バトルスピリッツ激震の勇者   作:ブラスト

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和人「読者の皆様へ! 今回は作者に代わり挨拶務め差していただきます!」
咲「私も務め差していただきます。よろしくです!」
和人「まず始めに、タイトル通り今回は本編ではないです!」
咲「そう、作者が企画してから約1年!」

和人「のろまな作者がついに書き上げました!! 何と今回は作者初のクロスオーバー作品を!!」
咲「長らく待たされましたよね、本人もリアルが忙しいとは言ってますが当然さぼった期間もあるんですよね」
和人「まぁ作者は後で川村にののしってもらうとして、ぜひ特別編、ご期待してみてください!」



はい。和人達の発言に返す言葉がないブラストでございます。二人の言うとおり今回は本編ではなく、特別編!!
私が書いてるこの「バトルスピリッツ激震の勇者」、そして!!
にしはる様が書いていらっしゃる「バトルスピリッツアナクロニズム」とのクロスオーバー編となります!!企画から長らく、長らくお待たせして大変申し訳なかったです!!リアルが忙しい中、中々掛ける事が出来ず私自身もそれには辛かったのですが、今日公開出来て多分自分が一番、感極まってます!!(/_;)←

期待してくださった方、長らくお待たせして申し訳ないです。クロスオーバー企画に待ち望んでいただいてた読者様、そして何よりクロスオーバーの話を承諾してくれたにしはる様!! ご期待にこたえられたかは分かりませんが、それでも自分に持てる力を使いきる勢いで書かせていただきました。ぜひ長文ではございますが、御観覧の程、宜しくお願いします。(^O^)/


特別番PART1『刀剣乱舞! 剣皇獣VS冥府の三巨頭』

「これで決めるッ! ジークヤマトフリード、カタストロフドラゴン、そしてエクスキャリバスでアタックだッ!!」

ヘアバンドを着けた中学生程の少年、彼の言葉にドラゴン達は相手目掛けて、勢いよく猛スピードで飛び掛って行く。

 

「全テライフデ受ケマス」

対戦相手はロボットの様で、機械交じりの音声で答えると、バリアが展開されカタストロフが最初に豪炎を放ち、間髪いれずに高温の炎を浴びせたバリアをジークヤマトフリードが剣で叩っ斬ると、衝撃に連続してライフが砕けていき、相手のライフが残り一つになるのを見届けると、ヤマトとカタストロフは上空に飛び上がり、飛び上がった瞬間エクスキャリバスがこちらに突っ込む姿が視界に映り、止まる事無くそのまま突き進み、頭部に携えた剣がバリアを貫き、相手のライフが0となり少年の勝利となる。

 

 

 

 

『オールフィールドで、あなたも熱い戦いを!』

先程のバトル光景から一変、告知のようなタイトルログに場面が切り替わり、そこでリモコンを手にテレビを消す少女。

 

「ねぇ? どうだった? オールバトルフィールド、あの街にしかない名物の一つ!」

先程のテレビの事を楽しげに話すのは低い背ながらも大人びた雰囲気で、明るい金髪が目立つ少女。名前は崎間深月(さきまみつき)「おもしろそうでしょ」、と続けながら彼女ソファーに腰掛け、のんびりとくつろぎながら同じテレビを見る茶髪の男性に声を掛ける。男性の名前は神田俊道(かみだとしみち)

 

「バトル内容はともかく、そのオールフィールドっていうシステム的にはバトルフィールドとほぼ変わらないんじゃないか?」

その場で背筋を伸ばしながら欠伸交じりの声での返答。我が物顔でくつろいでいる神田だが、ここは彼の家ではない。そんな対応する様子に軽く溜息をつくだけで特に突っ込む事はなく、崎間はテーブルに置いてあった一枚の紙を手に取る。

 

「オールフィールドだけじゃなく、バトスピパークっていうバトスピをテーマにした遊園地もこの街限定であるの。何でもまだ中学生ぐらいの娘、ある財閥家の令嬢二人が発案したのがきっかけだって」

彼女の振る新しい話題に反応して見せるが、そこまで大きく食い突く程ではなく、軽い相槌を打ちながら手渡された紙を目に、書かれた内容を読んでいく。

 

「金持ちって言うのは、子供でも企画外って訳だな」

「それどういう意味で言ってるの?」

「いい意味で、かもな」

「…………」

悪戯っぽく笑うがそれをスルーしながら、彼女は何か思いついた様に手を合わせる。

 

「ねぇ、折角だから今度私達もこの街に行ってみない?」

「!」

急な提案を驚いた様に一瞬目を見開く。だが興味はあったのか断ろうとする様子はなく、むしろその提案には乗り気の様子だった。

 

「まぁ色んなカードバトラーに会えるのはおもしろそうだな」

「でしょ? 皆も誘ってぜひ行こうよ」

「そうだな……ん? 皆?」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

翌日早朝、とある駅に着く電車。プラグドアが開き、人混みに紛れ、神田と崎間の他に、全体的な黒い格好の目立つ女性と、キャップを被った小学生ほどの背丈の少年を加えた4人になっていた。

 

「まさか、一縷や拓郎まで来るとはな」

「当たり前だろ、ねーちゃんと二人きりになれると思うなよ!」

食い気味に突っかかって行く小学生程の背丈の少年、灰島拓郎。その様子に隣で可笑しそうに小さく笑っている少女、名前は猪狩一縷(いかりいちる)

 

「まぁ別に俺は何人でも構わないんだがな、それに崎間と二人きりになりたいと思ってるのはお前じゃないのか?」

「なっ……!!」

意地悪い笑みを見せ、その様子に拓郎と呼ばれた少年は顔を赤くして口籠り、崎間と呼ばれる金髪の女性は「大人げない」と呆れたように頭に手を付きながら小さく呟いている。

 

「はいはい、その辺で! それより折角来たんだし、何処へ行く?」

話題を切り替えるように、手を叩いて仲裁に入る。

 

「皆に、任せる」

「俺はねーちゃんの行くとこなら別に!」

見慣れない街、あまり当はないのか特に自分達の意見はない様子。

 

「神田はどうする?」

「俺は……ならテレビでやってたあのオールフィールドってとこ、そこ行ってみるか?」

「オッケー、ならそこにしよっか!」

「話題振っときながら他人任せかよ」

端から彼女の返答を分かっていたのか、素っ気ない突っ込み。悪戯っぽく笑いながら彼女は突っ込みを適当に流し、オールフィールドへと足を進めていった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

『エクスキャリバス行っけぇーッ!!』

「ら、ライフで受ける!!」

 

神田達がオールフィールドへ入るや否や、目に飛び込むのは中央にある巨大なスクリーンに映し出された二人のカードバトラー。バトルはすでに終盤。どこか見覚えのあるヘアバンドを付けた少年は、攻撃指示を出すと、エクスキャリバスは大きく吠えながら最後のライフ目掛けて勢いよく特攻する。

 

「負けたぁ!!」

「よっしゃぁ俺の勝ちッ!!!」

 

リアルバトルフィールドから元の場所へと戻ると、勝った方の少年はVサインを突き出しながら勝利に舞い上がっている様子。

 

「和人お疲れ様、今日も快調だね」

「サンキュー咲、まぁ相棒達と一緒なら軽い軽い!」

 

「あんまり調子に乗ってると、足元すくわれるよ。なんなら私に負けて一回すくわれてみる?」

「上等だぜ川村、誰が相手でも負けるつもりはねぇぜ!!」

台から降りるなり、知り合いのような少女や少年が声を掛ける。そんな彼等の姿を遠目から確認し、彼等の姿を見ると深月達は何かを思い出したように。

 

「ねぇ確かあの子だよ、テレビでバトルしてた! それに隣にいるのって、あの時話したバトスピパーク創設者の令嬢だよ」

「来て早々、有名人とあったもんだな」

「折角だから行ってみよっか!」

 

面白そうに提案するやすぐに少年達の所へ深月達も駆け寄って行く。

 

「ねぇ君、ちょっといいかな?」

 

「……?」

 

「最初に初めましてだね。私、崎間深月、こっちは神田、一縷ちゃん、拓郎君って言うんだけど、私達テレビでこの施設の事がテレビでやってて興味があって来たんだけど、その時にバトルしてたの、もしかして君だよね?」

 

「えっ? テレビ!?」

 

深月の言葉に少年は全くの初耳であるかのように、動揺を隠せていない。だが、そんな和人に口添えをするようにまるでお嬢様の様な少女が前へと出る。

 

「和人さん、前に行ったじゃないですか? 知恵さんに私がオールフィールドのPRを依頼されたので、その時和人さんのバトルを宣伝用にテレビで使うって」

「あっ、すっかり忘れてた」

 

「相変わらずバトル馬鹿だな」

「まぁ和人兄ちゃんらしいけどね」

呆れたように手を着く少年、そしてその横で小学生程の少年も隣で苦笑いしてる。

 

「まぁとにかくそんな話は置いといて、深月さんですよね? 俺に何か?」

「あはは、まぁ私たち良かったら君達とバトルしたいなって思って声掛けたんだけど、よかったらフリーバトルでもどうかなって?」

 

突然の深月の提案に、神田は一瞬驚いたような表情を見せたが、彼自身もまた少年達とバトルする事に興味はあったのか、少し間を置いて「フリーバトル、良かったら俺とも相手お願いできないか?」と深月の話に自分も乗り、それには勿論拓郎と一縷の二人も便乗するようにデッキを構える。

 

「フリーバトルなら喜んで!! ぜひ俺からもバトルお願いします!!」

 

彼もまた深月達の挑戦にデッキを構えて、すぐにでも勝負する気満々の様子だが、「一寸待った!」、と突然呼び止めるように前に出る一人の女性。

 

「知恵さん!!」

「和人君も皆ももうすぐ大会だよ、大会で使うからリアルバトルフィールドはフリーバトルじゃ使用できないし、それに和人君達も大会参加するんでしょ?」

 

「そうだった、そうだった。ごめん知恵さん。つい熱くなって!」

どうやらこの施設のスタッフだろうか、知恵と呼ばれる女性の言葉に和人は思い出したように軽く謝る中、知恵も神田達に気付いた様子で。

 

「あら、見ない顔だけどもしかして、ここは初めて?」

「はい。私達テレビでここの紹介を見て、面白そうだから遊びに来たんです」

「そうなんだ。私は村井知恵って言うの。バトスピショップとここのスタッフも兼任してるからよろしくね。よければ今日君達も参加してね」

「はい」

 

「じゃぁ、まだ仕事があるから」と一旦その場を後にする知恵。神田はすぐにはバトルできない事に少しだけ残念そうにしながらもデッキを仕舞い和人達を見る。

 

「じゃぁバトルは大会って事で。えっと、そう言えばまだ名前聞いてなかったな?」

 

「あっ、俺、若槻和人って言います!」

「木野咲です。宜しくお願いします」

「川村愛実です」

「俺は来道リクトって言います」

「僕、火道ハンナって言うんだ。おねーさん達宜しくね!」

 

「へぇ~ハンナ君って言うんだ。よろしくね」

「よ、よろしくです」

自己紹介する面々だが、深月や一縷に対して相変わらずあざとく挨拶を交わすハンナと言う少年。少年の様子に深月ややや硬くなりつつ一縷も笑顔で挨拶を返し、猫被るハンナにやや和人は苦笑い。

 

「まぁとにかくバトルは大会で!! 俺、神田さん達の戦うの楽しみにしてますから」

「まぁ照れるけど、俺も楽しみだ。お互い勝ち残れるといいな」

大会が始まる前から意気込む和人。神田達もまた表情には出さないものの、静かに闘志を燃やしている。そんな中、遠目から彼等の様子を確認する二人の人物の影が……。

 

「面白そうな事になってんじゃねぇかァ、久々に大会に足運んだ気になった甲斐があったぜ」

「ふん、あまり面白いとは俺は思わんがな」

一人はタロットカードを片手に、紫髪が特徴的な人物、城島ダイキ。もう一人は紅髪と無愛想な表情が特徴的な火道アキラ。

 

「大会参加しねぇ奴には関係ねぇだろ」

「来るつもりはなかったが、お前にハイドカードを使わせないよう監視役でスポンサーに頼まれただけだ」

「お目付け役ってわけね、まぁ心配しなくてもこんな場で使う気も必要もねぇから安心してろォ」

 

ハイドカード、その謎の言葉を口にしながら彼等も和人達を遠目で一瞥しつつその場を後にし、まもなく大会が開始される。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

大会が始まりガンスリンガー形式からの予選がスタートするが、和人や神田達は難なく連勝を重ねて予選突破。続く本戦へと進んでいく。

 

『勝ち上がった皆さん予選突破おめでとうございます! でも休む間もなく次は本選を開始致します!!』

 

ステージに立って司会を務めている知恵。喚起する観客や参加者達の中で、彼女の姿に「何でもやるんだな」と深月達は軽く苦笑い。

 

『では最初に一回戦の組み合わせを発表します!!』

 

大画面のモニターに参加者達の名前が並べられ、シャッフルを開始したかと思うと、そのまま二人の名前が抜きだされ画面上に表示される。

 

『一回戦は城島ダイキ選手、そして神田俊道選手の試合!! 本戦からはリアルバトルフィールドで行われます。各選手ステージ上へ!』

 

「やれやれ、いきなりトップバッターか」

「まぁ頑張ってね!」

「にいちゃん頑張れよな!」

深月達のエールに軽く手を振って応えながら、ステージ前へと出る神田。和人達もいきなりの神田の試合に興味がありながらも、その対戦相手であるダイキにもまた気になっていた。

 

「あいつもこの大会に参加してたのか」

「一回戦から波乱になりそうだね」

 

観客達の視線がステージへと出る二人に募る中、平静さを取り繕う神田に、対戦相手であるダイキは何食わぬ顔でステージ前へと立つ。

 

「一番最初のバトル。まぁ宜しく頼むぜェ、先輩?」

「まぁ一応歳上なんだが、御手柔らかにな」

 

『それでは二人共コール宜しく!』

 

「「ゲートオープン解放ッ!!」

 

二人の掛け声と共に、舞台はバトルフィールドへと移り変わっていき、二人の姿はスクリーンへと映し出される。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

────第1ターン、ダイキside。

 

[Hand]4枚→5枚。

[Reserve]4個。

 

「まぁ俺も御手柔らかに頼むぜェ、神田さん」

「手加減してたら、瞬殺されると思うんだがな」

「俺の事を買い被りすぎてると思うぜ。まぁさっさと始めるか」

どちらも癖のあるカードバトラー、まだ始まったばかりのこの時点で二人の読み合いは既に始まっているのだろう。

 

「まずはストロゥパペットを召喚、続けてネクサス、闇の聖剣を配置するぜ」

「紫デッキか」

「あぁ、Lv.1効果は俺の破壊されるスピリットのコストを3、4に変更する効果、これがどういう意味かは分かるよな?」

 

「不死が主力、って言った所か?」

 

紫使いの相手、【不死】を使う相手は一縷との対戦で経験があり、経験から舐めて掛っては本当に瞬殺されかねない事も神田は理解して居る。

 

「俺はターンエンド」

 

 

 

 

────第2ターン、神田side。

 

[Hand]4枚→5枚。

[Reserve]4個→5個。

 

「まずはメイパロットをLv.1で召喚。召喚時効果でボイドからコアを一つ、このスピリットの上に置く」

 

登場早々、召喚時の効果により緑のオーラを纏いながら翼を羽ばたかせると、コアがメイパロットの上に置かれる。

 

「バーストは発動しないのか」

 

「気にせずどうぞ」

 

条件を満たしていないのか、それとも意図的に発動させていないだけなのか、バーストは沈黙を保ったままの状態だが、ニヤニヤと笑みを浮かべ、人を食ったような態度を見せつけるダイキ。だがそれを一切気する様子を見せず、涼しい表情のままプレイを続けていく。

 

「俺はブフモットを召喚」

 

メットを被ったモグラのスピリット、ブフモット。だがそのスピリットの効果を知っているのか、そのスピリットを見た途端、少しだけ馬鹿にした様な態度を見せる。

 

「破壊時効果を持つブフモット、紫相手に破壊時効果を持つスピリットを並べるのはあまり言い手とは言えないんじゃないか?」

 

「御忠告どうも、だがわざわざ人のプレイにまで口を挟むのは、流石に過ぎるんじゃないのか?」

 

「ハハ、まぁ餓鬼の戯言と思って流しててくれよ、俺も少し出過ぎるこの御喋りは控えるからよ」

 

「まったく食えない奴だ。俺はこれでターンエンド」

 

 

 

 

────第3ターン、ダイキside。

 

[Hand]3枚→4枚。

[Reserve]3個→4個。

[Field]ストロゥパペットLv.1(1)、闇の聖剣Lv.1(0)。

 

「俺のターンだ。闇騎士アグロヴァルをLv.2で召喚してバーストセット。さらにアタックステップだ!」

 

かつてアーサー王に仕えたとされる円卓の騎士と同じ名を持つスピリット、アグロヴァル。さらにバーストをセットし、手堅く場を固め、準備完了と言わんばかりにアタックステップへと入る。

 

「!」

 

「ストロゥパペットでアタック」

 

最初に攻撃を仕掛けたのはダイキ。小槌を構えながらフィールドを駆けていくストロゥパペットに対して、一瞬ダイキが伏せてあるバーストを伏目で一瞥しつつも、迷うことなくブフモットのカードに手を置く。

 

「俺はブフモットでブロックする」

 

「いいのかァ? 俺のバーストが見えてない訳じゃないよなァ?」

 

「余計な忠告をどうも、バトルを続けるぞ」

 

「後悔しても知らねぇぞ?」

 

ブロックの指示にストロゥパペットを迎え撃とうと駆けだすブフモット。両者互いに身軽な体で大きく飛び上がり、互いの相手に飛び掛かって行き、ストロゥパペットは手に持っていた小槌を、ブフモットはチョップのように腕を振り下ろし、互いの攻撃は互いの頭に直撃し、両者そのまま目を回して地面に激突し消滅。

 

「ブフモット破壊時効果発揮、このスピリットが破壊された時、BP4000以下のスピリットを2体疲労させる。よって、闇騎士アクロヴァルを疲労させる」

 

「こっちの効果も発揮してるって事忘れんな、闇騎士アクロヴァルのLv.2効果発揮で相手のコア一個をリザーブに置く」

 

「闇の聖剣がある事で、お前の全てのスピリットがアグロヴァルの条件をクリアできる訳か」

 

「復唱が必要ないみたいで安心したぜ、遠慮なく俺はメイパロットを指定し、コアを一つ取り除かせてもらう」

 

ブフモットの効果で披露し片膝をつくアグロヴァルだが、片膝を付きながらなおも顔を上げ、メイパロットを睨むとメイパロットからコアを取り除き、足掻こうと翼を羽ばたかせても所詮悪足掻き、そのまま消滅してしまう。

 

「俺はこれでターンエンド」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「ねえちゃん、全てのスピリットがアグロヴァルの条件をクリアできるってどういう事?」

 

「ではここで詳しく互いの戦略を説明しますか」

 

卓郎の質問に対し、深月は手に持っていた携帯を適当にいじると、アクロヴァルと闇の聖剣のカードを別々に表示した画像を見せながらさらに続けていく。

 

・【闇騎士アグロヴァル】/3(1)紫。[スピリット]

【不死:コスト4】『お互いのアタックステップ』

トラッシュにあるこのカードは。コスト4の自分のスピリットが破壊された時召喚できる。

Lv.2

コスト3の自分のスピリットが破壊された時、相手のネクサス/スピリットのコア一つをリザーブに置く。

 

・【闇の聖剣】/4(2)紫。[ネクサス]

Lv.1、Lv.2

自分のスピリットが破壊された時、そのスピリットのコストを3/4としても扱う。

Lv.2

相手のスピリットが合体した時、その合体スピリットは疲労する。

 

 

 

 

「この二つのカードで最も注目すべき点は、アグロヴァルのLv.2効果と闇の聖剣の破壊するスピリットをコスト変更する効果、つまりこの二つの効果はコンボとなってる訳」

 

「でも破壊しまくって行けば、いつかは相手もスピリットが尽きていくんじゃ?」

 

「その点は不死で補える。何せ恩恵を受けるのはアグロヴァルだけじゃない。むしろ、その恩恵を受けるべき本命は不死の方だからね」

 

「まぁ簡単に言えば、ダイキ君がもう一体コスト3か4を条件にする不死持ちのスピリットを召喚した時点で、不死ループが完了。ダイキの場のフィールドにスピリットが尽きる確率がほとんどなくなるって事」

 

「じゃぁ神田の方が滅茶苦茶不利じゃん」

 

「そういう訳でもないよ、コアを外していくスタイルは紫の十八番でもあるけど、外せるコアにはどうしても限りがある。なら単純な解決方法は?」

 

「ならコアを増やしていけば……!」

 

「正解!緑vs紫の戦いならむしろ、神田の方に分があるかな」

 

「けど、相手は勿論、そんな単調じゃない気がする」

同じ紫使いである一縷は、ダイキの様子に油断はできない事を感じ取っていた。

 

 

 

 

 

「(コアを外すと言っても所詮アグロヴァルじゃ一個ずつが限界。ちまちまとした小細工じゃすぐに何かしらの対策を打たれちまう)」

 

ダイキ自身も今の状況ではまだ一手足りていない事を自覚はしている。だが依然余裕の表情は一切崩れてはいない。

 

「(まぁ次にこいつを出せば、俺の優勢のままゲームを進められるぜ)」

 

 

 

 

────第4ターン、神田side。

 

[Hand]4枚→5枚。

[Reserve]6個→7個。

[Field]なし。

 

「俺はアライゴヤとオウゴンオニクワガーをLv.1で召喚」

 

先程まで一体もスピリットがいなかった空虚な場から新たにスピリットを二体呼び出し、一体は先程ブフモットと同じく可愛らしい外見を持ったアライゴヤ、もう一体は金色の甲殻を持った昆虫のオウゴンオニクワガー。

 

「まったく、オウゴンオニ、特にアライゴヤとは厄介なスピリットを連続で呼び出してくれるぜ。連続アタック持ちとコアブーストができる昆虫はともかくアライゴヤなんて完全に俺のアグロヴァルに対するメタカードじゃねぇか」

 

「戦う相手に応じて対策カードを入れるのは基本だ。それに厄介なスピリットを出してるのはお互い様だろ。アタックステップ! まずはオウゴンオニクワガーでアタック! アタック時効果でコアを一つ自分のリザーブに置く」

 

「ライフで受けるぜ」

 

迫るオウゴンオニクワガーの攻撃に対し、アグロヴァルは先程のブフモットのせいで疲労状態のため阻む事は出来ない。ライフで受けるしかなく、展開されるライフに自慢の両顎を突き刺すように突進し、そのままライフを砕く。

 

・ダイキside。

【Life】5→4。

 

「甘いぜ、バースト発動だ」

 

自分のライフ減少を条件に発動し、伏せられていたカードが飛びそれをしっかり片手で掴むとそのカードを発動させる。

 

「マジック、妖花吸血爪! バースト効果により俺はデッキから二枚ドロー。コアを払ってフラッシュ効果もついでに使いたいとこだが、生憎コアが足りないんでなァ、これで終わりだ」

 

「なら俺もこれでターンエンド」

 

 

 

 

───第5ターン、ダイキside。

 

[Hand]4枚→5枚。

[Reserve]4個→5個。

[Field]闇騎士アグロヴァルLv.1(2)、闇の聖剣Lv.1(0)。

 

「俺はもう一度バーストセット。さらにグラシャハウンド二体、キャメロットポーンをそれぞれLv.1で召喚。不足コスト確保のため、アグロヴァルは破壊」

 

不足コスト確保のためアグロヴァルを破壊するも、ダイキの今の場にとってむしろアグロヴァルは必要ない。なぜなら神田の場にいるアライゴヤによってアグロヴァルは完全にその効果を封じられており、闇の聖剣とアグロヴァルでのコンボを使ったコアを外していく戦略を捨て、速効でライフを削る戦略へと乗り換えたのだろう。

 

「(これで場は整った二体のグラシャハウンドと闇の聖賢さえあれば不死をいつでも呼び戻せる。俺の優勢は動かねぇぜ)」

 

「…………」

 

対して神田の方は対抗策を既に用意しているのか、フィールドの状況に対してもずっと余裕の表情を浮かべているダイキとは対照的に、神田も試合開始からずっと涼しげな顔を全く崩していない。

 

「さすが神田先輩、どんな状況でもクールだぜ。でもな、そろそろ焦った方がいいんじゃないのか? アタックステップだ! グラシャハウンドでアタック!」

 

「ライフで受ける!」

 

「もう一体のグラシャハウンドもアタックさせるぜ」

 

「それもライフだ!」

 

二体のグラシャハウンドが連続でその鋭い爪でライフを引き裂き、破壊していく。

 

神田side。

【Life】5→3。

 

「これでターンエンド」

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりダイキは口先だけじゃないな」

 

和人達もモニターに注目しており、ダイキと一度バトルした事もあるリクトは、本人の他人を見下したような態度とは別にプレイテクニックは本物であり、それを深く関心しながら状況を見つめている。そこに「あっ! 和人君達だ!」と声を駆けながら近くにいた深月達とも合流し、適当に挨拶を交わしながら全員モニターを注目し直す。

 

「さっき神田の対戦相手の名前を言ってるのが聞こえたけど、もしかしてあのダイキ君って子は和人君達の知り合い?」

 

「まぁ面識はあるけど、俺はあんまりよく話した事は……」

 

「面識って言うならリクトの方があるんじゃない?」

 

まごつく様子の和人にすぐさま川村が口添えし、その言葉に対し、今まで自分が見てきたダイキの様子を思い返す。

 

「一言で言い表すなら食えない人間って言った所ですね。多分フィールドに居るスピリット達よりも癖の強い奴です」

 

「なるほどね。まぁ余所から来たばかりの私達はどういう関係があるのかとかそこら辺の事情はあまり聞かない事にするよ」

 

「ねぇねぇお姉ちゃんはさ、あの戦ってるお兄さんと、あのダイキって奴、どっちが勝つと思う?」

 

会話の中に加わって入って行くと、いつものようにナチュラルに深月に寄り添いながら尋ねる少年、ハンナ。そんなハンナに対し隣にいた卓郎は気に入らないと言った風に膨れ顔でハンナに突っかかって行く。

 

「んだよ! お前、ねえちゃんに馴れ馴れしいぞ!」

「ん? え~っと、誰?」

「俺は灰島卓郎だッ! ってか名乗ったろ!」

 

突っかかる卓郎に対し、表情を向けながらも目線を合わせないハンナ。その態度に余計苛立つように声を荒げ対照的に溜息をついて見せる。

 

「あ~はいはい。確かこの大会の参加者名にそんな名前の人いたね」

「だから一度お前の前でも自己紹介したよな!!?」

「ごめん忘れちゃったよ。あんま興味ない事覚えてられないから」

「んだとッ!!」

「まぁまぁ二人共!!」

喧嘩沙汰になりそうな雰囲気の二人の間を慌てて深月が仲裁に入り、「それよりバトルが動くよ!」という彼女の言葉が全員の視界をモニターに向けさせ、その言葉にハンナも卓郎も視界をモニターに戻す。

 

 

 

 

 

 

 

 

────第6ターン、神田side。

 

[Hand]3枚→4枚。

[Reserve]8個→9個。

[Field]アライゴヤLv.1(1)、オウゴンオニクワガーLv.1(1)。

 

「俺のターン、バーストセット。さらに重装蟲キャタパルガを召喚。召喚時効果発揮でコスト1以下のスピリット全てを疲労させる」

 

「!」

 

「俺の場のアライゴヤとオウゴンオニクワガーのコストは2と4、そしてキャタパルガ自身のコストは4。対するお前の場にはコスト4のグラシャハウンドが二体、そしてコスト0のキャメロットポーンが一体!」

 

該当するキャメロットポーンに視界を向け、独特な鳴き声を上げると突如キャメロットポーンの足下に根の様なものが絡みつき、それに力を奪われた様に無気力となり、項垂れるように身体を前に傾ける。

 

「ブロッカーはなし、倒してもスピリットが復活するなら倒さなければいいだけだ」

 

「……」

 

これをダイキも予期していなかったのか、先程まで笑みを浮かべていた表情は途端に真顔に切り替わっている。しかしダイキの表情に構う様子はなくそのままプレイを続けていき、全てのスピリット達のレベルをLv.2にアップさせるとアタックステップへと移る。

 

「まずはオウゴンオニクワガーでアタック!」

 

アタック時効果でコアを一つリザーブに置き、さらにこのターンの最初のアタックのため回復。そのまま止まる事無くダイキへと突っ込んでいき、ライフを破壊する。

 

・ダイキside

【Life】4→3。

 

「ハハ、俺が読んでないとでも思ってたか? バースト発動!」

 

先程の表情の変化は悪魔でブラフ。また歪んだ笑みを見せながら開いたバーストカードを手に持ち、そのバーストカードは円卓の騎士達が忠誠を誓う王の名を持つ覇王、ソーディアスアーサー。

 

「生死も関係ない。不滅の騎士達を従え、共に俺の勝利の道を切り開け、騎士の覇王ソーディアスアーサーを召喚ッ!」

 

突如暗雲に包まれていく空。空が完全に暗雲に覆われた瞬間、一筋の光が差し込み、その光よりソーディアスアーサーが舞い降りる。

 

「ターンエンド」

 

「もう終わりなのかァ?」

 

「余計な事は気にしないくていい」

 

「そうかい。だったら遠慮なく潰さしてもらうぜェ?」

 

 

 

 

────第7ターン、ダイキside。

 

[Hand]1枚→2枚。

[Reserve]4個→5個。

[Field]騎士の覇王ソーディアスアーサーLv.1(1)、キャメロットポーンLv.1(1)、グラシャハウンドLv.1(1)、グラシャハウンドLv.1(1)、闇の聖剣Lv.1(0)

 

「一気に片付けようか? 俺はボアトリクターをLv.1で召喚。さらにマジック、デッドリィバランスを使用。効果によりお互い自分の場のスピリット一体を破壊する。俺は召喚したてのボアトリクターを指定するぜ」

 

「俺はキャタパルガを指定する」

 

互いに指定したスピリット達は紫の炎に焼かれ、その場から消滅。だが、自分のスピリットの破壊に対して、ダイキは手を止める事なく、むしろ笑いながらプレイイングを続けていく。

 

「ボアトリクターの破壊時効果で俺は二枚ドローするぜ。さらにソーディアスアーサーをLv.2にアップ。不足コスト確保でキャメロットポーンを破壊」

 

増えた手札を一瞥しながら、場を整え終えたのかそのままアタックステップを宣言し、その言葉に場のスピリットは一斉に構える。

 

「ソーディアスアーサーでまずはアタック! と同時にこの瞬間俺はソーディアスアーサーのアタック時効果を発揮させる」

 

ソーディアスアーサーの効果はアタック時にトラッシュにある不死の効果を持つスピリットを条件無視で一体召喚できる効果。ダイキのトラッシュには不死を持つスピリットが射るため条件を満たしており、トラッシュから選択したボアトリクターを再び再召喚する。

 

「ボアトリクターの維持コスト確保でソーディアスアーサーをLv.1下げ、さらにフラッシュタイミングでもう一度デッドリィバランスを使用するぜ」

 

「二枚目か!」

 

「さっきと同様、お互い自分の場のスピリットを一体指定して破壊。俺は当然復活させたボアトリクターを指定する」

 

「……アライゴヤを指定する」

 

再び発動されるデッドリィバランス。その効果に従い再召喚されたばかりのボアトリクターと、アライゴヤが紫の炎に焼かれて消滅し、ボアトリクターの破壊時効果で再び二枚のカードをドローし、先程の再現したような光景。しかしただ一点先程と違う。それはデッドリィバランスを使ったタイミングだった。

 

「当然気付いてるよなァ? 闇の聖剣の効果発揮、破壊したボアトリクターのコストを3/4としても扱い、さらにお互いのアタックステップ時、コスト4として扱ったボアトリクターの破壊によりトラッシュにあるアグロヴァルの不死を発揮させる!」

 

ボアトリクターと入れ違いになる様に、紫の瘴気が突如発生しその中から飛び出し、アグロヴァルが復活する。

 

「ギリギリのコアでよくもまぁそれだけの事ができるものだ」

 

「いつまで涼しい顔してプレイを続行してるんだか、ソーディアスアーサーのアタックは継続してるけど、どうする先輩?」

 

「ライフで受けるさ」

 

レベルが下がったと言えど、場に残っているオウゴンオニクワガーでは到底太刀打ちできない。スピリットは残すべきだと判断したのか、ライフで受けると宣言し、アーサーの持つ大きな大剣の一振りが展開されたライフを叩っ斬り、その一振りでライフ簡単に壊され、衝撃が大きくフィールドを揺らし、後ろに突き飛ばされるような衝撃がプレイヤーを襲う。

 

「ッ!!」

 

体を引き摺らせながらも体制を崩さないよう衝撃に耐え抜き、そのまま自分のライフが砕けた後、伏せていたバーストに視界を向ける。

 

「ライフ減少後のバーストかよ」

 

「ご名答だ。ライフ減少でバースト発動、絶甲氷盾!」

 

「ちっ、焦らしてくれるぜ!」

 

「効果発揮で ボイドからコア一つを俺のライフに置き、さらにコストを支払ってフラッシュ効果を発揮、アタックステップを強制終了させる」

 

・神田side。

【Life】2→3。

 

「ターンエンド」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「おっ!」

 

神田の使ったバーストカードに真っ先に反応を見せたのは深月だった。元々神田はバトスピを一度辞めている。そして再復帰したばかりの頃は、バーストやブレイヴなどの環境にあまりなじめていなかったが、幾度のバトルを重ねてすっかり現環境に馴染み、今の環境に合わせまた彼も成長して居た。

 

「にしても、ダイキ君も中々食えないプレイをしてくるね」

 

「それって不死を利用したさっきの手札増強の事ですか?」

 

深月の言葉に真っ先に聞いたのは川村だった。その言葉に反応見せながら、それだけじゃないけどね、と付足しながら続けていく。

 

「ギリギリのコスト裁きで的確に手札増強と場の神田のスピリット達を二体も破壊し、かつトラッシュのアグロヴァルも呼び戻した。神田がアライゴヤを指定した瞬間を狙って居たように」

 

「そっか、アライゴヤが居なくなった事でアグロヴァルの効果がまた使える様になる」

 

「そう。幸いなのはコアが一つ足りてない性でアグロヴァルのLv.2効果が発揮されてない点だけど、次のダイキ君のターンが来れば確実にレベルアップされる」

 

「でもそれぐらいじゃ決定打にはならないんじゃ?」

 

「えぇ。でもダイキ君の表情を見る限り、それ以外にもまだ何か切り札を残してるようにも見える。さっきの引いたカードの中にそれが来てたら確実に追い込まれるだろうね」

 

ターンが進むにつれ、緊迫した空気が漂う。二人の攻防には自然と見てる和人達にも力が入る。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

────第8ターン、神田side。

 

[Hand]2枚→3枚。

[Reserve]10個→11個。

[Field]オウゴンオニクワガーLv.2(3)。

 

「ゲニンスズメLv.2で召喚し、ネクサス、魔王蟲の根城をLv.2で配置」

 

神田の背後にもネクサス、魔王蟲の根城が配置され、何か潜んでいるかのように時々不気味に蠢く樹に思わず警戒する。

 

「さらにフラッシュでハンドリバースを使用だ」

 

ハンドリバースは手札を全て捨て、相手と同じ枚数ドローするカード。だが神田に捨てるカードはなく、神田にとってはノーリスクである。

 

「お前と同じ枚数、つまり3枚俺はデッキからドローする」

 

「(ちッ、さっきボアトリクターの効果を使い回ししたのは失敗か)」

 

相手の手に対し軽く舌打つ。だが今のダイキにとってそれほど深く考える必要はなかった。今の彼の手札には既にもう次の一手が決まっているのだから。

 

「バーストセット。アタックステップだ! オウゴンオニクワガーでアタック! アタック時効果で回復、さらにコア一個を自分のリザーブに置く」

 

「ライフ受ける」

 

・ダイキside。

【Life】3→2。

 

三度、オウゴンオニクワガーの突進が直撃しライフが砕けていき、さらにオウゴンオニクワガーは回復して居るため、半歩下がりながらいつでも突っ込む気でいるように両顎の鋏をカチカチと打ち鳴らしている。

 

「回復してるからもう一度アタックだ」

 

「これ以上攻撃を通すかよ! アグロヴァルでブロックするぜ!」

 

再びライフに突進しようと飛び掛かるオウゴンオニクワガーにアグロヴァルは、思いっきりタックルでぶつかり弾き飛ばす。急な攻撃に体勢を崩され仰向きに倒れ、一気に倒そうと手に持っていた剣を回しながらアグロヴァルが突っ込んでいき、剣をオウゴンオニクワガーに振り下ろすが、即座に仰向けの状態で上半身だけを起き上がらせると振り下ろされた剣を顎でガッチリと掴み、受け止め、そのまま勢いよく起き上がらせていた上半身をまを勢いを付けて倒すとアグロヴァルごと剣は後方に放り投げられ、そのままオウゴンオニクワガーが体制を元に戻す頃にはアグロヴァルは地面へ真っ逆様に落下し、地面に激突し爆発を起こす。

 

「コスト3のアグロヴァル破壊により、ボアトリクターの不死発揮。トラッシュから再召喚だ」

 

グラシャハウンドで軽減を与えられ、容易に現れるボアトリクター。スピリットが破壊されようと不死がある限り、何度でも蘇る。不死を使った壁は単純ながらとても強力だった。

 

「ターンエンド」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

────第9ターン、ダイキside。

 

[Hand]3枚→4枚。

[Reserve]6個→7個。

[Field]騎士の覇王ソーディアスアーサーLv.1(1)、ボアトリクターLv.1(1)、グラシャハウンドLv.1(1)、グラシャハウンドLv.1(1)、闇の聖剣Lv.1(0)。

 

「マジック、デッドリィバランスを使うぜ!!」

 

「三度目!?」

 

「もう効果は言わなくても分かるよなァ、俺はボアトリクターを指定」

 

「……俺はゲニンスズメを指定だ」

互いに指定したスピリットは紫の炎に包まれて消滅。

 

「三度目のデッドリィバランス、異常な強運だな」

 

「ハハ、どうだかな。俺がこのカードを引かせてのはあんた自身の不運のせいかもしれないんだぜ? ボアトリクターの破壊時効果で二枚ドロー」

 

「俺が不運かどうかはまだ分からないさ、こっちもゲニンスズメの破壊時効果発動、お前のスピリットを二体、相手自身が指定して疲労させる」

 

「グラシャハウンド二体を指定だ」

 

アタックステップ開始前からグラシャハウンド達は疲労するが、それに構う事無く狂気な笑みを浮かべながら続けていく。

 

「見せてやるぜ、俺の切り札をなァッ!」

 

「!」

 

手札から一枚のカードを引き抜き、そのカードを表に捲る。

 

「冥界より来る魔王ッ!! 全員頭を垂れて奴を出迎えろ! 冥府の三巨頭バロックボルドーを召喚ッ!!」

 

ダイキの言葉に従う様に平伏すスピリット達、ソーディアスアーサーでさえも何かを出迎えるように片膝をつき、そんな不穏の空気の中突如どこからか巨大な扉の様なものが出現し、扉の隙間から洩れでる紫の瘴気に思わず息を呑む。

 

そして扉は大きな音を立てながら徐々に開き始め、6本の腕を持つ髑髏の魔人、バロックボルドーが姿を見せる。

 

「ヒャハハハッ! どうよ、これが俺の切り札よ! 人の恐怖の根源というべき存在だ」

 

「それが切り札か、圧巻だな」

 

「はは、やっぱ何処までも冷静だなアンタ。けどいいぜ、どうか最後までビビらねぇで戦ってくれよ? 俺もこいつを対戦で使うのは滅多にねェ。最後までこいつの力を引き出した上で、潰さしてくれよなァ!!」

 

もはや下手な演技はせず、素の口調で話すダイキだが、神田はどこまでも冷静な上でフィールドの状況を見つめている。

 

「バロックボルドーの召喚時効果発揮、手札のカードを三枚まで、裏向きでこのスピリットの下に置ける。俺は3枚のカードをバロックボルドーに伏せる」

 

「これを見越して、今までボアトリクターを使っての手札増強か。けど次は俺の番だな、相手の召喚時効果発揮でバースト発動! 双翼乱舞!」

 

「赤のバーストッ!?」

 

発動したカードは双翼乱舞。バーストの代表的なカードとはいえ、この局面での赤のバースト使用はとても意外な物だった。

 

「デッキから二枚ドロー。4コストをオウゴンオニクワガーから一つ、リザーブのコア三つを使って支払い、さらに俺は二枚ドロー」

 

「また意外な手を使ってくれるな。けどどれだけ手を打とうと無駄なこったァ。ここまで揃えたんだ。もう俺の勝利は完璧だッ!!」

 

グラシャハウンド二体に何度も呼び戻せる不死を持つスピリット達。さらにソーディアスアーサー、バロックボルドーと強力なXレアを二体も揃えたダイキのフィールドにはもはや隙などなかった。

 

「ソーディアスアーサーをLv.2にアップ。そしてお待ちかねのアタックステップだ! まずはソーディアスアーサーでアタック! アタック時効果でトラッシュのアグロヴァルを再召喚だ」

 

不足コストの確保のためLv.1になったと言えど、それでもBP10000もあれば負けはしないだろう。大剣を軽々と振り構えながら相手目掛け突っ込んでいく。

 

「ライフで受ける!」

 

展開されるライフに重量級の剣を叩きつけ、破壊される。

 

「ッ!!」

 

・神田side

【Life】3→2。

 

「まだスピリット達は残ってるんだぜ? 次はバロックボルドーでアタックだッ!」

 

「魔王蟲の根城の効果発揮だ」

 

「!?」

 

「お互いのアタックステップ時、自分の手札にある【神速】を持つスピリット、又はブレイヴをターンに一度、コストを支払わずに召喚できる」

 

・魔王蟲の根城/5((緑2)(青1))緑青[ネクサス]

Lv.1(0)、Lv.2(2)

Lv.1、Lv.2『自分のアタックステップ』

【連鎖】を持つ自分のスピリットのアタックで相手のライフが減った時、ボイドからコアを一つ自分のリザーブに置く。

Lv.2『お互いのアタックステップ』

【神速】で自分の手札にあるスピリット/ブレイヴカードを召喚する時、ターンに一回、コストを支払わずに召喚できる。

 

「俺は手札からダークジガワスプをノーコストで召喚する」

 

思わず耳を防ぎたくなる様な羽音を響かせながら魔王蟲の根城から突如飛び出す一匹の昆虫型スピリット、ダークジガワススプ。現れるや否や神速の名の通り、一瞬でフィールドを突っ切り、アグロヴァルに取り付く。

 

「!!」

 

「魔王蟲の根城の青シンボルを条件にダークジガワスプの連鎖発揮。コスト3以下のスピリットを破壊する。勿論対象はアグロヴァルだ!」

 

次の瞬間、アグロヴァルに取り付いたまま翼を羽ばたかせると上空へと飛び上がって行き、咄嗟に振りほどこうと暴れようと抵抗を試みるが、ジガワスプの足はしっかりとアグロヴァルを拘束しまったく身動きが取れず、そうこうしてる間に高度はあっという間に遥か上空に上がり、高度がかなりの高さまで上がるとダークジガワスプはそこで羽を止め、まるで笑っているかのような鳴き声を上げると、一気に足を離し途端に落下するアグロヴァル。真っ逆様に地面へと墜落し、地面にたたき付けられ消滅。

 

「トラッシュのボアトリクターの【不死】発揮、再召喚。そしてバロックボルドーのアタックは継続中だァッ!」

 

「ならアタックはそのままダークジガワスプでブロックする」

 

アグロヴァルの末路を見届けると即座に急降下し、プレイヤーへ迫ろうとするバロックボルドーに狙いを定め、一気に急降下していく。だがバロックボルドーはその場で動きを止めたかと思うと、視界はそのままに真上に向かって手に持っていた剣を上空に向けて投げると、その剣は真っ直ぐ向かってくるダークジガワスプを捕らえ、そのまま体を貫き、貫かれたダークジガワスプは上空で爆発を起こし、それを見届けながらバロックボルドーは、爆風から飛び出る剣を掴み取る。

 

ダイキの場にはまだ復活したボアトリクターのアタックは残っているも、神田のライフを削り切る事は出来ない。

 

「ちッ、これでターンエンド。まったくしぶといぜ、結果の見えた勝負ほど早く終わらしたいもんはねぇってのにな」

 

「決着を付く前から、自分の勝利を確信したりしていいのか? そういうのフラグって言うんだぞ?」

 

「御忠告どうも、けど俺はもう勝利結果は占い済みなんでな」

 

手札とは別に、空いた右手で懐から戦車の絵が描かれたタロットカードを手に持ちそれをひけらかしながら、また軽く笑って見せる。

 

「たかが占いだろ?」

 

「お生憎様、俺の占いは当たるぜ」

 

ダイキにとってその言葉言いかえれば、自分の勝利は確実と言った様なもの。勿論ダイキの言葉の意味を理解しながらも、以前神田自身も自分の勝利を諦める事無く、続く自分のターンを進める。

 

 

 

 

────第10ターン、神田side。

 

[Hand]5枚→6枚。

[Reserve]10個→11個。

[Field]オウゴンオニクワガーLv.2(3)、魔王蟲の根城Lv.2(3)。

 

「バーストセット、そろそろ俺も大型呼び出さしてもらうぜ」

 

コアを貯めに溜め、準備は完了済み。少しだけ躊躇う様な素振りを見せながらも一体のスピリットの召喚パフォーマンスを口にする。

 

「剣の王たる猛虎の姿、目に焼きつけろ、剣皇獣ビャクガロウ召喚ッ!」

 

吹き荒れる風を起こしながら現れる碧玉。あまりに強く吹き荒れる風に魔王蟲の根城は大きく揺れ、バロックボルドーとソーディアスアーサーを除くスピリット達は吹き飛ばされまいと、体をしゃがませて地面に踏ん張っている中、颯爽と神田の隣にビャクガロウが姿を現す。

 

「やっぱ何度やっても馴れねぇな」

 

先程行った自分の召喚パフォーマンスを少し恥ずかしそうに、口元を手で隠す仕草を見せつつ、気を取り直して場の状況に集中し直す。

 

「へぇ、中々懐かしのスピリット呼び出してくれるじゃねぇか」

 

「俺のキースピリットを甘く見てると後悔するぞ?」

 

「甘く見てねぇさ、そいつの効果は承知してる」

 

「だったら遠慮なく、アタックステップ。オウゴンオニクワガーでアタック! アタック時効果でボイドからリザーブにコアを一つ追加。さらにターン最初のアタックで回復!」

 

「ボアトリクターでブロックだ!」

 

突っ込むオウゴンオニクワガーにボアトリクターが喰らい突かんと、牙を剥き出しに迫っていくが、半歩下がってボアトリクターの牙を避けると、そのまま自慢の顎でボアトリクターの首を挟むと、そのまま命一杯力を込めてボアトリクターの首を挟み切る。

 

「ボアトリクター破壊時効果で俺は二枚ドロー、さらにトラッシュにあるアグロヴァルの不死発揮、二体のグラシャハウンドの効果でトラッシュからノーコスト召喚ッ!!」

 

入れ替わる様に、ボアトリクターの消滅と同時に姿を現すアグロヴァル。だが怯む事無く回復しているオウゴンオニクワガーを再度突っ込ませる。

 

「アタック時効果でまたコアを一つリザーブに追加」

 

「構わねぇさッ! アグロヴァルでブロックするぜ!」

 

手に持つ剣をまるで槍の様にオウゴンオニクワガーに突き出す。しかし体の左半分を起き上がらせて、突き出された剣を紙一重で避けると、そのまま元の体制に戻ると、お返しと言わんばかりに体を飛び上がらせて両顎の鋏をアグロヴァルの身体に突き刺し、破壊する。

 

「どうした、ボアトリクターの不死を使わないのか?」

 

「けっ、どうせこれ以上のアタックはしねぇんだろう? だったらコアももったいないし使う必要ねぇよ」

 

「それはどうだか、何せまだ俺のアタックステップは終わってないぞ!!」

 

「!!」

 

ブロッカーを残すつもりがないのか、今度はビャクガロウをアタック指示を出すと、ビャクガロウは唸りを上げて、口に加えた刃と尾の剣を構えてフィールドを駆けていく。

 

「ハッ、フラッシュの警戒ぐらい普通するもんだろうよォッ!!」

 

呆れたように手を付き、キースピリットを突っ込ませる神田に、「愚策」と呟きながら軽く笑って見せる。

 

「フラッシュタイミングでリブートコードを使うぜ! 効果発揮で自分の疲労状態のスピリットを全て回復。不足コスト確保で、グラシャハウンド二体を破壊するぜ」

 

ダイキの使用するマジックに二体のグラッシャハウンドが維持コストを失い消滅するも、他のスピリット全ては白い光を纏い、再び立ち上がりこちらに向かってくるビャクガロウを強く睨む。

 

「当然、その剣皇獣は騎士の覇王でブロックさせてもらうぜ?」

 

「ブロックにより【暴風】発動だ」

 

「ならバロックボルドーを疲労だ」

 

先程回復したばかりにも関わらず、ビャクガロウの起こす風にバロックボルドーは再び膝を地面に付けさせられ疲労してしまう。一方ブロック指示を受けたソーディアスアーサーは巨大な大剣を担ぎ直しながら、迫るビャクガロウの前へ立ち塞がると、その大きな剣を片手で勢いよく振り下ろし、ビャクガロウはそれを口に加えた刃と尾の剣で受け止める。

 

しかし衝撃は大きく、ビャクガロウの足場は砕け、ビャクガロウの身体は徐々に地面に沈んでいき、ソーディアスアーサーは一気に押し潰そうと振り下ろしている剣を両手で握り直し、剣に大きく力を込める。

 

「ビャクガロウはBP9000、ソーディアスアーサーはBP10000。勝負ありだな」

 

「このまま俺が何もしないならな」

 

「あっ?」

 

「フラッシュタイミングでグロウイングソード使用だ!」

 

・【グロウイングソード】/3(2)マジック、緑。

『フラッシュ』このターンの間、自分のスピリット1体をBP+3000する。さらに自分のフィールド、リザーブにあるコアを好きなだけトラッシュに置く事で、置いたコア一個につき、そのスピリットのBP+1000する。

 

「!」

 

「これでビャクガロウのBPを+3000。さっき、愚策って聞こえた様な気がしたが、その言葉、そっくりそのまま返させてもらうぜ? ビャクガロウでアタックさせたのは当然、お前の手を警戒した上でのアタックに決まってるだろう」

 

「テメェ!!!」

 

これまでずっと同じ態度を見せていたダイキだが、神田の言葉に初めて怒りを見せる。バトルでは、神田の使うマジックに、ビャクガロウの刃と剣に緑色の光が灯ると、先程まで地面に沈んでいく状態から一転、一気に飛び上がって、ソーディアスアーサーの剣を弾き返すと、一気に口に咥えた刃で一閃。さらに反回転で尾の刃を勢いよく振ってさらにもう一閃を浴びせると、ソーディアスアーサーは完全に力尽き、そのまま仰向きに倒れていき大爆発を起こす。

 

苛立った表情を見せつつも、直ぐに冷静に戻り、神田もまた相手のXレアを退けたとはいえ、まだ勝負を決めた訳ではない。安心した表情を一切見せる事無く、ターンエンド宣言。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

────第11ターン、ダイキside。

 

[Hand]2枚→3枚。

[Reserve]10個→11個。

[Field]バロックボルドーLv.1(1)、闇の聖剣Lv.1(0)。

 

「このターンでハッキリ勝負決めてやるぜ、バーストセット! バロックボルドーをLv.3にアップ。ストロゥパペット、骨孩児召喚! 召喚時効果で3枚になるようドロー、さらにもう一体、闇騎士ランスロットを召喚ッ!!」

 

円卓の騎士最強の名を持つランスロット。颯爽と現れるそのスピリットは剣を掲げると、その剣から発せられる紫の瘴気が疲労しているオウゴンオニクワガーを包んでいく。

 

「召喚時効果発揮により相手のコスト5以下の疲労状態のスピリット、よってオウゴンオニクワガーを破壊だ!!」

 

紫の瘴気に包まれたオウゴンオニクワガーは、まるで消えたかのように勝機が晴れた瞬間には消滅させられる。

 

「円卓の騎士のランスロット、その主であるアーサーが既に倒れた後に出すのは少し遅すぎるんじゃないのか?」

 

「けっ、こんな状況で皮肉言ってくれるとは喰えねえ奴。まぁいいさ……徹底的に俺は決着付けるだけだからよォ!! アタックステップだ! バロックボルドー、やれッ!!」

 

ダイキの言葉にバロックボルドーは6本の剣を掲げ、その剣の色は徐々に黒く染まっていく。

 

「バロックボルドーのLv.2、3アタック時効果発揮。このスピリットの下に伏せてあるカードを一枚破棄する事により、相手のスピリット一体を無条件で破壊し、さらに破壊したスピリットの上に乗せられていたコア一個をボイドに送る」

 

手に持つ剣が完全に黒一色に染まり切った瞬間、6本の剣を大きく振うと6つの斬撃がビャクガロウに放たれていき、咄嗟に刃で受け止める姿勢を見せるが、斬撃の威力は大きく、ビャクガロウが盾代わりに突き出す刃ごと、ビャクガロウを両断し、無数の斬撃に斬り裂かれ、爆発四散を起こす。

 

「これでスピリット0、勝負あったなァ!!」

 

この時点で自分の勝ちを確信し、それを信じて疑わない。高らかな勝利宣言と共にバロックボルドーは神田に向けて刃を振い、展開されたライフもまるで紙切れの様に一瞬で両断する。

 

・神田side。

【Life】2→1。

 

衝撃に大きく揺れる。だがこんな絶対的な状況下にあっても、神田は決してその表情を崩す事無く、冷静にまだ自分の勝ち筋を見失ってはいない。

 

「……言った筈だ、早い勝利宣言は負けフラグだぞ?」

 

「あァ?」

 

「ライフ減少でバースト発動、翔烈降臨!!」

 

・【翔烈降臨】/4(2)マジック、緑。

【バースト:ライフ減少時】

自分のライフが2以下の時、自分の手札にある緑のスピリットカード1枚を召喚する。その後コストを支払う事で、フラッシュ効果を使用する。

『フラッシュ効果』このターンの間、自分のスピリット全てのBPを+2000。

 

「効果発揮により、俺は手札から剣皇獣ビャクガロウを召喚する!」

 

「二体目だと!?」

 

「もう一度来い、剣の王たる猛虎よ!」

 

再び姿を現す剣皇獣、無数の刃を靡かせながら猛々しい雄叫びを上げる。

 

 

 

 

「チッ、手札にまだ持ってたか。けどな、言った筈だぞ? 俺の勝利は既に占い済みだ!! ランスロットッ!!」

 

再び現れるビャクガロウに対しても、怯む事はない。例え相手が再び大型スピリットを呼び出そうとも、こちらは数で押し切れる。そのまま迷うことなく、次はランスロットを突っ込ませる。

 

「生憎、腕はどうかはわからんが、占いじゃ勝利の根拠にはならない。最後まで何が起こるか分からないのが勝負だろ? 魔王蟲の根城の効果発揮!」

 

「!」

 

「ターンに一度、手札にある神速を持つスピリット、又はブレイヴをノーコストで召喚できる。よって俺は手札にあるコテツティーガーをノーコスト召喚し、さらにビャクガロウに直接合体させる」

 

後方から颯爽と現れるもう一頭の虎、フィールドに飛び出すや否やビャクガロウと合体し、体には黒い甲冑が纏われ、片眼には武将の様な眼帯が備えられ、最後に口に咥えていた刃を捨て、代わりにコテツティーガとの合体で得た巨大な大太刀、名刀──虎鉄を新たに咥える。

 

「アタックは合体スピリットでブロック」

 

神田の指示にビャクガロウはフィールドを疾走し、一瞬でランスロットとの間合いを埋めるとその太刀を振い、咄嗟にランスロットは剣で防ぐがわずか一太刀でランスロットの手に持つ剣を真っ二つに斬り裂き、そのまま間髪いれずに二撃目を振い、武器を失ったランスロットを両断し、破壊する。

 

「コテツティーガー合体時効果発揮、このスピリットのバトル時、相手スピリットだけを破壊したので相手のライフのコア一個をリザーブに置く。

 

爆風を突っ切り、ダイキの場のスピリット達を突き飛ばしながらダイキへと向かい、虎鉄を振ってライフを両断する。

 

「ぐあッ!!」

 

予想外の一手。ライフが削られ、思わず後ろに仰け反る。

 

・ダイキside

【Life】2→1。

 

「グッ、ライフ減少時でバースト発動!!」

 

躊躇いながらもライフ減少に合わせてのバースト、絶甲氷盾。効果によってライフが一つ回復するものの、本来これは相手の攻撃を止める時にカウンターとして使うのが定石。自分のターンに使うべきではないのだが、残りライフが一つの状態でライフ減少時のバーストを伏せておくことはほぼ無意味に近い。やむを得ず、この場で使いライフを回復させるほかなかった。

 

「まだだッ、ストロゥパペットでアタックッ!!」

 

「フラッシュタイミングで、ストームアタック発動ッ!」

 

「まだあんのかよッ!!」

 

・【ストームアタック】/4(2)緑、マジック。

『フラッシュ効果』

相手スピリット一体を疲労させ、その後自分のスピリット一体を回復させる。

 

「効果により、骨孩児を疲労。さらに合体スピリットを回復」

 

フィールド全体に吹き荒れる風は骨孩児を疲労させ、それとは対照的にビャクガロウは風から力を得る様に回復し、再び起き上がる。

 

「不味いッ!!」

 

「ストロゥパペットは合体スピリットでブロックする」

 

「……クソがァッ!! フラッシュタイミングでもう一度リブートコードを使う!!」

 

「!」

 

「不足コスト確保で骨孩児とストロゥパペットのコア全てを使い破壊だァ!!」

 

向かうストロゥパペットを斬り裂こうと刀を構えるビャクガロウだが、ダイキの発動させるマジックの効果で刀がストロゥパペットを斬る直前に骨孩児もろとも消滅し、代わりにバロックボルドーが回復する。先程の絶甲氷盾と言い、バーストと合わせリブートコードも悪魔で防御札として残せれば十分に万全だろう。ビャクガロウの合体効果を回避するために、自分のターンで防御札を消費した事はとても悔やむ。

 

「……ターンエンド」

 

これ以上に攻め込める手立てはなく、軽く舌打ちながらもそれほど深刻には考えてはいなかった。防衛策として用意したバーストとマジックは予想外なカウンターに使い切ってしまったが、それでもライフ2とブロッカーにバロックボルドーが残っている。幾ら相手にライフに貫通する効果を持った合体スピリットが残っていると言えども、所詮一体のみで手札は0。次の相手のターンの攻撃は確実に防ぎ、その上で次の自分のターンで今度こそ決着をつけられるのは確実だった。

 

 

 

 

────第12ターン、神田side。

 

[Hand]0枚→1枚。

[Reserve]13個→14個。

[Field]ビャクガロウ×コテツティーガーLv.2(4)、魔王蟲の根城Lv.2(3)。

 

「メインステップは何もしない。アタックステップだ!!」

 

「!!」

 

引いたカードに表情を変えずにそのままアタックステップ。合体スピリットでの攻撃支持を出すと、その指示にビャクガロウは駆け抜け、飛び上がってダイキの直ぐ目の前まで迫ると、太刀を大きく振りかぶる。

 

「この勝負、ツキは俺にあるみたいだな。フラッシュタイミング!!」

 

「何っ!!?」

 

「マジック、タフネスリカバリー!!」

 

勝利の一手となるマジック、タフネスリカバリー。当然最後の最後までツキが回っていた神田に対し、驚きを隠せなかった。

 

「こいつ、どこまでツイてやがんだよ!!」

 

「ツキはお互い様だろ?」

 

マジックの効果で緑のオーラを纏いBPが加算され、さらに纏うオーラがより濃く輝きを増すと、ビャクガロウは回復。

 

「……このまま、黙ってやられるかァッ!! バロックボルドー、ブロックしろ!!」

 

迫るビャクガロウの剣をダイキに振う直前、ブロック指示にバロックボルドーの剣によってビャクガロウの攻撃が止められる。

 

「ブロックしても結果は一緒だろ?」

「うるせぇ、黙ってやられるのは俺のプライドが許さねぇッ!!」

「お前なりの意地って訳か、いいだろう。ビャクガロウ、付きあってやれッ!」

 

神田の言葉に頷きながらビャクガロウとバロックボルドーは互いの相手に向かい、ビャクガロウは口に咥えた虎鉄と尻尾に携えた幾つもの刀を、バロックボルドーは6本の腕に持つ6つの剣を振い、連続して斬撃音が響き渡り、バロックボルドーが次に剣を振り払った瞬間、ビャクガロウはそれを軽々と飛び越え、バロックボルドーの頭上を取り、迎撃しようと六本の腕に持つ剣を空中で身動きの取れないビャクガロウに向けて一気に投げ付けるが、ビャクガロウは尻尾の刀を前に突き出し、投げ付けられた剣を弾き飛ばしながらバロックボルドーに向かっていき、落下するスピードを乗せ、口に咥えた虎鉄で一気にバロックボルドーを斬り裂き破壊する。

 

「バロックボルドーLv.1、2、3の効果、このスピリットが破壊される、又は手札かデッキに戻る時、下のカードを破棄する事で回復状態でフィールドに残す!」

 

巻き起こる爆発、だが突如として爆風が一点に収束されていき、収束された爆風を振り払い、再びバロックボルドーが姿を現す。

 

「こっちも効果発揮だ。コテツティーガーの合体時効果、バトル時に相手スピリットのスピリットだけを破壊した時、相手のライフのコア一個をリザーブに置く!!」

 

先程のバロックボルドーの効果でフィールドに残ったとしても、バトルに負けて破壊されたということには変わりない。コテツティーガーの効果を発揮させ、ライフ一つが突然輝きだしたかと思うと、途端にそれは砕け衝撃に思わず仰け反る。

 

「ッ!!」

 

「まだだ、次はビャクガロウのLv.2の効果発揮、このスピリットのアタック時で相手のライフを減らした時、リザーブのコア一個をトラッシュに置き、【転召】を持たない相手スピリット二体を手札に!」

 

「コテツティーガーとのコンボって訳か。けどな、バロックボルドーの効果はバウンス効果も防ぐぜ。下に伏せてあるカードを破棄してこのスピリットを場に残す!」

 

ビャクガロウはまるで虎鉄を回転させるように振い、それは大きな竜巻を巻き起こすと、バロックボルドーを吹き飛ばす勢いで向かっていくが、バロックボルドーは目を輝かせ、手に持つ6つの剣を黒く輝かせ、竜巻に向けて斬撃波を飛ばし、竜巻は斬撃によって切り刻まれて散ってしまう。

 

「だがこれでもうバロックボルドーのカードは使い切ったな!」

 

「!!」

 

「これで決着だッ! 合体スピリットで二度目のアタック!!」

 

「もう一度バロックボルドーでブロックだァッ!!」

 

キースピリット同士の二度目の激突。バロックボルドーはこちらに向かってくる合体スピリットを迎え撃たんと、剣を再び黒く染まらせ、6つの剣を目にも止まらぬ速さで勢いよく振い、先程よりも勢いを増した斬撃波がビャクガロウへと向かっていく。

だがビャクガロウは決して足を止める事はない。尾の刃を前に突き出すと、迫る斬撃を全て尾の刃で捌いていき、そのまま間合いを詰めていき尾の刃を地面に大きく叩きつけ、衝撃で飛び上がり、口に咥えた虎鉄を勢いよく振い、バロックボルドーもそれに合わせて6本の剣を一斉に振う。

 

“ガキイイイイイィィィィィン”

 

競り合う剣と刃、だが徐々にビャクガロウの方が押していき、バキィと金属の砕けていく音が響き、バロックボルドーの剣がビャクガロウの勢いに負け、次々と壊れていく剣、最後の剣を壊れた瞬間、ビャクガロウの刃はバロックボルドーを切り裂き、破壊される。

 

「くそっ!! これ以上は復活できねぇ!!!」

「終わりだ、コテツティーガーの効果により最後のライフを破壊だ!!」

そしてビャクガロウの最後の一閃が、ダイキのライフを砕き決着する。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「(運命の輪の逆位置、意味はアクシデント、か)」

バトルフィールドから戻り、懐からはみ出ていたタロットカードを手に取り、逆位置の意味に軽く舌打っていると、ふと何処からか視線を感じ振り返った先には観客に交じって試合を傍観していたアキラの姿がった。

 

「(あの野郎、軽く見下してくれてんな)」

「ダイキ、だったな」

「ん?」

「良い勝負だった。楽しかったぞ?」

 

試合が終わり友好的に声を掛ける神田に、数秒何かを考え込むように間を置いてから「けっ、どうも」と相変わらず愛想のない返事を返しながら、最後に「今度はより本気で相手してやるよ」と去り際に残して立ち去って行き、ダイキが立ち去って行くのを見届けるとアキラもまた後を追うように立ち去って行った。

 

「人の事言えないと思うが、素直じゃないな」

「神田、お疲れ様」

「!」

試合を終えた神田に声を掛けながら、深月達が合流する。

 

「さっすが兄ちゃんだな、ちょい苦戦してたっぽいけど」

「まぁ油断はできなかったな」

各々の言葉に適当な返事返していく中、ふとキラキラと輝いた視線を向ける和人の姿を目に入り、和人の目線に一瞬神田は戸惑ったような表情を見せる。

 

「神田さん、すごいバトルでした!! 俺、勝ち上がって絶対神田さんと戦いたいです!!」

素直な和人の言葉に、一瞬迷った様子を見せながら少しだけ照れ臭そうに……。

 

「だったら楽しみにしてる。俺も勝ち上がるから、俺と戦うまで負けるなよ?」

「はい!!」

 

互いに戦う事を強く願いながら、約束を交わす二人。だが大会はまだ始まったばかり、誰が勝ち残り、誰が優勝するのかは、決して誰にもわからない。

 




いかがでしたでしょうか!! 初体験となるクロスオーバー、その第1部パート!最初に読者様やにしはる様、私の力不足で待たせた上にこんな作品で申し訳ないです。(--;)

でもそれでも描くのはすごく楽しかったです!!

すぐに第2部も近いうちに公開するのでぜひそれも御観覧いただけると嬉しい限りです!!ただ、リアルのバトスピ環境はどんどん進んでますので、早くこの作品内にアルティメットを導入したいとか考えてたり、アニメではソウルドラゴンの連刃とかすごくて、小説内でぜひ情景画写を書きたいと考えてます。

まぁ最悪、和人達の作品打ち切りにして、新しい作品で現環境に合わせた新小説を書いて行くって言う手も!←

和人「ジークヤマトフリードで、作者に指定アタック!」

ぎゃああああああああッ!!←

和人「まぁ悪ふざけはこの辺で、ぜひまた次回も読者様よろしくお願いします」

よ、宜しくお願い……します(バタッ←

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