今回もデュアルベルガスに続き、新たなオリカが登場!
ぜひ見てくださるとうれしいです。
「最近、リクト全然顔見せなくなったな」
「ほんと、まぁでもリクト君も色々あるんだよ。そんな気にする事無いんじゃない?」
「気にするに決まってんだろ?幼い頃からあいつといたけど、こんなに顔見せない事なんて今までなかったじゃんか。喧嘩した訳でもないし、あいつに何かあったんじゃ」
「まだそう決めるには早いんじゃ……」
夕日暮れの空、路地をのんびりと歩く和人と咲。その帰り道でどこかさびしそうに会話を交わす二人。その理由は和人の言う通り、最近リクトとは顔を合わせていない事。2、3日程度ならまだそこまで心配するほどではないものの、これまでずっと顔を合わせてきただけに急に合わなくなった事には少々心配してしまい、咲も心配ないとは言うものの本心では彼女自身もまたリクトの心配をしている。
『何だ二人とも辛気臭い顔して?』
「「?」」
突然二人の肩にポンッ、と手が置かれたかと思うと振り返った先にはリクトの姿があり、動揺する二人の顔を余所に笑って見せる。
「お前……!?何で?いや、というか今まで何してたんだよ!?」
動揺しながらもなぜ今まで顔を見せなかったのか、これまで何があったのかを率直に尋ねるが、それにリクトは笑ったまま口を開いて続ける。
「別に気にする事じゃないさ、俺もここ最近は色々あったんでな」
「色々って何だよ?」
「別に何だっていい。今こうして顔を合わせてるんだ、これまでに何があったとかはどうでもいいだろう?」
「……」
「まぁ話を変えるが、明日俺と一勝負できないか?」
「勝負?何だよ突然?」
「何だ?俺が勝負の誘いをするのがそんなに変か?」
「いや、別に……ただお前から勝負の誘いだなんて珍しいからさ」
普段和人がリクトに勝負を頼む事はあっても、リクトの方から和人に勝負を誘う事はめったにない。何処となく今までと雰囲気の違うリクトを和人も咲も怪しく思う。
「……リクト、お前本当に何があったんだよ?」
「何でもないさ。強いて言うならカードバトラーとして必要な事。とでも言っとく」
「は?」
「まぁともかく明日の朝一番にショップで勝負だ。なるべく人気が多くない時に済ませたいからな」
「さっきからリクト、お前どうしたんだよ?何か今日変だぞ?」
「しつこいなぁ……俺は何ともない。まぁそれより明日の朝、待ってるからな」
和人の肩にポンッと手を置くと、そのまま歩きだし和人に背を向けて手軽く振るとその場を立ち去って行き、その後姿が見えなくな得るまで和人と咲はその場を棒立ちの状態だったが、リクトの姿が見えなくなる頃ようやく我に帰る。
「リクト、あいつ本当に何かあったんじゃ」
「確かに、いつもと様子がおかしかったね。でも結局どうするの?明日の試合」
「……一応試合、やる事はやるさ。バトルを通じて、何があったのか聞きだす!」
「本当にうまくいくの?」
「カードバトラー同士、フィールド内なら腹割って話しあえるさ」
「和人の事だからバトルに夢中で聞く事忘れるんじゃないの?」
「なっ!?それどういう意味だよ、咲!」
「別に……まぁそれより頑張ってよね。リクト君から勝負を申し込むって事は何か強力なデッキ編成が出来たかもしれないし」
「(……ただのデッキを試すための練習。どうもそれだけではないような)」
「和人、どうかした?」
「別に……まぁとにかく今日は遅いしもうさっさと帰ろうぜ?」
「うん」
『いよいよ明日だな。そいつの初戦?』
和人達と分かれて、路地裏に入るとまるで待っていたかのように壁に凭れるダイキの姿があり、リクトのデッキケースに入っているあの無名の白カードの事を差して言葉をつづけていく。
「若槻和人、あいつとの戦いできっと目覚めてくれるはずさ。眠れる獅子がな」
「和人とのバトルで、こいつが目覚めるという保証はあるのか?そもそも本当に貴様のデュアルベルガスの様に戦いでようやく目覚めると言うカードが存在するのか?」
「疑えば力は手に入らない。それはお前も言ってた筈だぜ?それにそいつが目覚める保証ならある、まぐれと言えどお前に勝ったカードバトラーなんだ。再戦し若槻和人ってのが強者だと感じれば、必ずそいつは目覚める」
「目覚めたこいつはどんな力を持つ?」
「それは俺にも分からない。一つだけ言えるのは手にした物を満足させる力を齎す。必ずな?」
「……明日には全て分かる事だ、今さら聞く必要もなかった」
「そういう事。試合頑張れよ?俺も見学ぐらいはさせてもらうよ」
「見ていろ、お前の望み通り俺は力を手にする」
決意するかのように力強く言い放つと、そのまま足を進めていき立ち去って行く彼の姿を見送りながら懐から一枚のカードを取り出す。
「『太陽』の正位置。リクト、力は必ずお前を祝福するぜ?」
狂気な笑みを浮かべ、暗闇の中へと歩き出し、影の中にその姿をくらませた。
*
翌朝になってまだバトスピショップが開いて間もない時間帯に入店する和人と咲。二人の前には待っていたであろうリクトの姿が……。
「来たか」
「当然。俺が勝負を放棄したりはしねぇからな」
「なら始めようか?」
「ったりめぇだ!前は聞きそびれたけど勝負ついでにお前に何があったか話してもらうぜ?」
「気が向いたら話してやるかもな、それでは行くぞ?」
「おぉ!」
「「ゲートオープン!界放!」」
転送台へと昇り言葉を発すると、二人の空間はバトルフィールドへと切り替わる。
「期待してるぜ?リクトよォ」
物陰から秘かに顔を出し、勝負の行く末を眺めるダイキ。だが試合がどうあれ、もはや彼にとって、自身が目論む企みが達成されるのはもはや必然である事を彼は確信していた。
*
勝負が始まると共にリクトの先行でスタートが切られ、開始早々バーストセットと同時にフクロウを模したかのようなスピリット、エゾノアウルLv.1の召喚でターンを終え、続く第2ターンではバーストセットと同時に頭部に日本刀を携えたスピリット、ワンケンゴーを呼び出す。
「アタックステップ!ワンケンゴーでアタック!バーストセット中、ワンケンゴーはLv.3として扱い、Lv.2、3効果!【激突】でエゾノアウルに強制ブロックだ!」
「エゾノアウルLv1、2、3共通の効果、バーストセット中のブロックでコアを一つ、ボイドからこのスピリットに追加でLv.2にアップ」
レベルアップしようとも所詮BPは4000。バトルでは両翼に搭載されたホイールを回転させて突風を巻き起こし、ワンケンゴーへと向けるが、身軽な見た目通り、軽々と突風を飛び越えエゾノアウルの頭上を取ると、そのまま落下と同時に頭部の刀をエゾノアウルに振り下ろし、地面に着地すると、ワンケンゴーの背後でエゾノアウルは爆散する。
「礼を言うぜ?破壊してくれて」
「!」
「スピリット破壊でバースト発動。シェリフイーグル!破壊されたエゾノアウルの系統は機獣、よって条件クリアで召喚だ」
静粛を破って発動されしバーストカード。発動条件満たし真上の雲を突き破って飛来する鳥、シェリフイーグルが大きく鳴き声を上げその姿を現す。
「ターンエンド」
*
────第3ターン、リクトside。
[Reserve]4個→5個。
[Hand]3枚→4枚。
[Field]シェリフイーグルLv.1(1)。
「メインステップ、バーストセット。さらにセイバーシャークを召喚!」
「いきなりブレイヴか!」
「セイバーシャークの召喚時効果でこのターン、俺のスピリット全てのブロック時効果をアタック時に発揮させる。そしてセイバーシャークをシェリフイーグルにブレイヴ」
サメを模したセイバーシャークが、自らの形状を変化させ三つのパーツに分離するとシェリフイーグルの翼に装着され、よりパワーを増した合体スピリットとなり、大きな声をフィールドに轟かせる。
「合体スピリットをLv.2に、そしてアタックステップ。合体スピリット、やれ」
「!」
「さらにセイバーシャークによりシェリフイーグルのブロック時効果、アタック時に発揮。このスピリットのアタック時、このスピリットのコアを一個トラッシュに置いて、相手のコア一つをリザーブに送る。ワンケンゴー、消えろ!」
翼羽ばたかせて迫り、片足に取り付けられた拳銃をワンケンゴーに向けて発砲。銃声と共に頭部の刀は砕かれ、維持コストを失ったワンケンゴーは消滅し、そのままがら空きと化したフィールドを駆け、和人へと迫り展開されるバリアに銃弾を撃ち込み、亀裂の入ったバリアをそのままセイバーシャークのパーツが生み出す粒子の刃が貫き、ライフを砕く。
「ぐっ!」
[Life]5→4。
ライフが砕ける痛み。合体スピリットによる攻撃は並みのスピリットと比較にならず、強烈な痛みがプレイヤーを襲い、壁に背が付くまで後ろに後退させられてしまう。しかしそれでも痛みに堪え、これぐらい何でもないとでも言いたげに笑って見せる。
「ライフ減少でバースト発動だぜ!」
リクトと同じように条件を満たして沈黙のバーストカードを発動させ、和人の手に収まるカードはロードドラゴン、否、オセアニアの地で進化を経たロードドラゴン・ドミニオン。
「ロードドラゴンドミニオン!Lv.2でバースト召喚だぜ!!」
和人の前方に突如として現れる影、真上にはロードドラゴンドミニオンの姿があり、強靭な拳を地面に叩きつけて着地し、大きく咆哮を上げる。
「召喚時効果発揮で手札のバーストカードをセット!そして一枚ドロー!」
「……俺はターンエンドだ」
「へっ!ここからドンドン行くぜ!」
*
────第4ターン、和人side。
[Reserve]3個→4個。
[Hand]3枚→4枚。
[Field]英雄皇ロードドラゴンドミニオンLv.2(3)。
「俺のターン、バーストセット!さらにネクサス、暗雲差す鬼々島をLv.2で配置!」
「……指定アタック狙いか?」
「アタックステップ!英雄皇ロードドラゴンドミニオン!合体スピリットに指定アタックだ!」
「相打ち狙い……いや、バースト狙いと言った方がいいか?」
「!」
和人が何を狙っているのか、それを見透かしたような発言には思わず動揺を隠しきれない。勝負では、合体スピリットの刃とドミニオンの拳が互いの相手に激突するとそのまま二体共爆発四散し、ブレイヴであるセイバーシャークは難を逃れ、爆風から生還する。
「スピリット破壊でバースト発動!双光気弾!効果によりデッキから二枚ドローするぜ」
「やっぱりな」
「!」
「手札増強と単調な攻め、お前の攻めはいつもワンパターンなんだよ!バースト発動!双光気弾!!」
「なっ!?」
同じバーストの同時発動。それに動揺を隠さずにはいられず、自分の手を完全に読んでいたリクトに思わずたじろいでしまう。
「まさか、赤のバーストまで入れてたのかよ」
「お前だけが強くなってるとでも?俺も変わってるんだよ」
「(さっきから何でだろう……あいつが強くなったのは嬉しい、嬉しい筈なのに……何で喜べないんだよ)」
*
「和人もリクト君も引けを取ってない、嫌、和人が少し押されてる。リクト君、いつの間にあんな強く」
「(リクトが少し押してる?へっ、何にも分かっちゃねぇんだな)」
物陰で咲の言葉を耳にし、ダイキは静かに呟くと取り出した一枚のタロットカード、
「(もうすぐだぜ、リクト。お前が望んでたち力を手に入れるのは)」
*
────第5ターン、リクトside。
[Reserve]5個→6個。
[Hand]4枚→5枚。
[Field]セイバーシャークLv.1(1)。
「メインステップ。要塞虫ラルバLv.2で召喚」
「緑のスピリット!?」
「あぁ、だがこいつともっとも相性がいいのは白だ。召喚時効果発揮、俺の白のスピリット二体の上にリザーブからコアを一個ずつ置き、Lv.2のラルバは白のスピリットとして扱われる!」
出現したエメラルド、砕け散ると共に姿を露わすは体を機械で構築された要塞虫、ラルバ。そのスピリットの出現はセイバーシャークと自らに緑の光を灯すと、コアを一個ずつ二体に齎す。
「さらにマジック、リバイブドローを使用」
「また赤のマジックか!」
「不足コストはラルバとセイバーシャークから確保し、セイバーシャークを破壊。そしてデッキから二枚ドロー」
加えた二枚の内の一枚、その一枚を見て思わず笑みを浮かべ、和人は勿論見逃す訳も無く、これまで以上に強い警戒心を抱かせる。
「(何だ?リクトの奴、一体何を引いたんだ?単なるフラグ?嫌、それともキースピリット?)」
「俺はターンエンドだ」
戦略の読めないリクトの笑みに、不気味な物を感じさせられ、思わず冷や汗がたらりと流れる。完全にリクトのペースで進んでいる試合の流れを変えるためにも、何とか落ち着きながら、キッ、と睨みつけるようにリクトを見る。
*
────第6ターン、和人side。
[Reserve]7個→8個。
[Hand]5枚→6枚。
[Field]暗雲差す鬼々島Lv.1(0)。
「(リクト、キーカード引いたのはお前だけじゃない。俺だって!相棒がいるんだぜ!)メインステップ!バーストセット!」
「……」
「さらにアシガリューをLv.1、ツインブレードドラゴンLv.2で召喚!」
フィールド中央に出現したる二つのルビー、それの砕けと共に現れるは二本の剣を握りしめた龍と甲冑纏った歩兵のような見た目の龍。
「来い」
「言われるまでもねぇ!アタックステップ!ツインブレードドラゴン!斬れ!!アタック時効果発揮で要塞虫ラルバを破壊する!」
BP破壊上限をネクサスの効果で引き上げ、より力を得たツインブレードの振う二刀の刃は要塞虫の堅い甲殻を大きく切り刻むと、そのまま焼き尽くす様に炎を浴びせ破壊する。
「攻撃はライフで受ける」
ラルバの破壊に反応を見せる事無く宣言すると、爆風を突っ切ってそのまま二刀の刃を突きだし、展開されるバリアを貫いてライフを砕く。
「……ッ!」
[Life]5→4。
「どうだリクト!まだまだこれからだぜ」
「……(和人、悪いがお前の役目はもうここまでだ)」
ライフの砕けた痛みを喰らって尚、リクトの表情は何一つ変わらず、むしろ彼の表情には笑みが零れ、その理由は手札にある白紙のカードが、カード名、コスト、カードテキストなど紋章の様に次々と浮かび上がる事による。
「俺はこれでターンエンドだぜ」
「ここまでだ、和人」
「あっ?」
「遊びの時間は終わりだ、お前はもう用済みだ」
「な、何言って?」
「俺のターンで分からしてやるさ、俺の力を!」
「(来たんだなッ!ついに!!あのカードの覚醒が!)」
物陰からモニターの様子を目にすると、リクトの言葉にダイキは狂気な笑みを浮かべる。
*
────第7ターン、リクトside。
[Reserve]10個→11個。
[Hand]5枚→6枚。
[Field]なし。
「メインステップ!ラクーンガード、ザニーガン、イグアバギーをLv.1で連続召喚」
「!」
小型スピリットの大量召喚、だがそれは悪魔で第一段階、リクトがこれから為す事の準備に過ぎない。
「さぁ、茶番は終わりだ」
「!?」
リクトの冷たく吐いた言葉に、思わず背筋が震えた。間違いなくこれから来る”何か”が危険である事を人間的本能が知らせていた。
「見せてやる、これが俺の新しいキースピリットだ!」
手札の一枚に手を駆け、リクトが呼び出すそれを妙な違和感を抱き、直感がソレを危険であることを知らせる。
「冷氷なる結晶の龍よ、その輝きを晒せ!宝龍アブソドリューガ、Lv.1で召喚!!」
フィールドに突如付きでるように現れる大量のクリスタル、そして中央にあるクリスタルが粉々に砕け散り、影の中にギラリの輝く眼光。そのまま空へと飛び立つと宝石のように輝くその身を露わにする。
“グオオオオオオォォォォォ────ッ!”
「こいつは、何なんだよ!?」
「ハハハハ、ついに手に入れた。これが俺の新しい力だ!!」
地面へと降り立ち、フィールドを揺るがす咆哮。そして力強い鋭い眼光には思わず威圧されてしまう。
「アタックステップッ!!行きな!アブソドリューガッ!」
獲物を狩る獣のように迫るアブソドリューガ、迫り来る龍の突撃に圧倒されながらも、同時にアブソドリューガの攻撃はチャンスであった。
「(よしっ!この攻撃をライフで受ければ……っ!」
「おっと、忘れてたな。フラッシュタイミング!マジックバーストブレイクを使用」
「なっ!?」
「不足コスト確保でイグアバギー、ザニーガンを破壊。そして説明するまでも無いよな?マジックの名前通り、その効果は相手のバーストの破壊だ!!」
「しまっ!」
「破壊さしてもらうぜ?お前の相棒を!!」
「!」
「気付かないとでも思ったか?いいや、気付いていたさ、お前がいつジークヤマトフリードを仕掛けるなど、簡単にお見通しだ!」
マジックの発動と同時に、伏せられたバーストカードが飛び、思わずそれに動揺を隠せていない。それもその筈、リクトの読み通り伏せていたバーストは、和人の切り札であるジークヤマトフリードなのだから。
「ヤマトォッ!!」
「終わりだ和人、キースピリットはもはやいない。こいつで締めだ!!」
「!」
伏せていた
・宝龍アブソドリューガ/8(3)白/武装・鋼龍。
Lv.1[1]BP6000、Lv.2[4]BP9000、Lv.3[5]BP12000。
Lv.1、2、3
このスピリットは相手のネクサス、マジック、スピリット、ブレイヴの効果で破壊されない。
Lv.1、2、3『このスピリットのバトル時』
このスピリットが相手のスピリットだけを破壊した時、ボイドからコアを一個自分のライフに置く。
Lv.2、3『相手のアタックステップ時』
相手が一度もアタックしなかった時、自分はデッキから二枚ドローする。
いかがでしたでしょうか?今回の第20話!
そして目玉は何より新たな新カード、アブソドリューガ!
次回でいよいよリクトと和人、決着!ぜひ次回も見てくださるとうれしいです。