バトルスピリッツ激震の勇者   作:ブラスト

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・注意
前回言った通り今回のバトルは久々にオリカ成分ありです。苦手な方もどうかご了承くださいませ!



第38話『集乱のハイドカード! 幕開けの創世神皇』

「おや、これは?」

 

城の中へとデュランを先頭に入る和人達。だが城に入った矢先、真っ先に視界に飛び込んできたのは倒れている自分の部下達とリクトや光に背負われているダイキ達だった。

 

「おやおや、皆さんすでに脱出されていたようで。どうやらダイキさんの仕業ですかね?」

「リクト!! それに光も!!」

 

倒れている部下やリクト達を見ても、デュランはまるで気にも留める様子はなく、そしてデュランの後ろにいる和人達はリクト達の姿に安心したようにその場に駆け寄る。

 

「よぉ和人、お前等も無事だったか……それにアキラと他に」

「あぁ、話せば長くなるんだけど今はもうアキラも一緒に行動してる。こっちはモルクさんにアーク、それにアルト。みんな今は仲間だ」

「そうか、状況は一応ダイキから聞いてる。目が覚めたらここにいたんだが、迷惑かけたみたいで悪かったな」

「気にするなよ、それとダイキは何でここに?」

「まぁバトルで和解したって感じかな。まぁこっちも話せば長くなる。そっちはどういう状況下なのか教えてもらえるとうれしいな」

 

静かに、だが睨みながら威嚇するように目の前にいるデュランに尋ねる。

 

「リクトさんと光さんのお二方の身柄をこちらで預かってるので、和人さん達に迎えに来てはと提案したのです」

「俺達は檻で閉じ込められていた、身柄を預かってたなんて言ってるが本当は監禁の間違いじゃないのか?」

「これは失礼しました。主を皆様にご紹介してから、お二人を迎えに行くつもりでしたので」

 

悪びれた様子もなく計画していた段取りを伝えながら、そのまま彼女は一息つきさらに続けていく。

 

「さて、これで皆さんの用事は達成できたみたいですが、これからどうします?」

「……その前に一つ聞かせろ、ガルドの奴はこの城にいるのか?」

 

アークの言葉にデュランは静かに行く。

 

「だったら会わせろ! 俺はその為に来た!」

「アーク、お前!!」

「モルク止めるな。和人、お前等も戻ってな。ここからは俺の問題だ。」

「待てよ! 俺達だってただ黙ってきたわけじゃない。ここまで来た以上、俺達だって下がる訳にはいかない!!」

「なっ! 君達まで!?」

 

和人を初めとする誰一人、そこから後戻りを考えている者はなく、この先にいるガルドの元へ全員乗り込むつもりだった。

 

「やはりそう言うと思いましたよ。では皆さんをガルド様の元へ案内します」

 

和人達の藩王を最初から予想していたように言うと奥へと歩き出し、一番奥の部屋の扉を開けると、その目の前にいたのは紛れもなく和人達をこの世界に連れ、全ての元凶となった男、ガルドの姿だった。

 

「やぁこれはこれは、全員揃ってるようだね。ダイキにアキラも、無事みたいで何よりだ」

「……随分、白々しいじゃねぇか? あァ?」

「ダイキ!?」

 

いつの間に目が覚めていたのか、ガルドの言葉に対し辛そうな様子ながらも、元凶であるガルドの言葉に食って掛る。

 

「おやおや相変わらずタフだね。まぁ無事であってほしいと思っているのは本当だよ? 何せこれから君達にはテストバトルをしてほしんだからね」

「!」

 

やはり自分達を読んだのは何か理由があっての事。その言葉に直ぐ身構えるか和人達だったが、「ガルド!」と怒りに叫びながら和人の前へと立つアーク。

 

「ほぉ君とモルクまで来ているのか、随分役者がそろってるね」

「御託はいい! テストバトルだが何だか知らねぇが俺はおまえを倒す為に来た! 親父の敵を討ちにな!」

 

過去にアストラとのバトル、それに相当無理をしたのかアストラは勝利こそすれど力尽き、その原因であるガルドに対する怨恨はダイキ以上だった。

 

「相手はあれでも構わない。君がそのつもりなら始めようか?」

「上等────「待て!」

 

今すぐにでも始めようとデッキを構えるアークだったが、肩を掴みそれを止めたのはモルクだった。

 

「モルク! 邪魔するな!!」

「……アーク、悪いがここは私に譲ってくれ。お前や和人君達を危険に晒さないのが大人としての役目だ」

「引っ込めモルク! 此奴は俺の────」

「あぁ、だがガルドは私の友人の敵でもあるよ!」

「!!」

 

その一言にアークもモルクの気持ちを察したのか、怒りの感情を直ぐに沈めると、「分かった」と大人しく後ろに下がり、モルクはそれに安心したように一息つく。

 

「これはこれはお久しぶりですね、モルクさん」

「あぁ、久しいなガルド!」

「えぇ、お懐かしいです。昔あなたにはお世話になりましたからね、育ての親に対して、こうして対立してしまうのが本当に申し訳ない」

「「!?」」

 

ガルドの言葉に衝撃を隠せない和人達、アークは事情を知っているのか何も言わずただ二人の会話に聞き入り、モルクはガルドの言葉に対しただ黙って頷く。

 

「そうだ、身寄りのないお前を世話した。この世界で平和に暮らして欲しかったから」

「……私を育てた事、後悔していますか?」

「いいや、後悔はしていない。しかしお前が私の元を去り、あの子たちを巻き込む羽目になったのは私が原因だ」

 

負い目を感じながら、デッキを取り出すとガルドの前に構える。

 

「だからこそ責任は取らなければならない! この事態を招いた原因が私にあるのなら、私がお前を倒さなければならないのが筋だ!」

「他の者は巻き込まない、そういう事ですか」

 

「いいでしょう」と了承しながら、モルクに対しガルドもデッキを取り出す。

 

「お前が何を企んでいるかは知らないが、お前の野望は今ここで終わらせる!」

「止められませんよ、あの頃とは違う。ようやく私の野望は、もう手の届く位置にまであるんですよ! それをバトルでお見せしましょう! この場の全員にね」

 

奥から機械を運び出すデュラン、何をするつもりなのか警戒する和人達だが、ガルドは気にする様子はなく続けていく。

 

「心配には及ばない、和人君達にもバトルフィールドへと招待するだけだよ」

「何!?」

「悪魔で観戦者としてね。この世界のバトルに第三者は見る事ができない。不便と思ったから私なりの気遣いだよ!」

「よくも抜け抜けと!!」

「そう怒るな、私たちはただバトルするだけだ。始めよう!」

「あぁ」

「「ゲートオープン! 界放ッ!!」」

 

二人の宣言と共に、モルクとアークはその場から戦いの舞台を変え、一方で和人達もデュランによってその場からバトルフィールドへと移動し、設けられた観戦席のような所へ連れられ、ただこれから行われる二人のバトルを見守るしかなかった。

 

 

 

 

────第1ターン、ガルドside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]4枚→5枚。

 

「さぁ始めようか! 全知全能のバトルを!!」

 

これまでとはまた異質なバトルフィールド、まるで嵐のように暴風吹き荒れるフィールドの中、対峙しているモルクもバトルの状況を見ている和人達も息を呑む。しかしガルド本人は全くフィールドの状況を気にせず、寧ろそれどころか嬉々とした表情で開始の宣言をすると、バトルを始めていく。

 

「私のターン、ネクサス、賢者の木の実を配置する。そしてバーストセット」

 

ダイキとのバトルでも使ったネクサス。序盤は場を固めながら、抜かりなくバーストもセットし終えると、不敵な笑みを浮かべるとそのターンを終えた。

 

 

 

────第2ターン、モルクside。

 

[Reserve]4個→5個。

[Hand]4枚→5枚。

 

「私のターン、メインステップでゴクラクチョーを召喚だ」

 

煌びやかな翼を羽ばたかせて現れるスピリット、召喚されると共にその召喚時効果を発揮し、ボイドからコア1個をリザーブに置く。

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

 

 

 

────第3ターン、ガルドside。

 

[Reserve]4個→5個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]賢者の木の実Lv.1(0)。

 

「序盤は様子見と言ったところかな?」

「まぁそんなところだろうな」

「ふふっ、堅実なスタイルは君らしい。精々楽しませてもらおうか? 私はもう一枚ネクサス、雪の結晶樹を配置、そしてターンエンドだ」

 

ガルドの背後にもう一つの木が起ち始め、それは賢者の木の実のような緑溢れる木ではなく、雪の結晶が葉のように連ねる白い木だった。

 

 

 

 

────第4ターン、モルクside。

 

[Reserve]5個→6個。

[Hand]4枚→5枚。

[Field]ゴクラクチョーLv.1(1)BP2000。

 

「私のターン、ネクサス魔王蟲の根城を配置する。さらにマジック、ストロングドローを使う! 効果により3枚ドロー、そして2枚破棄」

 

引いたカードと手札を見合わせながら、そこから2枚のカードを選んでトラッシュに送り、送られたカードが「巨蟹武神キャンサード」と「タマムッシュ」の2枚。

 

「……アタックはしないターンエンドだ」

「随分慎重だねぇ、でもあまり慎重すぎるのも考え物だ。君はこのターン、一度もアタックしなかった為、私のネクサス、雪の結晶樹の効果を発揮させるよ」

「!」

 

【雪の結晶樹】4(2)白、ネクサス。

Lv.1(0)、Lv.2(2)

Lv.1、Lv.2『相手のアタックステップ』

ステップ終了時、このターン相手が1回もアタックしてこなかったら、ボイドからコア1個を自分のリザーブに置く。

Lv.2『相手のターン』

自分のスピリットが【氷壁】を使用したとき、このネクサスのコア1個を自分のトラッシュに置く事で、そのスピリットを回復させる。

 

雪の結晶樹は白く光り輝くと、ボイドからコア1個をガルドに齎す。

 

 

 

 

「あいつもコアブーストか」

「あぁ、攻撃を仕掛ければ賢者の木の実。攻撃をしていなくても雪の結晶樹。どちらかでコアブーストできるネクサスコンボって訳か」

 

バトルの経過を見ながら、戦況に少しだけ驚いたような反応示す和人達。ダイキ以外の全員は初見でのガルドのバトルだが、隙の無いそのバトルスタイルに和人達も初めてながらも油断できない何かを感じさせられた。

 

 

 

 

────第5ターン、ガルドside。

 

[Reserve]6個→7個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]賢者の木の実Lv.1(0)、雪の結晶樹Lv.1(0)。

 

「メインステップ。私はセットしていたバースト、「覇王爆炎撃」を破棄して新たなバーストをセットさせるよ」

「バーストを張り替えた?」

「さぁまだまだこれからだ。ソウルホースを2体召喚。続けて、骨孩児を召喚。召喚時効果発揮だ。3枚になるようドローする」

 

堅実にフィールドを揃え終えると、また少し微笑する。

 

「さてそろそろ私も攻める時かな?」

「!」

「アタックステップ。アタックだ、骨孩児!」

「ゴクラクチョーでブロックする!」

 

 

[Battle]骨孩児Lv.1(1)BP2000vsゴクラクチョーLv.1(1)BP2000。

 

両端に刃を揃えた双槍を振り回しながら走り出す骨孩児、阻もうとゴクラクチョーがその行く手を阻み、これ以上先に行かせまいと両翼を懸命に羽ばたかせて風を起こし、その風に足を止められながらも負けじと手に持った双槍をゴクラクチョーへと投げつけるが、その際に地面に踏ん張る力を抜いてしまったために風に吹き飛ばされて消滅し、ゴクラクチョーも骨孩児の投げつけた槍に貫かれ、相打ちに終わってしまう。

 

「まだだ、ソウルホースでアタックさせる」

「ライフで受けよう!」

 

馬の様な見た目通り、四足歩行でフィールドを駆けると、そのままバリアに向かって突進し、ライフを砕く。

 

「ぐっ!」

 

モルクside。

[Life]5→4。

 

「ターンエンドだ」

 

 

 

 

────第6ターン、モルクside。

 

[Reserve]7個→8個。

[Hand]4枚→5枚。

[Field]魔王蟲の根城Lv.1(0)。

 

「猪人ボアボアを2体をそれぞれLv.2で召喚し、そのままアタックステップだ!」

「ほぉ、ようやく攻めてくるみたいだね?」

「あぁ、まずは一体目のボアボアでアタック。アタック時効果でこのスピリットのレベルを一つ上げ、さらに魔王蟲の根城の青をシンボルを条件に【連鎖】! ボイドからコア1個をこのスピリットの上に置く!」

「仕掛けてきたね、そのアタックはライフで受けてあげるよ」

 

手に持った鉄球を振り回し、そのままガルドへと真っ直ぐ投げつけると、そのまま手急でバリアを打ち壊し、衝撃にライフが砕けるも、少しも動じる様子はなく涼しげな顔でまるで何事もなかったかのように思わせる。

 

「魔王蟲の根城の効果だ、【連鎖】を持つスピリットのアタックで相手ライフを減らしたとき、ボイドからコア1個を私のリザーブに置く」

「ならばこちらも賢者の木の実の効果でボイドからコアをリザーブに置き、さらにライフ減少でバースト、絶甲氷盾だ!」

 

バースト効果により、失ったライフに再び輝きが灯り回復する。さらにコストを支払えばモルクのアタックステップを強制終了させることもできる。しかしガルドは何を思うのか、また少しだけ口元を緩ませて笑みを見せる。

 

「コストは支払わない。よってまだ君のアタックステップは続けても構わないよ?」

「!」

 

挑発するように手招きするガルドの素振り。攻撃を誘うその様子は見るからに怪しいものの、モルクにとってもチャンスには変わりない。当然警戒する気持ちもあったが、決心したように二体目のボアボアをアタック指示を出し、ボアボア自身の効果で再びレベルアップとコアブーストの効果を発揮させる。

 

「やっぱり来たね! ライフで受けるよ!」

 

先程と同様投げつける鉄球にまたもライフが破壊されるが、それでも何事もなかったかのように平静を崩してはいない。

 

ガルドside。

[Life]5→4。

 

「魔王蟲の根城の効果、ボイドからコア1個をリザーブに追加する」

「こちらも賢者の木の実の効果だ。ボイドからコア1つをリザーブに追加」

「……これでターンエンドだ」

 

 

 

 

「ガルドの野郎、絶甲氷盾を使わなかったのは賢者の木の実でのコアブーストを狙ってか!」

 

「相変わらず食えない野郎だぜ」と付け足しながら、ここまでのバトルの流れに言葉を吐き捨てるダイキだったが、当然少しも油断できないことは理解している。

 

「モルクさんもガルドの狙いは分かってたんだろ? 何でわざわざアタックを?」

「アタックさせたのはボアボアでのコアブーストを狙った上だろ。相手が何かを狙ってるのは承知の上でモルクも自分の手を進めるために敢えて誘い乗ったんだよ」

 

和人の言葉に、冷静に状況を観察しながら答えるアーク。「果たしてどちらが先に動くか」と付け足す彼の言葉に全員静かにバトルの行方を見守る。

 

 

 

 

────第7ターン、ガルドside。

 

[Reserve]9個→10個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]ソウルホースLv.1(1)、ソウルホースLv.1(1)、賢者の木の実Lv.1(0)、雪の結晶樹Lv.1(0)。

 

「私のターンだ。新たなバーストをセット。そして3体目のソウルホースを召喚」

 

場を堅実に揃えるガルドだが、次の手札を見ながら「そろそろ行ってみようか」と静かに呟く。

 

「混沌と絶望、二つの災悪司りし邪神よ。敵を破滅に導け! 死神デュアルベルガス、Lv.3で来たれ!」

「ハイドカードだと!?」

 

ダイキのような召喚コールと、ハイドカードの一体である死神の名に全員動揺が隠せなかった。そしてデュアルベルガスのカードが場に置かれると、空を黒雲が覆い隠し高と思うと、その雲を引き裂いて地面へと振り落ちる一本の鎌。地面へと突き刺さる鎌をどす黒い瘴気が包み込むと瘴気の中に蠢く鎌を掴む影────そして次の瞬間、周囲の瘴気を振り払い、死神デュアルベルガスがその姿を表す。

 

「でゅ、デュアルベルガス!!」

 

当然以前の所有者だったダイキにとっては因縁のスピリット。もうハイドカードには固執していない彼だったが、それでも自分達の目の前に現れるそのスピリットの姿に一番動揺を隠せなかったのは彼だった。

 

 

 

 

「みんな随分驚いているね。だがハイドカードは既に全て私が手中に収めている。使っても不思議ではないだろう?」

「やはり使ってきたという訳か、お前はそのカードの為にあの子達を巻き込んだんだったな」

 

睨むように鋭い目線で言い放つモルク。和人達を思っての事か、静かな物言いだが、ガルドに対して怒りの感情がある事はすぐに察せた。

 

「昔もそうだ。ハイドカードを求め、お前は何の理由もなく私達の街へ攻め、そして今もまたこの子達を巻き込み、ハイドカードを手に入れ何かをしようとしている。お前は一体何の目的があってこんなことをしている!」

 

モルクや和人達にとって、ガルドの真意を今だ理解はしていない。モルクの言葉に「そうだったね」と頷いたかと思うと。

 

「まぁそろそろ話すべき時かもね。いいだろう、話してあげるよ。私が何の目的があって、ハイドカードを求めていたのかね」

 

冷淡に呟きながら緩んだ口元を戻すと、静かに口を開く。

 

「簡潔言うよ、理由は全て我が王家の復興だ」

「「!!」」

 

ガルドの目的は昔滅んだ王家の復興。当然その話に動揺と疑問が浮かぶが、モルクが言葉を言い掛ける前にガルドは自分の話を続けていく。

 

「知っての通り我が王家は遥か昔に起きた戦争によって滅んだ。人間の起こした過ちにより、被害を出し、先祖達は滅んでしまった」

「分かっている。だから我々はもう二度と同じ過ちを繰り返さないと────」

「もう繰り返さないとなぜ断言できる!」

 

モルクの言葉を否定するかのように制止させ、少しだけ声を荒げながらさらに続ける。

 

「お前に育てられ、先祖の話を聞いた時、幼いながらもずっと考えていた。何故立派だった王家が滅びなければならないかとな!」

「……お前の言い分は分かる。でももうスピリット達は眠りにつき、我々は今まで平和に暮らしてきただろう」

「あぁ。確かに平和だ。あれ以降人間が過ちを起こしたという記録は一切ない。だがモルク、俺はずっと考えてたよ。この世界は荒れ果てたままだ」

「!」

「つまりあの災害以降そのままにされている。復興もせず、ただ静かに生きているだけ。この世界は平和なんかじゃない! ただのうのうと平穏な日々の為に何もしなかっただけだ!!」

「そ、それは……!」

 

ガルドの気迫に押され、言葉を詰まらせるモルクだが、それに対し「まぁ争いが起こるよりはましだがね」と付け足し続ける。

 

「この荒れ果てた世界でもし王家が残っているのならきっと復興に尽力しただろう。再びこの世界を再生に導けたとずっと思っていた。だがそれと一緒で私はもう一つ考えていた」

「?」

「そもそも何故王家が、私の先祖が滅びなければならなかったのか、だ」

「何を言っている! お前の一族は平和を願い、民を想う立派な人だった」

「あぁ知っているとも。だがその優しい心が災いした」

「!?」

「民を思う余り、国を統治すれど民を完全に支配する事にまで非情になれなかった。だからこそ滅んだ」

「何だと!?」

「人は愚かな生き物だ、誰かに導かなければ前に進む術を知らない。現にお前達は導くものがいなくなった後、何もしなかった!」

「!!」

「だが導いたとしても、中には誤った道に外れる愚か者もいるだろう。その結果があの戦争を引き起こした」

 

過去の話を繰り返しながら、さらに激高し続けていく。

 

「人はそれ程までに愚かなんだよッ! 正しい道に導くためには正しい者が全ての人間を支配しなければならないんだよ!!」

「全てを、支配だと?」

「そうだ!! 完全な支配にこそ世界の安定は保たれる。だからこそ全てを支配する力が私には必要なんだ!! ハイドカード、そしてそれ以上の存在もね!!!」

「ガルド、貴様……!」

 

赤裸々に語る自らの野望、そしてその為に手段を選ばないガルドに当然怒りを隠せなかったが、突っかかろうとするモルクに手を突き出して止めると「バトルを続けよう」と冷静な表情に戻る。

 

「だから私は力を求め、あなたの元を去った。そしてこれから何を成すかはバトルが終わった後に詳しく教えよう、今はまだ私のターン、続行させてもらうよ」

「ッ!!」

「手札からマジック、ベリアルドローを使用する」

 

【ベリアルドロー】3(2)紫、マジック。

『メイン効果』このターンの間、アタックした自分の紫のスピリットが、BPを比べ相手のスピリットに破壊されるたび、自分はデッキから2枚ドローする。

『フラッシュ効果』このターンの間、スピリット一体をBP+2000する。

 

「アタックステップ、そしてデュアルベルガスのLv.1、2、3の効果。系統:「魔影」を持つスピリット全ては疲労状態のスピリットにアタックできる」

 

自身を含め、その効果は「魔影」を持つソウルホースたちにも与えられている。その事を確認すると、笑いながらバトルを続けていく。

 

「さぁソウルホースで君の猪人ボアボアにアタックだ」

「何!?」

 

[Battle]ソウルホースLv.1(1)BP1000vs猪人ボアボアLv.2(3)BP4000。

 

BPの差は明らか、結果も分かり切っていた。バトルでは膝をつきながら疲労しているボアボアへ突っ込むソウルホースだったが、勝負の結果は分かり切っており、鉄球を持ち上げ、そのまま真っ直ぐ向かうソウルホースに振り下し、叩き潰して破壊する。

 

「ベリアルドローの効果で2枚ドローするよ!」

「最初からそれが目的だったのか!」

「あぁ、まだまだ行くよ! 二体のソウルホースもボアボアに指定アタックだ」

「!」

 

ソウルホースは悪魔でドローの為の捨て駒だった。先程の結果をソウルホースたちも目の当たりにするも、それでもガルドの命令に果敢に向かうソウルホース達。しかし結局先程の二の舞でボアボアが振るう鉄球に弾き飛ばされ、2体とも消滅してしまう。

 

「ベリアルドローの効果でドロー、これで私の手札は合計6枚だ」

「お前にとってはスピリットも、所詮駒か!」

「今更そんなこと私の口から言わせないでくれるかな? それより今度はデュアルベルガスの攻撃だ!」

「!」

「デュアルベルガスで猪人ボアボアに指定アタック! 効果により疲労状態のスピリットにアタックしたこのスピリットは回復だ」

「ぐっ! 猪人ボアボアでブロック!」

 

[Battle]死神デュアルベルガスLv.3(4)BP10000vs猪人ボアボアLv.2(3)BP4000。

 

命を狩る死神の名の通り、鎌の切っ先を向けながらボアボアへと迫るデュアルベルガス。当然反撃しようと狙いを定め鉄球を飛ばすが、単調な攻撃を簡単に見切り、鉄球に対し体を少し反らして避わすと、そのまま鉄球に繋がる鎖を鎌で切り落とし、得物を失った標的との間合いを一瞬で詰めると、もう一度鎌を振り下し、ボアボアを切り裂いて破壊する。

 

「ボアボア!!」

「これでは終わらないよ、死神デュアルベルガスのアタック時、このスピリットがBPを比べ相手スピリットだけを破壊すれば、その効果で相手手札を破棄させてもらうよ!」

 

自分のスピリットが破壊されたことを嘆く暇すらなく、デュアルベルガスから放たれる斬撃波が手札の内の一枚を吹き飛ばし、それを破棄させられてしまう。

 

「二体目のボアボアにも指定アタックだ! もう一枚手札を貰う!」

 

次に標的に狙いを定めると、即座に抵抗しようとするボアボアだったが、防御に動き出すその一瞬の合間に、デュアルベルガスは既に鎌を振り下し終え、標的を切り裂いて破壊し、再度斬撃波を放ち、また手札の一枚を吹き飛ばす。

 

「これでターンエンドだ」

 

 

 

 

────第8ターン、モルクside。

 

[Reserve]12個→13個。

[Hand]1枚→2枚。

[Field]魔王蟲の根城Lv.1(0)。

 

「さて、その少ない手札とネクサス以外何もないフィールドで一体どうするのかな?」

「……ガルド、私を誰だと思っている? 最年長として私の実力、アストラに引けはとってないと自負している! まずは魔王蟲の根城をLv.2にアップ」

 

不利な状況でも前を見据え、手札の一枚に手を掛ける。

 

「昆虫王よ、鋭き鎌で敵を断罪せよ! 黒蟲魔王ディアボリカマンティスをLv.2で召喚する!」

 

フィールドに突如皹が入ったかと思うと、地面を突き破り姿を現すのは巨大なカマキリのようなスピリット、ディアボリカマンティス。鳴き声を上げながら鎌を掲げる自身の力を示す。

 

「さらにマジックでハンドリバース! 今の私に破棄する手札はない。よってガルド、お前と同じ枚数だけドローさせてもらうぞ!」

「ほぉ、流石に一筋縄じゃ行かないね」

 

手札を減らされながらもマジックにより再び手札を補充し終えると、そのままアタックステップを行う。

 

「ディアボリカマンティス、行くんだッ!」

 

モルクの指示に頷くとディアボリカマンティスはそのままガルドに向けて直進。そしてディアボリカマンティスが動き出したと同時に緑の風が吹き始めたかと思うと、それはデュアルベルガスの周囲に集い始め、風に力を奪われたようにその場に膝をつく。

 

「アタック時効果だ、死神デュアルベルガスには疲労してもらう。さらにディアボリカマンティスの【連鎖】の効果! 手札から2枚ドローして、2枚破棄!」

 

破棄したカードは「オウゴンオニクワガー」と「魔王蟲の根城」の2枚。手札を入れ替え、ディアボリカマンティスはなおも前進していく。

 

「そう簡単に上手くはいかないよ、相手のアタック後でバーストだ」

「!」

「避雷針之計! バースト効果により死神デュアルベルガスを回復、そのままブロックだ!」

 

[Battle]黒蟲魔王ディアボリカマンティスLv.2(3)BP10000vs死神デュアルベルガスLv.3(4)BP10000。

 

バトルでは互いに鎌を振り下して斬り合い、鍔迫り合い拮抗する力に弾かれながらも何度も何度も切り合い、互いに力は互角。両腕の鎌を振るい手数で上回るディアボリカマンティスに対しデュアルベルガスは得物によるリーチの差でカバーし、お互い一歩も引かない勝負を展開する。

 

「同じBPなら両方破壊だ!」

「フラッシュタイミング、魔王蟲の根城のLv.2効果!」

「!」

「ターンに一回、手札にある【神速】を持つスピリット、又はブレイヴをノーコストで召喚できる。よって手札にある黒蟲の妖刀ウスバカゲロウをディアボリカマンティスに直接合体(ダイレクトブレイヴ)!」

 

拮抗する両者、だがそこへ突如空を裂いて、振り落ちるソードブレイヴの内の一本───ウスバカゲロウ。出現する妖刀に好機と捉え、ディアボリカマンティスは一度後ろに飛んで下がると、ウスバカゲロウを空中で取り拾い、ソードブレイヴスピリットとなる。

 

「これでBPはディアボリカマンティスの方が上だ!」

 

得物を手に入れた事でリーチの差も埋め、再び接近し互いに得物を振り合う両者だが、デュアルベルガスの振るう鎌は寸での所でディアボリカマンティスの身には届かず、リートの差で上回ったウスバカゲロウの刃はデュアルベルガスを切り裂き、切り裂かれた死神は大爆発を起こす。

 

「ウスバカゲロウの効果だ! BPを比べ相手のスピリットだけを破壊したとき、相手ライフのコア1個を相手のトラッシュに置く!」

 

デュアルベルガスを倒し、勝利に喜ぶ暇はなく、すぐさまガルドに向けてブレスを吐き付け、ライフを破壊する。

 

ガルドside。

[Life]4→3。

 

「ターンエンド」

 

 

 

────第9ターン、ガルドside。

 

[Reserve]12個→13個。

[Hand]6枚→7枚。

[Field]賢者の木の実Lv.1(0)、雪の結晶樹Lv.1(0)。

 

「メインステップ。ネクサス、五角形の砦を配置する」

「……またネクサスか!」

「そう嫌な顔をするな、まだこれで終わりじゃない。マジック、デッドリィバランスを使用だ。お互いスピリットを選んで破壊してもらうよ?」

「ッ! ディアボリカマンティスを破壊。魔王蟲の根城からコアをウスバカゲロウに移動させ、スピリット状態で残す」

 

デッドリィバランスはお互いを対象にする効果だが、ガルドの場に対象となるスピリットはいない。紫の炎に焼かれディアボリカマンティスは消滅してしまい、ウスバカゲロウはその場に落ちる。

 

「まだだよ。カッチュウムシを召喚。そしてマジック、マジックオブオズを使う。手札を全て破棄する事でデッキから3枚ドロー!」

 

捨てたカードは「獄炎龍バーニングドラゴン」、「宝龍アブソドリューガ」、「海帝獣オルガウェーブ」の3枚。またもハイドカードの姿により一層警戒が強くなる。

 

「ハイドカード、随分手札に揃えてたみたいだな」

「……まぁね、続けようか? アタックステップ、カッチュウムシでアタックだ!」

「ライフだ!」

 

出現と同時に、火花を吹き出し加速するとその勢いのままバリアへと突進し、ライフを砕く。

 

モルクside。

[Life]4→3。

 

 

 

 

────第10ターン、モルクside。

 

[Reserve]12個→13個。

[Hand]5枚→6枚。

[Field]黒蟲の妖刀ウスバカゲロウLv.1(2)BP5000、魔王蟲の根城Lv.1(0)。

 

「メインステップ、ダークマッハジーを【神速】召喚だ!」

「ほぉ、メインステップで【神速】とはね」

 

【神速】とは本来、お互いのフラッシュタイミングマジックのように使用することで相手の意表を突く事のできる。だがそれをカウンターとして使うことは無く、あえて今召喚したことに意味がある。

 

「ダークマッハジーの【神速】を発揮したことにより【連鎖】だ! お前のカッチュウムシを破壊する!」

 

魔王蟲の根城の青シンボルを条件に発揮される【連鎖】。青白い光を纏うと、緑の風をカッチュウムシに向けて放ち、その風は単なる疲労ではなく、カッチュウムシの力を完全に奪い去り、破壊してしまう。

 

「もう一体だ! 全ての事象を覆す龍神よ! その力を今こそ示せ! 森羅龍樹リーフシードラを召喚ッ!!」

 

地底より響き渡る龍の咆哮、激しい地響きと共に地割れが起き、割れた大地から飛び出すは巨大な植物のような見た目を持つ異形の龍────リーフシードラが目覚める。

 

「ウスバカゲロウとブレイヴだ!」

 

間髪入れずにリーフシードラは自分の足元に落ちてある剣に、足元の根を巻き付け持ち上げるとそのまま自分の口元へ放り投げ、ウスバカゲロウを咥え、ソードブレイヴスピリットとなる。ソードブレイヴスピリットとなり、圧倒的な迫力を魅せ付けるがガルドはその姿に対し一切怯む事無く、むしろ笑いながら手を叩くと、相手のスピリットの姿に対し拍手を送っていた。

 

「素晴らしいよ、リーフシードラとウスバカゲロウのブレイヴ。それがたしか君のデッキで一番の切り札だったね」

「あぁ。そうだ! リーフシードラはアタック時に相手のマジックを発動させず、ウスバカゲロウはバーストを発動させない。つまり相手の反撃を許さない!」

「そして例え攻撃を防いでもバトルに負ければ、ウスバカゲロウとリーフシードラの【連鎖】でライフを3点削れる。まさに決定的な攻撃となる訳だ」

 

モルクの狙いを完全に理解したように語るガルド。だがそれでもガルドは決して平静を崩さず、「だからこそこのネクサスを配置したんだけどね」、とネクサスに視線を置きながら呟く。

 

「君の狙いは知っているよ。だからこそ、このネクサスがある」

「五角形の砦か」

 

絶体絶命の中、ガルドがまだ自分が追い込まれていないと思う理由は配置されているネクサスの内の一枚、五角形の砦の効果にあった。

 

【五角形の砦】3(2)白、ネクサス。

Lv.1(0)、Lv.2(1)。

Lv.1、Lv.2

自分の手札は相手スピリット/ブレイヴ/ネクサス/マジックの効果を受けない。

Lv.2『相手のターン』

ドローステップ以外で相手がドローした時、自分はデッキから1枚ドローできる。

 

「このネクサスがある以上、私の手札はリーフシードラの効果は受けない。当然、マジックも使用できる訳だ」

 

手札をひけらかす様に余裕を見せながら挑発するガルド。単なるハッタリなのか、それとも罠を狙っているのか、何れにせよこのままリーフシードラでアタックするだけでは確実に決定打になるとは言い切れない。だがそれでもモルクは冷静のままバトルを続けていく。

 

「ガルド、お前のネクサスが私の目の前にあるにも関わらず、ただそれに対し私が無策だと思うか?」

「ほぉ、という事は何か手があるのかな?」

「あぁ。マジックで双光気弾を使わせてもらう!」

「!」

 

突然の赤のマジックに対して流石にガルドも反応して見せ、マジックの効果により火球を撃ち込まれた五角形の砦は炎上し、破壊されてしまう。

 

「双光気弾の効果により、お前のネクサスを破壊さしてもらった!」

「赤のマジックも入れていたとはね。これは油断したよ!」

「ガルド、これで最後だ! ソードブレイヴスピリットをLv.2にして、アタックステップ!」

 

五角形の砦が破壊されたことに反応は見せても、動揺はしていない。だが平静を保つガルドだが、守りの綱であるネクサスがなくなった今、もう気兼ねする必要はない。高らかに開始の合図を宣言すると、リーフシードラに攻撃指示を繰り出し、巨大な体をゆっくりと進撃させ、ガルドへと向かって行く。

「マジックもバーストも使えない! 終わりだッ!!」

「あぁ確かに五角形の砦がない以上、私はマジックカードもバーストカードも使えないな」

 

進撃するソードブレイヴスピリットの姿に静かに呟き、ガルド自身も観念しているのか既に覇気はなく、勝負は決したと確信するモルク。バトルを見ている和人達もモルクの勝利は決まったと喜ぶが、その瞬間、ガルドはゆっくりとまた笑って見せた。

 

「使えないのは、バーストとマジックだけだがね」

「何!?」

「フラッシュタイミング! くノ一ジョウロウを【神速】召喚だ!」

「!!?」

 

進撃するリーフシードラの真上に出現するエメラルド、砕けたエメラルドから蜘蛛の糸が展開されると、その意図に逆立ちの態勢でぶら下がるくノ一ジョロウが姿を現す。

 

「このタイミングで【神速】だと!?」

「さすがにこれは君でも予期できなかったね、リーフシードラが制限できるのはマジックのみ。幾ら君でもスピリットであるくノ一ジョロウは止められない」

「ッ!?」

「さすがに分かってると思うけど、コイツの召喚時効果発揮だ。折角のソードブレイヴだが、くノ一ジョロウの効果で分離させてもらうよ?」

 

予想外の一手に全員動揺を隠せなかった。くノ一ジョロウはリーフシード等の咥えているウスバカゲロウに狙いを定めると糸を射出し、ウスバカゲロウに糸を取り付けると、そのまま一気に釣り上げ、ブレイヴを解除させられてしまう。

 

「コアの移動は持ち主が行う。どうする?」

「ッ! ウスバカゲロウにコアは置かない。そのまま破壊する!」

 

リーフシードラのレベルを維持する為の判断なのか、コアは釣り上げられたウスバカゲロウは維持コストが無くなった為に消滅。アタック自体は継続している為、ブレイヴを失ってもなおリーフシードラは止まる事無く進み続ける。

 

「アタックはライフで受けるよ」

「リーフシードラはダブルシンボル! ライフを二つ破壊させてもらう!」

 

ガルドの目の前まで迫ると、そのままバリアに破壊光線を放ち、衝撃に巻き起こる大爆発と共にライフが砕かれる。

 

[Life]3→1。

 

「賢者の木の実でコアを一つ追加。これでもう私のライフはあと一つ、流石に危なかったよ」

 

爆風が晴れライフは残り一つにまで追いつめられる。しかし追いつめられた状況下でも、その言葉とは裏腹に全く余裕の態度を崩さず、ガルドの様子にモルク自身もたじろいでしまう。

 

「ぐっ!」

 

彼が何かを仕掛ける前に一刻も早く勝負を決めねば自分は勝機がない事はモルクが一番理解している。だからこそ追い込んだ今こそ勝負を決めにかかりたいのだが、神速で召喚されたくノ一ジョロウがいる以上止めは刺せない。焦る気持ちをあせながらも、止むを得ずターンエンドし、その宣言を聞いた瞬間、ガルドは歪んだ笑みを見せる。

 

 

 

 

────第11ターン、ガルドside。

 

[Reserve]16個→17個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]くの一ジョロウLv.1(1)BP2000、賢者の木の実Lv.1(0)、雪の結晶樹Lv.1(0)。

 

「メインステップ。さぁモルク、久々の勝負だったがそろそろ幕引きをしようか?」

「もう勝ち誇ったつもりか、まだ勝負はついていないぞ!」

「いや、もう勝負は決まっている。嫌、結果等初めから私にはわかっていた」

「何!?」

「見せてあげようモルク。これが、私の野望の、理想を叶える最強のスピリット!!」

 

ガルドの手に掛ける一枚にフィールドはまるで嵐の前の静けさのように無音の空間包まれ、全員が不穏な空気を感じる中、これから呼び出されるであろうそのスピリットにモルクは身構える。

 

「滅亡と再生、絶望と希望。世界を滅ぼし再生する絶対なる神! 最強の力を今現実に、創世神皇ゼウスエデンを召喚する!!!」

「「!?」」

 

カードを天に掲げると、天より降り祖ぐ光の柱、フィールド全てを揺るがす地響きと共に地面より飛び出すのは星その物を思わせるような、あまりに巨大な球体。球体は光の柱の中へとその姿を消すと、眩い光を放ち、あまりに強い輝きはフィールドの全てを照らし隠し、暫くして光が晴れると、目の前に映ったその光景に誰もが絶句した。

 

モルク達の目の前にいたのは、バトルフィールドを埋め尽くし兼ねない程、自分達の視界に映り切れない程、あまりに巨大すぎるスピリットの姿だった。

 

「創世神皇、ゼウスエデンだと!?」

「これが世界に革命を齎すスピリットだ」

 

ハイドカードにもそれぞれ見てるだけで圧倒されるほどの威圧感があった。だが明らかにゼウスエデンと呼ばれるそのスピリットの姿はハイドカードとは次元そのものが全く違った。その場に存在しているだけで、重圧による衝撃に地面は揺れ、瓦礫は塵となって消え、対峙するだけで殺られると錯覚する程の殺気。そのスピリットとも違う存在に、ただただ全員圧倒されるばかりだった。

 

「何なんだ一体、このスピリットは!?」

「素晴らしいだろ? これは私その物であり、私が生み出したスピリットだ、ハイドカードとこれまでの戦闘データを元に、それを超越する存在として生み出した、ね」

「そんな事を!? 何故!?」

「言っただろう。世界を支配するための力だと、伝説のカードゴッドキャリバスのデータもこのスピリットにと思っていたがもう不要だ。ハイドカードの力だけで存分に最強のスピリットとして目覚めさせられた」

「ならばお前がハイドカードを狙っていたのは!」

「そう。ハイドカード等、所詮はこのカードを生み出す為だけの物! 私の目的はずっとこのカードを目覚めさせる事だけにあった!!」

 

これまで和人達に接触し、ハイドカードを目覚めさせることに動いていた本当の目的、そしてその理由を高らかに語るが、あまり強大なゼウスエデンの姿に和人達はただただ言葉を失い、もはやその姿を見るしかできなかった。

 

「さぁ行くよ、ゼウスエデンの効果、【消失(ロスト)】発揮!」

「!?」

 

ゼウスエデンはゆっくりと両手をガルドとモルクに翳すと、ガルドとモルクのトラッシュのカードが突如飛び出しかと思うと、そのカードは全てゼウスエデンへと取り込まれる。

 

「何だと!?」

「このカードが場に存在する間、お互いのトラッシュのカード全てをロストさせる。例え破壊されてもスピリットの魂はトラッシュに残る。だからこれはスピリットの魂その物を消滅させる効果さ!」

「魂そのものを消滅、だと!?」

「あぁ。そしてこの効果でロストしたカード1枚につき、このカードのBPを+3000、そしてBP10000毎にシンボル一つを加算。ロストさせたカードの合計は26枚。よってBPは78000!!」

「!!?」

 

あまりに破格の数値にモルクも言葉を失った。勝てる訳がない、その場にいる誰もがそう考えるしかない、嫌、考えさせられるしかなかった。

 

「フィナーレだ。アタックステップ、くの一ジョロウでアタック」

「ぐっ! ライフで受ける!!」

 

くの一ジョロウは糸を伸ばし、糸を起って飛び回りながらフィールドを駆け巡り、そのままモルクへと接近し、バリアに突進しライフを砕く。

 

「次だ、ゼウスエデンでアタック。BP10000毎にシンボル一つ追加されている。よって現在のシンボルは7だ」

「だ、ダークマッハジーでブロック!!」

 

[Battle]創世神皇ゼウスエデンLv.1(1)BP78000vsダークマッハジーLv.1(1)BP2000。

 

防がなければ一撃で勝負を決してしまう。咄嗟にブロック指示を出しダークマッハジーは防ごうとゼウスエデンへと向かって行くが、あまりに違う体格差はゼウスエデンに近づけば近づく程ダークマッハジーの姿が小さく、見えなくなる程。ゼウスエデンはダークマッハジーに対しまるで蠅を振り払うような手付きで軽く手を振るが、少し手を動かすだけでもフィールドが吹き荒れる程の風圧。ダークマッハジーは吹き飛ばされ破壊されてしまう。

 

「うぐっ……だ、だがこれでもうお前に攻撃できるスピリットはいない!」

「そう思うかい?」

「ま、まだ何かあるのか!?」

 

疑問に抱くモルクに対し、ガルドは歪んだ笑みのまま「その通りだ」と頷き、ガルドの言葉のち、ゼウスエデンは手を天に掲げ、それを振り下すと、黒い雷がフィールドへと撃ち込まれる。

 

「一体何をする気だ!?」

「ゼウスエデンがBPを比べ相手スピリットだけを破壊したときに効果を発動する。【創生(ジェネシス)】の効果をね!」

「創生!?」

「この効果は自分のスピリット一体を破壊する事でロストさせている自分のスピリットカード1枚をノーコスト召喚できる。くノ一ジョロウを破壊し、私が指定するのは、「獄炎龍バーニングドラゴン」だ!」

「なっ!?」

「さぁ破滅の業火を滾らせろ! 獄炎龍バーニングドラゴン、地獄の底より目覚めろッ!」

 

降り注ぐ雷に目覚めたのか、雷が撃ち込まれた地面から噴上げる幾つもの火柱。火柱の中にくノ一ジョロウは呑み込まれ、高温の火柱が地面を沼の様に溶かし始め、マグマと化した地面から飛び出す巨大な龍、バーニングドラゴンが姿を現す。

 

「Lv.3で召喚。そしてこれで終わりだ、バーニングドラゴンでアタック!」

「……ライフで、受ける」

 

もうモルクに防ぐ術などない。歯噛みしながらコールすると、バーニングドラゴンは強靭な拳に炎を纏わせ、そのまま突っ込み、バリアにその拳を叩きこんでいく。

 

「うぐぐっ!!」

「バーニングドラゴンはLv.3効果でBP10000以上のスピリット全てに赤のシンボル一つを加算されている。ダブルシンボルで君のライフ二つを破壊する。

 

何度も何度もバリアを殴りつけ、バリアと共にライフに入る皹。そしてバーニングドラゴンは一気に決めようと、大きく吠え、両拳を同時にバリアに叩き付け、モルクのライフを二つ纏めて破壊する。

 

モルクside。

[Life]2→0。

 

「うわあああああああッ!!」

 

ライフが砕け決着となりバトルフィールドから消える二人、勝利に勝鬨を上げるかのようにバーニングドラゴンとゼウスエデンは無人のフィールドにその咆哮を轟かせた。

 

 

 

 

***

 

 

 

「も、モルク!!」

「「モルクさん!!」」

 

先程の魔でのバトルに圧倒されながらも、バトルが終わり突っ伏して倒れるモルクの姿にすぐさま駆け寄るアークと和人達。その姿にガルドは静かに傍観している。

 

「アッハハハハ! やはり素晴らしい。これがゼウスエデンの力。今こそ、長年の野望を実現する日が来たかな」

「そのようですね、ガルド様」

 

勝利した自分に主に膝をつきながら祝福するデュラン。勝利に笑うガルドの姿に和人達は睨むように一瞥するが、それに構う事無く、ガルドはふと隣に視線を向けると先程のバトルの衝撃が凄まじかったのか、和人達がこの世界に連れて来られた時と同じ光が起こり始める。

 

「これってあの時と同じ!?」

「ふふっ、やはり力に反応して空間が繋がったか」

「!」

 

この状況を予期したようなガルドの言葉、すると事前から準備をしていたのかデュランは機械を操作し、機械から電波のような物が光を固定し始める。

 

「な、何を!?」

「言っただろう、私の野望を実現するとね。だがそれにもう一つ付け足すんだよ」

「付け足す?」

「そうこの世界。そして君達の世界も支配する」

 




いかがでしたでしょうか?ついにガルドの目的を赤裸々に明かしました。やっと初期の頃のガルドに対する伏線を回収し終え、回収作業につかれたの一言です(笑)今回はハイドカードを使ってのバトルでしたが、今回は今までになくオリカの召喚祭りでした。何気に死神デュアルベルガスは久々に出した気がする(笑)

早速今回出された新しいオリカ、創世神皇ゼウスエデンの紹介をいたします。



・【創世神皇ゼウスエデン】10(0)、スピリット。
Lv.1(1)BP0。

このカードは一切の効果を受けず、合体できず、色が無いスピリットとして扱われる。
Lv.1【消失(ロスト)
このスピリットが場にいる間、お互いのトラッシュにあるカード全ては、このスピリット以外の効果を受けず、トラッシュにあるものとして扱われず、【消失】させたお互いのカード1枚につき、このスピリットのBPを+3000し、BP10000毎にシンボル一つを加算する。この効果で追加したシンボルは赤/緑/青/黄/白/紫として扱われず、スピリットの軽減シンボルとして扱われない。

Lv.1『このスピリットのアタック時』【創生(ジェネシス)

BPを比べ、相手のスピリットだけを破壊した時、このスピリット以外の自分のスピリット一体を破壊する事で、このスピリットの効果で【消失】させた自分のスピリット1枚を指定し、コストを支払わずに召喚する。


モチーフは絶対なる幻龍神アマテラスドラゴンです。大分すごい効果ですが、召喚時相手スピリット全破壊とかの効果じゃないし、コスト重いし軽減できないし、割とチートっていう程じゃないかなと(目線逸らし)一応バトスピ初となる無色カードと思って貰えれば、BP78000とかチートのパワーだけど、マキシマムとかもっと強いの入るし、BPも相手と自分のバトル依存になるので……そこまで脅威にはならないかも(;´・ω・)←


いよいよ最終編に向けての本小説! 残り2話駆け足更新で頑張ります!
そして最終編に向けて、ハイドカードのまとめ的なものを更新しようかと、最後までぜひ読者の皆様よろしくお願いします。





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