バトルスピリッツ激震の勇者   作:ブラスト

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どうもブラストです!前回の小説から今回までもう一ヶ月ぐらいの間がある事に、驚きを隠せてません。最近時間の流れがものすごい早いと感じるこの頃。

このままじゃこの小説終わる頃には、今のバトスピアニメのシリーズが終わるんじゃないかとなと……(汗)何はともかく早速今回の話見ていただけたら幸いです。

ただ今回は結構長文に(汗)


第25話『龍VS龍 ドラゴン激戦!!』

まだ昼前の時間、はんなりとした格好でのんびりと散歩して居る一人の少年、ハンナ。散歩中、彼の視界にある兄弟の光景が止まる。

 

『兄ちゃーん、待ってよ!』

『早く来いよ、置いてくぜ?』

 

他愛もない会話、だが仲良さそうに手をつなぎながら歩いて行くその兄弟の光景に、ハンナは何かを感じられずにはいられなかった。

 

「…………」

 

『ハ~~ンナ君』

 

「!」

 

馴れ馴れしい態度で彼を呼ぶ声の主は、タロットカードをシャッフルしながら持つダイキ。特に驚いた様子もなく、「何か用?」と気だるいように尋ねる。

 

「別に、お前がこんなとこ歩いてんのが珍しかったから、声掛けただけさ」

 

「僕が何処にいようと関係ないでしょ? そんな事ぐらいで一々僕に声掛けないでください」

 

ダイキに対しても相変わらずの悪態を見せるハンナに、顔色を変える事無く、笑いながら言葉を続けていく。

 

「随分な嫌われ様だな」

 

「えぇ。僕はアンタ等も、そして今のアイツも大嫌いです!」

 

「随分冷たいねぇ、俺はともかくアイツの事は考え直してやればどうだ? 何てたってアイツは────」

「関係ないって言ってるんです! これ以上あんたとは話したくもない。もう関わらないでくれますか?」

 

「そういう訳にもいかねぇなァ。知ってるぜ? テメェ今、何か色々動き回ってるんだろう?」

 

何かを知ってるようなダイキの言葉。それに一瞬反応を見せるが、以前落ち着いた様子で適当な様子で返していく。

 

「僕のストーカーでもしてたんですか?」

 

「まさか、お前の行動を俺はただ占なっただけ。そして今まで外した事がないから確信を持って言ってるだけさ」

 

「そうですか。別に興味はないですけどね」

 

「まったくもって可愛げがねぇ、そこは誰かさんの請け売りだな」

 

「五月蠅いですよ、もう僕は行きますからね」

 

「まぁ待てよ、今お前も占ってやったところだ」

 

ハンナに投げ渡す一枚のカード、そのカードには星の絵が描かれている。

 

(スター)の正位置。意味は希望や期待。果たしてお前は一体、今何に何を期待しているのかなァ?」

 

「…………」

 

「けど覚えとけよ、お前が何を望んだ所でアイツはもう変わらねぇし、下手に動きまわって俺等の邪魔になろうものなら、潰されるぜ?」

 

「僕が何をしようと関係ないし、誰かに指図される言われもないです」

 

強気な様子で返答し、タロットカードを投げ返すとそのまま早足でその場から離れていく。

 

「(若槻和人、昨日は結局だったけど、今日は探し出す。その人ならきっと──!)」

 

「フン、精々子供らしく頑張るんだな、ハンナ君よ」

 

何かを願うような想いでその場から立ち去るハンナを、一瞥しつつダイキもその場から立ち去って行く。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「すっげーーっ!!!」

 

舞台は変わり、ある場所を前に佇んでいる和人達。その場所の光景に和人の目はキラキラと輝いており、そんな子供の様に無邪気な和人に光や愛実は笑いを隠し切れてなく、リクトと咲は半ば見てるこっちまで恥ずかしいよ、と言いたげに呆れ気味に笑ってる。

 

「本当にこんな場所に招待してもらっていいのか?」

 

「勿論です。今日オープンしたてのアミューズメントパーク、BSP、通称バトスピパーク、ぜひ楽しんでくださいね」

「まぁ和人の場合、楽しみ過ぎない様に! って注意しないとかもね」

 

愛実の言葉に、確かにと言った様子で咲やリクトも頷き、それには和人も「程々に気を付けるよ」と頬を掻きながら答える。

 

今和人達がいるのは、スピリット達を模したデザインがされた数々のアトラクションが並ぶ大規模の遊園地。施設には物販や飲食店の他、バトスピショップも並んでいる。何故そんな場所に和人達がいるのかと言うと、数時間前まで遡る。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「「「アミューズメントパーク?」」」

 

いつものバトスピショップ。そこで声を揃えて疑問を持つように言うのは、リクト、咲、和人の三名。そんな三人の前にはにこやかに笑いながら頷く光と川村の姿が。

 

「皆さん、聞いた事無いですか? 今日オープンされるアミューズメントパーク。通称BSI。バトスピアイランド」

 

「名前ぐらいは聞いた事あるが」

 

「私も。この前テレビか何かで紹介されてたのを聞いたよ」

 

「えっ? 二人とも知ってんの? 俺知らないんだけど!?」

 

「心配しなくても端から和人が知らないのは皆知ってるから」

 

川村の言葉に、「どういう意味だよ!」と突っかかるが、「和人はまったくの無知って事だよ」と相変わらずの毒舌で軽く一蹴。

 

そんな二人を余所目に「でも」、と咲は言葉を続けていく。

 

「確かその場所ってかなりの人気で入場チケットはもう予約一杯。その上当日券も今日朝オープンして即日販売するほど人気だって聞いたけど?」

 

「ご安心ください、ちゃんと人数分のチケットなら用意してますから」

 

「「「!!?」」」

 

「元々これは私と光家と愛実ちゃんの川村家の共同で建てた施設なんですから」

 

「「「えええええええぇぇぇぇぇぇっ!!?」」」

 

店中に響く絶叫の声。当然和人達にとって光の言葉は衝撃的だったのは言うまでもなく、口をパクパクとさせながら、今でも驚きを隠せていない。

 

「そんなに大袈裟に驚かなくてもいいんじゃない?」

 

「驚かずにいられるかよ! お前等がその施設を立ち上げたってマジかよ!!」

 

「まぁ私も光も元は軽い気持ちでの提案だったんだけどね、どっちの親も本気にしちゃって、結果としてこうなった訳」

 

「そんなこと言って、愛実ちゃん、「こうしたら和人達喜びそうだね」とか言いながら、張り切って立ち上げた施設じゃないですか」

 

「なっ!!? そんなの別に言ってないから! 勝手なこと言わないで!!」

 

「ははは、でもこんな計画してたから最近、光さんも愛実さんも顔見せなくなってたんだ」

 

「……まぁ私は別にそれだけじゃないけどね」

 

「?」

 

質問に対し、小声で呟く川村に怪しく思いその事を詳しく聞いてみようとした矢先、「無駄橋はともかく早速行こうか」という川村の言葉に、全員目的地に向けて出発し、質問するタイミングを逃し、まぁいいかと言った様子であまりに気にせず咲も目的地に向かっていく。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

そんなやり取りの後、現在の状況に至る。5人は早速施設の中へと入って行き、入園早々早くも和人も目は子供の様に輝いており、「じゃぁ各自下手な説明はともかく早速遊びましょうか?」という光の言葉に、真っ先に飛び出していく。

 

「あぁ、ちょっと和人!! もうこう言う時だけ早いんだから」

 

「相変わらずですね。和人さんは」

 

「ホントだよ。仕方ないから、私が和人のお目付け役担当するよ」

 

「そうですね。じゃぁ和人さんは咲さんにお任せするとして、リクトさんはどうします?」

 

「俺は適当に見回るが、お前ら二人はどうするんだ?」

 

「生憎私も光もオープン記念の会見だからちょっと外れる。適当な時間で合流しようよ」

 

目の前にあるバトスピショップを指差すと、一旦全員別れていき、咲の方ではしばらく走り回ると、ようやく和人の姿を見つけ、見失う前に何とか抑える。

 

 

 

 

「捕まえたよ、和人ッ! 広いんだから勝手な行動しないでよね、迷子になるよ?」

 

「おぉ咲、ごめんごめん。皆はどうしたんだ?」

 

「それぞれ別行動。適当な時間で合流するんだって、だからそれを伝えに来たんだよ」

 

「へぇ~、じゃぁそれまで適当に遊んでていいってことだよな?」

 

「まぁそういう事だね」

 

「だったらさ、あれ乗ろうぜ!」

 

指差す方向には、席の一つ一つにドラゴンのデザインがされたジェットコースター。何より和人が最も眼を輝かせているのは、エクスキャリバス、ジークヤマトフリード、カタストロフドラゴンもバッチリ、デザインされていた事による。

 

「俺の相棒達もしっかり入ってるんだぜ!! これは断然乗るしかないだろ!!」

 

「はぁ~、でも私ちょっと絶叫系のアトラクションは……」

 

「んな事言わずに乗ろうぜ! 咲も乗れば絶対楽しいから!!」

「ちょっとm────!」

 

半ば強引に咲の手を引いて、ジェットコースターに乗り込み、動き出す列車。坂を上り、一気に猛スピードで、急勾配や角度の付いたカーブするレールの上を駆け抜け、咲や和人、他の乗客達の絶叫が大きくその場に響く。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

『お疲れ様でしたー』

 

「いやぁー、楽しかったぜ!」

 

迫力のあるアトラクションに上機嫌で降りる和人だが、それとは対照的に、心身共に疲れた様子の咲。

 

「はぁ~……怖かった」

 

「でも楽しかっただろ? 次何処乗る?」

 

「はは……今度はできれば気楽な物がいいよ、例えばあれとか」

 

咲が指差す方向には、ポニサスやバイコーンなどのスピリット達の乗り物が並ぶメリーゴーランド。それにはあまり面白くなさそうに軽く「え~?」と嫌そうな反応を見せるが。

 

「黄色のスピリットだけじゃなく、赤のスピリットもいるよ?」

 

「!」

 

咲の言う通り、乗物の中にはブレイドラやオードランなどを始めとする小型スピリット達もあり、自分の好きな赤のスピリットの乗り物がある事に、嫌そうではあった和人も目の色を変えている、

 

「しょ、しょうがないなぁ。咲が乗りたいってなら俺も乗るぜ」

 

「何言ってんの、和人も本当は乗りたいんでしょ?」

 

「う、うるせぇな。ほら、乗るなら早く乗ろうぜ」

 

「はいはい。やっぱり和人も乗りたかったんじゃん」

 

その後も様々なアトラクションを回り、思う存分バトスピパークを満喫し、二人とも満足した様子で、合流場所であるバトスピショップに入ると、「いらっしゃーい!」と二人を歓迎する知恵の姿が。

 

「「知恵さん!!?」」

 

当然驚かない訳がない。どうしてここにいるのか、と尋ねようとした瞬間、質問するよりも前に後ろから光が割って入る。

 

「光!」

 

「私が説明しますね。私から知恵さんにこのパーク内のバトスピショップを請け負ってもらうよう頼んだんです。知恵さんなら申し分ないと思って、知恵さんも二つ返事で引き受けてくれました」

 

「だってお嬢様からの御指名とあらば、断る必要も理由もないでしょ? 御給料もいいから即答で答えちゃった」

 

それには和人も咲も顔を見合せながら、愛想笑いで返す事しかできなかった。

 

「ところで光達はもう来てたんだな。もしかして待たせてた?」

 

「安心してください。私達も今来た所なんですよ。それよりどうでしたか? 二人で回られた感想は?」

 

「あはは、回ったというか、振り回されたというか何と言うか」

「もう最高だぜッ! 機会があればいつでも来たいぐらい」

 

「そこまで喜んでいただけるなら、こちらとしてもここを建ち上げた甲斐がありますよ」

 

 

 

 

「(ところで、咲ちゃんどうだったの? 和人君とのデートは?)」

 

突然後ろから肩に手を置き小声で尋ね、知恵の質問に思わず顔が赤くなる。

 

「(ち、知恵さん! 別にデートとかそういんじゃないですよ)」

 

「(本当に? 顔が赤くなってる所を見ると怪しいな~~)」

 

「(か、からかわないでくださいよ!)」

 

「二人共何コソコソ話してんだ? それに咲も顔真っ赤だし」

 

「べ、別に何でもないよ!! 気にしないで!」

 

「?」

 

慌ててそっぽを向く咲に?を浮かべながら首を傾げる。

 

 

 

 

「ところで光、川村とリクトは? 二人ももう来てるんだろ?」

 

「えぇ、あちらで待ってますよ。それと、ハンナ君も一緒に」

 

「へぇ~、ハンナも来てるのか……って、は?」

 

最後の言葉に思わず耳を疑った。光の指差す方角に慌てて視界を向けると、そこには確かにリクトと川村、それにハンナの姿もあり、こちらに気付いたのか川村達と一緒にこちらに向かう。

 

「あっ、咲姉ちゃんだ! それとついでにお兄ちゃんも」

 

「おい、『ついでに』って何だよ! それにお前何でこんな所に居るんだ?」

 

「偶々だよ。チケットは面白そうだから前々から予約してたしね。まぁ別にお兄ちゃんには関係ないでしょ?」

 

相変わらず咲には天使の様な笑顔、和人に対しては見下したような眼差しを向けるハンナに、ストレスを感じない訳がない。

 

「よぉ、どうしたんだよ、いきなりそんな怖い顔しやがって」

 

「おい、リクト。お前はこのハンナって奴に何も感じねぇのかよ!」

 

「別に、普通に素直でいい子だろ?」

 

リクトに対しては裏の顔を見せていないのか、和人の質問に意味が分からないといった様子で、不思議そうに返答している。

 

「お前、こいつは川村がいるから猫被りしてるだけだぞ?」

 

「私が何だって?」

 

「川村。嫌、別にお前の事じゃ」

 

「ふん、別にいいけど。ごめんね、ハンナ君。こんな変なお兄ちゃんだけど気にしないであげてね」

 

「大丈夫! 僕は全然平気だよ」

 

和人をそっちのけに頭を撫で、そんな川村に抱きついて笑顔を振り向くハンナに、見ていて思わず怒りを通り過ぎて、溜息が出る。

 

「もう怒るのにも疲れたぜ」

 

「あっ! そうだ、愛実姉ちゃん達に聞きたい事があったんだけど、僕さ、ちょっと人を探してるんだ」

 

「人を?」

 

「うん。和人って人を探してるんだ。知らない?」

 

「えっ? 和人ならあの人の事だよ?」

 

「えっ!? 俺?」

 

指名された事に疑問を感じながらも自分自身を指差し、ハンナも一瞬驚いた様に反応して見せるが、探していた人を見つけた事に口元を緩ませる。

 

「なんだ、お兄ちゃんが和人だったんだね」

 

「俺を探してたってどういう事だよ?」

 

「興味があったから会いたかったんだよ。僕の兄ちゃんと戦ったカードバトラーだって聞いたからね」

 

「お前の兄ちゃん?」

 

「火道アキラの事だよ」

 

「「「「「!!!??」」」」」」

 

さり気ないハンナの一言に思わず全員が動揺した。アキラに弟がいた事。そしてその弟がハンナである事など、予想できる訳がなかった。

 

「お、お前がアキラの弟!? 嘘だろ?」

 

「本名はまだ言ってなかったね。火道ハンナ。それが僕のフルネーム。兄ちゃん無愛想で身内とかの話ししない人だから一言も僕のこと喋らなかったでしょ? まぁ僕も嫌いだから、あんまり兄ちゃんの事話す事無いけど」

 

「ハンナ君、関東方面から御兄さんと一緒に引っ越したって言ってたけど、アキラの事だったんだね」

 

「まぁね、別に隠すつもりはなかったんだよ。でも聞かれなかったら」

 

「そんな事はどうでもいい! その弟が俺に何の用だよ?」

 

「バトルしたいんだよ。和人兄ちゃんがどんな人か、バトルを通じて知ってみたい」

 

「バトル?」

 

「勿論引き受けてくれるよね?」

 

「いいぜ! なんだかよく分からないけど、バトルならやってやる!!」

 

 

「なら二人共、ぜひバトルフィールドでバトルでしょ?」

 

知恵の言葉に両者頷くと、台まで上がって行き、早速コールしようとした矢先、「あっ!」と何かを思い出したように大きく声を上げる。

 

「急にどうしたの?」

 

「ごめん、ちょっと試したいカードデッキに入れたいんだ! ちょっとだけ待って!」

 

「しょうがないなぁ~、けど下手にカード入れて手札事故起こっても知らないよ?」

 

「どんな手札になっても、デッキを信じて最後まで戦うだけだぜ」

 

「へぇ~、中々言うじゃん」

 

大きなカードファイルを取り出すと、迷うことなく中にあるカード何枚か抜き、デッキに入れると準備完了と言った様子でカードファイルをしまう。

 

「ねぇさっきのファイル何処から出して、何処にしまったの?」

 

「細かい事言うな!」

 

気を取り直して両者「ゲートオープン! 解放ッ!!」と高らかにコールすると、バトルフィールドへと転送され、ハンナ先行で試合が始まる。

 

 

 

 

────第1ターン、ハンナside。

 

[Reserve]4個

[Hand]4枚→5枚。

 

「さぁ兄ちゃんと戦った実力見せて貰うよ。ガッカリさせないでよね?」

 

「見てろ! 俺は絶対負けねぇ!!」

 

「フフ、行くよ! メインステップ! 戦竜エルギニアス、並びにレイニードルを召喚。レイニードルはLv.2だよ」

 

赤のルビーと、青のサファイアが砕け飛び出す二体のスピリット。大きく吠える二体に軽く笑いながら手を振って見せる。

 

「レイニードル、エルギニアス。今日も宜しくね。和人兄ちゃんが泣いちゃわないように戦ってあげて」

 

「誰が泣くか! 俺は今まで色んな奴とバトルしてるんだっての! 今更ライフの痛みがどうこうなんて言う訳ないだろ!」

 

「何それ? やられ自慢?」

 

「違うわ!!!」

 

 

 

 

「すっかりハンナ君ペースだね」

 

「相手の集中力を切らして、自分のペースに持ち込む。ハンナって奴、中々やるな」

 

「嫌、リクト君、多分ハンナ君はそういう作戦的な意味じゃなく素でやってると思うんだけど」

 

「勝負はハンナ君優勢か、可愛いし強いしまさに完璧だね」

 

「おい川村、お前若干ハンナ贔屓に勝負を見てないか?」

 

「なっ、別にそんな事ないでしょ! ちゃんと公平に試合の流れを見てるってば」

 

「まぁまぁ三人とも、ほら次のターンを迎えますよ」

 

気を取り直し、モニターに集中する4人。バトルでは和人ターンを迎える。

 

 

 

 

────第2ターン、和人side。

 

[Reserve]4個→5個。

[Hand]4枚→5枚。

 

「メインステップ、ライトブレイドラ、続けてブロンズヴルムをそれぞれLv.1で召喚。さらに続けてバーストセット!」

 

「来るならどうぞ」

 

「言われなくてもアタックステップ! ライトブレイドラでアタック」

 

「レイニードルでブロック」

 

互いの宣言と共に、パタパタとフィールドを走り出すライトブレイドラ。迎え撃とうと体をうねらせながら向かうレイニードル。ライトブレイドラは向かってくるレイニードルに体当たりをしようと大きく飛び上がるが、空を自由に移動できるレイニードルは簡単にそれを避け、ライトブレイドラが地面に着地した瞬間、長い尻尾で宙に叩き上げると、再度尻尾を振い、宙に浮いたライトブレイドラを地面にたたきつけ、消滅させる。

 

「返り討ちだね」

 

「まだだ! 次はブロンズヴルムでアタック」

 

「エルギニアスでブロックするよ!」

 

今度はエルギニアスとブロンズヴルムが突っ込んでいき両者ぶつかると、一旦半歩下がると同時に再び突っ込み、互いの相手に激突し、力比べと言わんばかりに押し合っていく。力比べはエルギニアスに分配が上がったのか、徐々にブロンズヴルムを押していくが、次の瞬間後ろに身を引いてエルギニアスの角を片手で掴むと同時に、エルギニアスを持ち上げた状態で宙に向かって飛び、そのまま地面に落ちていき、エルギニアスをそのまま地面に叩きつけ、エルギニアスは爆発を起こす。

 

「最初の攻防は五分五分って言った感じだね」

 

「あ、あぁ」

 

前のライトブレイドラとレイニードルのバトル。そしてさっきのエルギニアスとブロンズヴルムのバトルは和人にとって、アキラとのバトルの時の光景をまたフラッシュバックする様に思い返させ、思い出す光景に一瞬思考が止まる。

 

「どうかした?」

 

「い、嫌。別に、それより俺はターンエンド」

 

アキラの弟であるハンナ、その事を意識すればするほど蘇るあの時の光景。後の地それは和人のプレイイングにも影響していく。

 

 

 

 

────第3ターン、ハンナside。

 

[Reserve]2個→3個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]レイニードルLv.2(2)。

 

「行くよ、レイニードルをレベルダウン。そしてネクサス、オールトの竜巣を配置」

 

ネクサスが配置されると、ハンナの後方に出現する大きな雲の塊。逆三角形の形をした巨大な雲からは龍の声が木霊して聞こえる様な気がした。

 

・【オールトの竜巣】/4(2)赤。

Lv.1、2

自分の手札にある系統「星龍」を持つスピリットカード全てに軽減シンボル赤を与える。

Lv.2『自分のアタックステップ』

自分の合体スピリットが、BPを比べ、相手のスピリットだけを破壊した時、自分のトラッシュにあるスピリットカード1枚を手札に戻す。

 

「続けるよ、軽減シンボル赤を与え、ノーコストでミラージュワイバーンを召喚。アタックステップ! ミラージュワイバーンでアタックするよ」

 

「ライフで受ける!」

 

「アタック時効果で一枚ドロー、そしてメインアタック!」

 

小柄ながらに猛スピードでの滑空、瞬座にライフを翼で切り裂き、和人のライフを砕く。

 

「うわっ!!」

[Life]5→4。

 

「もう一丁行くよ、レイニードルでアタック」

 

「これもライフで受ける!!」

 

至近距離まで近づくと、口から放たれる幾つ物の閃光を、浴びるかのように受け、さらにライフが砕かれる。

 

「ぐッ!!」

[Life]4→3。

 

「はい、これでターンエンド。バーストカード結局発動しなかったけど、もしかしてこの状況に意味のないバーストカードを張っちゃった?」

 

「……そ、そんなんじゃねぇよ!」

 

「ふ~ん、でものんびり考え過ぎてたらあっという間に終わっちゃうよ? 和人の兄ちゃんの負けでね」

 

「うるせぇよ! それよりターンエンドか?」

 

「まぁね。ほら、和人兄ちゃんの番だよ?」

 

 

 

 

────第4ターン、和人side。

 

[Reserve]6個→7個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]ブロンズヴルムLv.1(1)。

 

「メインステップ! まずはバースト、双翼乱舞を破棄して、新しいバーストカードをセット。さらにブロンズヴルム【転召】!」

 

「!」

 

手札に構える一枚、モニターを見ている咲達は「来たっ!」と言った様子で、これから呼び出すスピリットは和人にとってのキースピリットである事はハンナにも明白。

 

「炎纏いし、龍の皇! 剣龍皇エクスキャリバスLv.1で召喚ッ!!」

 

突然ブロンズヴルムを包む炎の渦。そして渦から大きな影が見えた瞬間、炎を振り払い、舞い散る火の粉に身を輝かせながら、エクスキャリバスが咆哮を上げる。

 

「へぇ~、それがお兄ちゃんのキースピリットか。噂で聞いてた通り、中々カッコいいドラゴンだね」

 

「俺の相棒さ、召喚時効果発揮!」

 

「!」

 

上空に飛び上がると共に、豪炎をレイニードル達に向けて放ち、炎に焼き尽くされ、レイニードルとミラージュワイバーンは爆発を起こす。

 

「やってくれるね!」

 

「行くぜ、アタックステップ──!」

 

アタックステップを行おう押した瞬間、また一瞬フラッシュバックする光景。それに思わずエクスキャリバスをアタックさせようとした手を止める。

 

 

 

 

「急にどうかした?」

 

「な、何でもねぇ。ターンエンドだ」

 

「はぁ!? そんなドラゴン出しておきながら、ターンエンド?」

 

「いいんだよ、俺はこれでターンエンドだ」

 

 

 

 

「和人、どうしたんだろう。いつもならエクスキャリバスで攻めるんだけど」

 

「確かにな、今日は珍しく慎重みたいだ」

 

バトルを通して和人の様子がおかしい事は咲やリクト達も勿論、気付き始めていた。その中で、川村は何か思い当たる節がある様子で。

 

「ねぇ、咲。ハンナ君のバトル、確か見てたんだよね」

 

「う、うん。和人と一緒に」

 

「ハンナ君のバトルスタイルってどんな風なの?」

 

「え、え~っと確かこの前のバトルの時は、自分をギリギリまで追い込ませてからの、ビッグバンエナジーやトライポセイドスでの速効ラッシュで勝負を決めてた」

 

「やっぱりね」

 

「「「やっぱり?」」」

 

思い当たる疑問は咲の言葉を聞いた瞬間、確信へと変わる。

 

「前にアキラと和人、バトルしてたんだよ。その時私も見てたんだけどね、ハンナ君とアキラのバトルスタイル、どうも一緒なんだよ」

 

「「「!」」」

 

「ハンナ君も、アキラも多分、相手に自分を追いこませてから逆襲するカウンター型。二人のバトルスタイルが似ているのは和人本人も気づいてる。そしてハンナ君がアキラの弟って事を意識しすぎての警戒。そして過度の警戒のしすぎでアタックを躊躇ってるんだよ」

 

「でも、警戒も必要なんじゃ?」

 

「赤にとって、何より和人にとって、必要すぎる警戒は入るか、入らないか、本人が一番経験済みの筈なんだけどね」

 

 

 

 

4人が固唾を呑んでバトルを見守る中、バトルではハンナのターンを迎える。

 

────第5ターン、ハンナside。

 

[Reserve]5個→6個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]オールトの竜巣Lv.1(0)。

 

 

「まったく、攻めてこないなんて拍子抜けもいいとこだね。そっちが来ないなら、こっちから行かせてもらうからね」

 

手札を確認し内の一枚を視界に映すと、軽く口元を緩ませる。

 

「二枚目のお気に入りカード、見せてあげるよ! 煌き輝く龍の皇! 輝龍皇ヘリオスドラゴン召喚ッ!」

 

突如、天より響く雷鳴。黒き空から大きな雷が落ち、眩い光が辺り全体を照らし、光が晴れた瞬間、フィールドに現れる龍、ヘリオスドラゴンが姿を現す。

 

「どう? これがトライポセイドスと同じくらいお気に入りのキースピリットさ」

 

「ヘリオスドラゴン、随分懐かしいカードだな」

 

「それを言うならエクスキャリバスの方がよっぽど懐かしいカードだけどね。続けるよ? ヘリオスドラゴンでアタック」

 

「ら、ライフで受ける!」

 

翼を羽ばたかせて真っ直ぐ展開されたライフに向かっていき、ヘリオスドラゴンの頭部にある角から雷が放ち、さらにそのまま突進し、ライフを粉々に砕く。

 

「うぐッ! ライフ減少でバースト発動!」

 

「!」

 

「絶甲氷盾! ボイドからコアを1個ライフに置くぜ」

[Life]2→3。

 

「絶甲氷盾、赤デッキの癖に白のカードまで使って随分守りを固めるんだね」

 

「守りも必要な戦略だからな」

 

「戦略? ただおびえて守るだけの戦いのどこが戦略さ。とても呆れたね」

 

「何……っ!?」

 

いつものような悪口ではなく、その目はどこかイラついてるように鋭く、一瞬言葉を失うが、同時に何処かハンナの様子には疑問に思う所もあった。

 

「ふん、それで終わるならヘリオスドラゴンの効果を続けるよ? バトル終了時、このスピリットのレベルの同じ枚数デッキをオープン、それが系統:「星龍」を持つスピリットカードならノーコストで好きなだけ召喚できる」

 

ヘリオスドラゴンのレベルは現在1、よって一枚上から捲られ、オープンされるカードは『ビッグバンエナジー』のカード。

 

「ちぇっ、はずれ。召喚出来ないカードは全て破棄。これで僕はターンエンドするけど、そんな守ってばっかりの人とのつまらない試合じゃさっさと終わらせたいよ」

 

 

 

 

────第6ターン、和人side。

 

[Reserve]8個→9個。

[Hand]2枚→3枚。

[Field]剣皇龍エクスキャリバスLv.1(1)。

 

「(守ってばっかの戦略って、仕方ないだろ。攻めればまたあの時みたいに相棒達が)」

 

何かを思い悩んでいる和人。それにはモニターを見ている咲達は勿論、フィールドにいるエクスキャリバスも何を思ってるのか、後ろの和人を見つめ、そんなエクスキャリバスと目が合うと余計にアタックする手を躊躇ってしまう。

 

「俺のターン、エクスキャリバスをLv.2にアップ。これでターンエンド」

 

「それだけで終わりなんて、つくづく呆れるね」

 

「うるせぇ、これでいいんだよ!!」

 

「フン、和人兄ちゃんって期待してたほどじゃないんだね」

 

「?」

 

 

 

 

────第7ターン、ハンナside。

 

[Reserve]5個→6個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]輝龍皇ヘリオスドラゴンLv.1(1)、オールトの竜巣Lv.1(0)。

 

「こんなつまらないバトル、早く終わらよう。手札から輝きの聖剣シャイニングソードをヘリオスドラゴンに直接合体(ダイレクトブレイヴ)

 

天空より眩いほどの光を放ちながら、地面に突き刺さるソードブレイヴ、シャイニングソード。地面に突き刺さった剣を加え勢いよく引き抜き、より一層強力なソードブレイヴスピリットとなり、咆哮もより凄まじい物となっている。

 

「続けてソードブレイヴスピリットをLv.2にアップ。アタックステップ、ソードブレイヴスピリット、行けッ!!」

 

「!!」

 

口に咥えたシャイニングソードを地面に引き摺らせながら向かってくるヘリオスドラゴン。ソードブレイヴスピリットから見られるあまりに強い威圧感には思わずたじろぎ、同時に少し怖く感じるものもあった。

 

「ぐっ! え、エクスキャリバス!! ブロックしてくれ!」

 

咄嗟のブロック指示。シャイニングソードを振り下ろすヘリオスドラゴンに、頭部の刃で迎撃するエクスキャリバス。

 

「今度はスピリットを盾にするの? 自分を守るのにスピリットを犠牲?」

 

「!」

 

「本当に最低だよね、エクスキャリバスもきっと泣いてるよ」

 

「違う! 俺はそんなつもりじゃ────!」

「何が違うんだよ! このバトル、和人兄ちゃんのエクスキャリバスはライフを守るためにバトルに負けてただ破壊されるだけ! これが犠牲じゃなくて何だっていうのさ!」

 

「俺は、俺は……」

 

「相棒とか何とか言っときながら、結局はスピリットを道具に扱うだけじゃないの? こんな人が兄ちゃんをもしかしてと思ってたけど、やっぱり期待外れ」

 

「!」

 

「結局は和人兄ちゃんも、兄ちゃんと一緒でスピリットを道具に扱ってるだけさ」

 

「違う!! 俺に、俺にとってスピリットは仲間なんだ! 友達なんだ! 相棒なんだ!! これからだってずっとずっと!!」

 

ハンナの言葉を精一杯の否定。声が枯れそうな程の大声を上げて否定した。ハンナが信じるかどうかは分からない。けれど和人にとってそれは誠心誠意の嘘偽りない言葉だった。その言葉に応えるかの様にエクスキャリバスは大きく咆哮を上げる。

 

「……エクスキャリバス」

 

暗い表情でバトルの行方を見守る。バトルでは口咥えたシャイニングソードとエクスキャリバスの頭部の刃が何度も斬り合っていき、次にエクスキャリバスが頭部の刃を振り下ろした瞬間、ヘリオスドラゴンはシャイニングソードを一旦溜め、そして一気に振う。

 

ヘリオスドラゴンの大振りはエクスキャリバスを簡単に弾き飛ばし、弾き飛ばされたエクスキャリバスは岩壁に叩きつけられる。

 

「エクスキャリバス、ごめんな」

 

壁に叩きつけられたエクスキャリバスを見て、暗い表情で語りかけ、エクスキャリバスはそれにもう一度大きく鳴いて見せるとそのまま消滅し、その時の鳴き声はまるで「気にするな」と言ってるようにも聞こえた。  

 

「……少し僕も言い過ぎたよ」

 

「?」

 

エクスキャリバスとのやり取りにハンナも、先程の言葉に悪いと感じたのか、頭を掻きながら申し訳なさそうに下を向いている。

 

「いいんだよ、俺もだいぶ目覚めたよ。お前の言う通り、俺さっきからアタックするのが何か怖くて、アキラとバトルしたときみたいになるんじゃないかと思ってて。けど、もう吹っ切れた。守ってばっかりじゃあ、やっぱ勝負はつまらねぇし、何よりいつまでもこんな怯えてばかりの俺じゃあ、それこそエクスキャリバス達は泣いちまう」

 

エクスキャリバスと出会う前もどこか攻める自信がなく常に守ってばかりのバトルだったころを振り返り、またあの頃の自分に戻ってしまいそうになっていた事を馬鹿らしく思い、軽く笑うと、釣られる様に、ハンナや咲達にも笑顔が見られる。

 

「ふふ、期待外れって言葉は撤回しないとね」

 

「?」

 

「まぁ余計な話はともかく、勝負を続けるよ! ヘリオスドラゴンの効果発揮! バトル終了時にこのスピリットのLvと同じ枚数。よって今度は2枚、デッキからオープン!」

 

再びオープンされた二枚のカード、捲られたカードの一枚はネクサスである『星創られし場所』、そしてもう一枚は系統「星龍」を持ちXレアでもある『十剣聖スターブレードドラゴン』。

 

「来た来た来た!! ビンゴビンゴ!! 大当たり!!! 僕の一番のお気に入りキースピリット! ヘリオスドラゴンの効果でこいつをノーコスト召喚するよ」

 

「来るッ!!」

 

「行くよ! 最も強いドラゴンの名を僕は呼ぶ! 王者の剣を携えし、最大最高最強のドラゴン!! 十剣聖スターブレードドラゴン、参上せよッ!」

 

再び黒く染まる空、そしてその黒空を裂いて降り注ぐ突然の流星。全部で10つほどあるその流星はまるで円を描く様に地面に落ちていき、最後の星が落ちた瞬間、共鳴するかのように流星から天に向けて噴き出す炎、そして次の瞬間には噴き出す炎を内部からの一閃が掻き消し、炎を振り払ってスターブレードドラゴンが姿を現す。

 

「すっげーーっ! それがハンナのキースピリットなんだな」

 

「まぁね、今から僕は万全の状態に戻った和人兄ちゃんに、スターブレードと一緒に全力で挑ませてもらうから、覚悟してよね」

 

「おぉ!!」

 

「まっ、一応このターンはエンド」

 

 

 

 

────第8ターン、和人side。

 

[Reserve]10個→11個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]なし。

 

「メインステップ、ライトブレイドラを二体それぞれLv.1で召喚。さらにもう一体、ハンゾウシノビドラゴン召喚」

 

小さな翼を羽ばたかせるライトブレイドラ達と、ライトブレイドラ達よりも大きな手裏剣を背負う龍、ハンゾウシノビドラゴンがそれぞれ現れる。

 

「さらにマジック、三札之術」

 

デッキから二枚ドローした後、三枚目にオープンしたカードはジークヤマトフリード。赤のカードなので問題なく、手札に加えられる。

 

「もう一枚、三札之術!」

 

「二枚目?」

 

再度三札之術。二枚ドローし、三枚目のカードはロードドラゴンドミニオンのカード。勿論これも赤のカードなので手札に加えられる。

 

「随分ドローするけど、望んでた一枚は来たのかな?」

 

「どうだろうな? 行くぜ、バーストセット! さらにブロンズヴルム召喚、アタックステップだ!」

 

「いつでもどうぞ!!」

 

「ブロンズヴルム、ライトブレイドラ二体、さらにハンゾウシノビドラゴンでアタックだ!!」

 

「全部ライフで受けるよ」

 

一番手であるブロンズヴルムが展開されるライフに突っ込み、勢いよく突進した後、二体のライトブレイドラ達は同時に飛びそのまま火球を放って展開されるライフを砕き、最後にハンゾウシノビドラゴンが再び展開されるライフに、背中の手裏剣を両手で握りしめ、勢いよく振り下ろし、一気にライフを砕く。

 

「ぐぅッ!!」

[Life]5→1。

 

「4体連続アタックはさすがに効くな」

 

「折角、スターブレードがいるのにブロックしなくてよかったのか?」

 

「和人兄ちゃんこそ、僕がビッグバンエナジーをこのデッキに入れてる事知ってるでしょ? なのにアタックしまくっていいの?」

 

「さぁな、けどガンガン攻めるのが俺らしさだからな! 自分の思う通りにプレイするだけさ」

 

「!」

 

笑いながらそう言った和人の姿は、ハンナにとって昔のアキラの姿と重なって見えた。

 

「もしもっと早く和人兄ちゃんと兄ちゃんが出会ってたら、兄ちゃんは変わらずに済んだのにね」

 

「ん? 何言ったか?」

 

「何でもないよ、それよりターンエンド?」

 

「あぁ」

 

 

 

 

────第9ターン、ハンナside。

 

[Reserve]7個→8個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]十剣聖スターブレードドラゴンLv.1(1)、ソードブレイヴスピリット(輝龍皇ヘリオスドラゴン×輝きの聖剣シャイニングソード)Lv.2(3)、オールトの竜巣Lv.1(0)。

 

「戦竜エルギニアス、召喚。さらにソードブレイヴスピリットをレベルダウンして、ヘリオスドラゴンからシャイニングソードを分離させる」

 

レベルが下がると脱力したように肩を落とし、口に咥えていたシャイニングソードを離し、また地面に突き刺さる。

 

「(さて、和人兄ちゃんが張ったバーストは……)」

 

場に伏せてあるバーストカード。先程の三札之術で手札に加わったバーストカードは、ロードドラゴンドミニオンとジークヤマトフリード。

 

「(まぁどっちにしろ、攻め込むしかないよね)」

 

バーストカードが何であれ、動かなければ勝負は決められない。自分の場を見つめ直すと、そのままプレイを続けていく。

 

「今度はスターブレードドラゴンとシャイニングソードをブレイヴし、さらにLv.4に上げるよ」

 

シャイニングソードを今度はスターブレードが引き抜き、輝く聖剣を天に掲げ、ソードブレイヴスピリットとなる。

 

「ヤマトと同じLv.4のスピリットかよ」

 

「アタックステップ! ソードブレイヴスピリットでアタック! スターブレードドラゴンのアタック時効果、相手の最もBPの高いスピリットを一体、よってハンゾウシノビドラゴンを破壊!」

 

大きな翼を羽ばたかせると一瞬で、ハンゾウの目の前まで迫り、シャイニングソードの一振りがハンゾウを斬り裂き破壊する。

 

「さらにスターブレードドラゴンのアタック時効果、このスピリットをBP+5000し、合計BP30000、さらにさらにもう一つ、Lv.3、4合体アタック時効果!」

 

「まだあるのかよ!!」

 

「相手のBP7000以下のスピリットを一体、よってライトブレイドラを破壊するよ」

 

今度はハンゾウのすぐ横のライトブレイドラに標的を定め、即座に剣を振り上げ、ライトブレイドラを斬り裂き破壊する。

 

「これ以上はさせないぜ、フラッシュタイミングでファイアーウォール!」

 

「!」

 

・【ファイアーウォール】/4(赤2 白1)赤。

『フラッシュ効果』自分の赤のスピリットを一体破壊することで、このバトルが終了した時、アタックステップを終了する。この効果は相手のアタックステップでしか使えない。

 

「!」

 

「効果でブロンズヴルムを破壊。スターブレードのアタックはライフで受けるぜ」

 

展開されるライフを、意図も簡単にシャイニングソードで叩っ斬り、残るライフを一つにまで追い込むが、スターブレードがアタックを終えた瞬間、ブロンズヴルムの身体に炎が灯り、その炎は壁の様に大きく燃え広がって行く。

 

「痛っ!」

[Life]3→1。

 

「残りライフ一つだね」

 

「ここからだぜ、ライフ減少でバースト発動ッ!」

 

二度目のバーストカード。オープンしたのはキースピリットである龍の覇王ジークヤマトフリードのカード。

 

「やっぱりセットしてたのはジークヤマトフリードだったんだね」

 

「あぁ、自分のライフが3以下の時、相手のBP15000以下のスピリットを一体破壊。よってヘリオスドラゴンを破壊する」

 

地面より噴き出す炎がヘリオスドラゴンを焼き尽くし、破壊する。

 

「さらにジークヤマトフリードをそのままバースト召喚するぜ」

 

発動されたバーストカードを突き出し、そして叫ぶ。

 

「赤き剣振いて全てを征す覇王! 勝鬨上げてフィールドに降り立て! 龍の覇王ジークヤマトフリードをバースト召喚ッ!!」

 

雷鳴の轟く空、それを引き裂いて現れる龍、炎を纏わせた剣を掲げ、雷鳴以上に響く豪快な雄叫びを上げる。

 

「しょうがないね。ターンエンド」

 

軽くため息をつきながらのエンド宣言。ふと自分の手札を確認し直すと、その中の一枚には爆砕轟神掌のカードが。

 

「(折角このターンで決めれると思ったけど、まさかファイアウォールを使われるとは予想もしなかったよ。もしかして読まれてたのかな? まぁどっちにしても、次のターンで決めるけどね)」

 

 

 

 

────第10ターン、和人side。

 

[Reserve]11個→12個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]ライトブレイドラLv.1(1)、ジークヤマトフリードLv.1(1)。

 

「メインステップ、マジック、双翼乱舞を使用」

 

「まだドローしたいカードがあるっていうの?」

 

「まぁ見てな、効果で俺は二枚ドローするぜ」

 

効果に従い、二枚のカードを引き、待ち望んでいた一枚をようやく引いたのか、ハンナに対し笑って見せる。

 

「待っていたカードは来たの?」

 

「へっ、行くぜ武装鳥スピニードハヤトを召喚!」

 

呼び出したカードは尻尾に槍、翼に刃を取りつけ、まさしく武装鳥と言う名にふさわしい鳥の様な姿のブレイヴ、スピニードハヤト。

 

「へぇ~、それが待ってたカード。緑のブレイヴか」

 

「前にスピニードハヤトと使った人とバトルした事があって、初めて見た時から赤と組ませやすいカードだなと思ってたから、思い切って入れてみたんだよ。頼むぜ、スピニードハヤト、初陣だけど存分にお前の力見せて貰うからな」

 

和人の言葉に答える様に翼を羽ばたかせながら鳴き声を上げる。

 

「行くぜ、ジークヤマトフリードに武装鳥スピニードハヤトを合体!!」

 

翼を羽ばたかせながら、ジークヤマトフリードに取り付き、合体する二体。スピニードハヤトの翼にあった刃は腕に、尾に付けた槍は背中にそれぞれ装着され、ジークヤマトフリードの赤い羽根は、スピニードハヤトの色を象徴する緑色に変わる。

 

「合体スピリット、来たね」

 

「さらにジークヤマトフリードをLv.4にアップ!!」

 

スターブレード同様Lv.4となり、BPもハンナのスターブレードと並ぶ。睨みあうソードブレイヴスピリットと、ブレイヴスピリットの二体。

 

「アタックステップ、スピニードハヤトの合体時効果発揮、ステップ開始時色を一色指定。このターンの間、そのスピリットにブロックされた時、回復する。指定の色は赤」

 

「本気で防がなきゃやられそうだね」

 

「行くぜ、合体スピリットでアタック!」

 

翼を大きく羽ばたかせてハンナに向かう合体スピリット。

 

「戦竜エルギニアスでブロック、したら赤のスピリットとしても扱うエルギニアスじゃあスピニードハヤト効果で回復されちゃうし、どうしようかなぁ?」

 

エルギニアスは本来青のスピリット、だが赤のスピリットとしても扱われる自身の効果は、スピニードハヤトに対してデメリットでしかない。しかしそれでもハンナは以前慌ててはいない。

 

「まさかカウンターマジックを僕が持ってない。とは思ってないよね?」

 

「勿論」

 

「それじゃあ行くよ、マジック! 爆砕轟神掌! 不足コストはスターブレードドラゴンから確保でLv.3にダウン。そしてマジックの効果で、ソードブレイヴスピリットを回復し、さらにレベルアップ! ブロックだ!」

 

青い光を纏い、回復と同時に迫りくるジークヤマトフリードにシャイニングソードを構える。ジークヤマトフリードは立ち塞がるスターブレードに背中の無数の槍を一気に投げ付けるが、それを全てシャイニングソードで弾き返し、そのまま向かってくるジークヤマトフリードを受け止めていく。

 

「どっちのBPも互角、けど特攻覚悟の和人兄ちゃんにとっては関係ないよね」

 

「……」

 

「例え相打ちに終わってもブレイヴのスピニードハヤトは回復状態で残る。そしてライトブレイドラとスピニードハヤトで攻めれば、ブロッカーがエルギニアス一体しかいない僕の負け。そういう作戦でしょ?」

 

ハンナに質問に和人は表情を変えていないが、それを気にせずハンナは逆に勝ち誇った様に笑みを浮かべる。

 

「僕のカウンターがこれだけだと思ってたら、大間違いだよ! フラッシュタイミング、マジック、サジッタフレイム!」

 

「!」

 

「まずはライトブレイドラを破壊するよ!」

 

天より降り注ぐ無数の火の矢。何本もの矢が突き刺さり、ライトブレイドラは爆発を起こす。

 

「さらにもう一枚マジック、双光気弾! 不足コスト確保でエルギニアスを破壊するよ」

 

・【双光気弾】/3(1)赤。

【バースト:相手による自分のスピリット破壊後】

『バースト効果』自分はデッキから二枚ドローする。その後コストを支払う事で、フラッシュの効果を発揮する。

『フラッシュ効果』相手の合体スピリットのブレイヴ一つを破壊、又は相手ネクサス一つを破壊する。

 

「いつまでもソードブレイヴスピリットとブレイヴスピリットのバトルを見ていたいけど、そろそろ幕引きをしないとね。効果により、スピニードハヤトを破壊するよ」

 

バトルではスターブレードを弾き飛ばし、一気に勝負を決めようと手に持つ両手の刃を振おうとした瞬間、双光気弾により放たれる二つの火球がジークヤマトフリードに直撃。爆風から何とか出てくるも、身に纏っていたスピニードハヤトは破壊され、元の姿に戻っていた。

 

「勝負ありだね、このバトルでジークヤマトフリードを破壊すれば再アタックはなし。この勝負、悪いけど僕の勝ちだね」

 

「フラッシュで────」

「おっと、今の和人兄ちゃんのリザーブにあるコアは残り一個。例え手札にBPアップのマジックをあったとしても、使用コストはジークヤマトフリードから確保しなくちゃならないから、レベルを下げなきゃならないね」

 

勝ち誇った様に笑うが、正にハンナの言う通りだった。既にリザーブのコアは1つ。手札にあるマジックを使用しようものなら、ジークヤマトフリードから確保しなければならない。バトルではスターブレードドラゴンが圧倒的優勢となり、シャイニングソードの大振りがジークヤマトフリードを弾き飛ばし、一気に勝負を決めようと斬りかかって行く。

 

「これで決まりだよ!」

 

「それはどうかな?」

 

「!」

 

「勝負は何が起こるか最後まで分からないぜ、フラッシュタイミング! マジック、ネイチャーフォース!!」

 

「!!!?」

 

・【ネイチャーフォース】/3(2)緑。

『フラッシュ効果』自分のトラッシュにあるコア全てを、自分のスピリット一体の上に置く。この効果はメインステップでは使えない。

 

和人が使う緑のマジック。そのカードの使用はハンナ達が予想もしていなかったカードだった。

 

「ま、まさか三札之術と双翼乱舞で引きたかったカードはスピニードハヤトじゃなく、このカードの事!?」

 

「そういう事。効果でこのマジックの使用コストを含めたトラッシュにあるコア、計8個全てをジークヤマトフリードの上に置く」

 

「トラッシュにあるコア全てを戻すって事は……」

 

「大方予想できるだろ、これで俺の手札にあるマジックの使用コストを十分確保できるって訳だ。フラッシュタイミングで五輪転成炎を使用!」

 

・【五輪転成炎】/4(2)赤。

【バースト:相手による自分のスピリット破壊後】

『バースト効果』このバースト発動時に破壊された、自分のトラッシュにある系統:「覇王」を持つスピリットカード1枚を召喚する。ただし、「このスピリットの召喚時効果」は発揮されない。その後コストを支払う事で、フラッシュの効果を使用する。

『フラッシュ効果』系統を一つ指定する。このターンの間、合体していない指定した系統を持つスピリット全てをBP+4000する。

 

「系統:「古龍」を指定だ」

 

「合体していないスピリットのBPを上げるマジック」

 

「さっきの双光気弾を逆に利用させてもらったぜ!」

 

炎の円がジークヤマトフリードに集い力を上昇させ、向かってくるスターブレードドラゴンを弾き返し、弾き飛ばしたスターブレードに態勢を整える暇を与えず、一気に斬りかかり、何とかそれを受け止め、互いに鍔迫り合っていく。

 

「それでもまだBPは僕のソードブレイヴスピリットの方が上だよ」

 

「勿論、分かってるさ。だからもう一枚! 五輪転成炎ッ!」

 

「まだ持ってたの!!?」

 

「もう一度、「古龍」を指定してさらにBP+4000、これで合計BP28000だぁッ!!」

 

一気にBPを上回り、鍔迫り合う両者だが、次第にジークヤマトフリードが押していき、渾身の力を込めて一気に刃を振い、ジークヤマトフリードの力に完全に押され、そのままジークヤマトフリードの一閃がスターブレードドラゴンを斬り裂き、大爆発が起こる。

 

「マジックラッシュのカウンターを破られたのは初めてだよ」

 

「へっへ、どんなもんだッ!」

 

「フフ、やっぱり期待してた通り、嫌、和人兄ちゃんは期待してた以上の人だよ」

 

「そう言えばさっきから気になってたんだけど、俺に期待してるとかしてないとか何の話してんだ?」

 

「あぁごめんごめん。後で話すよ、それより今はバトル続けてよ?」

 

「それじゃぁ遠慮なく、ジークヤマトフリードでアタックだッ!!」

 

最後のライフ目掛けて突っ込むヤマト。渾身の力で振う刃が最後のライフを砕き、決着となる。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「和人疲れ様、和人もハンナ君もすごい良いバトルだったよ」

 

「いい試合だった。お前が白のマジックや緑のブレイヴ。それにネイチャーフォースまで使ってるのは驚かされたよ」

 

試合が終わるなり、和人達のバトルを称賛しながら駆け寄る咲達。

 

「和人もようやくワンパターンなのは卒業したってことかな」

 

「川村、んな言い方ねぇだろ! もうちょっと言い方考えてくれよ」

 

「お生憎様、口が悪いのは生まれつきでこんな言い方しかできないんだよ」

 

「まぁまぁ、愛実ちゃんも和人さんの勝利を祝ってるんですよ」

 

「ホントかよ?」

 

「和人兄ちゃん、はいこれ」

 

半信半疑で呟く和人に笑う川村達。そこへ突然肩を叩くハンナ。振り替えると一枚のカードを差し出され、そのカードは先程のバトルで使用していたシャイニングソードのカード。

 

「これって、ソードブレイヴじゃん」

 

「和人兄ちゃんにあげるよ、勝利の祝いと今までの悪口のお詫びとしてね」

 

「えっ!? でもXレアだし、貰っていいのかよ?」

 

「いいんだよ。僕もう3枚持ってるし、何より和人兄ちゃんに使ってもらいたいんだ。和人兄ちゃんならきっと、兄ちゃんを変えてくれる。そんな気がするからそのカードを託すんだよ」

 

「兄ちゃんってアキラの事だろ? 俺が変えるってどういう事だ?」

 

「ちゃんと今から話すって」

 

「あっ! それ以前に、俺気になってた事があったんだ!!」

 

「?」

 

「お前、ヘリオスドラゴンの召喚パフォーマンス、俺のエクスキャリバスの時と被ってる!!」

 

「「「そんな事!!?」」」

 

あまりにレベルの低い和人の主張に思わず全員ずっこけ、ハンナも呆れ気味に冷や汗を掻く。

 

 

 

 

「う~~ん、どうしっよかな~~?」

 

わざとらしく悩む素振りを見せたかと思うと、軽く舌を出しながら「やっぱ無理」と言って走り去って行く。

 

「おい、待てよ!! やっぱちょっと被るのは気になるんだって!」

 

「僕は別に和人兄ちゃんと被ってても気になんないもんね。むしろモロ被りにしてもいいぐらいだよ?」

 

「ふざけんな、ちょっと待てよ!!」

 

「ハンナ君楽しそうだね」

 

「放っておいたら何処行くか分からないぞ?」

 

「それもそうだよね」

 

まるで兄弟の様に見えるハンナと和人の二人に微笑ましい物を感じながらも、二人の後を追っていく咲達。光や愛実も後を追おうとするが。

 

「ごめん、ちょっと用事思い出した」

 

「えっ? それなら私も付き添いますよ?」

 

「いいのいいの。すぐ済む用事だから。終わったら合流するから光は先に入ってて」

 

「……分かりました。じゃあ愛実ちゃんも早く来てくださいね」

 

多少不思議に思いながらも和人達の後を追っていき、光達の姿を見えなくなったのを確認すると、辺りを軽く見渡す。

 

「人払いはできた、そろそろ出てきてよね。ダイキ」

 

冷たい目つきでの呟く彼女の言葉、すると後ろの物陰から顔を出すダイキの姿が。

 

「ハッハ、随分和気藹々とやってたなァ。お前等のやり取りは見てて微笑ましい限りだぜ」

 

「最初から見てたの?」

 

「まぁな、随分仲良さそうに見えたぜ。和人に気でもあったりしてな?」

 

「変な冗談言わないで、あんたが来た用件だけさっさと済ませてよね」

 

「まったく何処かの弟さんみたいに口が悪いこったぁ、まぁいいがな、今日はお前のハイドカードの様子を見に来ただけだよ」

 

「……」

 

懐から取り出す青のハイドカード、だがアキラに渡された時のまま今だ白紙の状態で、それを見ると溜息をつきながら、わざとらしく肩を落として見せる。

 

「おいおい、まだ目覚めてねぇのかよ。何のためにこの施設作ったんだよ? そのハイドカード目覚めさせる強者を集めるため、おびき出す為にこの施設を作ったんだろ?」

 

「目的はちゃんと覚えてるよ、ただこのハイドカードが満足する程の強者が早々居ないから、手を焼いてるんだよ」

 

「だったらお前のお友達、和人とかとバトルすりゃあいいだろうが? 和人ならアブソドリューガやバーニングドラゴンまで目覚めさせてくれたカードバトラーなんだ。そいつとバトルすれば、一発で目覚めるだろうよ?」

 

「…………関係ないでしょ?」

 

「けっ、お前にもまだ迷いってのがあるのか? 何を躊躇う事がある? ただバトルするだけだろ?」

 

「別に和人達を巻き込む必要はない────」

「甘ぇんだよッ!!!」

 

戦車の絵が描かれていたタロットカードを突きつけながら、彼は続けていく。

 

「戦車の正位置、意味は運命。分かるか? お前が力を手にするのは運命。その運命からは逃れられない。そしてお前の決められた運命の道には戯言は一切通じない。非常になれ、テメェは俺達と同じ道を歩むんだろ?」

 

「けど、私は……」

 

「はぁ~、オッケー。なら一旦あいつに会わせてやるよ。それならお前の迷いってのも晴れる筈だからよ」

 

「あいつ?」

 

「お前等が気になってる俺等のスポンサーさ」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「まったく、和人も咲もどこに行ったんだか」

 

先へ先へと言ってしまう和人達をすっかり見失ってしまい、困ったように溜息を零すリクト、だがそこへ。

 

『来道リクトォ』

 

「!」

 

背後から聞こえる声、その声に一瞬寒気を感じながらも振り返り、そこにいたのは紅髪の目立つアキラの姿があった。

 

「アキラ、お前が何でこんな所に?」

 

「俺がこんな場所に来るのがそんなに可笑しいか? まぁ俺も仕事じゃなきゃこんな場所に来ないがな」

 

「仕事だと?」

 

「スポンサーの指示で来ただけだ。それ以外の用事はない」

 

「またスポンサーか、一度度会ってみたいものだな。お前等のスポンサーって言う人に」

 

「へぇ、そうか」

 

リクトの言葉に笑ってみせると、「なら丁度いいな」と呟いたかと思うと、後ろに振り返り、つられる様に同じ方向を向くと、そこにはフードを被った男がこちらに歩み寄って行き、そしてリクトの目の前まで歩み寄ると、軽くフードを脱ぎ、にこやかに笑って見せる。

 

『初めまして、来道リクト君』

 

薄茶色の髪に、半袖のシャツから微かに見える傷が特徴的な人物。わざとらしいその笑顔はリクトにとって、とても不吉と感じさせるものもあった。

 




いかがでしたでしょうか?今回はハンナの正体など、前から張ってた伏線を回収いたしました(^O^)/←

かなり憎まれっ子ではありますが、最後の方で丸くさせられたの良きかな良きかな(笑)

スターブレードドラゴン、アニメでは未登場で終わったのでこの小説で暴れさせられてよかったです(笑)ただ、スターブレードといい、ヤマトといい、今度発売するキリガのデッキに二枚とも収録され、スターブレード、そして二度目であるヤマトは特にXレアとしての価値が落ちるような気がしてちょっと残念(/_;)

まぁそれは置いといて次回のサブタイトルは『冷氷の宝龍! 激昂の獄炎龍!』
次回の見どころはハイドカードであるアブソドリューガ、バーニングドラゴンが!!!
さらにさらに、4枚目のハイドカードが!!!

次回もぜひ宜しくお願いします!
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