バトルスピリッツ激震の勇者   作:ブラスト

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第39話『最終決戦』

 

 

 

「じゃぁアタックステップ! 戦皇ゴッドスレイヤードラゴンでアタック!」

「ライフで受ける!」

 

何時もの様に平和にバトルの声が賑わう街、変わる事無く毎日と変わりない平穏な日々を過ごす人々だったが、その上空を覆う黒雲。そして黒雲はまるで渦に様に広がっていき、中央にはこれから嵐が起こる前触れの様に雷が走り、雷鳴が鳴り始める。何時もと違うその異様な空模様に上空を見上げる人々、何が起こるのか不思議に想う人々だったが、次の瞬間、まるで幻影の様に上空にある一人の男の顔が映し出される。

 

『全人類の人々よ、聞け! 私の名はガルド!! この映像は君達、地球、そして私達の世界であるスピリッツエデンへの全世界へと向けて映している! これを見ている諸君等に理解してほしい事は二つ、これが現実である事。そして二つ目、私がこれから君達全てを支配する者の名という事だ』

 

夢でないかと疑いたくなるような光景、だが何度目を擦っても映るのは受け入れがたい目の前の光景(現実)しかなかった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「一体何をしてんだよ!?」

 

まるで演説をしているかのように高らかに叫ぶガルド、その光景に対する疑問を叫ぶ和人達だったが、ガルドは顔色を変える事なく、和人達の方へと振り返る。

 

「今私の声は、亜空間の扉を通じてスピリッツエデン全て、そして君達の世界にも向けて流れている」

「なっ!?」

「当然、さっきも言った通り。この世界と君達の世界を支配する為にね!」

「俺達の世界もだと!?」

 

衝撃的なガルドの告白に思わず絶句する和人達だったが、それでも黙っているわけにはいられなかった。

 

「冗談言わないで! 私達の世界も支配するだなんて、そんな事できる訳が!」

「あぁ、冗談にしても笑えないぜ」

「残念ながら、冗談ではないんだよね」

 

否定する川村を一蹴しながら、軽く笑ってガルドは話を続ける。

 

「順を追って計画を話そうか。私が過去にハイドカードを求めたのは全て、このカード、ゼウスエデンの為だ」

「……何だ、そのカード!?」

「この世界に伝えられし伝説、ゴッドキャリバス。その絶大な力は古から伝わっていてね。万一にそれを止める存在として王家が強大な力を宿して生み出したスピリットがゼウスエデンという訳さ」

「!?」

「まぁ、ゴッドキャリバスは先祖が危惧したような存在ではなく、戦争後全てのスピリットが眠りについた後、ゼウスエデンもその力を恐れられ封印された訳だがね」

「それを何で今更……!!」

「言ったろ、全てを支配する力が必要だと、モルクとのバトルのお陰で、此奴の力に私は確信が持てた」

「!!」

 

バトルで倒れたモルクの方へ振り返り、アークとアルトは泣きながらモルクの名を叫びながら必死に揺すり起こすがモルクの意識はない。

 

「し、死んじゃ嫌だぞモルク!!」

「クソ……ッ!! ガルドォッ!! テメェよくもぉ!!!」

 

怒りを剥き出しにガルドを睨み、今度は自分がやると言いたげにデッキを構えるが、ガルドを見た途端、手が少し震え始める。

 

「えっ!?」

「ふふっ、どうしたんだい? 私が憎いんじゃなかったのかな?」

「あ、あぁそうだ!! 次は俺が……テメェを……!!?」

 

憎い相手を目の前するが、手の震えは抑えても止まらず、そればかりか震えは全身にまで及び、手に持っていたデッキも落としてしまう。

 

「な、何で何だよ! 俺が……俺が……!!」

「君自身の頭はいくら私による憎悪で一杯でも、体はそうじゃないみたいだね」

「な、何!?」

「過去、そして先程のバトルを見た君の体にはもはや理性で制御できない程の恐怖が刻まれている。幾ら歯向かおうとしても、もはや恐怖が君の体を動かさない。

「そんな訳……そんな訳……!!」

 

震える両手を見ながら、思い出すのはモルクとのバトルで見たゼウスエデンの姿にもはや彼の戦意は完全に消失していた。

 

「ち、畜生ーーッ!」

「兄ちゃん!!」

「アークさん!」

 

崩れ落ちるアークを咄嗟に支えるアルト達。その光景を見ながらガルドはもはや勝ち誇ったように高らかに笑う。

 

「アッハッハハハハ! これで私に歯向かう者はスピリッツエデンの人間にはいない。残るは君達だけだ、もう野望は実現間近だ」

「一体何を!?」

 

和人の言葉に、ガルドは静かに口元を緩ませながら話し始める。

 

「君達も知ってのとおり、かつてこの世界で実際にスピリットは存在していた」

 

モルクも話していたようにスピリット達はかつてこの世界に実際に実在していた存在。だが、過去に起きた戦争によって、全てのスピリットは倒れ、止まらぬ戦闘本能がスピリットをカードとして転生したと伝えられていた。

 

「もしそのスピリットを復活させられるとしたら?」

「「なっ!!?」」

 

ガルドのその言葉に全員衝撃を隠せなかった。だが、それに構う事無くガルドはさらに続けていく。

 

「ゼウスエデンの力さえあれば、カードに眠ったスピリットの魂を再び開放することができる! つまり今再びこの世界にスピリットを蘇らせるという訳さ」

「スピリットを再び開放だなんてできる訳が……!」

「できるさ。私がこれまで研究していた実態はスピリットの力の開放だからね。バトルフィールドでのみ再現されるスピリット達の力を正確に分析し、そしてその研究成果を持ってスピリット達を現実の存在として蘇らせる事ができる!!」

「ならお前は……!」

「当然そのスピリット達を全て操り、全ての人類に恐怖を与え、歯向かう気力を無くさせる。スピリット達を解き放てば、あらゆる武力や軍事力の介入も無意味だからね。まぁ本来はこの世界の統一だけのつもりだったんだがね」

「じゃぁ何で俺達の世界まで?」

「聞いてると思うが私は昔、バトルに敗れ、そして衝撃に生じたエネルギーによって君達の世界と私の世界が繋がり、そして私は君達の世界へ長い間追放された」

 

自分が和人達の世界へと訪れた頃、そしてそこで見た光景を思い返しながら静かに続けていく。

 

「力によってこの世界と君達の世界の繋がる扉が開くことは初めの内は知らなかったが、私は長い間、調べ続けそして力によるエネルギーがこの世界と君達の世界を繋ぐ扉を開くトリガーとなっていることを知った」

「それがどうした?」

「長い事研究するうえで、当然君達の世界がどういう場所なのかも調べた。初めは君達の発展した街には驚いたよ」

 

荒れ果てた自分達の世界と比べ、発展していた和人達の世界を比べて思い返すガルドだったが、「けれど」と顔色を変え、言葉を続けていく。

 

「発展こそはすれど、調べていく内に落胆した。結局君達の世界もまた、争いで溢れてていた」

「!?」

「武力による抗争や戦争、そして自分の地位を守るための下らない権力争い。耐える事のない君達の世界の人間同士の衝突は正直失望した」

「それは……!」

「断言しよう。君達も世界はいずれ私達の世界と同じように滅びる。それを見るには耐えられないから、君達の世界もまた私の支配下に置く事に決めたよ」

「ふざけんな! そんなことをお前は本気でやるつもりなのかよ!」

「あぁそうだ。それが私の野望だからね、そうだとしたらどうする?」

「当然、お前を倒す! それだけだ!!」

 

端から和人にとって選択肢は決まっていた。和人のその姿にアークはすぐさま「やめろ!」と力一杯止めるように叫ぶ。

 

「アーク?」

「もう勝てる訳ねぇ……誰にもな」

「何言ってんだよアーク!」

「……体が震えて止まらねぇんだ。憎んでた相手なのに、モルクの敵も討たなきゃならねぇのに絶対に勝てねぇ、戦う前から……俺は、俺はそう思ちまった!!」

 

拳を床に叩き付けながら、晴らせない怒りに唯涙を流すアークだったが、それに対し、和人は静かにアークの肩を叩く。

 

「和人……?」

「俺は負けたくない、嫌、負けない! そう自分が思える内は絶対退かない!」

「お前、怖くないのかよ! あのスピリットを……!」

「正直、怖いさ」

「!」

 

圧倒的なゼウスエデンの力は和人にも恐怖心を与えた。だが、スピリットに恐怖心を持ったのは、初めての経験ではない。

 

「今までもハイドカードとかと戦って怖いって思ったことはある。けどそれでも、今までもずっと、ただバトルに必死で、仲間が、スピリットがいるから安心できた。それはアークだって同じだろ?」

「!」

「怖くても戦うさ。俺はスピリットが好きだし、ここにいる皆や、元の世界にいる色んなカードバトラー達の事も好きだ。だからそれをアイツ一人に支配されるなんて絶対に嫌だ!」

 

無邪気で、単純な動機だったが、それでもその想いは純粋だった。そんな和人の言葉に先程まで震えていたアークの手も止まる。

 

「和人、なら言わせてくれ……お前を信じる。だから、絶対に勝て!」

「あぁ!!」

 

「ったく、やっぱり和人って単純だよね」

「全く能天気と言うか、何というか」

「まぁそれが和人らしいんだけどな」

 

和人の様子に呆れながら言葉を掛ける川村や咲達。だが全員、最初から和人の気落ちは分かり切っていたのか、そのまま黙って咲、川村、リクト、光、ハンナ、ダイキ、アキラの7人はそれぞれ1枚ずつカードを差し出す。

 

「皆……!」

 

「頑張ってよね、和人!」

「まっ、私達も戦いたいんだけど先に名乗れた以上譲るしかないよね」

「俺達の分までしっかり戦え!」

「和人さん。私達全員信じてますからね」

「和人兄ちゃん! 当然勝つしかないよね!」

「俺はテメェに負けた訳じゃねぇが、この中で一番強ぇ筈だろ? 美味しい所はくれてやるから勝て!」

「帰ったら俺との決着を付けるんだったな? なら先にそいつと白黒付けて来い!」

 

差し出されたそれぞれのカードに「ありがとう」と礼を言いながら受け取り、受け取ったカードをデッキへと組み込む。

 

「覚悟は決まったかな?」

「あぁ、バトルに勝つ為の覚悟ならだれにも負けない程な!」

「そうか、なら始めようか!! 世界の命運をかけたバトルを!!」

 

互いにデッキを構える二人、そして強く力一杯に叫ぶ。

 

「「ゲートオープン、界放!!」」

 

二人の宣言共に、その場の全員バトルフィールドへと舞台を移され二人のバトルの光景は全世界へと向けて映し出される。

 

 

 

 

────第1ターン、ガルドside。

 

[Reserve]4個。

[Hand]4枚→5枚。

 

「メインステップ! リバイヴドロー使用、効果で2枚引かせてもらうよ。そしてターンエンド」

「いきなり手札を増やしてきたか!」

「まぁね、ターンエンド」

 

 

 

 

────第2ターン、和人side。

 

[Reserve]4個→5個。

[Hand]4枚→5枚。

 

「俺のターン、ネクサス、千識の渓谷を配置!」

「序盤でネクサスか、地の利を得る作戦かな?」

「さぁな! バーストとセットして、これでターンエンド!」

 

 

 

 

────第3ターン、ガルドside。

 

[Reserve]4個→5個。

[Hand]5枚→6枚。

[Field]なし。

 

「私のターン、ニジノコを召喚。続けて、メガネウラーを召喚!」

 

七色の体を持ち胴体の短い蛇のような見た目のニジノコと、巨大な蜻蛉の様な姿の怪虫、メガネウラーが姿を現す。

 

「メガネウラーの召喚時効果発揮、自分の赤、または白のスピリットの上にボイドからコア1個を置く。ニジノコはLv.1の時、赤のスピリットとして扱われる為、ニジノコの上にコア1個を置く」

「いきなりコアブースト!」

「あぁ。当然の事だろう」

「でもその召喚時効果発揮後でバーストだ! 双翼乱舞!! デッキから2枚ドローするぜ!」

 

ガルドと同様、序盤は手札を増強させる和人。だが、バーストを発動し終え、がら空きとなった和人の場を見ながら笑みを浮かべる。

 

「守りがなければ攻め時だね、アタックステップ、メガネウラーでアタックだ!」

「ライフで受ける!!」

 

和人の場にスピリットはなく、メガネウラーは羽音を響かせながら接近し、バリアに組み付き、そのままバリアに噛み付き破壊する。

 

「うわああああッ!!」

 

和人side。

[Life]5→4。

 

ライフが砕けた衝撃は勿論これまで以上。痛みと衝撃による苦痛に叫んでしまうが、それでも倒れる訳にはいかない。直ぐに立ち上がって少しだけ痛みによろけながらも直ぐにバトルに集中を切り替える。

 

「さすがに効いたみたいだね?」

「驚いただけだ、まだまだバトルは続けられる!」

「その意気だ。何せこれは世界の命運を分けたバトルだからね?」

「どんなバトルにせよ、俺は最後まで続けるだけだ!」

「ならもっと足掻かないとね。私はこれでターンエンドだ」

 

 

 

 

────第4ターン、和人side。

 

[Reserve]6個→7個。

 

「ドローステップ……!」

 

[Hand]5枚→6枚。

[Field]千識の渓谷Lv.1(0)。

 

引いたカードに和人の顔つきも変わり、すぐにそのカードに手を掛け呟く。

 

「咲のカード、早速使わせてもらうぜ! タマムッシュをLv.2で召喚! 召喚時効果でボイドからコア2個をこのスピリットの上に置くぜ」

 

咲から託されたカードのタマムッシュ、現れたと同時に自らに緑の光を灯してその召喚時効果発揮させる。

 

「ほぉ、君がコアブーストとはね?」

「まだまだ! タマムッシュをLv.1にダウン。今度はアキラ、お前のカードを使わせてもらうぜ? プテラスラッシャーを召喚だ!」

 

遥か上空からかっ跳びながら飛来するプテラスラッシャー、タマムッシュと並び立ち、二体はそれぞれ鳴き声を上げる。

 

 

 

 

「タマムッシュ、和人をサポートして!」

「プテラスラッシャー、貸しを作ってやれ」

 

自分達のスピリットの姿に、咲やアキラはそれぞれ言葉を掛けながらバトルの行方を見守り続け、二人の言葉が届いているのか二体のスピリットはまた鳴き声を上げながら、構えている。

 

「アタックステップ! プテラスラッシャーでアタックだ! アタック時効果でBP+3000! さらにタマムッシュの緑シンボルを条件に【連鎖:緑】、ボイドからコア1個をプテラスラッシャーの上に置くぜ!」

「アタックはライフで受けるよ?」

 

先程のお返しと言わんばかりに、展開されるバリアにプテラスラッシャーは全速力で向かって行き、刃のように鋭い翼をバリアに叩き付け、そのまま切り裂く。

 

「ッ!」

 

ガルドside。

[Life]5→4。

 

「仲間の力を借りて、私に挑む。そういう訳かな?」

「あぁ。俺だけじゃない! 全員の力でお前をぶっ倒す!」

 

 

 

 

────第5ターン、ガルドside。

 

[Reserve]4個→5個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]ニジノコLv.2(2)BP2000、メガネウラーLv.1(1)BP3000。

 

「メインステップ、ニジノコをLv.1にダウンし、ネクサス彷徨う天空寺院を配置。さらにバーストセットして、ニジノコをLv.2戻しターンエンドだ」

 

ニジノコはレベルによって様々な色に変化するスピリット。レベル調整し、ネクサスの軽減も行うそのバトルに抜け目など一切ない。

 

 

 

 

────第6ターン、和人side。

 

[Reserve]6個→7個。

[Hand]4枚→5枚

[Field]タマムッシュLv.1(1)BP2000、プテラスラッシャーLv.1(2)BP3000、千識の渓谷Lv.1(0)。

 

「メインステップ、マジック、三札之術! 効果で2枚ドロー、さらに3枚目をオープンして赤のカードなら手札に加えるぜ!」

 

オープンされたカードは「激神王カタストロフドラゴン」のカード。よって問題なく手札に加えられる。

 

「君のキースピリットだったかな?」

「あぁ、続けるぜ! バーストセット。さらにタマムッシュとプテラスラッシャーLv.2にして、アタックステップ! プテラスラッシャーでアタックだ! 【連鎖】の効果でさらにコア1個追加だ!」

「ならライフを一つ、持っていくがいい!」

 

プテラスラッシャーの攻撃を受け入れると、再び翼がバリアを破壊するが、ライフが砕けたと同時に、バーストカードが光り出す。

 

「私のライフを削った。その代償を君にも受けてもらう」

「何!?」

「ライフ減少時バースト発動、冥皇封滅呪、バースト効果により、疲労状態のコスト4以下のスピリットを破壊! さらに不足コストをニジノコから確保し、フラッシュ効果だ。お互いのスピリットを一体を破壊、私が指定するのはメガネウラー」

「ぐっ! タマムッシュを指定だ」

 

紫の炎を灯す呪符がプテラスラッシャーへと張り付き、まるで呪うかのように呪符の光がプテラスラッシャーへと移ると、プテラスラッシャーは破壊され、さらにメガネウラーとタマムッシュの二体も紫の炎に焼かれ消滅してしまう。

 

「咲、アキラ! ごめん!!」

 

譲り受けたスピリット達があっさりと破壊された事を悔やむように拳を握りしめるが、バトルを見ているアキラ達は「気にするな!」と声を掛けながらバトルの行方を見守り続ける。

 

「まだ勝負は続いてるんだ、詫びる暇があったらとっとと勝て!」

「そうだよ、和人! 勝負はまだまだこれからだよ!」

 

二人の声援に和人も前を向き直り、冷静にそのターンを終えた。

 

 

 

 

────第7ターン、ガルドside。

 

[Reserve]8個→9個。

[Hand]3枚→4枚。

[Field]ニジノコLv.1(1)BP1000、彷徨う天空寺院Lv.1(0)。

 

「私のターン、双翼乱舞を使用。効果で2枚ドロー、そして彷徨う天空寺院の効果、自分がコスト8以上のスピリットを召喚するとき、このネクサスを疲労させる事で2コスト支払ったものとして扱う。さぁ行くぞ!」

「来る!」

「森羅の力をその身に宿し、己以外の全てを切り裂く王! 剣双鬼刃・我王牙を召喚ッ!」

 

フィールド全体に突如として巻き起こる巨大な竜巻、上昇し続ける竜巻は天まで上り、まるで道の様に天へと繋がると、それを伝い舞い降りる一体のスピリット、二刀の巨大な大剣で周囲の竜巻を一気に両断し、我王牙がフィールドへと降り立つ。

 

「ハイドカード! 早速来たか!!」

「召喚時効果だ、自分のスピリット1体を指定し、そのスピリットのLvが一つ上になるようボイドからコアを置く。我王牙自身を指定し、我王牙をLv.2にアップ!」

 

力が上昇したように二刀の大剣を振り回して見せる我王牙。眼光を輝かせながら、和人を睨む。

 

「アタックステップ、我王牙でアタックだ!」

「ライフで受ける!」

 

そのまま飛び上がり、巨大な大剣を二刀一遍に振り下すと、展開されたバリアをそのまま力づくで切り崩し、破壊する。

 

和人side。

[Life]4→3。

 

「ぐっ! ライフ減少時でバースト発動! 龍の覇王ジークヤマトフリード!」

 

バースト発動と共に噴き上がる火柱、炎の輝きに照らされながらさらに続けていく。

 

「バースト効果だ! BP15000以下のスピリットを破壊してこのスピリットを召喚するぜ!」

「我王牙の効果、このスピリットが相手効果の対象になったとき、このスピリットのコア3個をトラッシュに置く事で無効化する!」

 

噴き上がる火柱はまるで狙いを定めるかのように、我王牙へと一気に降り落ち、巨大な炎が我王牙を呑み込まんと降り注ぐが、我王牙が即座に二刀の剣を地面に突き刺すと、足元に突如として巨大な大木が起ち始め、大木は盾の様に放たれた炎から我王牙を守り、炎に焼かれた大木は灰となり吹き消えてしまう。

 

「そう簡単にハイドカードは倒れはしないよ?」

「まだだッ! 赤き剣を振るい全てを制す覇王(ヒーロー)! 勝鬨上げてフィールドに降り立て! 龍の覇王ジークヤマトフリードを召喚!」

 

黒雲を裂いて姿を見せる龍────ジークヤマトフリード、炎を纏わせた剣を振り翳し、背後で鳴り響く雷鳴を背に、大きく咆哮を響き渡らせる。

 

「流石にやるね、私はこれでターンエンド」

 

 

 

 

────第8ターン、和人side。

 

[Reserve]11個→12個。

[Hand]6枚→7枚。

[Field]龍の覇王ジークヤマトフリードLv.1(1)BP6000、英雄皇の神剣Lv.1(0)

 

「俺のターン、バーストセット! さらにネクサス、焔竜の城塞都市を配置! そしてジークヤマトフリードをLv.4にアップ!」

「一気に攻める気かい?」

「当然! ジークヤマトフリードでアタック! バーストセット中のアタックでニジノコを破壊する! さらにアタック時効果で我王牙に指定アタックだ!」

 

翼を勢いよく羽ばたかせ、そのまま飛び上がると猛スピードでフィールドを駆け、燕の如く飛来いするジークヤマトフリードの姿に、ニジノコは咄嗟に逃げ出すが、ジークヤマトフリードのスピードに逃げ切れる訳もなく、剣に切り裂かれて破壊され、その勢いのまま我王牙へと迫り、我王牙は二本の大剣を交差させ、突っ込むジークヤマトフリードを受け止める。

 

[Battle]龍の覇王ジークヤマトフリードLv.4(8)BP20000vs剣双鬼刃・我王牙Lv.1(1)BP6000。

 

互いに激突する二体、我王牙は二刀の大剣を一気に振るい、龍の覇王を上空に弾き返すと、片方の剣を地面に突き刺し、そして飛び上がったかと思うと突き刺した剣を足場にして、さらにもう一段、上空のヤマトよりも高く飛び上がると、一刀の剣を両手で握りしめて力一杯に振り下し、ヤマトも咄嗟に剣を両手で支え、振り下ろされる剣を何とか受け止める。

 

自身の重量を乗せた一撃は重く、さすがにヤマトも押されるが、それでも自分も全ての力を剣に乗せ、少しずつ大剣を押し返し始めたかと思うと、より自分の力を高めるように吠えながら剣を振るい、完全に大剣を弾き飛ばすと、空中で無防備となった我王牙に再度剣を振り下し、空中で切り裂かれた我王牙はその場で大爆発を起こす。

 

「ネクサスの効果、ニジノコと我王牙を破壊で2枚カードをドロー! どうだ! 今度こそ、ハイドカードを倒したぜ!」

「構わない。我王牙が破棄された分の代償はあるからね」

「何!?」

「相手による自分のスピリット破壊後でバーストだ、クラッシュザバビロン!」

「!?」

「効果でジークヤマトフリードを破壊する!」

 

発動されるカウンターバースト。バースト発動時に破壊されたスピリットのコスト分、相手スピリットを破壊するマジック。破壊された我王牙のコストは8。そしてジークヤマトフリードのコストもまた同じ8。該当することによりマジックの効果が発動され、降り注ぐ閃光が龍の覇王へ一斉に襲い掛かり、雨の様に降り注ぐ閃光に倒れ、破壊される。

 

「ヤマトォッ!!」

「私だけじゃない、ハイドカードもまた唯ではやられない」

「ぐっ! ターンエンド!!」

 

 

 

 

────第9ターン、ガルドside。

 

[Reserve]13個→14個。

[Hand]4枚→5枚。

[Field]彷徨う天空寺院Lv.1(0)。

 

「私のターン、不死鳥フォグニクスをLv.3で召喚。召喚時効果発揮! このスピリットのレベルと同じ枚数をドローする。よって3枚引かせてもらうよ!」

「また手札増強かよ!」

「さらにこれだけじゃないさ、フォグニクスをLv.1にしてもう一体、ハイドカードを見せてあげるよ!」

「!」

「駆け巡るその姿は雷の如し! 雷雲を呼び起こす孤高の獣! 逆雷狼フェンリルドガルムを召喚!」

 

雨の様に降り注ぐ落雷。雷はまるでカーテンのように光でガルドのフィールドを照らし隠し、視界が真っ白に染まり、漸く晴れると、目の前に映るのは黒い三日月を額に刻む獣────フェンリルドガルムがその姿を現す。

 

「さぁまだまだ続けるよ! フェンリルドガルム召喚時効果は自分、又は相手のトラッシュにあるマジックのメインかフラッシュ効果をコストを支払わずに発揮させる。私は君のトラッシュにある双翼乱舞を選択するよ!」

「ッ!!」

「効果で2枚ドローだ」

 

着実に手札を増やし、より自分の戦略を優位に進めるガルド。これまでも一切警戒を解いていないが、依然何をするつもりなのか考えの読めないそのバトルスタイルにより一層警戒を強くせざるを得ない。

 

「アタックステップだ! フォグニクス行けっ!」

「ライフで受ける!」

 

紫の炎を纏う不死鳥は翼をゆっくりと羽ばたかせ、不気味な鳴き声を上げながら和人へと迫って行き、バリアにそのまま体当たりし、ライフを破壊する。

 

「ぐあっ!!」

 

和人side

[Life]3→2。

 

だが衝撃に仰け反りながらも、失ったライフに呼応するように伏せていたバーストカードは弾け飛び、そのカードを手に掴み取る。

 

「次はダイキ! お前のカードを借りるぜ! ライフ減少時でバースト! 妖華吸血爪!」

「!」

「2枚ドローしてコストを支払いフラッシュ効果! 手札からツインブレードドラゴンを破棄! フォグニクスのコアをトラッシュに送る!」

 

ダイキから渡されたカード。マジックの効果によってフォグニクスから維持コアが取り外されると、和人へと迫るあと一歩の所で、フォグニクスは消滅してしまう。

 

 

 

 

「ハッ、和人の野郎、紫のコアシュート、中々使いこなしてるじゃねぇか!」

 

笑いながら和人のバトルを眺めるダイキ、一度ガルドとのバトルに敗れたダイキにとっては、先程の光景には溜飲の下がる気持ちだった。

 

 

 

 

「やるね、ターンエンドだ」

 

一方のガルドもスピリットを失い、これ以上攻めるべきではないと判断したのか、それ以上攻撃することは無くターンを終えた。

 

 

 

────第10ターン、和人side。

 

[Reserve]14個→15個。

[Hand]8枚→9枚。

[Field]千識の渓谷Lv.1(0)、焔竜の城塞都市Lv.1(0)。

 

「メインステップ! 戦武のアポロディノスを召喚! さらにもう1体! 大地揺らせ! 天に羽ばたけ! 激神王カタストロフドラゴンをLv.3で召喚だッ!!」

 

大地を突き破り、天にも届く程の巨大な翼を羽ばたかせながら現れる紅蓮の龍────カタストロフドラゴン、あらゆるものを圧倒するように咆哮を轟かせる。 

 

「召喚時効果で1枚ドロー! さらにアタックステップ! 激神王カタストロフドラゴンで【激突】だぁッ!!」

「それを狙っていたからあえて、フェンリルドガルムを残したのか。なら望み通りブロックしてあげるよ!」

 

[Battle]激神王カタストロフドラゴンLv.3(10)BP20000vs逆雷浪フェンリルドガルムLv.1(1)BP5000。

 

激神王は吠えながら向かって行き、フェンリルドガルムは寄せ付けまいと、天に向かって自身の雷を撃ち込み、撃ち込まれた空に灯る光、そして天より降り注ぐ落雷がフェンリルドガルムの周囲を守るように落ちる。だがそれに構う事無く、巨大な火球を作り出すと、雷のバリアに向けてその火球を飛ばし、あまりに強大な火球は周囲の雷を一瞬で打ち消し、雷が相殺された事に苛立ったのか、フェンリルドガルムは今度は自らが手を下さんとフィールドを駆け、激神王へと迫って行く。

 

しかしその突進を見切り、避わすと同時にフェンリルドガルムに喰らい付き、そのまま回転し勢いをつけて上空にフェンリルドガルムを放り投げると、身動きの取れないフェンリルドガルムに再度火球を撃ち出し、直撃を受けたフェンリルドガルムは大爆発を起こす。

 

「ネクサスの効果で1枚ドロー、そしてさらに戦武のアポロディノスでアタック!」

「ライフで受けるよ!」

 

ガルドside。

[Life]3→2。

 

アポロディノスの振り下す斧がライフを砕き、ここまでの戦況はガルドと和人、どちらも全くの互角。勝負がどう動くのか見ている咲達、そして全ての人間にとって片時も目が離せなかった。

 

 

 

 

────第11ターン、ガルドside。

 

[Reserve]15個→16個。

[Hand]8枚→9枚。

[Field]彷徨う天空寺院Lv.1(0)。

 

「メインステップ、ソウエンドラグーンをLv.2で召喚。そしてソウエンドラグーンの効果、このスピリットを疲労させることで、手札にある「滅龍」を持つスピリットのコストを-2。そして彷徨う天空寺院は疲労させることでコスト8以上のスピリットを召喚する時、さらにコストを-2にする」

 

出現と同時にその効果で地面に凭れ込むソウエンドラグーンと、疲労する彷徨う天空寺院。二つ同時に発揮させる効果、そしてこれから来るであろうそのスピリットに身構える。

 

「命も魂も全て無に帰し滅ぼす龍、敵に終焉を! 滅龍帝ジエンドドラゴニスをLv.4で召喚!」

 

空より降り注ぐ黒い雷と共に現れる龍────ジエンドドラゴニス。全てを滅ぼす龍の姿は見ているもの全てを威圧し、フィールドを揺るがす程の咆哮を上げる。

 

「アタックステップだ、君の残りライフは2つ。これでゲームセットだ、滅龍帝ジエンドドラゴニスでアタック!」

「!!」

 

吠えながら和人へと迫る滅龍帝、その光景に見ている全員が思わず息を呑むが、それでもまだ和人の目は最後まで勝負を捨ててはいない。

 

「まだ負けてられるか! ハンナ、次はお前のカードを借りるぜ! フラッシュタイミングでマジック! 爆砕轟神掌! 不足コストはカタストロフドラゴンから確保だぜ!」

 

 

 

 

「和人兄ちゃん! それナイスタイミングだよ!」

 

託したカードの使用に歓喜しながら声を上げるハンナ。バトルではマジックの使用によりレベルが下がり項垂れるカタストロフドラゴンだが、失った力を補うかのようにカタストロフドラゴンに青い光が集うと、先程まで項垂れていたカタストロフドラゴンは目覚めたように起き上がり、迫る敵を威嚇するかのように自身も先程のジエンドドラゴニス以上の咆哮を響かせる。

 

「マジックの効果でこのターン、カタストロフドラゴンのレベルをアップし、さらに回復! そしてアタックはそのままカタストロフドラゴンでブロックだ!」

 

[Battle]滅龍帝ジエンドドラゴニスLv.4(8)BP20000vs激神王カタストロフドラゴンLv.3(5)BP20000。

 

激突する滅龍帝と激神王、二体の龍は互いに突っ込みお互い頭突き合うが、体格も力も全くの互角の両者、互いに衝撃に弾かれながらも二体とも巨大な翼を羽ばたかせて上昇し、戦いの場を空中に移すと、お互いに巨大な火球を作り出し、そのまま超至近距離で火球を打ち合い、フィールド全てを揺るがす程の爆音と爆風を放ちながら巻き起こる大爆発。

 

至近距離の爆発にお互いその身はボロボロになるが、それでも互いの闘志と敵意は尽きてはいない。互いに互いの首元に喰らい付き、力一杯牙を突立てる二体。そのまま回りながら地面へと墜落する二体だが最後までお互い喰らい付いたまま離れず、そのまま地面へと激突する二体。さすがに力尽きたのか、お互い同時に地面へと倒れるとその場から消滅する。

 

「カタストロフ……助かったぜ」

 

悔やみながらも自分の身を守ってくれたキースピリットに礼を言いながら、行方を見届ける和人だったが、その光景にガルドはしばらく黙り込んだままだったが、突然。

 

「……アハハッハハハハハハッ!」

「ッ! 何が可笑しい!!」

「嫌、すまない。まさかここまで私に喰らい付くとはね。さすがにこれまでハイドカードを退け、そして私に挑んできただけの事はある」

「当然だ、俺は絶対勝つ! 勝ってお前のバカげた考えを止めて見せる!」

「子供の君にはわからないだろうがね、君は君自身の世界の行く末を考えた事はあるかな? まやかしの平和で偽れた世界等、私にはうんざりだ。だからこそ世界を変える。本当の平和の世界に私が作り上げる!」

「確かに俺は子供だし、世界の行く末とか言われても正直分からない。けど、唯わかる事は人の未来も、バトルみたいに自由なやり方がある。それぞれの道がある! だからお前の一人の考えでそれを全て決められるのだけは絶対に間違ってる!」

「君は君で考えがあるのならそれでいいさ、最初に言った筈だ。このバトルの勝敗が世界の命運だと!」

「!!」

「勝てば正義、負ければ悪。どちらの世界も歴史の中でそれは証明されている。だからこそ、私は力をもって、自身の正義を証明する!」

「ガルド……!!」

「君が勝つか、私が勝つか。どちらかが世界の行く末だ!!」

 

世界を掛けたバトル、その光景をガルドと和人を除く全ての人間が唯、見守る事しかできなかった。

 




第39話、ついに開幕の最終決戦!!
ガルドvs和人、今回は前半戦をお送りいたしました!
続く後半戦、次回がいよいよこの物語の最終回となります!!


前半戦もそれなりの迫力になったと思ってもらえれば幸いです。
次回はいよいよ最終回!どうぞ最後も読んでいただけたら嬉しい限りです。
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