バトルスピリッツ激震の勇者   作:ブラスト

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第12話『爆裂爆砕!激突vs粉砕!』

 

『さぁ泣いても笑っても!この4回戦を突破した者だけが全国大会に出場できる!それではまずは最初のバトルの対戦枠!来道リクト選手vs城島ダイキ選手』

 

バトルもクライマックスとなり、ついに4回戦。ここまでで勝ち残っているカードバトラーは来道リクト、川村劉、若槻和人等を含め、計6人。その内の三名だけが全国大会に出場が可能。だれが全国大会出場枠を決めるのか、観客全員とても楽しみな様子。そして最初の4回戦、第1試合のバトルがいよいよ始まろうとしていた。

 

「これに勝てば全国大会。必ず決めてやる」

 

『さぁリクト選手、気合は十分な様子。そしてそのリクト選手の対戦相手、城島ダイキ選手、カモーン!』

 

ギャラクシーが手を向け、その先には紫の髪が特徴的で、見た目的にリクト達と同じ年代ぐらいの男、彼こそリクトの対戦相手である城島ダイキ。

 

「4回戦、宜しく頼むぞ」

 

「……『星(スター)』の正位置」

 

ダイキは懐から突如、一枚のカードを取り出し、それを見てリクトは不思議に思う。

 

「タロットカードか?」

 

「よく知ってる。ちなみにこのカードの意味は「希望」だ。今からのバトル、俺に希望の目が開くことになる」

 

「それは楽しみだな。まぁそれが当たるかどうかはバトルですぐにわかるさ」

 

「ふん、来道リクト。精々いい試合を頼むぜ、あいつのためにな」

 

「?」

 

『両選手準備はいいか?それでは早速始めるぞ!』

 

「「ゲートオープン!解放!!」」

 

その言葉と共に、二人はバトルフィールドに戦いの場を移す。

 

 

 

 

 

 

 

 

”ドンドンッ!”

 

舞台は変わり、ある待合室で自分のデッキを見ながら考え込む和人。その部屋に、ノックする音が……。

 

「誰だ?悪いけど、今手が離せ────」

 

『私!咲だけど、和人!リクト君の試合見に行かないの!?』

 

「はい?」

 

その言葉を聞き、ふと時計に視界を向け……。

 

「やばい!!このままじゃリクトの試合見逃しちまう!!何でもっと早く教えてくれなかったんだよーーッ!!」

 

「いやさっきから部屋に閉じこもってたから」

 

すぐさまデッキを仕舞い、ドアをぶち破るような勢いで部屋を飛び出し、すぐさま会場へと急ぐ。

 

「ってか速!?私も行くから待って!!」

 

「うおおおおッ!」

 

駆け出し、ようやく会場の扉が見え始め、それを勢い良く開くと、思わず耳をふさぐような観客達の大歓声が飛び込んでくる。

 

「!?、まさかもう終わったのか?」

 

「はぁ、はぁ……落ち着いてよ和人。まだ試合は続いてるよ」

 

後から遅れてきた咲は、息を切らしながらモニターを示し和人に言う。

 

「!」

 

和人達が注目するモニターでは、壮絶なバトルが行われていた。リクトvsダイキのバトル。第10ターンを迎え、リクトのライフは5、ダイキのライフは2。そしてリクトの場にはザニーガン、ガドファントが一体ずつ。ネクサスは”無限なる機動母艦”が配置されている状態。一方相手の場には、ソードールが二体、そして魔界七将パンデミウムLv.3がいる状態。そしてリクトのターン、コアは9個、手札は3枚。

 

「メインステップ、俺も和人みたいにやってみるか」

 

「何か呼び出す気か?」

 

「あぁ。白銀の龍!月よりいでよ!!月光龍ストライクジークヴルムをLv.3で召喚!」

 

コア4個を置いて、カードを置くと、フィールドに月が現れ、そしてリクトの背後からストライクジークヴルムが姿を表す。

 

”ギャオオオオオオォォォォォ────ッ!”

 

咆哮を上げ、そしてそのままフィールドに降り立つ。

 

「月光龍か」

 

「さらにセイバーシャークをストライクジークヴルムに直接合体!」

 

ガドファント、ザニーガンから全てのコアを外して破壊する代わりにセイバーシャークを呼び出し、セイバーシャークは目を輝かせると、自らの形状を変化させ、それはストライクジークヴルムと合体し、合体スピリットは唸りを上げる。

 

「出たぜ!リクトのキースピリット!」

 

「これで決まったね!!」

 

モニターを見ている和人や咲達もさっきまで疲れていた事を忘れ、リクトのバトルにすっかり注目していた。

 

「アタックステップ!合体スピリット、行け!!」

 

「ブロックしても、ライフ削られんじゃ意味がねぇしな。しゃぁねぇし、ここはライフ」

 

ダイキの前に展開されるバリア。合体スピリットは咆哮を上げ、真っ向から突っ込み、粒子の刃をバリアに貫き、そのバリアを破壊し、ライフを砕く。そしてライフが砕かれた衝撃がダイキを襲うが、ダイキはそれに全く動じず、むしろ彼には笑みが浮かんでた。

 

「俺はこれでターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第11ターン。

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ」

コア11個→12個。手札4枚→5枚。

 

手札が増え、ダイキはその引いたカードに視界を向ける。そのカードは色とLv.1以外何も書かれていないあの謎のカードだった。

 

「(来道リクト、俺に言わせりゃかなり上物だが、これでお前は満足するか?)」

 

カードを見ながら、呟くダイキ。するとそれに反応するかのように、カードはうっすらと紫色に光り、そして今までLv.1以外書れていなかったカードが、名前、コスト、カード記述など、様々な物が浮き出てくる。

 

「(満足したようだな。やっぱり奴の目に狂いはなかったか)」

 

「?」

 

不敵な笑みを浮かべるダイキをリクトは見逃さなかった。

 

「メインステップは何もせず、アタックステップ」

 

「……合体スピリットLv.3の効果、パンデミウムに強制アタックさせる」

 

「しゃぁねぇな。パンデミウム行け」

 

ストライクジークヴルムから発せられた怪しげな光がパンデミウムを惑わし、それによりパンデミウムは強制的に攻撃を余儀なくされ、リクトへと向かう。

 

「合体スピリットは相手のアタックによって回復。そしてブロックだ」

 

さっきまで地面にもたれ込んでいたストライクジークヴルムは自身の効果で白いオーラを纏うと、再び立ち上がり、そしてパンデミウムを迎え撃ち、パンデミウムが振りかざした鎌を粒子の刃で迎え撃ち、そしてもう一刀の刃を振り下ろすと、パンデミウムを一刀両断し、破壊する。

 

「合体スピリットがブロック時に勝利したので、セイバーシャークの効果が発揮!相手ライフを一つ、リザーブに送る。これで決まりだ!」

 

パンデミウムを破壊するだけにとどまらず、合体スピリットは雷を放ち、展開されたバリアに直撃すると、残り一つのライフを砕き、勝負が決する。

 

『さぁ3回戦第1試合ついに決着!勝者は来道リクト選手!全国大会出場枠を一番できめたぞ!城島ダイキ選手、惜しくも敗れたが素晴らしいバトルだったぞ!』

 

「ダイキ、だったな?さっきの手札、何があったかは知らないが、充分勝敗に影響する一手だったんじゃないのか?」

 

リクトは試合を終えるなり、ダイキを睨み、さっきから彼の様子を不自然と感じたのか。リクトは率直な疑問をダイキに聞く。

 

「考えすぎさ。俺は手加減なんて一切してねぇ」

 

「…………」

 

「アンタがそれだけ実力者ってことだ。だからあいつも目覚めてくれた」

 

「何?」

 

「この勝負、やっぱり俺に希望の目が出たな。心から礼を言うぜ」

 

その言葉を最後にダイキはその場を立ち去っていった。

 

「(城島ダイキ……何を企んでいるんだ?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごかったぜ、リクトのバトル!!」

 

「うん。合体スピリットの猛攻。和人も頑張らくちゃね」

 

「おぉよ!絶対4回戦勝ち抜いて、全国大会出場してやるぜ」

 

『へぇ~、それは楽しみだね』

 

「!?」

 

さっきからの話を聞いてたのか、和人達のすぐ後ろから川村劉の姿が……!

 

「川村劉!」

 

「もう勝つ気でいるなんて、随分御目出度いね。はしゃぐのはいいけど、負けた時のショックは大きいよ?」

 

”カチーン”

 

「ふん、絶対お前何かに負けない!俺の相棒が勝利の道を切り開いてくれるぜ!」

 

少々怒りを感じながら、和人も負けじと言い返す。

 

「相棒、か。それならまた鉄の覇王の出番かな?」

 

「!」

 

「ふふっ、それじゃあ試合楽しみにしてるよ」

 

軽く笑いながら川村はその場を立ち去って行った。宣戦布告と言うような川村の態度に、和人はますます負ける訳にはいかなかった。

 

「あいつに勝つ!!絶対に!!」

 

「頑張ってよね。応援してるから」

 

「おぉ!」

 

『まもなく始まるぜ!』

 

『川村と和人のバトル、早速見に行こうぜ』

 

物販コーナーに居る子供達は、まもなく試合が始まるとみて、会場へと足を急がせている。

 

『随分注目されてるみたいだね』

 

「あっ、誰かと思えばチャンピオン」

 

『!?、知恵ちゃん!今の俺の名はアフローヌ!!ばらしたら変装してる意味がないだろ!』

 

「ごめんなさい。でも誰も聞いてる人いないでしょ?みんな試合場所へ向かってるし」

 

物販コーナーで話す村井知恵とアフローヌ(薬師寺アラタ)。

 

「それよりさっき『随分注目されてる』って言ってましたけど、やっぱ和人君の事ですか?」

 

「まーね。川村劉に若槻和人、中々面白いカードバトラーだしね」

 

「いつか彼らみたいな子が、あなたを超えちゃったりするんですよね」

 

「おいおい、俺だってまだまだ現役。そう簡単に超えさせないさ」

 

「大人げな」

 

「酷ッ!ってかそう言うとこは相変わらずミカたんと変わらねぇな」

 

「まぁ中学時代はミカさんと似た者同士って良く周りから言われてたから」

 

「……ともかく!和人vs川村の試合、もうまもなくだな」

 

「ですね」

 

そんな事を言いながら、二人も和人達の試合を楽しみと言った様子でモニターを見る。一方会場でも、試合準備が整い観客が集まる中、川村と和人も既に台に立っていた。

 

『それでは両者準備いいか?ゲートオープン!』

 

「「解放!」」

 

その言葉と共に、二人はその場から消え、バトルフィールドに移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いよいよお前と勝負できるぜ、川村」

 

「……」

 

「リクトとの勝負を見てた時から、俺、お前と戦ってみたいと思った。だからこの大会でお前と戦えるなんて本当にうれしい」

 

「戦ってみたいと思ってたのはこっちも同じ。今まで君の噂を聞いてたけど、ここまで勝ち上がっただけに生半可な実力じゃない事はよく分かる。だからこそこのバトル、楽しませてもらうよ」

 

「あぁ!でも勝つのは俺だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第1ターン。

 

「スタートステップ!ドローステップ!」

 

和人先行から始まり、手札は5枚に増える。

 

「行くぜメインステップ!ヴェロキハルパー、続けてディノニクソーを召喚してターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第2ターン。

 

「スタートステップ、コアステップ、ドローステップ」

 

コア4個→5個。

 

「メインステップ、柱岩の海上都市を配置。続けてランマーゴレムを召喚」

 

川村の場にネクサス柱岩の海上都市が配置され、フィールドにランマーゴレムが出現する。

 

「ターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第3ターン。

 

コア4個→5個。手札3枚→4枚。

 

「メインステップ!レイニードルを召喚!さらにヴェロキハルパーをレベル2にアップ!」

 

レイニードルが出現し、ヴェロキハルパーをレベル2にアップさせ、力が上がったヴェロキハルパーは鳴き声を上げ、力強さをアピールするかのように爪を構える。

 

「さらにバーストセット!」

 

「バーストか」

 

「アタックステップ!ヴェロキハルパーとディノニクソーでアタックするぜ!」

 

「ライフで受ける」

 

ヴェロキハルパーとディノニクソーは川村に向かって駆け出していき、展開されるバリアにヴェロキハルパーは足の爪を連続で振り下ろし、ディノニクソーは火炎放射を放ち、それぞれ川村のライフを砕く。

 

”パリーンッ!”

 

「うぐッ!」

 

ライフ5→3。

 

「ヴェロキハルパーの効果で一枚ドロー。これでターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第4ターン。

 

「メインステップ!」

 

川村のターン。コア8個、手札4枚。

 

「まずはバーストセット。そしてカノンゴレムLv.2、リペアリングセーラスを召喚!」

 

青のサファイアが連続で出現しては砕け、そこからカノンゴレムとリペアリングセーラスが姿を現す。

 

「リペアリングセーラスでアタック!バーストセットしているのでコアを一個このスピリットに置く。さらに相手デッキを一枚破棄」

 

「ぐっ!」

 

デッキから一枚破棄され、さらにリペアリングセーラスは自動的にレベルアップするとそのまま和人に向かって駆け出していく。

 

「ライフで受ける!」

 

それに対し和人はライフで受け、リペアリングセーラスのドリルが和人の前に展開されるバリアに突き刺さり、ライフが砕かれるも、和人はあの宣言をする。

 

「来たぜ!バースト発動!」

 

「!」

 

「マジック、三札之術!!バースト効果でBP4000以下のリペアリングセーラスを破壊。さらにコストをヴェロキハルパーから確保してメインの効果、デッキから二枚ドロー、その後三枚目をオープンし、赤のスピリットカードなら手札に!」

 

リペアリングセーラスは炎に包まれて消滅し、その後ヴェロキハルパーをLv.1にダウンさせて、デッキから二枚のカードを引き、三枚目をオープン。そのカードは激神皇カタストロフドラゴンのため、問題なく手札に加えられる。

 

「よっしゃ来たぜ!!」

 

「浮かれてる場合?まだこちらのターン、カノンゴレムでアタック。アタック時【粉砕】の効果でデッキから2枚、さらに相手のコスト1のスピリット全てを破壊!」

 

「!?」

 

デッキから二枚破棄された後、カノンゴレムの銃口から放たれた砲撃により、和人の場に居るレイニードル、ヴェロキハルパー、ディノニクソーを全て破壊するだけに終わらず、ライフを砕く。

 

「ぐっ!」

 

残りライフ3。

 

「これでターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第5ターン。

 

「さて、スピリットもネクサスもなし。随分そっちのフィールドは寂しいね」

 

「うるせぇ!まだまだこれからだ!スタートステップ!!」

 

和人のターン、コアステップとドローステップを行い、コアは8個。手札は7枚。

 

「ネクサス、焔竜の城塞都市を配置。ゴラドン、戦斧のアポロディノスを召喚。不足コストはゴラドンから確保」

 

ゴラドンを破壊し、代わりにアポロディノスが出現する。

 

「バーストセット!俺はこれでターンエンド!」

 

「(アポロディノス……随分分かりやすい戦略だね)」

 

クスクスッと笑いながら、川村は和人のフィールドを見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

────第6ターン。

 

「(バーストが何かはともかく、戦斧のアポロディノスが居ると言う事は、勿論……なら、今からこっちの思い通りに動いてくれれば、勝利は決まったものだね)」

 

川村のターン、コア10個、手札3枚。

 

「メインステップ、バーストセット!」

 

「!?」

 

「さらにマジック、ストロングドローを二枚使用。効果で3枚ドローし、2枚破棄」

 

計6枚のカードをドローし、川村はそこから4枚のカードを破棄。

 

「カノンゴレムをレベル3に、ランマーゴレムをレベル2にそれぞれアップ」

 

ランマーゴレムとカノンゴレムはレベルアップし、BPが上昇する。

 

「アタックステップ!ランマーゴレムでアタック!」

 

「ライフで受ける!」

 

ランマーゴレムはピョンピョンと跳ねながら、展開されるバリアをプレスするかのように連続で踏みつける。

 

「へっ!……ライフ減少時でバースト発動!!」

 

残りライフ2になるも、ライフの減少がトリガーとなり、伏せていたカードがオープンし、そのバーストカードが和人の手に収まる。

 

「覇王爆炎撃!バースト効果によりBP4000以下のランマーゴレムを破壊だ!」

 

足元に吹きあがった炎がランマーゴレムを焼き尽くし、破壊する。

 

「三札之術同様、ライフ減少時のバースト。結構やるね」

 

「へへっ!まぁな」

 

「でもそれを言うなら、使うタイミング。大幅に間違ってるけどね」

 

「何!?」

 

「ふん、このバトルが終わったらたっぷり反省会でもやる事だね。ターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第7ターン。

 

「一々腹が立つ野郎だぜ……尚更負けてらんねぇ。スタートステップ!」

メインステップまでの準備を進め、和人のコアは10個、手札は5枚。

 

「…………」

 

5枚の手札を見ながら考え込む和人。手札にあるカードは手札にあるのは、グレートリンク、ディノニクソー、ロクケラトプス、カタストロフドラゴン、暴双龍ディラノス。コアも手札も揃い、本来ならここでキースピリットを呼び出したい筈。しかし和人にとって、どういう戦略で行くべきかを悩ませる物が、川村の場にあった。

 

「(カタストロフ、呼び出したいけど……)」

 

「和人、何を悩んでるんだろう?」

 

「さぁな。でも、和人の戦略が勝敗を大きく左右する事になりそうだぜ?」

 

モニターの和人の様子を咲もリクトも、不思議に思っている様子。

 

「(川村が伏せているあのバースト、あれは恐らくサイゴードゴレム。だとしたら俺のカタストロフの召喚時効果を逆に利用される。だとしたら、こいつをアタッカーに!)」

 

和人はカタストロフを視界から外し、その隣に居るディラノスに視界を向ける。

 

「メインステップ!古代の龍現れよ!荒々しき恐竜、暴双龍ディラノスを召喚!」

 

今までよりはるかに大きいルビーが出現と共に砕けると、突如地面から火柱が上がり、そこから暴走龍ディラノスが姿を現し、出現と共に咆哮を上げる。

 

「暴双龍ディラノスか」

 

「まだまだ行くぜ!ロクケラトプス、ディノニクソーを召喚!さらに暴双龍ディラノスをレベル2にアップして、アタックステップ!」

 

「…………」

 

「暴双龍ディラノスでアタック!」

 

「カノンゴレムでブロック」

 

暴双龍は大地を揺らしながら、川村へと駆け出し、その行く手をカノンゴレムが塞ぐ。

 

「フラッシュタイミングでグレートリンク!トラッシュにあるコアすべて、ディラノスに置くぜ!」

 

ディラノスとカノンゴレムが激突する直前、グレートリンクの効果でトラッシュにあるコア5個がディラノスに置かれ、これによりディラノスはBP5000から9000へと一気に跳ね上がり、さらに特殊効果で自身にBPを1000プラスさせ、1万となったディラノスはカノンゴレムを簡単に粉砕し、破壊する。

 

「ネクサスの効果で1枚ドロー。さらにロクケラトプスでアタック!ディラノスの効果発動、ロクケラトプスに【覚醒】を与え、コア2個をディラノスからロクケラトプスに移動で、Lv.3だ!」

 

「ライフで受ける」

 

ディラノスの効果は味方の系統:地龍を持つスピリットにも影響する。覚醒を得たロクケラトプスはレベル3となり、さらにBPも5000となって、より威力を増したロクケラトプスの突進が川村を襲う。

 

「ぐっ!」

 

展開されるバリアは簡単に破壊され、後ろに跳ね飛ばされそうになりながらも、何とか川村はその衝撃を耐える。

 

「もう一丁行くぜ!ディノニクソーでアタック!!フラッシュ【覚醒】!」

 

ディラノスの咆哮がディノニクソーに力を与え、ロクケラトプスからコア2個をディノニクソーに移動させ、Lv.2となり、BPも5000となる。

 

「ライフで受ける」

 

ディノニクソーの渾身の突進が展開されるバリアに炸裂し、かなりの威力なのか、川村は思わず表情を歪ませる。

 

「後はアポロディノスでアタックすれば────」

 

「……ねぇ、一つ聞いて言い?」

 

「何だよ突然?」

 

「カタストロフじゃなく、何でディラノスをアタッカーに?」

 

「『何で』って、そのバーストがサイゴードゴレムだからだろ。俺がカタストロフ召喚したら、それを逆手に取られる」

 

「……やっぱりね」

 

それを聞くと川村は笑みを浮かべる。

 

「えっ?」

 

「礼を言うよ。こっちの思い通りに動いてくれて!」

 

「!?」

 

そして川村は、和人が全く予想していなかったあの言葉を口にする。

 

「バースト発動!」

 

「!」

 

「マジック!雷神轟招来!!」

 

オープンされ、川村の手に収まったマジックのバースト効果が発動する。

 

「嘘だろ!?」

 

「ふっ、このマジックの効果はコスト1~4を指定し、指定したスピリット全てを破壊。コストは1を指定。さらにコストを支払ってフラッシュの効果を使用。コスト5以下のアポロディノスを破壊」

 

フィールドに落雷が放たれ、その落雷はロクケラトプス、ディノニクソー、さらにアポロディノスに直撃し、三体は爆発を起こし、破壊される。

 

「何ィッ!?」

 

「これでそっちのフィールドには疲労してるディラノスが一体だけ」

 

「うぐっ……ターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第8ターン。

 

コア13個。手札は4枚。

 

「メインステップ、ライノセーラス、コジロンドゴレムを召喚」

 

青いサファイアが砕け、一体はリペアリングセーラスに似たスピリット、ライノセーラス。もう一体は刀を背負い、剣士のような姿のスピリット、コジロンドゴレムの二体が現れる。

 

「アタックステップ、ライノセーラスでアタック」

 

「ぐっ……ライフで受ける!!」

 

ライノセーラスより強靭なドリルが展開されるバリアへと突き刺さる。

 

「ぐあっ!!」

 

残りライフ1。

 

「ねぇ6ターン目で言った事、覚えてる?」

 

「?」

 

「覇王爆炎撃を使った時、『使うタイミングを間違えてる』って言ったよね?」

 

「それがどうした?」

 

「まだ気づかない?このターン、もし覇王爆炎撃をこのターンまで残し、さっきのライフ減少時で発動させたなら、こっちのフィールドを一掃できるって事」

 

「しまっ!!」

 

「精々反省する事だね。コジロンドゴレムで、ラストアタック!」

 

「うぐっ……ライフで受ける!!」

 

カウンターを打てる手札はなく、ライフで受けるしかない。そしてコジロンドは一気に接近すると、刀を抜き、そして展開されるバリアに振り下ろす。

 

「ぐああああああッ!!」

 

残りライフは0となり、決着となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

『凄まじいバトルを展開し、見事全国大会出場を制したのは川村劉選手だ!』

 

”わあああああッ!”

 

白熱するバトルも決着となり、観客達はとても盛り上がっていた。

 

「うぐっ……」

 

「思った通りだね。三回戦の時と言い、そっちはサイゴ―ドゴレムに警戒していた。でもそれに警戒すぎるあまりの敗因。まだまだ君は甘ちゃんだね」

「その言い方……最初から俺がカタストロフを出さないって分かってたのか?」

 

「勿論。全てこっちの思い通りのプレイングをしてくれた。ただそれだけ」

 

そんな事を言いながら、川村はその場を立ち去っていく。

 

「和人、大丈夫?」

 

「ん?」

 

試合後、外のベンチで座り込んでいる和人の前にリクトや咲の姿が……。

 

「大丈夫って何が?」

 

「いや、落ち込んでるかななんて思って」

 

「落ち込んだって仕方ないだろ?今回は、運がなかっただけだ」

 

「……カタストロフを引けてたのに?」

 

「うっ!」

 

咲に痛いところを突かれ、思わず言葉を詰まらせる。

 

「和人、お前7ターン目の時、何を悩んでたんだ?」

 

「あの時、俺……カタストロフとディラノス、どっちをアタッカーにするか悩んでて」

 

「なるほど。サイゴードを警戒するあまり、ディラノスをアタッカーに選んだ。そうだろ?」

 

リクトの言葉に和人は頷く。

 

「確かに警戒は必要。だが、必要以上の警戒は時としてプレイヤーの勇気を失くす」

 

「!」

 

「川村の言うとおり、お前はまだまだ甘い。お前自身もっともっと成長する必要がある。お前がカードに応えてやらなきゃならねぇ」

 

「……」

 

リクトの言葉を聞き、和人はデッキからカタストロフのカードを取り出し、じっと見つめる。

 

「ごめんなカタストロフ。まだまだ俺が未熟なばっかりに負けちまって」

 

それだけ言った後、カタストロフを再びデッキに仕舞い、何かを決意するかのように真剣な顔つきとなる。

 

「俺もっと強くなる!このままじゃ俺のカード達に応えられない。もっともっと強くなって!絶対俺のカード達に応えて見せる」

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの子たちがどこまで強くなるのか、ほんとに楽しみだぜ』

 

物陰から、和人達の様子を聞いている薬師寺アラタ(今はアフローヌではなく、チャンピオンの服装)はそう呟く。

 

「あの子たちがどこまで強くなるのか、お前も楽しみだろ?相棒!」

 

ジークヤマトフリードのカードを持ち、笑いながらそう言った。

 

「知恵ちゃんはあの子たちの事、どう思って────!?」

 

隣を向いて言うが、さっきまで一緒に居たと思っていた筈の知恵がいつの間にか消えており、動揺するアラタ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

舞台は変わり、ある大広間のような場所で水を飲みながら一息ついている様子の川村。バトルで受けた衝撃がよほどのものだったのか、少々疲れきっている様子。

 

『お疲れ様。川村君』

 

「!?」

 

その時、後ろから聞こえる突然の声。それに驚いたのか、川村は慌てて振りかえるが……。

 

“パサッ!”

 

「!」

 

川村がずっと付けていたあの帽子は、浅く被っていた為なのか、振り返る拍子に帽子が床に落ちる。

 

「!、川村……君?」

 

「ち、知恵さん。ど、どうして?」

 

振り返った先にいたのは知恵だが、二人共動揺している。川村が動揺している理由は自分が肌身離さず付けていた帽子が取れてしまった事。そして知恵が動揺する理由、それは今まで帽子のせいで気付けなかったのだが、帽子を外した川村の顔が、まるで女の子……いや完全に女の子の顔と言ってよかった。

 

「ちょ、ちょっと勝利のお祝いに来ただけなんだけど、タイミングが悪かったかな?」

 

今まで気付かなかっただけに、知恵の動揺は大きい。もし和人達がこれを知ったら知恵以上のリアクションを取るだろう。

 

「あ、あの知恵さん……よかったらこの事、秘密にしといてもらえますか?」

 

よほど恥ずかしいのか、知恵と目線を合わす事無く、川村は帽子を回収すると、それを深く被って赤く染まる表情を必死に隠す。

 

「う、うん。でも何で女の子だって隠してたの?」

 

「別に隠してるわけじゃないんですけど、なるべく……男らしくしていたいんです」

 

「どういう?」

 

「弱い……なんて、思われたくないから」

 

「えっ?」

 

「こ、これ以上はいいでしょ……これで失礼します」

 

表情を隠すように帽子を下げ、声もさっきより小さく、よほど恥ずかしいのだろう。結局知恵と一度も目線を合わせる事もないまま、逃げるようにその場を立ち去る。

 

「(……川村君、一体何が」」

 

疑問を感じつつも、その場に留まるわけにはいかず、知恵もその場を立ち去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと目覚めたぜ。お前から託されたこのカード」

 

「やはり来道リクトは当たりだったようだな」

 

人気がいなくなった後、そこで話し込むダイキとフードに身を包んだ謎の人物。

 

「後は奴にも渡すんだろ?このカードを」

 

「まぁな。それともう一人適合者もいる」

 

今度はLv.1と青の色しか書かれていない謎のカードをダイキに渡す。

 

「気を見てそれぞれの人物に渡せ」

 

「それはいいが、あと3枚は誰に渡すんだ?」

 

「すぐに見つかるさ。この羅針盤が教えてくれる」

 

「はっ、なるほどな」

 

まったく内容が読み込めない二人の会話。しかし二人は会話を終えると、身を隠すようにその場から立ち去って行った。これが和人達を巻き込む異変になることなど、誰も知るはずがない。そしていよいよ彼等による物語は動き出そうとしていた。

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