし落ち込んでいる様子。

 

「咲、お疲れ」

 

「和人!?それにリクト君も!」

 

そんな時、ふと和人やリクトの姿を見て、咲は慌てていた。

 

「試合、惜しかったな」

 

「はは……やっぱりまだまだだったよ。ちょっとは勝てるか持って思ってたり」

 

苦笑いをしながら和人に言う。

 

「安心しろ咲!お前の分まで俺は絶対勝ち抜いてやる!!」

 

「……ありがとね」

 

和人の一言で、さっきまで落ち込んでいた咲だが、いつの間にか元気をもどしていく咲。そんな咲の様子を見て、和人もリクトも安心した様子。

 

『さぁいよいよ!最後の試合の抽選を発表!これに勝てば全国大会に出場だ!』

 

それを聞いてリクト達は視界を向け、その対戦枠を見る。色々と対戦枠が決められる中、リクトの対戦相手はダイキという男。そして和人の対戦相手は、川村劉だった。

 

「!」

 

「和人……」

 

「心配すんな、絶対勝ってお前の仇を打ってやる!そして全国大会に出場だ!」

 

4回戦の対戦相手、次の試合は川村と和人のバトル。絶対勝つという意気込みを決めながら、打倒川村に燃える和人だった。

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