バトルスピリッツ激震の勇者   作:ブラスト

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第37話『絶望の冥府三巨頭』

檻越しに自分達の目の前に立つダイキ。リクトの言葉に、まるで馬鹿にしたように笑いながら続けていく。

 

「アハッハハハ! んな凄まれても、檻の中じゃまるで格好付かねぇな、リクト」

「煩い! 言ってる場合か! ともかく訳を聞かせろ!」

「ハハハハ、まぁテメェ等は今回被害者だしな。心配しなくても無下にはしねぇよ」

 

「笑かしてくれた礼だ」、と皮肉を言いながらも足元に倒れている男から鍵を取り出したかと思うと、その鍵で檻を開ける。

 

「……助けてくれたのか?」

「どうせテメェ等もガルドに捕まってたんだろ? 俺はただアイツがお前等を利用しようとする魂胆を潰しただけだ」

「ガルド?」

「そっか、テメェ等は知らなかったな。あのスポンサー、俺やお前等にハイドカードを渡したあの男の名前だよ」

「「!!」」

 

自分達をこの世界に連れてきた男の名に、当然動揺を隠せない。

 

「ガルド、それがアイツの名前か」

「そうよ。あの野郎に屈辱味わされたんでなァ、ハイドカードも取られこの訳の分かんねぇ世界に連れて来られ、胸糞悪ぃ。徹底的に借りを返すために俺はここに来た」

「借りを返す、ならあの男は今ここにいるのか!?」

 

動揺するリクトの言葉、「知らなかったのか?」と馬鹿にしたように笑いながらもさらに続けていく。

 

「あの野郎にバトルに負けた後、こっそり後を付けたからな。ここにいるのは間違いねぇ筈だ。テメェこそ何でここにいる?」

「分からない。目が覚めたら俺も光もここにいた」

「成程なァ、テメェ等は完全な部外者って訳だ。まぁ元々用はないけどな、俺の足元で倒れてんのはガルドの野郎の部下みたいでな。ここに来るまでに会った連中は全員ぶっ倒してきた。今なら楽に逃げれるだろ? とっとと出て行った方がいいぜ?」

「お前はどうするんだ?」

「決まってる、俺はあの野郎に復讐────!」

 

そこまで言い掛けた途端、足元をふら付かせ、倒れかける。

 

「「ダイキ(さん)!?」」

 

突然の様子に駆け寄る二人だが、「来るんじゃねぇ!」と力一杯叫んで駆け寄る二人を止める。

 

「だ、ダイキさん、明らかに無理してませんか?」

「そうだ。もしかしてバトルの影響じゃ?」

「ハッ、勘がいいぜ。あの野郎曰く、この世界のバトルで受ける衝撃はあのイカれたバトルフィールドの倍以上だとよ」

「「!?」」

 

ガルドが作ったバトルフィールドでの衝撃も並大抵の物では無いにも関わらず、その倍以上の衝撃となると体が持つ訳がない。それなのにガルドとの敗戦後にさらにバトルを続けているダイキの様子に思わず絶句してしまう。

 

「テメェ等には関係ねぇ話だ。まぁ用心することだなァ」

「お前はどうなんだよダイキ! そんな状態にまでなって、まだ!」

「関係ねぇって言ってんだろ? 自分の身がどうなっても俺はあの野郎を叩き潰す!」

「お前、そこまで!!」

 

これまでの煽る様な態度とは一変、睨むような眼つきで叫ぶダイキ。その様子に恐らく、本気で力尽き様ともバトルする覚悟なのだろう。だが、それを知ったうえでリクトはダイキの行く手を阻むように前へと出る。

 

「何の真似だ、リクトォ?」

「見て通りだ、それ以上バトルできる状態じゃないだろ?」

「言ったろ、テメェ等には関係ない。俺がどうなろうが知ったこちゃねぇだろ!」

「お前がどう思おうが関係ない! 俺はお前を止める!!」

「ッ! 面倒くせぇ、こんな事なら檻に閉じ込めたままのが良かったぜ」

 

目の前に立ち塞がるリクトに悪態をつきながらも、デッキを取り出す。

 

「力付くでも俺の前から立ち退いてもらう! 勿論カードバトラーのやり方でな!」

「待て! ダイキそれ以上のバトルは!」

「この世界はバトスピで物事が決められてんだよ。俺を止めたきゃ、この世界のルールに乗っ取るのが筋ってもんだろ? 違うかァ?」

「…………ッ!」

 

多少考え込みながらも、やむを得ずリクトもデッキを取り出す。

 

「リクトさん!」

「光、悪いけど脱出は後回しにする!」

「そんな事はどうでもいいんです! ダイキさんの話が本当なら、リクトさんだってバトルで身が危ないかもしれないんですよ?」

「そうかもしれないが、バトルじゃないと止められそうにないからな」

「なら私が……!」

「嫌、此奴とはいつかの決着も付けないとだしな」

 

初めてダイキとバトルした時、あの時ダイキが明らかに手を抜いていた事は分かっていた。だからこそバトルをする以上、あの時の決着をこの場で白黒はっきりさせたい気持ちもあった。

 

「腹括ったみたいだな、けどテメェに構ってる暇はあまりねぇ。直ぐに終わらしてやる!」

「言ってろ、俺は絶対お前を止める!」

 

互いにデッキを構え、そして叫ぶ。

 

「「ゲートオープン! 界放ッ!」」

 

宣言と共に二人はその場から姿を消し、バトルフィールドへと戦いの場を移す。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「先行は俺から貰うぜ?」

「あぁ」

 

バトルフィールドへと舞台を移し、構える二人。

 

 

────第1ターン、ダイキside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]4枚→5枚。

 

「メインステップ、ダークソードル召喚。召喚時効果で1枚ドローだ」

「いきなりドローか」

「今はな、これで俺はターンエンドだ」

 

 

 

 

────第2ターン、リクトside。

 

[Reserve]4個→5個。

[Hand]4枚→5枚。

 

「行くぞ! ネクサス、永久凍土の王都を配置!」

「……ケッ、厄介なネクサスを建ててくれるぜ」

「厄介なのはお互いにな、ターンエンドだ」

 

 

 

 

────第3ターン、ダイキside。

 

[Reserve]3個→4個。

[Hand]5枚→6枚。

[Field]ダークソードルLv.1(1)BP1000。

 

「メインステップでダークソードルをもう一体召喚! 召喚時効果で1枚ドロー、そしてネクサス、旅団の摩天楼を配置、配置時効果でさらにドローだァ!」

 

・【旅団の摩天楼】3(2)紫、ネクサス。

Lv.1(0)、Lv.2(2)

Lv.1、Lv.2『このネクサスの配置時』

自分はデッキから1枚ドローする。

Lv.2『自分のアタックステップ』

系統:「無魔」を持つ自分のスピリットがアタックしたとき、相手スピリットのコア1個を相手のリザーブに置く。

 

「っ! 手札が全く減ってない!?」

「悪いな、生憎今日は本気なんでなァ、最もこのデッキは使いたくなかったが、もう形振り構ってられねぇからな」

「使いたくない? それってどういう?」

 

リクトの疑問に対し、「口が滑ったな」と軽く口元を隠す素振りを見せながら彼は続ける。

 

「俺には後が控えてんだ、長話してる間なんてねぇよ、速攻で決めてやる! アタックステップだァッ!!」

「!!」

「ダークソードル二体でそれぞれアタックだ!」

「どちらもライフで受ける!」

 

ダークソードル達は両腕の刃を構えながらリクトへと突っ込み、それぞれ飛び上がって展開されたバリアに刃を突き刺して、ライフを破壊する。

 

「ぐあああっ!!」

 

リクトside。

[Life]5→3。

 

ライフが砕け、光を失った個所から吹き上げる硝煙。これまでの体験と予想をはるかに上回る痛みに思わず片膝をつく。

 

「おいおいおい! もうギブアップかよ?」

「だ、ダイキ!! お前……この痛みに、ずっと耐えてたのか!?」

「あァ?」

 

ライフを失った個所を抑えながらも、彼が真っ先に危惧したのは自分自身ではない事に対し、挑発的な言葉を止めた。

 

「だったらどうしたよ?」

「……だとしたら、これ以上のバトル……本当に死ぬぞ!!」

「!」

 

元々ダイキを引き留める為に挑んだバトル、ふらついていた彼の様子に不安を感じていたが、その不安は的中した。この世界で受けるバトルの衝撃はもはや並のレベルではない。無暗にバトルを繰り返せば、最悪命を落とすことだってあり得る。だからこそ自分達より無理なバトルを繰り返すダイキがこれ以上受ける衝撃に耐えきれるかが心配せずにはいられなかった。だが、そんなリクトの言葉に。

 

「……はは」

「?」

「……アハハッハハハッハ!! マジで言ってんのかよ? お前が心配してんのはガルドの野郎と協力してた野郎だぜ? それなのに心配すんのかよ?」

 

面白いかのように高らかに笑うダイキの姿。何時もと変わらず相手を馬鹿にするような挑発的な態度だが、ダイキの姿を見ても心配そうな表情を変えず、そんな彼の姿に先程まで笑っていた表情を一変。途端に冷静に戻り、呆れたようにため息をついて見せる。

 

「本気で言ってんのかよ、テメェ?」

 

先程の挑発的な口調とは違い、相手を威圧するような言葉。だがそれでもリクトは少しも顔色を変えず静かに頷き、その反応を気に入らないかのように舌打ち、苛立ちを現すように表情を歪ませる。

 

「リクトよォ、テメェそれは俺に対する同情か、それとも見下してんのか?」

「違う! 俺は!!」

「テメェの偽善態度には反吐が出やがる。俺は同情されるのが嫌いだし、何より見下されんのが一番嫌いなんだよ!!」

 

声を荒げながら憤怒の感情を剥き出しにするダイキ。だが彼の様子に少し押されながらも、その言葉に何か引っかかるような気がした。

 

「ダイキ俺はただお前を止めたいだけだ。この衝撃を受け続ければ身が危ないことぐらいは分かるだろう? そうまでして何でバトルする事に、嫌、力を手に入れる事に拘ってる!」

 

アキラ以上にハイドカードを、力という概念を求めていたダイキ。その理由の問いに対して、彼は少しだけ口元を緩ませる。

 

「俺が力を求める理由だと? んなもん決まってるだろうが! ただ勝利の為だ!! 誰にも負けない強さを手に入れりゃ誰にも俺を見下させねぇ!! そうすりゃきっと」

「?」

 

思い出すように何かを言い出しかけるが、表情を戻して言い掛けた言葉を飲み込む。

 

「前にも言ったよな、俺は見下す立場だと! もう誰にも俺に舐めた口を聞かせねぇ、心底俺に誰も歯向かわせねぇ! だからその為にハイドカードを! ガルドの野郎をぶっ倒して、俺の力の証を取り戻す!」

「ダイキ、悪いが俺も負けられない。勝ってお前を絶対に止める!」

「なら止めて見せろ、俺はこれでターンエンドだァ!」

 

 

 

 

────第4ターン、リクトside。

 

[Reserve]7個→8個。

[Hand]4枚→5枚。

[Field]永久凍土の王都Lv.1(0)。

 

「俺のターン、行くぞ!」

「!」

「白銀の龍、月より出でよ! 月光龍ストライクジークヴルムをLv.3で召喚!」

 

フィールドを照らす満月、その光に照らされながら姿を現す月光龍────ストライクジークヴルム。

 

「出たな! お得意のストライク!!」

「アタックステップだ! 月光龍ストライクジークヴルムでアタック!」

「ライフだ!」

 

背中のスラスターを起動させて飛び上がると、そのままダイキへと急降下し、右腕を振り下し、バリアを爪で引き裂き破壊する。

 

「ッァ!!」

 

ダイキside。

[Life]5→4。

 

流石にダイキ自身も限界が来ているのか衝撃の強さに吹っ飛ばされ、壁に手を伝って何とか立ち上がるも既に満身創痍だったのは見てるだけでも伝わってきた。

 

「まだ続ける気か?」

「ったり、めぇだろォ! 俺のライフは……まだ、残ってんだぜ。終われる訳、ねぇだろ!」

 

ガルドに復讐する。その執念だけで倒れそうな体を必死に支えている。彼御執念が強い以上説得だけではもはや止まらない。バトルに勝つしか止める方法はなかった。

 

 

 

 

────第5ターン、ダイキside。

 

[Reserve]4個→5個。

[Hand]6枚→7枚。

[Field]ダークソードールLv.1(1)BP1000、ダークソードールLv.1(1)BP1000、旅団の摩天楼Lv.1(0)。

 

「……来やがったか」

「?」

 

引いたカードを嫌悪するような態度で静かに呟くも、やむを得ないように引いたばかりのカードに手を掛ける。

 

「絶望の一角、敵を滅ぼす悪魔の王! 冥府三巨頭、ザンデミリオンを召喚ッ!!」

 

コールと共に、フィールドを雲が覆い光を遮り、薄暗くなった場の中央に突如現れる門。重い音と共に徐々に扉が開かれ、開く扉から漏れ出る瘴気。そして扉が完全に開くと、悪魔を模したかのようなスピリット、ザンデミリオンがその姿を現す。

 

「不足コストでダークソードールを破壊だ」

 

ザンデミリオンは門から飛び出すと同時に足元のダークソードールを喰らう。その姿に圧倒されながらも、ストライクジークヴルムはザンデミリオンを威嚇する様に吠え、ザンデミリオンもそれに答えるかのように、それ以上の咆哮を轟かせる。

 

「ザンデミリオン。それがキースピリットか」

「……違ェ、こいつは貰いもんだ。俺のなんかじゃねぇ」

「何?」

 

ザンデミリオンの姿を見ながら、「こいつだけは使いたくなかった」と恨めしそうに呟く。

 

「どう意味なんだ?」

「コイツは他人から貰った力だ。俺自身の力じゃない、けど、今の俺にはコイツに縋るしかねぇ。ガルドの野郎を倒す為に仕方なくコイツを使うだけよ!」

「他人から貰ったカードでも、今はお前のスピリットだろ? なのに何でそこまで嫌悪している?」

「(……俺の力じゃなきゃ、認められねぇからだよ)」

「?」

 

小声で返答するダイキの言葉を聞き逃さず、その言葉を疑問に思う中、「続けるぞ!」と話を中断する様にダイキはバトルに意識を戻す。

 

「アタックステップだ! ザンデミリオン! 潰せェッ!」

 

ダイキの指示にザンデミリオンは吠えながらゆっくりと前進し、ザンデミリオンが動き出したと同時にストライクジークヴルムは白い光を纏う。

 

「相手スピリットがアタックしたとき、ストライクジークヴルムは回復する!」

「関係ねぇんだよ! コイツの前じゃなァッ!!」

 

ザンデミリオンを阻もうと行く手に立ち塞がろうとするストライクだが、ザンデミリオンは眼光を輝かせると、紫の瘴気を放ち、放たれた瘴気はまるで拘束するかのように周囲を囲む。

 

「!?」

「ザンデミリオンの効果、系統「無魔」を持つスピリットがアタックした時、相手は相手のスピリット一体を破壊しなきゃブロックできない」

「何だと!?」

「幾ら俺のアタックで回復しようが、そいつ一体だけじゃ俺のスピリットは止められねぇ!!」

「ッ!!」

 

ザンデミリオンを止める術はなく、身動きの取れない相手を素通りしてそのままリクトへと突っ込むと、バリアに取り付き、そのままバリアに牙を突立て、噛み砕く。

 

「うわあああッ!!」

 

リクトside

[Life]3→1。

 

「これで終いだ! ダークソードルでアタック!」

「……ライフで受ける」

 

ダークソードルも無魔を持ち、止める術はない。以前拘束され動けないストライクを他所にダークソードルは両腕の刃をリクトへと振り下す。

 

「俺のライフが0になる瞬間、永久凍土の王都の効果を発揮させる!」

「ッ!?」

 

リクトの宣言と共に、背後に配置されていた永久凍土の王都は光となって消えたかと思うと、その光はリクトを守るかのように壁のような形となり、ダークソードルが振り下す刃を防ぎ、弾き返してしまう。

 

・【永久凍土の王都】5(4)白白、ネクサス。

Lv.1(0)。

トラッシュにあるこのネクサスカードは一切の効果を受けない。

Lv.1

自分のライフが0になるとき、このネクサスをトラッシュに置く事で、自分のライフは0にならない。その後ボイドからコア1個を自分のリザーブに置く。

 

「命拾いしたなァ、けどいつまでも耐え切れると思うなよ。ターンエンドだ」

 

 

 

 

────第6ターン、リクトside。

 

[Reserve]7個→8個。

[Hand]4枚→5枚。

[Field]月光龍ストライクジークヴルムLv.3(4)BP10000。

 

「メインステップ、氷盾の守護者オーシンをLv.2で召喚。さらにもう一体、突起龍アーケランサーを召喚! 召喚時効果で一枚ドローし、相手ネクサスを破壊、対象は旅団の摩天楼!」

 

アーケランサーは自身に搭載された矛をまるでミサイルのようにダイキの背後のネクサスに向けて撃ち出すと、矛は旅団の摩天楼を貫き、貫かれた個所から崩壊を始めると、完全に崩れ消滅する。

 

「ブレイヴはさせない。これでターンエンド」

「(ザンデミリオンの効果を警戒したか)」

 

 

 

 

────第7ターン、ダイキside。

 

[Reserve]5個→6個。

[Hand]6枚→7枚。

[Field]冥府三巨頭ザンデミリオンLv.1(1)BP7000、ダークソードールLv.1(1)BP1000。

 

「さて、まずは邪魔なスピリットから片付けてやるか」

「!」

「マジック、妖華吸血爪! 手札からバロックボルドーともう一枚のザンデミリオンを破棄。効果でその鬱陶しいオーシンのコア2個をトラッシュに送る!」

 

マジックの効果により、コアを失ったオーシンは消滅してしまう。

 

「オーシン!?」

「相手手札の制限効果もだが、そいつが最も厄介なのはコスト3以下のスピリットが相手効果で破壊されれば疲労状態で残れること。そいつがいりゃザンデミリオンで幾ら破壊しても残されちまうからな。今のうちに破壊さしてもらったぜ?」

「ッ!?」

 

自分の狙いを最初から読んでいたに歯噛みし、リクトの様子に口元を大きく緩ませる。

 

「さて防御の要を崩したところで決めに行ってやらァ、ザンデミリオンとダークソードルを共にLv.2にアップ。アタックステップだ!」

「ザンデミリオン、行きなァッ!!」

 

ザンデミリオンは再び進撃を開始すると、先程と同じ瘴気を今度はストライクジークヴルムとアーケランサーの二体に放ち、拘束するように二体の周囲を囲む。

 

「どうする!? ブロックしたきゃどっちか破壊だ!」

「ぐっ!」

 

ザンデミリオンの進撃に、拳を握りしめながらもアーケランサーに視線を向け、「ごめん」と静かに謝る。

 

「アーケランサーを破壊して、ザンデミリオンはストライクジークヴルムでブロックする!

 

アーケランサーを囲む瘴気はアーケランサーを包み込むと、瘴気に呑まれたアーケランサーは消滅。しかしアーケランサーの破壊を代償にもう一方の瘴気が晴れると、瘴気から解放され、自由となったストライクはそのままザンデミリオンへと向かって行き、頭部の角を掴み、その進撃を止める。

 

[Battle]冥府三巨頭ザンデミリオンLv.2(3)BP10000vs月光龍ストライクジークヴルムLv.3(4)BP10000。

 

「BPは互角か、だがな! ザンデミリオンは破壊されても、トラッシュから破壊されたコスト以下のスピリットを再召喚できる!」

「! だからこそ、妖華吸血爪か!!」

 

ダイキのトラッシュにあるのはもう一体のザンデミリオン。例えバトルを引き分けに終わったとしても、ザンデミリオンは再び場に戻る。バトルでは、ザンデミリオンはストライクの肩に喰らい付き、機械の体に深々とその牙を突立て、苦しみながらも反撃に零距離で電撃を放ち、超至近距離の攻撃はさすがに通じたのか、痛みに動きが鈍くなる。

 

「フラッシュタイミングで絶甲氷盾! 不足コスト確保でストライクをLv.1にダウンさせる」

「! 相打ちには持ち込ませねぇつもりか!!」

 

マジックにより吹き荒れる猛吹雪。だがマジックの使用によりストライクの力は減少し、放つ雷の威力も下がり、ザンデミリオンはこの機を逃すまいと、そのままストライクの首元に喰らい付き、噛み裂き、力尽きたストライクは大爆発を起こし、リクトは自分のキースピリットの破壊を見届け、悔しそうに拳を握りしめる。

 

「ストライク、悪い!」

「ケッ、キースピリットの心配とはテメェも和人も甘ちゃんに成り下がったな」

「何?」

「単純に、前からずっと気に入らねぇんだよォ、スピリットに情とか、仲間とか! 生温いバトルをしているテメェらがな!」

「生温いバトルだと? だったらお前は何の為にバトルをしている?」

「何の為に、そんなもん自分自身の為に決まってるだろうが!」

「どういう意味だ?」

「この際教えてやるよ、昔の事だ」

 

過去を振り返りながら、苛立った表情のまま話を続ける。

 

「癪な話だが、俺もテメェ等みたいに昔は純粋にバトルすることが楽しかった。けど、それに反比例するぐらい俺は、クソ弱いカードバトラーだった」

「えっ?」

「人に弱みを見せりゃ喰われる世の中だ。バトルが弱かった俺は周りからずっと見下されてた。馬鹿にされ、遠ざけられ、居場所もなかった」

「…………」

「そんな時だよ、一人の女の子とあった」

「?」

「……周りに見下され、居場所もなかった俺にその子は普通に接してくれた。その時は嬉しかったし、いつの間にか好きにもなった」

 

過去を思い出しながら苛立った表情は次第に和らいでいき、「もう顔は覚えてないけどな」と呟きながらも続けていく。

 

「バトルの相談にも乗って貰って、その時その子からザンデミリオンを受け取り、それで作り上げたのがこのデッキよ」

「なら何でそのデッキを今まで使わなかった?」

「言ったろ、俺の力じゃないからだ」

「?」

「早い話自分の力じゃなきゃ認められなかった。確かにこのデッキは俺の中で一番強いデッキだ、けど俺の力だけで作り上げた物じゃない。だから周りの連中には幾ら勝っても見下されたまま。どん底に立ったままの俺はその時ようやく気付いたのよ!」

「何を?」

「あの子も悪魔で俺に同情してただけ、つまり俺はその子にも下に見られたわけよ!! もうたくさんだった!! これ以上見下されたくない! 誰よりも上に立って、俺が見下す立場になると!!」

「その為に、ハイドカードが必要なのか」

「その通りだ! 力の証であるハイドカードが俺には必要だァ! だからリクト、俺はテメェに構ってられねぇよ!」

「それがお前のバトルする理由、か」

 

ダイキの言葉に少しだけ何かを考えるように目を瞑るが、決心したように目を見開く。

 

「なら……俺は絶対お前には負けない!」

「何!?」

「他人をただ見下したいだけの奴にスピリット達は答えない。けど、俺はそうじゃないと思ってる」

「ハァ? 何が言いたいんだよテメェは!」

「その子もきっとお前を下に見てたわけじゃない。ただお前の力になりたかっただけなんじゃないのか? お前もそれは分かってる筈だ!」

「テメェに何が分かる?」

「さぁな、けどバトルが純粋に好きだったお前にその子も魅かれたんだと俺は思う。それに勝ち負けだけが強さじゃないさ」

 

ダイキと同じくリクトや川村も以前はバトルに勝つことだけが強さの証だったと信じていた。けど、和人ととのバトルを通してそれだけが強さじゃないと悟ったことを思い返す。

 

「だからその子はお前が本当は強い事を、ハイドカードが無くても十分お前は強いことを理解していた。だからこそ、ザンデミリオンを託したんじゃないか?」

「そ、そんな訳ねぇだろ! 勝手な解釈してんじゃ────」

「認めろダイキ! ザンデミリオンはもうお前のスピリットだ。お前はそいつを十分使いこなし、誰が何と言っても他でもないお前の仲間で、お前自身の強さだ!」

「ッ!!」

「その子も俺も決して見下してなんかいない。ハイドカードが無くてもお前が十分強いことは、分かっているさ」

「……俺が、強いだと? お前、本気で言ってんのか?」

「場を見て見ろよ、俺の場のスピリットは全滅、ライフも残り一つ。ここまで追い込んだお前が弱い訳ないだろ? ザンデミリオンを使いこなしてんのも、俺が追い込まれてるのも、お前が強い証拠だ」

「……俺が強い、か」

 

今までの歪んだ笑みではなく、柔らかい表情で少しだけ口角を上げて笑って見せた。

 

「フッ、人を煽てんのはいいがよ! テメェだってそれで終わらねぇんだろ?」

「あぁ! 俺も簡単には負けられないからな!」

「だったら見せて見ろよォ! テメェの反撃を!! 俺のターンはエンドだ!」

 

 

 

────第8ターン、リクトside。

 

[Reserve]12個→13個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]なし。

 

「俺のターン、ネクサス、要塞都市ナウマンシティーを配置!」

「!!」

「配置時効果発揮!!」

 

 

【要塞都市ナウマンシティー】5(3)白、ネクサス。

Lv.1(0)、Lv.2(2)

Lv.1、Lv.2『このネクサスの配置時』

自分の手札にある白のスピリットカード1枚を、コストを支払わずに召喚できる。ただし『このスピリットの召喚時』効果は発揮されない。

Lv.2『相手のターン』

相手のフィールドのスピリット/ネクサスの色が2色以上の時、色1色につき、相手の手札にあるマジックカード全てをコスト+1する。

 

旅団の摩天楼と同じ、配置した瞬間に発揮される効果。要塞都市がリクトの背後に出現した瞬間、手札の1枚が輝き、そのカードに手を掛ける。

 

「黄金の鎧をその身に纏う戦士! 闇を撃ち抜き現れよ! 黄金騎神フィンマックランをLv.3で召喚だ!」

 

要塞都市からまるでサイレンのような音が鳴り響いたかと思うと、要塞都市の地下が扉様に開くと、そこから飛び出すのはマントに身を包んだ一体のスピリット。フィールドへと降り立ち、マントを翻してフィンマックランがその姿を現す。

 

「テメェの新しいキースピリットか!!」

「あぁ、このままアタックステップだ! フィンマックラン、攻撃だ!」

 

リクトの言葉に頷きながら片手に持った銃を構えると、照準をダイキへと向ける。

 

「俺にはブロッカーが残ってる! 攻撃は通さねぇぞ!!」

「分かってる、だからフラッシュタイミングでマジック! ドリームリボンだ!」

「ッ!!」

 

相手スピリット一体を手札に戻すマジック、ドリームリボン。白のリボンはダークソードールを縛り付け、そのままダークソードールごと光となって消え、手札へと戻されてしまう。

 

「ブロッカーがいねぇ!」

「それだけじゃない、フィンマックランのLv.3効果発揮! お互いのアタックステップで、相手スピリットが手札に戻ったとき回復だ!!」

 

ダークソードールが戻ったことにより、フィンマックランは白い光を纏って回復し、がら空きとなったフィールドにフィンマックランを止める者はもういない。

 

「フィンマックランのメインアタック! さらにこのスピリットのアタック時、このスピリットはダブルシンボルとなる!!」

「ライフで受けてやるよ!!」

 

そのまま銃を撃ち放つと、展開されたバリアを一直線に撃ち抜き、破壊する。

 

「ぐぅッ!!」

 

ダイキside。

[Life]4→2。

 

「フィンマックランは回復している! もう一度アタックだ!」

「まだだッ! フラッシュタイミングでスケープゴート!!」

「!」

 

【スケープゴート】4(3)紫、マジック。

『フラッシュ効果』自分のトラッシュにある紫のスピリットカード1枚をコストを支払わずに召喚する。ただし『このスピリットの召喚時』効果は発揮されない。バトル終了時、この効果で召喚したスピリットを破壊する。この効果は、『自分のターン』で使えない。

 

「不足コスト確保でザンデミリオンをLv.1にダウンさせ、トラッシュにあるもう一体ザンデミリオンを再召喚! まだ終わらせてたまるかよォ!」

 

マジックの効果により、地面に刻まれる魔法陣。そして突如魔法陣が光り出したかと思うと、まるで転送されるかのように二体目のザンデミリオンが姿を現す。

 

「(久々だぜ、バトルが面白いって思えたのは。力の証が欲しいとか何だ言っても、俺は結局、他人を見下したいんじゃなく、誰かに認めてもらいたかっただけなのかもな)」

 

明るく笑いながら、バトルに集中すると現れたザンデミリオンにブロックさせ、迫るフィンマックランへと向かって行く。

 

[Battle]黄金騎神フィンマックランLv.3(5)BP13000vs冥府三巨頭ザンデミリオンLv.1(1)BP7000。

 

「このターンを凌げば、次のターンで確実に決めれる! どうするよォ!」

「なら俺はこのターンで決めないとな! フラッシュタイミングで、リゲイン!」

「まだマジックを持ってたかのよ!」

「あぁ。効果でフィンマックランを回復だ!」

 

互いにぶつかり合うフィンマックランとザンデミリオン、銃口を向け、迫るザンデミリオンを撃ち抜いていくが、歪な両腕で銃弾を弾いていき、そのまま接近するとフィンマックランの拳銃を叩き落として両腕を突き出し、フィンマックランはそれを受け止め、互いに組み合う二体。だが力比べに分があったのはザンデミリオン。徐々に押していくとそのままフィンマックランを押し倒し、身動きの取れない内に止めを刺そうと、口を開きエネルギーを集束させる。追い詰められる中、フィンマックランは片足をザンデミリオンの腹部に押し当てると、そのまま上空に蹴り上げる。

 

蹴り上げられながらも真下に入るフィンマックランへ破壊光線を放ち、フィンマックランも拳銃を天に掲げ、そのまま真上に向かってエネルギー弾を撃ち上げ、互いの攻撃が上空で激突。

 

「フィンマックラン! 決めろォッ!!」

 

二度目の力比べに分があったのはフィンマックラン。エネルギー弾はザンデミリオンの光線を押し返してザンデミリオンへと命中し、攻撃を喰らい力なく墜落するザンデミリオンに再度銃口を向けてもう一発撃ち出すと、放たれた銃弾はザンデミリオンの体を貫き、フィンマックランの真上で大爆発が起こる。

 

「これで決まりだな、ダイキ」

「……チッ、決めちまうのかよ?」

「あぁ、楽しいバトルだったぜ」

 

笑いながら言ったリクトの言葉に、ダイキも少しだけ躊躇いながらも、笑いながら「俺もだ」と答えて見せた。

 

「フィンマックラン、再アタックだ!」

「ライフで受けてやるよ!!」

 

再びダイキに向けて銃弾を撃ち出し、展開されたバリアへと直撃し、残ったライフを破壊し決着となる。

 

ダイキside。

[Life]2→0。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「リクトさん、ダイキさん!!」

 

バトル後、元の場所へと戻った二人に心配そうに駆け寄る光。バトルの衝撃はやはりキツかったのか、リクトは辛そうに息を切らし、ダイキも戻った矢先に意識を失いそのまま倒れ掛かり、それを慌てて光が支える。

 

「リクトさん、ダイキさんは!?」

「あぁ、気を失ってるだけだ。少し辛いが別に何ともない」

「そうですか。リクトさんは?」

「俺も大丈夫だ、けど少し疲れた。悪いがダイキをそのまま運んでもらえるか?」

 

二人の無事に胸を撫で下ろしながらほっとした様子で頷く光。そんな時、ダイキのデッキから一枚カードが落ち、それが視線に入る。

 

「このカード、ザンデミリオンですか」

「そのカードがどうかしたのか?」

「いえ、昔誰かにこのカードを渡した記憶があったので何だか懐かしく感じちゃって」

「渡した? へぇー、確かダイキもそのカードも貰った物って言ってた。まぁ当の本人は貰い主を忘れてたみたいだけどな」

「それは奇遇ですね。でも忘れてるなんて、渡した相手が少しが不便な気がします。私もカードを渡した人は忘れたので、人の事は言えないんですけど」

 

苦笑いしつつも、光の言葉にリクトは「もしかして」と言葉を言い掛けるが、それは野暮だと思ったのか、言い掛けた言葉を呑み込む。

 

「リクトさん、どうしました?」

「別に何でもないさ。それより早くここから出よう」

 

話題を切り替えるようにその場から歩き出すと、三人はその場を後にする。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「皆さま、着きましたよ」

「!!」

 

リクト達のバトルが終わった丁度その頃、城の付近に近づくデュラン、そしてその後ろにある和人達の姿。

 

「これより皆様をガルド様の元へと案内します」

 

デュランへと連れられ、和人達もまたその城の中へと入っていった。




ダイキvsリクト。何気にダイキのバトルを書くのは本編では久々でした。

ザンデミリオン相変わらず怖い。Uザンデもっと怖い(笑)
それに勝つフィンマックランさん! なんだかハンバーガーが食べたくなる名前←(ダマレ


冗談はさておき、アニメでは未登場のカードでしたが割と強いカード。アタック時ダブルシンボル。バウンスで回復、さらに重装甲など、優秀すぎるカードなので皆さんもぜひ使ってみてください(ステマ)


今回本当は冥府の三巨頭全員揃えようかなと思いましたが、クイーンメドゥークだけアルティメット編のカードなので断念。早く最新弾のカード書きたい! 異魔神ブレイヴデッキでこの前優勝できたので、その強さを小説でも書きたいという欲望があります(笑)
しばらくオリカはなしで書いてきましたが、次回からまた久々にオリカを暴れさせるのでオリカが苦手な方もどうかご了承ください。それとネタバレですが、この小説は一応40話で完結させる予定です!つまり残り3話! もう最終話に向けて頑張りますので是非今後もよろしくお願いします!
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