バトルスピリッツ激震の勇者   作:ブラスト

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どうも皆様、ブラストでございます。
今回は第18話を公開したいと思います。今回の話は、タイトルの通り最新弾で登場したあのスピリットと【烈神速】でお馴染あのスピリットが激突。ぜひ今回も見ていただければ幸いです。


第18話『烈の覇王vs蒼穹の覇王』

「いらっしゃーい!」

 

今日もまた一段と客足の多いバトスピショップ。店内では既に来店したカードバトラー達の活気でガヤガヤ、と賑い、店長である知恵は客足の多さを嬉しさ感じながらせっせと客の対応に専念している。

 

「知恵さん、おはよう!」

 

扉の開く音と共に入店する和人。後から遅れて息を切らしながら咲も到着し、走ってきたのだろうか少々息を切らしている。

 

「和人ちょっと待ってくれたっていいでしょ、まぁいつもの事だけど」

 

「だってゆっくりしてられないからな。まぁそれより知恵さん、最新パックまだ販売してる?」

 

「えぇ、まだあるわよ。和人君達の事だから勿論購入するんでしょ?」

 

発売されたばかりの最新パック。それを目当てに来店する客も多く、和人達もまた、新しいカードを手に入れるため早速適当にパックを買うと、手に入れたカードを確認していく。

 

「どうだった、咲?」

 

「う~ん、あまりに緑デッキにあいそうなカードは来なかったかな」

 

「俺も……にしてもリクトはどうしたんだろう?パック買いに来ると思ってたのに」

 

「リクト君、何か朝から用事あるって言ってたらしいよ?」

 

「へぇ~、あいつが用事あるなんて珍しいな。まぁそれはともかく!早速フリーバトルでもやるか、新しい相棒と一緒に経験値積まないと!」

 

「和人ちょっと待──」

 

いつもの様に思い立ったらすぐ行動に移す和人が咲の話を聞く訳も無く、そのまま対戦相手を探すため移動し、その中で川村の姿が……。

 

「おっす!川村!」

 

「何だ和人か?そっちの事だから来るとは思ってたけど」

 

「まぁな。それより川村、もう帽子外したんだ?」

 

「……もう光とも和解したし、自分を隠す必要が無くなったからね」

 

弱い自分を変えるために帽子を付けて川村劉と名乗っていたが、もう今の彼女にとって川村劉としての自分は既にその役目を終え、長めの青髪を露わにしている。

 

「ふ~ん」

 

「何?何か言いたそうだね?」

 

「いや、帽子外したら川村って普通にかわいいなって思ってさ」

 

「!……か、可愛いなんて言うな、この変態!!」

 

「褒めただけで何で変態なんだよ!?」

 

「うるさい、問答無用!」

 

感じた事をそのまま伝えた和人の不用意な発言がトリガーを引き、顔を赤くしている川村に怒られ、言うまでも無く痛い目を見る羽目に……。

 

「痛てて……まったく、本気で殴ることねぇだろ?」

 

「ふん、私は悪くないからね」

 

「ったく、何処のツンデレだよ?」

 

「また殴られたい?」

 

「……まぁ、んな事より!今空いてるなら俺とバトルしようぜ?」

 

「話逸らしたね。っていうか、バトルなら前にやったばかりだろ?」

 

「いいじゃねぇか。お前みたいな強い奴となら何度でもバトルしたいんだよ。それに新しい相棒、ジークヤマトフリードともっと実戦重ねたいし」

 

「ふぅ~、まぁいいよ。この前の借りは返しておきたいしね」

 

「サンキュー、じゃぁ今度も手加減しないぜ!」

 

バトルを開始した二人。いつもの調子の和人を見ながら「相変わらず」と呟くと、咲もまた自分のデッキを試すためフリーバトルを開始する。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!いらっしゃーい。ってあなた確か?」

 

しばらくしてドアの開く音と共にまた一人入店する来客、だがその客には少し見覚えがある様子で……。

 

「どうも久しぶりです。それより和人の奴、今ここに居ますか?」

 

「えぇ、和人君なら今フリーバトル中よ?」

 

「それだけ聞けりゃ十分です!」

 

和人達と同年代程の少年、覚えている読者もいるだろうか?彼の名は門倉正樹。キースピリットであるマンティクスマサムネを使い、和人と戦ったカードバトラーの一人。今回彼が来た用事は大方、前に敗北を味わった和人に対してのリベンジと言った所だろう……。

 

「おーい和人!久々やの!!」

 

「うん?おぉ、正樹!久々じゃんか」

 

正樹が来た事に気付いた様子で、和人も嬉しそうに返事を返すが、まだバトル最中のため、すぐさままたバトルの方に視界を戻す。

 

「おいおい、ワイが久々に来たのに挨拶はそれだけか!?」

 

「ごめん今バトル中、これ終わったら用事言って」

 

「お前フィールドの状況見た感じ絶対今試合始めたとこやろ?」

 

「…………」

 

「お~い和人、聞いとんのか?」

 

「あの正樹さんだっけ?和人バトルに集中すると周りを見ないからしばらくこの状態続くと思うよ?」

 

正樹の様子を見かねたのか、横から咲が口添えすると、苛立ち気味に舌打ちをするが何か思いついたように手を叩く。

 

「それなら木野咲やったっけか?ワイと一勝負やろうやないかい?」

 

「私?まぁ私でよければやるけど……」

 

「しゃぁ!決まった!ほんまは和人で試したかったけど、ワイの新しいキースピリットの初陣に申し分のない相手や!」

 

「まぁ私も今回試したいキースピリットがいるし、ぜひよろしくね」

 

「ならさっさとバトルフィールドで対戦するで!」

 

「あっ!ちょっと────はぁ、前にも思ったけど、やっぱり正樹さんって和人と似た者同士何だよね……」

 

若干呆れたように溜息を零すも、即座にバトルフィールドへと移動し、いつものように専用の台座へと上がり、互いに相手を見ながらいつものコールを口にする。

 

「「ゲートオープン!界放!」」

 

光と共に真っ白となる視界の中、いつの間にか二人の舞台はバトルフィールドへと移る。

 

 

 

 

 

 

 

 

────第1ターン、咲side。

 

「スタートステップ!」

 

[Reserve]コア4個

[Hand]4枚→5枚。

 

「メインステップ!賢者の樹の実を配置、そしてバーストセット。ターンエンド」

 

咲の先行から始められた試合。手札のネクサスカードをフィールドに配置すると大きな大木が背後に突如として出現し、バーストをセットしてターンエンド。

 

 

 

 

 

 

 

 

────第2ターン、正樹side。

 

[Reserve]コア4個→5個。

[Hand]4枚→5枚。

 

「賢者の樹の実、なんやそっちもワイと同じ戦略かいな?」

 

「えっ?」

 

「すぐに分かるわ、メインステップ!バーストセット。さらにスペアミンク召喚!そしてネクサス、聖者の樹の実配置!」

 

フィールドに現れる二つのエメラルド。一つ目は砕けたエメラルドから出現したる小動物の様なスピリット、スペアミンク。もう一つのエメラルドからは咲と同じように出現する一本の大木、しかしそれは賢者の樹の実のような緑色ではなく赤く染まった大木。そのネクサスの出現が何を意味するのか、同じ目的を考えている咲には簡単に理解できた。

 

「(緑属性のコアブースト狙い)」

 

「アタックステップ!スペアミンクでアタック!」

 

「ライフで受ける!」

 

小さいながらもフィールドを懸命に駆けていき、小型で可愛らしい外見とは裏腹に剣の様に鋭く帯びた尾を咲の前に現れたバリアに叩き付け、ライフを砕く。

 

[Life]5→4。

 

「ッ!……でもライフ減少時で賢者の樹の実の効果発揮、ボイドからコアを一個自分のリザーブに置く」

 

「へっ、ターンエンドや」

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ~、正樹と咲、バトルしてんだ?」

 

一足先にバトルを終えたのか、和人と川村は休憩がてら不意にモニターを視界に移すとバトル最中の咲と正樹の姿が見え、それの見学をしている。

 

「正樹って確か前に君が戦ってた相手だよね?」

 

「あぁ、にしてもあいつ前に俺と再戦するとか言っときながら、何で俺より咲とバトルしてんだよ?」

 

「はぁ?あの人アンタに声掛けてたでしょ?」

 

「さぁ?挨拶交わしたのは覚えてるけど……」

 

「和人ほんとにバトル中だと周り見ないよね?私もバトルに集中する事あっても周りの状況は見れるよ?」

 

「その言い方だと俺がまるで周りを見てないみたいじゃないかよ!」

 

「まるでじゃなくて、はっきりそう言ったんだよ」

 

相変わらずの和人に呆れつつも、二人はまたモニターへと視界を戻す。

 

 

 

 

────第3ターン、咲side。

 

[Reserve]コア6個→7個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]賢者の樹の実Lv.1(0)。

 

「メインステップ!タマムッシュをLv.2で召喚」

 

エメラルドの砕けと共に出現するわ、昆虫を模したスピリット、タマムッシュ。その出現と共に目を輝かせ、全身に緑のオーラを纏う。

 

「召喚時効果発揮。このスピリットと同じLvの数をこのスピリットの上に置き、そのタマムッシュをLv.1にダウンさせて、カチュウムシを召喚。そしてアタックステップ!」

 

「来るなら来いや!」

 

「カッチュウムシ、タマムッシュでそれぞれアタック!」

 

「ライフで受ける!」

 

二体の昆虫による突進が目の前のバリアに直撃、ライフが連続して砕け散る痛みに後退しながらも、何でも無いかのように笑みを浮かべる。

 

「ぐぅッ!……でも聖者の樹の実の効果発揮でコアを増やさせてもらうで?」

 

[Life]5→3。

 

「……ターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第4ターン、正樹side。

 

[Reserve]8個→9個。

[Hand]2枚→3枚。

[Field]聖者の樹の実Lv.1(0)、スペアミンクLv.1(1)。

 

「行くぜワイのターン、ブフモット召喚。さらに!」

 

フィールドにスペアミンクと同じくまたも小動物を模したブフモットの出現後、手札の一枚に手を駆け、間違い無くそれが並みのスピリットで無い事を咲に予感させている。

 

「(来るッ!)」

 

「無双の剣操る白狐、荒々しき風を纏いて来やがれ!剣皇獣ビャクガロウ、召喚!」

 

大型のエメラルドから次々と飛び出す無数の剣、完全にエメラルドが砕ける共に怪しく光る眼光、剣皇獣がその姿を現し、無数の刃の先を敵に向ける。

 

「それが、正樹の言ってた新しいキースピリット!」

 

「フッ、さぁそれはどうやろな?アタックステップ!ビャクガロウ、無数の剣で敵を斬り裂け!」

 

「フラッシュタイミングでマーバチョウを【神速】召喚!さらに召喚時効果発揮、お互いのアタックステップ中の召喚により、ボイドからコア一個リザーブに置く」

 

合図と共に尾に持つ剣を構えながら接近するも、その前方の突如として現れるマーバチョウ、タマムッシュと同様そのスピリットもまた出現と共に緑のオーラを纏い、リザーブにコアを齎す。

 

「せやけど、アタックは継続中やで!」

 

「攻撃はマーバチョウでブロック!」

 

「ブロックで【暴風】発動……ってそっちはスピリット疲労中やから意味無いんやけどな」

 

特定のスピリットが持つ【暴風】、ブロックした瞬間、指定された数だけ相手を疲労させる効果を持つが、正樹の言う通り相手のフィールドにはバトル中のマーバチョウを除いて全て疲労状態ではその暴風も意味が無い。継続中のバトルでは、自慢のスピードでビャクガロウを撹乱させようとするが、Xレア級のスピリットがそれ程の事に翻弄される訳も無く、マーバチョウの動きを一瞬で見切ると、尾の剣でマーバチョウを斬り裂き、ダンッ、と地面を踏むと、ビャクガロウの背後でマーバチョウが爆発が起こす。

 

「来た!相手による自分のスピリット破壊でバースト発動!」

 

「!」

 

沈黙を保っていたバーストカードが突如として発動し、咲の手に収まるカードは、キースピリットでもある風の覇王、そのバースト発動と共に緑の旋風を巻き起こさせる。

 

「バースト効果でスピリットを二体、ブフモットとスペアミンクを疲労、さらにフィールド、リザーブ、トラッシュのコア合計が8個以上ならこのスピリットを召喚!」

 

「そっちのキースピリットも来やがったか!」

 

「疾風となりし覇王よ、全てを薙ぎ払う嵐となれ!緑の覇王(ヒーロー)Xレア、風の覇王ドルクスウシワカをLv.2で召喚!

 

ブフモットとスペアミンクの周りに吹き荒れる風、二体はまるでその風に力を奪われた様に脱力すると、中央に巻き起こる旋風に突如として出現したる大型のエメラルド、それの砕けと共に風の覇王が姿を現し、身の回りの旋風を吹き払いながらその姿を現す。

 

「へっ、ターンエンドや」

 

 

 

 

 

 

 

 

フィールドに睨みあうビャクガロウとドルクス。双方のキースピリット出現は見ている観客を大いに歓声を上げ、モニターをしっかりと注目している。

 

「咲も正樹もすごいぜ、同じ緑使いでもやっぱり戦い方は全然違うんだな」

 

「そうだね、咲の方はマーバチョウやドルクスといったように【神速】をメインにした強襲性のデッキ。正樹って相手はビャクガロウのような【暴風】で相手の疲労を狙うような戦い方だね」

 

「って事はつまり?」

 

「勝敗は各々の戦い方で大きく左右される。そういう事だよ」

 

モニターの試合状況を冷静に解説する川村の言葉に、和人達はまたモニターに視界を戻すと、二人のバトルの行く末を見守る。

 

 

 

 

 

 

 

 

────第5ターン、咲side。

 

[Reserve]5個→6個。

[Hand]1枚→2枚。

[Field]賢者の樹の実Lv.1(0)、タマムッシュLv.1(1)、カッチュウムシLv.1(1)、風の覇王ドルクスウシワカLv.2(3)。

 

「メインステップ、風の覇王をLv.3アップ。そしてアタックステップ!風の覇王ドルクスウシワカでアタック!」

 

「……こっちもフラッシュ行ったろうやないかい!フラッシュタイミングでカラカロッサムを【神速】召喚!そしてブロックや!」

 

風の覇王に現れるエメラルドから飛び出すカラカロッサム。迫るドルクスの行く手を阻もうと懸命に飛びかかるが、迫るカラカロッサムをまるで赤子の手を捻るが如く翼を軽く羽ばたかせると、カラカロッサムを吹き飛ばし消滅させる。

 

「よっしゃ貰ったで!相手による自分のスピリット破壊でバースト発動!」

 

「!」

 

正樹の手に収まるバーストカードは、風の覇王と同じバースト条件を持ちながらにして、風の覇王と肩を並べる覇王Xレアの内の一体、蒼穹の覇王のカード。

 

「自分のライフが3以下ならこのスピリットの召喚が可能や!敵を射止める一撃必中の猛獣よ、今戦場を駆け廻れ!蒼穹の覇王カーンウルフ、召喚!!」

 

狼の様な咆哮がフィールドに轟くと、突如としてフィールドを駆け巡る一体獣、カーンウルフが出現し、今一度その咆哮を上げると、共鳴するかのようにビャクガロウも咆哮を上げる。

 

「召喚時効果発揮で「剣獣」を持つスピリットを一体、よってビャクガロウを回復!」

 

「バトル終了時効果で風の覇王を手札に戻してカチュウムシをBP+3000。これでターンエンド」

 

「やろうな、いくらBP増やしても、ビャクガロウとカーンウルフの壁は突破できへんからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

────第6ターン、正樹side。

 

[Reserve]6個→7個。

[Hand]0枚→1枚。

[Field]聖者の樹の実Lv.1(0)、スペアミンクLv.1(1)、ブフモットLv.1(1)、剣皇獣ビャクガロウLv.1(1)、蒼穹の覇王カーンウルフLv.1(1)。

 

「メインステップ!ビャクガロウをLv.2、カーンウルフをLv.3にしてアタックステップ!カーンウルフでアタック!」

 

「カッチュウムシでブロック!」

 

迫るカチュウムシ。対する蒼穹の覇王は背中に積んだボウガンの様な弦を命一杯引くと、それを射ると標的を外す事無く射止め、爆発を起こす。

 

「Lv.3、効果発動!このスピリットが相手のスピリットのみ破壊すれば、相手のライフを一つリザーブに置き、さらに回復や!」

 

爆風を斬って放たれるもう一本の矢、それが展開されるバリアを直撃。ライフが削られ痛みに顔を歪める。

 

「ッ!」

 

[Life]4→3。

 

「でも賢者の樹の実の効果でコアを一つ、リザーブに置きます」

 

「まだまだや!行くで、ブフモットでアタック!」

 

「フラッシュタイミングで風の覇王を【神速】召喚!そしてブロック!」

 

颯爽と出現すると共にドルクスは翼を羽ばたかせ強風を巻き起こし、巻き起こる強風に近づけずに吹き飛ばされブフモットは消滅してしまう。

 

「ブフモット破壊時効果発動!BP4000以下のスピリットを2体。よってタマムッシュを疲労や!」

 

「こちらもバトル終了時効果でドルクスを手札に戻します」

 

「こんなんで終わらへん!ビャクガロウ、次はお前の番や!」

 

「ライフで受けます!」

 

無数の刃が展開された光のバリアを切り刻んでいき、ライフが砕けた痛みが咲を襲う。

 

[Life]3→2。

 

「うっ!賢者の樹の実の効果で、コアを1つリザーブに」

 

「まだまだや、スペアミンク!アタック!!」

 

「フラッシュタイミングでもう一度、風の覇王を神速召喚!そして再度ブロック」

 

突如として中央に巻き起こる台風。成す術もなく台風に呑まれて吹き飛ばされスペアミンクが空中で消滅すると風の覇王が台風を吹き払って姿を現す。

 

「まだワイのアタックやで!蒼穹の覇王でアタック。フラッシュタイミングでタフネスリカバリーを使用!カーンウルフのBPを2000上げ、合計BPが10000以上なので回復!」

 

咲の場はもはや全て疲労状態。1度目、2度目のアタックで残りのライフがすべて吹き飛ぶ。仮にブロッカーを神速召喚した所で、カーンウルフのBPを上回っていなければLv.3効果でどの道ライフが削られる。

 

「終わりや、ワイの勝利を飾らしてもらうで!」

 

「……いいや、まだ勝負は分からないですよ!フラッシュタイミング!」

 

絶体絶命の状況の中でも笑って見せ、手札のある一枚に手を駆ける。

 

「!」

 

「烈の覇王セイリュービ、【烈神速】発動!」

 

「何やと!?」

 

【神速】を超える【烈神速】、その効果はトラッシュに合計コア5個以上あればこのスピリットを召喚できる驚異の能力。咲のトラッシュには風の覇王の召喚で使用したコア6個が……。

 

「つ、つまり……」

 

「【烈神速】の条件クリア!よって召喚可能。全てを超絶する最速の覇王(ヒーロー)!そのスピードを魅せつけろ、烈の覇王セイリュービLv.3で召喚!そしてブロック!」

 

突如として雷雲の立ち込める空模様、激しく鳴り響く雷鳴。その雷雲に向けて一つのエメラルドが撃ち上がる様に飛び、雷雲の中に姿を消すと、一体の龍、セイリュービが舞い降り、鳴り止まない雷鳴と共に大きく咆哮を上げる。

 

「れ、烈の覇王!?風の覇王だけじゃなかったんかいな……くそっ!カーンウルフ、そのまま突っ切れ!」

 

「セイリュービ!」

 

咲の声に頷いて見せると、そのままカーンウルフへと急降下。カーンウルフにしてもむざむざと獲物にやられる訳もなく、背中のボウガンでセイリュービを射抜いていくが、覇王屈指のスピードを誇るセイリュービにとって、カーンウルフが射る矢など低速のスローボール程にも感じられない。何発も射る矢をいとも簡単に避わしていくと、そのままカーンウルフを一閃。耐え切れずに爆発を起こす。

 

「た、ターンエンド」

 

手札も使い切り、文字通り万策尽きた正樹にこれ以上できることなど無く、拳を握り閉めつつもターンエンドのコールを宣言。

 

 

 

 

 

 

 

 

────第7ターン、咲side。

 

[Reserve]7個→8個。

[Hand]1枚→2枚。

[Field]賢者の樹の実Lv.1(0)、タマムッシュLv.1(1)、風の覇王ドルクスウシワカLv.1(1)、列の覇王セイリュービLv.3(6)。

 

「風の覇王をLv.3、賢者の樹の実をLv.2にアップ。そしてアタックステップ!タマムッシュでアタック!」

 

「ライフや!!」

 

甲羅の下の羽を羽ばたかせながら接近し突進するタマムッシュにライフを砕かれ、痛みに表情が歪む。ライフ減少で聖者の樹の実の効果が発動するが、今さらコアが増えた所で所詮何の意味も無い。

 

「風の覇王でアタック!」

 

「ライフ!」

 

セイリュービには若干劣るも、それでもかなりのスピードで正樹へと迫り強靭な二本の角を展開されるバリアへと突き刺し、タマムッシュとは比べられない痛みがプレイヤーを襲う。

 

「うぐぁっ……!」

 

[Life]2→1。

 

「これがラストです」

 

「来るなら来いや!素直にその攻撃受けたるわい!」

 

「なら、烈の覇王でラストアタック!」

 

「ライフやッ!!」

 

光のバリアを手に握る二本の双剣を交差させて斬り裂き、残り一つのライフを砕いて勝負に片を付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「正樹さん、いい試合でした。またお相手お願いしますね」

 

「ふん、当たり前や!必ずリベンジして今度こそ勝利したる。そのためにまた今日から特訓や!また強なって帰ってくるの楽しみにしとけ!」

 

負けた悔しさを晴らすため、リベンジすることを誓うと早々にその場を立ち去り、やっぱり和人と似た者同士、とまた咲は正樹の様子に笑ってしまう。

 

「バトルお疲れ様、すごかったぜ!咲!」

 

「あっ、和人。見ててくれたんだ。ありがとう、新キースピリットのセイリュービも出せて最高に楽しかった」

 

「へへ、でも今度は俺の相棒がセイリュービに挑むぜ」

 

「はは、和人らしい。勿論和人の事だから今すぐにでもバトルしたいんでしょ?」

 

「当然!早速バトルだぜ!」

 

「いいよ、受けて立つ!私のセイリュービに勝てるかな?」

 

「勝って見せるぜ!」

 

「(またやってる。正樹だけじゃなく、アンタも和人と似た者同士なんだよね)」

 

咲を見て不意にそんな事を呟きながら、川村も二人のバトルを楽しそうに見学し、バトスピショップの活気が止む事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

舞台は変わり、人気の少ない街外れに佇むリクトの姿が……。

 

『よぉ、やっぱ俺の招待状気に入って読んでくれたのかい?』

 

彼の背後から響く甲高い声、その声の主は前にチャンピオンシップでリクトと戦った城島ダイキの姿が……。

 

「俺の何の様だ?わざわざ手紙まで送りやがって」

 

リクトの手に持つ一枚の紙には「強さが欲しいなら明日ここに来い」という文字と、行先の地図を載せた手紙。まるでリクトの心を見透かしたような内容に腹を立てているのか、苛立ち気味に手紙を突き出すが、ダイキは顔色一つ変える事無く、ある一枚のカードをリクトに渡す。

 

「何だこのカードは?」

 

「力を手に入れるためのチケットみたいなもんさ、黙って受け取りな。それに、超えたいんだろう?川村と和人を、欲しいんだろう?二人を超える強さを」

 

「!、お前何言って」

 

「隠す事無いさ、初めてお前を見た時から何考えてるかなんて俺にはお見通しだからよ」

 

「その言い方はまるで、俺を見透かし様な口ぶりだな?」

 

「フッ、まぁ気を悪くしないで来いよ?いいもん見してやるから、こいつの初陣をな」

 

「!」

 

ヒラヒラッ、と仰ぐように持つ一枚のカード。効果の記述までは見えないも名前には「死神デュアルベルガス」と書かれ、これまで見た事無い様なスピリットカードだった。

 

「それは?」

 

「言ったろ、力を手に入れるためのチケットだって。とにかくお前は何一つ疑わず、黙ってついてくればいいんだよ」

 

「……」

 

今だ疑問は何一つ解消されていない。それでも彼の言葉に惹かれたのか、何も言わずどこかに歩き出すダイキの後を彼は付いて行った。




いかがでしたでしょうか?今回の話は?
久々に登場したモブキャラ、ではなく正樹と咲のバトル!

結果は見事咲の勝利。彼女の新たなキースピリット、セイリュービ。究極カードに指定された一枚ではありますが、その強力な効果はフィールドを制圧すること間違いなしです。


そして物語のラストで久々に登場した城島ダイキ。彼が持つ謎のカード、「死神デュアルベルガス」、次回その効果を公開!ぜひ次回も見てくだされば幸いです。
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