8 戦闘開始
言峰綺礼は遠坂邸が見渡せる崖の上にいた。
「それでは、手筈通りに。」
言峰は虚空にそういう。
一陣の風が草木を揺らす。
「了解した。けどなんかあったら助けてくれよ?」
言峰のサーヴァント七夜志貴はそう返す。
「約束しよう。では・・・行け。」
言峰がそう命じる。
志貴は崖を飛び下り走った。
「・・・これは・・・固いな。」
遠坂は宝石魔術に秀でた家である。
宝石を用いた結界には右に出る者はいない。
その結界が幾重にも重なって道を妨げる。
「こんなにすぐ使いたくなかったけど・・・。」
志貴は大量にナイフを取り出す。
そして祭壇に放った。
そうすると祭壇は音を立てて崩れた。
「さて・・・。いきますかね。」
足を進める。
「泥棒なんて感心しないね。」
凛とした声が響く。強い殺気を感じる。
振り向くとその元凶──────両儀式が遠坂邸から見下ろしていた。
「────殺す」
式は遠坂邸から飛び降り志貴に襲い掛かる。
志貴は後ろに跳び回避する。
志貴のいた場所の後ろにあった大理石製の祭壇が綺麗に裂かれる。
「これは一発でも当たるとまずそうだなっ。」
志貴は持っているナイフを何本も投げつける。
「無駄な抵抗を・・・。俺は速く終わらせたいんだ。」
飛んできたナイフを『切り裂いた』。
「金属のナイフを・・・金属のナイフで切り裂く・・・?」
どういうことだ・・・。
このどういうことだというのは原理がわからないということではない。
同じことをする人間を知っているからだ。
しかし、確証はない。
あの女がその力を持っているとするならば、物理攻撃は全く聞かないということか。
あれはしかも脳の負担が大きい。
そのことを思い出しにやっと志貴はわらった。
「その力の弱点はこれだ!!」
大量のナイフを投げつける。
あれがもし『直死の魔眼』ならこの量の死線は大きな負担になるはず。
「ふむ・・・量で押すってことか」
式は地を蹴り、回避する。
自分に迫るものは切り払った。
なぜだ・・・?
自分の知るあの能力ではないのか?
攻略法は・・?
志貴はナイフを取り出し、式に突っ込む。
「はぁああああ!!!」
その太刀筋は空を切る。
式は回避に専念しているように当たらない。
遠坂邸の庭園を一周するように動いた気がする。
何かがおかしい。
奴は俺のナイフの切り裂くことも可能だ。
そこから白兵戦にしたほうが有利だろう。
そう思っていると式が大きく跳躍し、遠坂邸の上へ逃れる。
「チェックメイト・・・さよならだ。」
「どういうことだ!!」
その時庭園の周りが光る。
これは・・?
その刹那その光の線に囲まれた部分が炎上した。
「熱い・・・。ここまで・・・か。」
志貴は倒れる。
~教会~
言峰は父、璃正の元に急いだ。
「教会の保護を受けたい。」
「了解した。我々聖堂教会があなたを保護する。」
中に入り、言峰は口を開く。
「ここを監視する者は?」
「いない、ここは中立を定められているからな。」
「でてこい」
そうすると暗がりから志貴が出てくる。
「全く人使いの荒い・・・」
「生きているのだからいいだろう、というか死なれては困るのでね。」
~遠坂邸~
「ここまで・・・か」
志貴が倒れる。
言峰は炎上し少し経ったことを確認して右手に向かって言う。
「令呪を以て命ずる。脱出し聖堂教会へ向かえ。」
そうすると
志貴の体は光の粉のようになって消えた。
それを確認すると
「では私も向かうとするか」
そうして言峰は教会へ急いだ。
~教会~
「では時臣殿に報告してこなくては」
璃正は奥に消えていく。
「次はどうするんだ?」
志貴が問う。
「各マスターの諜報をたのんだ絶対に見つかるな」
「了解。マスター。」
志貴は闇に消えていった。