姫島朱璃side
私は今、朱乃と一緒に必死で逃げていた。
「ねぇお母さん、何で逃げてるの?あの人たちは誰なの?お父さんはどこ?」
「朱乃、ごめんね説明している暇はないの、とにかく今はあの人が帰ってくるまで逃げないと。」
あの人と結ばれた時からいつかはこの時が来ると覚悟していた。なのに、よりによってあの人がいない時に来るなんて……でも朱乃に罪はない、絶対に朱乃だけは逃がしてみせる。
「見つけたぞ!堕ちた天使に穢されし者よ!姫島の者でありながら堕天使と契りを結ぶとは……その忌々しい血の流れし子供諸共断罪してくれる!」
くっ!回り込まれた!後ろにも追手がいる……もう逃げ道が………でも!
「朱乃……安心しなさい、貴方は絶対にお母さんが守ってあげる。だから………逃げて」
「おか……さん…?」
私は覚悟を決めて朱乃を逃がすために注意を引く。
「殺すなら!私だけにしなさい!あの子に罪は無いわ!」
「おか……」
「行きなさい!」
朱乃は、驚いたような顔をしていたが、私の声でこちらを何度か振り向きながらも走っていった。
(よかった、これであの子は逃げれるかもしれない。その可能性を少しでも増やすためにも奴らの注意を引かないと。)
side out
龍二side
しばらく凄まじい勢いで飛んでいると段々慣れてきた。いや〜慣れって凄いな。するとプテラギルディさんが高度を下げて神社のような所に近づいていく、よく見ると神社から小さな女の子が泣きながら走ってくる。
「どうした?大丈夫か幼子よ、何故泣いている。」
あれ⁉︎口調がプテラギルディさんみたいになってる!合体してる時はこうなのかな?というか今の俺の見た目ってめっちゃ怖くね⁉︎
「うぐっ…ぐすっ…お母さんがぁ…お母さんがぁ…」
「何⁉︎母君がどうしたと言うのだ!」
そんな、名前も知らない幼女と話していると木の陰から突如男が現れ、
「おい!化け物!貴様が何者か知らんがその餓鬼といるという事は穢れし者に決まっている!ここで断罪してくれるわぁ!それに、リーダーにもその餓鬼の死体を持ってこいと言われている。母親に見せて絶望させてやるんだとよ!ハハッ…良い趣味してるよなぁ!」
その言葉を聞いた瞬間俺の中で何かが切れた、そして、詳しくは分からないがこいつらが悪党だということはわかった、さらにこいつらが母属性の敵だとも。
燃え上がるような怒りに包まれているのに頭は冷静なままだ、きっとこれはプテラギルディさんの静かな怒りなんだろう。
『龍二よ、私はもはや限界だ……しかし不思議と頭は冷えている……行くぞ龍二!共に母属性に害をなすものに鉄槌を下しに!」
ああ!母属性に手を出した事を後悔させてやる!
「ああ!なんだぁ!いきなり動かなくなりやがって!まぁいい!先に餓鬼を殺すだけだぁぁ!」
男が刀を抜き女の子に斬りかかろうとした瞬間、
「邪魔だ…」
バキャァ‼︎
俺は一言呟き男を裏拳で弾き飛ばした。男は木に激突し気絶したようだ。
「ぐすっ……鳥さん、助けてくれるの?」
「ああ、助けるとも…お主も母君を助けたいだろう?一緒について来い、共に母君を助けに行くぞ。」
そう言うと女の子は涙を拭き凛とした目でこちらを見て頷いた。
「うん!」
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姫島朱璃side
「ククッ…貴方はよく持った方だと思いますよ、よくぞ戦い慣れしていないでここまで逃げた。」
私はいよいよ行き止まりに追い詰められていた。もう完全に囲まれてしまった。後は朱乃が上手く逃げられた事を祈るしかないわね。
「それにしても、母が子のために命を捨てる…ククッ…虫酸が走るよ、貴様ら穢されし者が人間様の真似事をするなどね。」
「………っ」
「まぁ、そんな努力も全く意味が無いんだがなぁ……お前が命を張って逃がした餓鬼、多分もう死んでるよ。」
「なっ!」
「お前と二手に別れたときにな、一人追手を出しといたんだよ、ククッ…笑いが止まらないねぇ、奴は特に残虐だからなぁ…死体の原型があるかわかんねぇなぁ。」
「そ、そんな…そんなの……」
「クク…クク…いい…いいぞ…最高だ…‼︎
絶望…憎悪…その表情だ‼︎俺は貴様ら穢れし者どものその表情を見るのが大好きなんだ!さて、では仕上げといこう…そろそろ帰ってくるはずだ、娘の死体の前で殺してやるよありがたく思え!」
ガサッ
そんな、木をかき分ける音と共に現れたのは、
「おお、帰ってきたか…で、娘の死体は………」
男の仲間ではなく、二メートルほどもある恐竜のような生き物だった。
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龍二side
俺は女の子を肩に乗せ、母属性を感じる方向へ急いでいた。その途中で悪党の仲間らしき奴らがいたが変身した俺の力は想像以上でほとんど一撃で倒していた。
そして、いよいよ感じる母属性が近くなった時、声が聞こえた。
「おお、帰ってきたか…で、娘の死体は………」
そこには、ボロボロになりながらも気高い母の姿があり、俺の目の前には此方を見上げて呆然としている男がいる。瞬間俺は理解した、こいつこそが母属性に害をなす者どもの首謀者だと……そして俺は何時の間にか声を荒げていた、
いや俺は喋っていない…つまりこれはプテラギルディさんの言葉だ。
「貴様………貴様らが!今壊そうとしている、母属性とは!非常に育ちにくい属性………!母と子の絆を深める事でしか成長しない…まさに!親子の絆の証こそが母属性なのだ!その絆をあまつさえ、土足で踏み荒らす様な真似をした貴様らを……俺は許さん!」
「な、何を言ってるんだお前はぁぁぁ!お前らぁぁ!この化け物を殺せェェ!」
首謀者の男が怯えたように叫ぶが誰も出てこない。
「お前の仲間ならここに来る途中で全て倒させて貰った。もうここにはお前しか居ないぞ!」
「くそっくそっくそっ!役立たずどもめ!こんなはずじゃなかった!こんな……こんな事があってたまるかぁぁぁ!」
男はヤケクソになって俺に斬りかかってきたが、
ギィィン!
そんな甲高い金属音と共に奴の刀は俺の身体を切り裂くことなく折れた。
「貴様のような者が振るう剣など、俺には通じん。」
「ヒッ、ヒィィィィ!」
「安心しろ…殺しはせん…だが……!再起不能にはなってもらう!」
俺は肩に乗せていた女の子をそっと下ろし奴に渾身の一撃を放った。
男は鉤爪の一撃で吹き飛び、木を何本が倒した後やっと止まり動かなくなった。
『ふぅ、もう危険は去ったかな。』
『あぁ、すまなかったな龍二、私の勝手に付き合わせて。』
『いや、勝手なんかじゃ無いよ、おかげでこの親子を救えたし、途中から俺も一緒に怒ってたしね。』
『ふふっ』
『どうかしたの?突然笑って』
『いや、今までずっと敬語だったお前も、やっと私に心を開いてくれたのだなと思ってな。』
『あっ、すっすいませんプテラギルディさん!気をつけます!』
『いやいや、良いのだむしろそちらの方が良いきっと他の奴らもその話し方のほうが喜ぶと思うぞ。』
『そうですかね?じゃあ、今度からこれにして……これにするよ。』
『ああ、そうしてくれ。おっと、忘れていたがこんな話をしている場合ではない。早くここを離れないと物凄い勢いで此方に何か飛んで来るぞ。』
『えぇ!また敵かよ!しつこいなぁ!』
『いや、先ほどの者達のような邪悪さは感じない、きっと味方だろう。だが、我らのこの見た目では、誤解されるかもしれん、やはり早く離れた方がいいだろう。』
『わかった、じゃあ行こうか。』
俺が飛び立とうとした時、そばにいた女の子が此方をジッと見ていた。
「どうした、幼子よ、さぁ母君の所に行くがいい。」
「鳥さん……鳥さんにはまた会える?」
「……もちろんだ。そなたと母君に絆がある限り……俺はずっと見守っている。」
そう言い残し俺は空へ飛び立った。
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朱乃side
『そなたと母君に絆がある限り』
そう言って鳥さんは飛んで行ってしまった。
後ろでは、お母さんとたった今飛んで来たお父さんが抱き合っている。するとお父さんは此方にもやって来て私を抱きしめた。
「良かった……本当に良かった…お前と朱璃に何かあったら俺は……」
「大丈夫だよ、お父さん。鳥さんが守ってくれたから。」
「鳥さん?」
「うん!お父さん私、大きくなったら鳥さんと結婚する!」
「はいっ⁉︎」
side out
どうだったでしょうか。
誤字脱字があれば教えてくれると嬉しいです。