ぜひ今回も読んでいただければ嬉しい限りです。
「うっ……ここは?」
目を覚まし、視界がぼやける中、辺りを見回し、しばらくしてようやく視界がハッキリしたかと思うと、和人の視界に広がったのは先程まで自分たちがいたはずの神社の光景とは一変。視界に映るのは何もない無人の荒野の光景。
「な、何なんだよこれ!!?」
状況が読み込めず、当然混乱するしかなかった。
『和人兄ちゃん!』『和人!』
声の方向に振り返ると咲とハンナの姿があり、二人もまた周りの状況に動揺を隠せていない。
「咲! ハンナ! 二人共無事かよ!」
「僕は平気だよ」
「私も大丈夫。和人も無事そうで安心したよ」
「はは、よかった。二人に会えてとりあえず安心したぜ」
三人共、バトルによる疲労で倒れたものの今に状況に至るまでかなりの時間、気を失っていたのか今では平然とした様子。だが、周りを見渡しても自分や咲とハンナ、3人以外誰の姿も見えないことに不信感を覚える。
「リクトと光、それに川村は!?」
「それが、3人共見当たらない。私達も気づいたらこの状況で、まず二人をどう探したらいいのかさえも分からない」
「……それに3人だけじゃない。アキラ兄ちゃんも、ダイキの奴も、いないみたい」
「……」
困惑しながらも、冷静に落ち着いて状況を整理する中、あの時、自分たちがまだ神社の場所にいた時、最後にフードの男が呟いた言葉を思い出す
”君達をエデンへと招待しよう”
「(あの時、男が言った言葉。あれは、こういう意味なのか?)」
暫く考え込んでも疑問だけが積もる中、「あっ!」、と何かを見つけたのか、声を上げながら荒野の奥に指さすハンナ。彼が指さす方向には真っ直ぐこちらに向かう人影があった。
「誰かこっちに来るみたい」
「愛実さん達?」
「いや……違うみたい」
遠目で確認し、人影がハッキリしてくるとそれは和人達のみ知った人物ではなく、見慣れない服装に場所に乗った一人の老人だった。そしてこちらの姿に気づいているのか、近くまで来ると馬車を止め、和人達に視界を向ける。
『君達、こんなところで何をしてるんだい?』
「えっ!? 何って言われても、俺達にも何が何だか」
急な質問にどう答えていいかわからず、困惑気味の和人。それを見て、咲も困惑しているものの、和人に代わり、質問に答え始める。
「すいません、私達もここがどこだか全く分からなくて、ここは一体どこなんですか?」
『うん? ここはただの荒野だが、全く分からないとはどういう訳かね?』
「それが気づいたらこんな場所で、ここってそもそも日本なんですか?」
『二ホン? それは街か何かの名前か?』
「いえ、国の名前です」
『二ホン? 国の名前? 全く聞き覚えがないな』
「えっ?」
全く話が噛み合わず、会話を交わしながらも両者の疑問は高まるばかり。老人は咲の話を聞きながらしばらく考え込んだ様子を見せ、そこへひょっこり馬車からハンナと変わらないぐらいの子供が顔を出す。
『長老様、分からないなら一応街に連れて行って詳しく話を聞いたらいいと思うぞ。こんなところで話しても埒が明かないと、俺は思う』
のんびりとした口調で長老と呼ぶ老人に提案し、少年の言葉に納得するように頷く。
「確かにその通りだね。君達良かったら私の町までおいで、街に行ったら落ち着いて話せるだろうし、君達みたいな子供がこんな場所にいたんじゃ心細いだろう」
「いいんですか?」
一瞬考えたものの、こんな荒野にただいたのでは状況を打開できる訳はなく、状況を整理するためにも情報収集を先決。街に行けば何か手掛かりがつかめるだろうと、淡い期待を胸に場所に乗り込む。
「すいません、お世話になります」
「あぁ遠慮しないでくれ。それと自己紹介がまだだったね、私の名はモルクと言うんだ。よろしくね」
「俺の名はアルトだ。よろしくだぞ?」
「俺、若槻和人って言います」
「私は木野咲って言います」
「僕は火道ハンナ、よろしくね」
挨拶を済ませると、馬車は街に向けて走り出す。
***
「うぅっ……」
「……ッ!」
一方その頃、また別の場所で倒れているアキラとダイキ。二人も目が覚めた様子で体を起き上がらせ、周りを見渡すと和人達動揺、未知の光景が広がり、二人も困惑するばかりだった。
「何だこりゃ、俺等夢でも見てんのかよ」
「あぁ。確かにそう思いたくなるな」
『悪いが、それは全て現実だ』
「「!!」」
背後にいたのはあの白髪の男、その姿に当然二人共怒りを隠せず、その姿を見るなり、すぐに飛び掛かろうとするが、その前を塞ぐように突如して現れる青髪の女性。
「おや、来たか。デュラン」
「はい。長い間ずっと御待ちしておりました。我が王、ガルド様!」
「ガルド、それがテメェの名か!」
「そういえば一度も名乗ってなかったね。私の名はガルド。そして私の部下のデュランだ」
「ガルド様、時にこの二人は何者です?」
「あぁ、私の計画に貢献してきてくれた二人のカードバトラーさ」
「貢献だと! 俺達を騙してたくせによくもまぁそんなこと言えたなァ、おい!」
「貴様! ガルド様に無礼な口の利き方は許しませんよ」
互いに突っかかろうとするダイキとデュラン。アキラもまた黙りながらも静かに怒りの炎を燃やしていた。だがそれにはお構いなしで、ガルドと呼ばれた男は平静を全く崩さず、手をかざしてデュランを制止させる。
「君達を騙していたことは謝ろう。そう、ハイドカードを目覚めさせるにはハイドカードの選ぶバトラーの力が必要不可欠。だからどうしても、君達には是が非でも協力をお願いするしかなかったんだよ」
「こんな状況になるとは聞いてねぇッ! テメェは俺達を連れてきてどうするつもりだァ!」
「まぁ具体的に言うと、君達が良ければ今後も私の下に就かないか? 力が欲しいのならそれが最善だ思うよ」
「……フッ、アハハハハッ!」
ガルドの言葉にダイキは高らかに笑ったかと思うと、すぐに真顔に戻り、鋭い眼つきで睨み付ける。
「ふざけんじゃねぇ、テメェの下に就く気も今まで就いた気もさらさら無ェッ! ここまでコケにしてくれたんだ、覚悟はできてんだろうな」
「同感だな。俺をお前の下として見られていたなんて、考えただけでも反吐が出る。お前を叩き潰し、バーニングドラゴンのカードは返してもらう」
「あぁ、俺のデュアルベルガスもな。ついでに元の世界に送り届けてもらおうか?」
互いにデッキを構え、闘争心を剥き出しすぐにでも叩けと言わんばかりの表情。それに対し、ガルドは動じることなく静かに、懐を弄り、そこからデッキの束を取り出す。
「何だそのデッキは?」
「これが私専用のデッキでね。計60枚、バトルには応じてあげたいんだが、私の体は1つしかない。だから、誰か一人はデュランと戦ってもらえるかな?」
「俺達に前座の相手もさせる気か?」
「クスッ、私が前座ですか」
アキラの言葉にデュランは鼻で笑った様子で、言葉を続けていく。
「前座かもしれませんけど、私でも十分なんですよ。誰がどちらの相手をしようと君ら二人の負けは規定事項何ですから」
「何?」
「強がっても君たち二人の強さは底が知れてると言ってるんです」
「……ほざけ、俺から言わせればそれはお前の方だ。三下!」
デュランの言葉に気が起った様子で、アキラの標的はガルドからデュランへと向けられる。
「ダイキ、その男のバトルの一番手は譲ってやる。だが此奴を潰した後は俺もそいつを潰したい。連戦できるぐらいの状態にはしておけ」
「ハッ、悪いがそいつは約束しきれねぇな!」
「フフッ、決まりだね。それでは始めようか!」
「「「「ゲートオープン! 界放ッ!!」」」」
宣言と共に、4人はそれぞれバトルフィールドへと舞台を移し、黒雲広がる怪しげなバトルフィールドでのバトルがそれぞれ行われる。
────第1ターン、ダイキside
[Reserve]4個
[Hand]4枚→5枚
「メインステップ。ネクサス、闇の聖剣を配置してターンエンド」
ダイキの背後に出現する闇に染まりし聖剣。まずは場の準備を終えるとそのままターンエンドと宣言。
────第2ターン、ガルドside。
[Reserve]4個→5個
[Hand]4枚→5枚
「私のターン。マジック、ネクサスレジスターを使用する」
・【ネクサスレジスター】/5(2)青、マジック。
『メイン効果』自分の手札にあるネクサスカードを好きなだけ破棄する。その破棄したネクサスカード1枚につき、自分はデッキからドローする。
『フラッシュ効果』このターンの間、スピリット一体のBPを+3000する
「効果により、私は「焔竜の城塞都市」、「聖者の木の実」、「千本槍の古戦場」の3枚を破棄して、3枚ドロー。そして最後にバーストをセットして、ターンエンド」
「何もしねぇだと!?」
────第3ターン、ダイキside
[Reserve]4個→5個
[Hand]3枚→4枚
[Field]闇の聖剣Lv.1(0)。
「ケッ、さっきのマジックを見る限り、手札事故でも起こってんじゃねぇのかァ?」
揶揄うように煽るダイキだが、それに対して特に反応して見せることもなく、ただ静かに鼻で笑って見せる。
「フフッ、安い挑発だ」
「あァ?」
「幾ら強がって虚勢を張ったところで、君は子供だ。どれだけ周りと背比べした所で私から言わせれば所詮、幼児の戯言にすぎない」
「黙れッ! 俺を知ったような口を!」
「知っているんだよ。君の事を私はね」
「ふざけるなァッ! テメェの方がよっぽど戯言だ! 速攻で終わらせてテメェの口を黙らせてやるよ、メインステップ、バーストセット。さらにキャメロットナイトをLv.2、闇騎士フローレンスをLv.1で連続召喚してアタックステップだ!」
苛立ちながらもダイキのバトルに支障はない。場の準備を終えて、そのままアタックステップを迎えると、キャメロットナイトとフローレンスは槍を構え、すぐにでも突撃できる態勢に入る。
「キャメロットナイトでアタック! 奴の口を黙らせて来いッ!」
一番手を切ったのはキャメロットナイト、そのまま突撃し展開されたライフを槍で貫き破壊する。
ガルドside
【Life】5→4。
「ライフ減少時でバースト発動、レボルシングゼヨン!」
「何ッ!?」
「バースト効果により、赤/緑/青/紫のネクサスをそれぞれ1枚ずつ配置できる。私は先程捨てた「焔竜の城塞都市」、「聖者の木の実」、「千本槍の古戦場」をそれぞれ配置する」
先程手札から捨てたはずのネクサスが次々とフィールドに建てられ始め、「さらに」、と言葉を続ける。
「その後、自分の場に3枚以上ネクサスが配置されていればこのスピリットをバースト召喚可能となる。背徳の覇王よ、革命の一角と成れ! レボルシングゼヨンを召喚!」
銃を携え、現れるレボルシングゼヨン。銃を構えながらただ佇んでいるようにも見えるが、油断できない何かを感じさせられるスピリット。
「チィッ! ターンエンド」
────第4ターン、ガルドside。
[Reserve]5個→6個
[Hand]3枚→4枚
[Field]レボルシングゼヨンLv.1(1)、焔竜の城塞都市Lv.1(0)、聖者の木の実Lv.1(0)、千本槍の古戦場Lv.1(0)。
「メインステップ。カグヅチドラグーンをLv.2で召喚、そのままアタックステップだ」
「!」
「まずはカグヅチドラグーンでアタック、アタック時効果で1枚ドロー、そして【激突】の効果で強制ブロックだ」
「闇騎士フローレンスでブロック!」
「相手スピリットの疲労で千本槍の古戦場の効果を発揮。1枚ドローする」
・【千本槍の古戦場】/6(3)紫、ネクサス。
Lv.1(0)、Lv.2(3)。
Lv.1、Lv.2
相手のスピリットが披露するたびに、自分はデッキから1枚ドローする。
Lv.2『自分のアタックステップ』
このネクサスのコア1個をトラッシュに置くことで、相手のブロックしたスピリット1体を、バトル終了時に破壊する。
バトルでは、闇騎士フローレンスに突進し、盾で防ぐも受け止めきれずに吹っ飛ばされ、吹っ飛ぶフローレンスに火炎放射を浴びせ、破壊する。
「焔竜の城塞都市の効果、自分のアタックステップ時で相手のスピリットを破壊したとき1枚ドローできる。効果でさらに1枚ドロー」
「(ぐっ! 一回のアタックで、3枚もドローしやがった!)」
赤、紫、緑、青。場を見れば一見バラバラなように見えるが、どのカードの能力も十分引き出しており、隙のないプレイイングに押され気味のダイキ。だが、それでも……。
「(今まで実力を隠してた訳か、けどそれでも俺は負ける訳にはいかねぇんだよォ……!) 相手によるスピリット破壊で、バースト発動! 双光気弾、効果により俺はデッキから2枚ドローだ!」
押され気味にながらも負けじとダイキもバーストを発動させて手札を補充。まだまだ勝負は序盤。ガルドはブロッカーを残すべきと判断したのか、レボルシングゼヨンはアタックさせずにターンエンドさせた。
────第5ターン、ダイキside
[Reserve]3個→4個
[Hand]4枚→5枚
[Field]キャメロットナイトLv.2(2)、闇の聖剣Lv.1(0)。
「もう一度、俺はバーストセット。さらにキャメロットナイトをLv.1にして、ボアトリクターとキャメロットポーンを召喚、そのままアタックステップだ! キャメロットナイトでアタック!」
「ライフで受けよう」
再びキャメロットナイトの槍が展開されたライフを砕き、ガルドのライフを破壊する。
ガルドside。
【Life】4→3。
「相手のスピリットによるライフ減少時、聖者の木の実でコアを1個をリザーブに追加」
「まだだッ! ボアトリクターでアタック!もう1つライフをもらう!!」
ダイキの指示にボアトリクターは飛び出し、さらにもう一つライフを奪わんと、飛び掛かっていく。
「させないよ、フラッシュタイミングでヴィクトリーファイアを使わせてもらう」
「!」
・【ヴィクトリーファイア】/5(2)赤、マジック。
『フラッシュ効果』相手のBP3000以下のスピリット2体、または相手のBP3000以下のスピリット一体と相手のネクサス1枚を破壊する。
「効果により、ボアトリクターとキャメロットポーンを破壊する」
Vの形を形成した炎が出現し、それは飛び掛かるボアトリクターと、後方で待機しているキャメロットポーンの二体に直撃。炎に焼かれ二体とも消滅してしまう。
「チィッ、それがどうした! ボアトリクター破壊時の効果で2枚ドロー。さらにボアトリクターのコスト5を条件にフローレンスの【不死】発揮! トラッシュから再召喚だ!」
スピリットを破壊されながらも、【不死】の効果で蘇るフローレンス。ボアトリクターの効果で手札も補充し、ダイキもまた相手に対し引けはとっていない。
「俺はこれでターンエンド」
────第6ターン、ガルドside。
[Reserve]5個→6個。
[Hand]5枚→6枚。
[Field]カグヅチドラグーンLv.2(3)、レボルシングゼヨンLv.1(1)、焔竜の城塞都市Lv.1(0)、千本槍の古戦場lV.1(0)、聖者の木の実Lv.1(0)。
「メインステップ、バーストセット。さらに彷徨う天空寺院を配置。そしてスレイヴガイアスラ、召喚!」
「ガイアスラだと!?」
上半身は人型だが、下半身はまるで蛇のような姿の黒い竜、禍々しいその見た目以上の能力を備えており、それを理解しているのか咄嗟に身構える。
「アタックステップだ、まずはカグヅチドラグーンでアタック、そしてアタック時効果で1枚。さらに【激突】の効果発揮だ」
「フローレンスでブロック!」
「疲労によりネクサスの効果で1枚ドロー」
バトルでは迎え撃とうとするフローレンスにカグヅチドラグーンは翼を叩き付け、地面に落ちたフローレンスを上から踏みつぶし、破壊する。
「破壊によりさらに1枚ドロー。そしてこれでもうブロッカーはいない、スレイヴガイアスラでアタック! そして【超覚醒】発揮!」
たった数体のスピリットのみが持つ【超覚醒】、その効果は【覚醒】と同じくフラッシュタイミングで他のスピリットのコアをこのスピリットの上に置けるというもの。だが【超覚醒】はそれだけではない。例えコア1個でも【超覚醒】の効果で移動させれば、何回でも回復できるという驚異の能力。バトルでは、スレイヴガイアスラは、カグヅチドラグーンに触れるとカグヅチドラグーンからコアを抜き取り、奪い取ったコアを自分の体内に吸収し、赤いオーラを纏って回復する。
「ライフで受ける!」
ブロッカーはなく、それ以外の選択肢はない。だがライフで受けると宣言した瞬間、ガルドはかすかに口元を緩ませ、スレイヴガイアスラはそのまま展開されたライフに赤い波動を撃ち込み、ライフを破壊する。
「……ッ! ぐっ! があああああああぁぁぁぁぁぁッ!!」
ライフが破壊された瞬間、これまで感じた事のないような激痛が走り、衝撃に吹き飛ばされ、痛みに思わず声が漏れる。
「な、何なんだよ……この、痛みは……ッ!」
倒れてはいないが、今にでも倒れそうなほど体は痙攣を起こし、プロテクターからは規定以上の衝撃に硝煙を上げている。これまでガルドが作ったフィールドでのバトルを幾度となく行い、痛みには慣れているつもりだった。実際、このバトルも普通とは違う事は十分理解できていたが、ガルドは平然とライフで受けおり、自分がそこまで衝撃を受けることはないだろうと高を括っていた。だが、実際の衝撃は明らかに予想を凌駕していた。
「そういえば伝えてなかったね。この世界でのバトルで掛けるライフは文字通り命の削り合い。それは君たちの世界での比じゃない」
「な、なら……お前の、あのフィールドは?」
「元々私が作ったあのフィールドはこの世界のバトルを元にして作ったんだ。ハイドカードのデータを取る上で成るべくこの世界に合わせたシステムの方がデータが上質だからね。だが、悲しいかな私の技術では完全に再現は不可能だった。再現できたのは多めに見積もっても約5割。つまりこの世界での衝撃は私の作ったフィールドのほぼ倍以上だ」
「なん、だとッ!」
「フフッ、もう辞めるかい? さっきも言ったがここでのバトルでは文字通り命の削り合い。この世界でのバトルに慣れて無い内に無理をすれば寿命を減らしかねないし、最悪命を失う事にもなる」
笑いながら言いつつも、それが嘘や脅し文句でない事は先程の衝撃から理解できている。だが、それでもダイキにとってサレンダーすることは決して認めなかった。歯を食い縛って、手すりを握り締め、倒れそうな体を必死に叩き起こさせる。
「ざ、けんじゃ、ねぇよォッ! 俺は、俺は……死んでも負けねぇッ! テメェだけは絶対ェぶっ潰すッ! そうじゃ、なきゃ俺は────!」
「自分のプライドが許さない、って言いたいのかな?」
「な、何!?」
「けど君のプライドなんて、既に一度折られているじゃないか」
「な、何で、テメェがそれを……!」
「言った筈だ。全て知っていると」
ダイキの過去の核心に触れるような口振り、だがそれ以上は話さずにバトルに集中し直す。
「まぁ一応忠告はしたよ? それでも続けるなら覚悟は決めておくことだ。回復したスレイヴガイアスラでアタック! そして【超覚醒】の効果発揮、カグヅチドラグーンのコア1個を移動させ、回復し、さらにLv.2にアップ!」
再びカグヅチドラグーンのコアを奪って回復すると同時にLvも上昇するガイアスラ。再び展開されたライフに波動を撃ち出し、ライフをさらに破壊する。
ダイキside。
【Life】4→3。
「ぐ、ッ!!!」
また衝撃が襲うが、それでも決して倒れることなく前だけを見据える。
「ライフ減少時で、バースト発動ッ! 妖華吸血爪! 効果により2枚ドロー、さらにコストを支払って効果発揮、手札を1枚破棄して、俺はレボルシングゼヨンのコアをトラッシュに送る!」
コアを取り除き、コアの無くなったレボルシングゼヨンはその場から消滅。
「なるほどね、これではライフは削り切れないな。ターンエンド」
本来ならこのターン、【超覚醒】の効果を使えば計7回のアタックが可能となり、それだけでゲームエンドと持ち込めたが、レボルシングゼヨンが消滅した為、使用できるコアはカグヅチドラグーンのコア1つのみ。攻撃回数を減らされ、ライフを全て削ることはできず冷静にターンエンドと宣言した。
────第7ターン、ダイキside
[Reserve]7個→8個
[Hand]5枚→6枚
[Field]キャメロットナイトLv.1(1)、闇の聖剣Lv.1(0)。
「メインステップ! グラシャハウンドを召喚、さらにもう一体! 闇に蠢くハンターよ、狩りの時間だッ! 魔界七将ベルドゴールを召喚!」
冥界より現れしグラシャハウンド、そしてもう一体、闇の瘴気から姿を現す魔界七将の一角、ベルドゴール、小さいながらもXレアとしての実力を持つスピリット、その叫びはまるで獣だった。
「ベルドゴールの召喚時効果発揮! 疲労状態のコスト4以下のスピリットを1体。よってカグヅチドラグーンを破壊だ!」
カグヅチドラグーンに狙いをつけると、右腕に巻いていた鎖が弾けとび、獣のような異形な腕が露わとなり、そのまま駆け出しカグヅチドラグーンを切り裂き、破壊する。
「さらにキャメロットポーンを召喚!」
並び立つ4体のスピリット。ガルドのブロッカーはガイアスラのみで残りライフは3。フルアタックで一気に勝負を決めつけるつもりなのだろう。
「ハァ……ハァ……テメェの、コアはトラッシュとガイアスラに置いてる分でほとんどねぇ、防ぎたくても、簡単にはマジックを使えねぇだろ?」
【超覚醒】、その驚異の能力の代償としてデメリットも存在する。それはスピリット上に置いたコアがそのスピリットが破壊されない限り、決して取り除く事ができないという事。複数回による使用はコア不足を引き起こしかねない。
「一気に、決めてやる! ベルドゴールでアタック!」
「疲労により1枚ドロー、ライフで受ける」
異形な爪がライフを引き裂くが、衝撃にも全く動じない。
ガルドside
【Life】3→2。
「ライフ減少時、聖者の木の実の効果によりコア1個をリザーブに追加」
「関係ねぇよッ! キャメロットナイトでアタック!」
「疲労によりさらにドロー、アタックはスレイヴガイアスラでブロック」
迫るキャメロットナイトだが、ガイアスラはそれを迎え撃ち、その手でキャメロットナイトを掴み取ると地面に叩き付け、破壊する。
「闇の聖剣の効果、破壊されたスピリットのコストを3/4に変更し、フローレンスの【不死】発揮! ノーコストでフローレンスを再召喚! グラシャハウンド、次はお前だ! 他のスピリットがいなけりゃ【超覚醒】は使えねぇだろォ!」
「疲労によりまたドローだ、それはライフで受けよう」
今度はグラシャハウンドが襲い掛かり、転記されたライフに組み付くと、そのまま爪を突立て、ライフを引き裂く。
「聖者の木の実の効果でコアを追加。そしてライフ減少時でバースト発動、絶甲氷盾! ボイドからコア1個をライフに追加、さらにコストを支払ってフラッシュ効果を発揮、アタックステップを強制終了させる」
ガルドside。
【Life】1→2.
「今度は白のマジックかよ。ターンエンド」
行く手を阻む氷の壁を前に、舌打ちながらもやむを得ずターンエンド。
────第8ターン、ガルドside。
[Reserve]11個→12個。
[Hand]9枚→10枚。
[Field]スレイヴガイアスラLv.2(3)、彷徨う天空寺院Lv.1(0)、焔竜の城塞都市Lv.1(0)、千本槍の古戦場Lv.1(0)、聖者の木の実Lv.1(0)。
「さてこのターン、君が私の攻撃に耐え切れるのか見せてもらおうか。メインステップ、闘将カタパルドスとニジノコをLv.2で召喚。さらにタワーミンゴをLv.2で召喚。不足コストはニジノコをLv.1にして確保」
「黄色のスピリット、6色全てデッキに入れてるのかよ」
「君にはできない芸当だろう?」
「黙れ、テメェに見下されたくねぇんだよッ!」
「なら精々足掻いて見せてくれ、アタックステップ、まずは闘将カタパルドスでアタック! アタック時効果発揮、私のデッキの上から2枚のカードをオープンし、系統「虚神」、「神将」を持つスピリットカード1枚を手札に加え、それ以外はデッキの下に戻す」
2枚のカードがオープンされ、出たカードは「賢者の木の実」と「虚龍帝カタストロフドラゴン」。
「系統「虚神」を持つカタストロフドラゴンを手札に加える。さらにアタック時効果発揮、【激突】!」
「闇騎士フローレンスでブロック!」
火炎放射によってフローレンスは三度破壊され、スピリットの疲労と相手のスピリットの破壊で2枚のカードを手札に加え、さらにタワーミンゴにもアタック指示を出し、そのアタックに対して、ライフで受け、また衝撃がプレイヤーを襲い、膝を一瞬崩しかけるが、それでも彼の意地とプライドが倒れることを決して許さない。
「ぐぅッ!」
ダイキside。
【Life】3→2。
「さぁここからが本番だ。スレイヴガイアスラでアタック。【超覚醒】の効果! カタパルドスのコア1個を移動させ、Lv.3にアップし、さらに回復させる!」
今度はカタパルドスからコアを奪い取って吸収し、そのままダイキへと襲い掛かりその攻撃に対し、キャメロットポーンにブロック指示を出すが、ガイアスラが放つ波動に簡単に消され、破壊されてしまい、疲労と破壊により2枚のカードを再び手にする。
「まだだッ! 【不死】の効果、闇の聖剣でキャメロットポーンのコストを3/4としても扱うことで、さらにキャメロットポーンの元々のコスト0を条件に、キャメロットナイトとフローレンスの二体をトラッシュから再召喚だッ!」
グラシャハウンドの力でノーコストで蘇る二体。だが、幾らスピリットが復活しようともまだまだガイアスラは止まる気配はない。
「無駄さ、もう一度スレイヴガイアスラでアタック! 【超覚醒】の効果発揮、さらにタワーミンゴからコア1個をこのスピリットの上に置くことで回復する」
「フローレンスでブロック!」
何度も続く【超覚醒】によるアタックと、【不死】による防御。フローレンスが破壊され、ネクサスの効果で2枚ドロー。そして再びアタックと同時に【超覚醒】でタワーミンゴのコアをガイアスラで移動させて回復し、その攻撃をキャメロットナイトでブロックし、破壊されてネクサスの効果で2枚ドローし、そして【不死】の効果で再びフローレンスが蘇る。
「何度粘ろうとも無駄だよ、スレイヴガイアスラでアタック! さらに【超覚醒】発揮! カタパルドスのコアを移動させて、回復だ!」
再びカタパルドスからコアを抜き取り、コアが全て無くなったカタパルドスは消滅し、ガイアスラが迫り、それを再度フローレンスでブロックさせ、再び破壊され、2枚のカードを手札に加える。
「不死の効果発揮! ボアトリクターを再召喚!!」
「まだ終わらないよ、スレイヴガイアスラ、5度目のアタック! 【超覚醒】の効果発揮、タワーミンゴのコアを移動させ、回復させる」
「ボアトリクターでブロック!」
【超覚醒】の効果でコアを失ったタワーミン後は消滅し、ボアトリクターは牙を構えて飛び掛かるものの、スレイヴガイアスラは飛び掛かるボアトリクターを簡単に片手で首を掴み、そのまま地面に叩き付けて破壊し、ガルドはネクサスの効果で2枚、ダイキはボアトリクターの破壊時効果で互いに2枚ドロー。
「【不死】の効果でフローレンスを再召喚」
「まだまだ、ガイアスラで次のアタックに……ん?」
何度も続くアタックを仕掛けてきたものの、気づけばガルドのフィールドにいるのはニジノコとスレイヴガイアスラの2体のみで、【超覚醒】で使えるコアは一つのみと、スレイヴガイアスラが攻撃を行える回数も限界に使づいてきた。
「ケッ……調子に、乗りすぎた……みたいだな。テメェには、もう2体のスピリットしかいねぇ。俺のライフは2つ。まだブロッカーも残ってる。どうやって俺のライフを削りきるつもりだァ!」
「おやおや、私としたことが……。確かに、これでは君を倒しきれないね。ターンエンド」
────第9ターン、ダイキside
[Reserve]7個→8個。
[Hand]5枚→6枚。
[Field]闇騎士フローレンスLv.1(1)、魔界七将ベルドゴールLv.1(1)、グラシャハウンドLv.1(1)、闇の聖剣Lv.1(0)。
「テメェが幾ら余裕ぶっててもスレイヴガイアスラとトラッシュのコアを除いて、お前が使える残りのコアはたった1つ! どうやっても凌げやしねぇだろォ!」
以前平静を崩していないガルドだが、彼の態度はもはや気にもしていない。ガイアスラとトラッシュにほとんどコアを取られている以上、どんな手を隠していようとも対抗できる訳がないと考え、ダイキはこのターンで勝負を決めるつもりだった。
「バーストセット。このターンで終わらせてやるッ! 敵に災厄齎す不死鳥! 虚皇帝ネザードヴァラルを召喚!!」
出現したアメジストが砕けると、地面にまるで沼のように広がる闇、その闇から飛び出すの不死鳥、否、皇帝の名を冠するネザードヴァラルが姿を現す。
「コイツは召喚された瞬間から常に、相手のスピリットのLvコストを+1する」
ネザードヴァラルは不気味な鳴き声を上げ始め、その声にニジノコは魘されるに悶え始める。
「お前のニジノコに必要な維持コストはこの瞬間、2つ必要になった。つまりコア1つだけじゃニジノコは消滅扱いとなる!」
ネザードヴァラルの上げる声に耐え切れなくなり、ニジノコはその場から消滅する。
「さらにもう一体! 冥界より来る魔王ッ! 全員頭を垂れて奴を出迎えろッ! 冥府の三巨頭バロックボルドーを召喚ッ! 不足コストはグラシャハウンドとフローレンスから確保ッ!」
ダイキのスピリット達は平伏し、フローレンスとグラシャハウンドはまるで来る何かにその身を捧げるように消滅。そして出現する冥界の扉。扉の隙間から漏れる魔界の空気。扉が開き、現れるのは骸の魔人、バロックボルドー。
「召喚時効果発揮! 残り手札3枚すべて、俺はバロックボルドーの下に乗せる!」
手札の全てを使い切ったものの、それでも場には3体のXレア、勝負を決めるには十分、寧ろ必要以上の戦力だった。
「(バーストは絶甲氷盾。このターンで決めるつもりだが、もし万一の対策も万全だ)」
手札は尽きても対策は一切抜かりがない。そのまま鋭い眼つきでアタックステップを宣言すると、三体のXレアは一斉に構える。
「ブロッカーはスレイヴガイアスラだけ。まずはベルドゴールでアタックッ!」
「疲労により1枚ドロー。そしてライフで受けよう」
ベルドゴールの爪の一振りがライフを引き裂き、破壊する。
ガルドside。
【Life】2→1。
「聖者の木の実のコアでボイドからコア1つをリザーブに置く」
「それでもお前のリザーブにあるのはたったコア3個。それで何ができる! ネザードヴァラル、行けッ!!」
再び大きく鳴きながら、翼を羽ばたかせガルドへと向かっていくネザードヴァラル。だがガルドは向かってくるネザードヴァラルを見ながら口元を緩ませる。
「コア3個あれば十分さ。まずは疲労に1枚ドロー、そしてスレイヴガイアスラでブロック!」
ネザードヴァラルを受け止めるスレイヴガイアスラ。BP差はスレイヴガイアスラが上回ってるが、それでもまだ場にはバロックボルドーが残っており、破壊されても問題はなく、寧ろ相手に使えるコアを増やさないためにもBP差が相手より下回ってる方が好都合だった。
「ダイキ、この程度で私を追い詰めたと本気で思ってるのか?」
「何!?」
「私のバトルは君程度の常識じゃ図れない。フラッシュタイミングでマジック、ライフチャージを使う」
「なっ! それは!?」
「コスト3以上のスピリットを破壊し、コア3個をボイドからリザーブに増やすマジック。だがこの状況で使うことの意味がただのコアブーストじゃないことは分かるよね」
「!!」
スレイヴガイアスラは緑の光に包まれて消滅しリザーブに置かれる3個のコア、だがガルドの狙いはコアブーストではなく、ガイアスラを破壊する事であり、ガイアスラを破壊した事でそのスピリットの上に載っていたコアは再び使用可能となる。
「これでマジックのコストは確保できた。フラッシュタイミングで絶甲氷盾!」
「ぐっ!!」
間髪入れずに新たなマジック、絶甲氷盾。マジックの効果により出現した氷の壁が行く手を塞いでしまう。
「もう、終わりだね?」
「ッ! まだだ、次こそは!!」
「嫌、君にもう次などない」
「!」
────第10ターン、ガルドside。
[Reserve]20個→21個。
[Hand]18枚→19枚。
[Field]彷徨う天空寺院Lv.1(0)、焔竜の城塞都市Lv.1(0)、千本槍の古戦場Lv.1(0)、聖者の木の実Lv.1(0)。
「さてコアも手札ももう充分だ。メインステップ。レッドレイを使用する」
・【レッドレイ】/5(2)赤、マジック。
『フラッシュ効果』BP5000以下の相手のスピリット1体を破壊する。
【連鎖:紫】
自分の紫シンボルがあるとき、下の効果を続けて発揮する。
[紫]:相手の疲労状態のコスト4以下のスピリット1体を破壊する。
「効果によりネザードヴァラルを破壊、さらに紫シンボルを条件に【連鎖】発揮、ベルドゴールも破壊する!」
赤と紫混じった炎がネザードヴァラルとベルドゴールを焼き尽くし破壊。闇の聖剣の効果で1体のコストは3/4として扱っているが、メインステップ中の破壊では【不死】の効果は使えない。
「さらにマジック、サジッタフレイム。効果により、闇の聖剣を破壊だ」
炎の矢が闇の聖剣に幾つも刺さり、炎が燃え広がり炎上したネクサスは消滅し、ダイキの場に残ったのはバロックボルドーのみ。
「チィッ!」
「続けてバーストセット。そしてバーストセット中、手札にあるこのスピリットはコスト7として扱う。そして軽減によりコスト3で虚龍帝カタストロフドラゴンを召喚する!」
地面から噴き出す炎、そして紅蓮の炎から姿を現す巨大な龍、カタストロフドラゴン。
「これだけじゃない! 彷徨う天空寺院の効果を発揮するよ!」
・【彷徨う天空寺院】/5(3)赤、ネクサス。
Lv.1(0)
Lv.1『自分のメインステップ』
自分が本来コスト8以上のスピリットカードを召喚するとき、このネクサスを疲労させることで、自分のリザーブから2コストまでを支払ったものとして扱う。この効果はターンに1回しか使えない。
「命も魂も全て無に帰し滅ぼす龍、敵に終焉を! 滅龍帝ジエンドドラゴンニスをコスト1で召喚!」
空より降り注ぐ黒い雷が降り注ぎ、現れる黒き龍、ジエンドドラゴニス。フィールドに並ぶ巨大な二体の龍はそれぞれ大きく咆哮を上げ、その迫力は計り知れない。
「高コストのスピリットを一気に二体、だと!?」
「圧巻だろう? さらにカタストロフドラゴンをLv.2に、ジエンドドラゴニスをLv.3にアップ。そしてアグレッシブレイジを2枚を使用。効果により、カタストロフドラゴンとジエンドドラゴニスに【激突】を与える」
「……ッ!!」
「ハハハッ、これで準備は終わった。全てを滅ぼす滅龍コンボがね」
「何ッ!?」
「君の場にあるのはバロックボルドーとバーストのみ。恐らく防御系のバーストだろうが、それじゃぁもうこの2体の龍は止まらない。君を倒すまで、ね?」
アタックステップ開始の宣言と共に、再び吠える二体の龍。最初にジエンドドラゴニスが突っ込み、アグレッシブレイジ時の効果で【激突】を与えられ、強制的にバトルを仕掛ける。
「ば、バロックボルドーでブロック」
「無駄だ。BP差は圧倒的だ」
バロックボルドーが6つの剣から斬撃波を撃ち出し、対してジエンドドラゴニスは火炎放射放ち、その豪火は斬撃波を簡単に打ち消し、火炎放射がバロックボルドーを焼き尽くし、破壊する。
「バロックボルドーの効果、下に伏せたカードを破棄することで回復状態に残る!」
「無駄だと言った筈だよ、幾ら残したところで無意味だ。カタストロフドラゴンでアタック。【激突】で強制ブロックしてもらうよ!」
「バロックボルドーでブロック!」
「ジエンドドラゴニスの効果、ジエンドドラゴニス以外の自分のスピリットがブロックされた時、このスピリットは回復する」
迫るカタストロフドラゴンにバロックボルドーが立ち塞がるが、カタストロフドラゴンは構う事無くバロックボルドーに突っ込み、そのまま突き倒すとバロックボルドーを前足で一気に踏み潰して破壊する。
「伏せてあるカードを破棄して、もう一度バロックボルドーを残す」
「ならもう一度ジエンドドラゴニスでアタック! マジックの効果で【激突】を持ち、カタストロフドラゴンのLv.2効果、【激突】を持つスピリットがアタックしたとき、カタストロフドラゴンは回復する」
「もう一度バロックボルドーでブロック!」
ジエンドドラゴニスはバロックボルドーに組み付き、首元に喰らい付き、噛み裂き、破壊する。
「ぐっ! カードを破棄して回復状態で残す!」
「だが、これでもうバロックボルドーに伏せられたカードはない。カタストロフドラゴンで再びアタックだ、【激突】で強制ブロックしてもらうよ!」
「バロックボルドーでブロック!」
「ジエンドドラゴニスは再び効果で回復する」
ガルドのコンボ、ジエンドドラゴニスがアタックすればカタストロフドラゴンが回復、カタストロフドラゴンが攻撃すればジエンドドラゴニスが回復の繰り返し。二体の龍はダイキの残りライフ2つを目掛けて襲い続け、バトルではカタストロフドラゴンは火炎放射を繰り出し、炎に跡形もなく焼き尽くされる。
「これでもうブロッカーはいない。これで最後だ」
「クソッ! クソッ!! 俺が、こんな……所で!!」
「悔しがる事はない。結果は決まっていた事だ」
「黙れ……ッ!」
ガルドの言葉に耳を塞ぐ。
「君は────」
「黙れ! 黙れ!! 黙れェッ!!!」
耳を塞ぎながら必死にガルドの言葉から耳を遠ざけようと怒声を上げる。だが……。
「君は弱い。どう足掻いても君は見下される立場なんだ、あの頃から何も変わっていない」
「黙れぇーーッ!!!」
ダイキの過去に触れる言葉に耐え切れず、精一杯の怒声を上げるが、何一つ彼の訴えに顔色一つ変えることなく、ただ笑いながらジエンドドラゴニスに。
「終わりだ、ジエンドドラゴニスでアタック!」
無慈悲に出される攻撃指示。ジエンドドラゴニスが迫り、ダイキの残りのライフ2つに炎を吐き付け、ライフを二つ破壊する。
「がああああああああああぁぁぁぁぁぁ────────ッ!!!」
悲痛な叫びと共に、バトルに幕が下ろされた。
***
バトル後、元の場所へと戻り、その場に仰向けに倒され、ピクリとも動く気配がない。
『ガルド様、終わったみたいですね』
「あぁ、そっちもか」
背後から聞こえるデュランの声、振り返るデュランの足元に倒れているアキラの姿が確認できた。
「多少時間は掛かりましたが、無事にね」
「そうか。こちらも予想より時間は掛かったが結果は予想通りだ」
「さすがは主。この二人、息はまだあるみたいですが、どうします?」
「……捨ておけ。用もなければこの二人を気にする必要すらない。行くぞ」
「ハッ!」
倒れたダイキとアキラを気にも留めず、立ち去るデュランとガルド。だが、二人がその場から姿を消す頃には、ゆっくりと起き上がるダイキの姿が。
「ゆ…………さ、ねぇ、ぞ……。俺は、か、ならず、テメェを……!!」
フラフラになりながらもその目に強い憤怒の炎を燃やし、彼もまたその場から立ち去って行った。
いかがでしたでしょうか! 今回のバトル。ついにスポンサーの男の名前と実力が明かされました。60枚デッキ、普通なら回しづらいでしょうが今回とんでもないデッキの周り方をしていて、書いてて私自身が一番子供相手にえげつないなと思ってます。アキラもダイキも作中では大人ぶって描いてますが、実は二人も和人達と同じまだ13歳の中学生設定ですからね(笑)
ちなみにガルドのモチーフは決して似てますが決してガルドスじゃないです。安心してください、別キャラですよ!←言いたかっただけ
作中で少し出てきたモルクおじいさんは特撮に出てくるギンガマンのモーク、アルトはワールドトリガーのヨースケがモチーフです。和人達のモチーフもいつか書こうかなと思います。今回活躍を見せたジエンドドラゴニスは実はアニメでもソードアイズしか出て無くて気づいてビックリしました。現環境なら再び大暴れできそうなんですけどね。私のゼクスデッキにも活躍してくれてますし。
今回最後のターン、少々大変だったのでネクサスとカタストロフドラゴンのアタック時効果は残念ながら割愛させていただきました。単純に攻め続ける二体の龍だけが書きたかったので(;´・ω・)。今回のバトルはたぶん今まで書いてきて一番驚異的なバトルだったかなと思います。大人の実力が半端ない(笑)また次回もご期待してくださるとうれしい限りです。