始めての戦闘から数日、俺はまだまだ修行をしていた。
いくら初戦で勝てたからと言って、まだまだ俺は未熟者だ。
ということで今回は、
『龍二……今から俺がすることをしっかり見ていろ。』
精神世界に俺とビートルギルディさんは向かいあって居た。
天を衝くような長大な一本角。宝石のような鮮やかな輝きと、金属の硬質感。それらを併せ持ちながら、生物特有の命を感じさせる全身の甲殻。立ち昇る強者の風格は俺にかつてない緊張感をもたらす。
『そうだよ龍二、それに兄さんの技は凄いからよそ見する暇もないよ。』
そんな彼にそっと近づき、何かを手渡すエレメリアン。
万物を挟み、両断するかのような禍々しい乱れ刃の並んだ二本角を持つそのエレメリアンはスタッグギルディさんだ
ペンを手にしたビートルギルディさんは、精神統一を始める。
何故かある大型モニターにはビートルギルディさんの手元にあるタブレット端末に接続され、映像が転送されていた。
そこには長方形の白キャンバスが表示されており、その左右にカラーパネルやツールパレットが配置されている。CGイラストを描くためのソフトのようだった。
そしてその無地のキャンバスに、下絵も用意せずに一発描きで、見事な少女の姿が描かれていく。
凄まじい早さと繊細さでビートルギルディさんの腕はオーロラの残像を煌めかせ、ペンを宙に躍らせる。
それを見て俺は、おおお……、と声をもらしてしまった。
ただの一度も迷ってペンを止めることなく最後まで描ききり、キャンバスの上で一人の少女の線画が産声を上げた。
その線画だけでも十分魅力的だが、すぐに着色作業が始まった。
そのテクニックを見逃さないように、俺は固唾を呑んで見守っている。
瞬く間にベースカラーの配分が終わり、着色の本番である影入れが進行していく。
時に大胆に、時に繊細に。
目にも止まらぬ速さでブラシの大小、ツールの変更を行いながら色を塗っていく。
息吹は吹き込まれ少女の姿が華々しく完成する。
『ーーー以上だ』
ビートルギルディさんがペンを置くと同時に俺は立ち上がり拍手をする。
『過程はおおよそ今の通りだが、全て私を真似る必要はない。自分に合った進め方を模索しろ。』
『す、凄いよビートルギルディさん!こんな綺麗なイラストをあんな一瞬で描き上げるなんて!』
俺は興奮してビートルギルディさんを称賛した。
『そんなことはない、この技術は日々の修行の賜物、龍二もいつかは出来る様になる。』
『そんなこと言ってもここまで素晴らしいイラストはすぐには描けないよ……それにしてもこのイラスト……告白する女の子のシーン?』
『そうだ、このイラストはいわば私たち義兄弟の絆の証とでも言えるものなのだ。』
『絆の証?なんですかそれ?』
『私たち義兄弟は最初から仲が良かった訳では無いのだ、最初は同じ属性を持ちながら感性の違いでよく言い争っていたのだ。』
『ええ!……信じられないなぁ、こんなに仲のいい兄弟は見たことが無いのに。』
『スタッグギルディは私と違い”積極的な恋”を特に愛でていてな、そのため意見が合わなかったのだ。』
『うん、それに兄さんは”内に秘めた恋心”をこよなく愛していたからね、あの時は馬が合わずによく衝突を繰り返していたんだ。』
『ついには私たちは周りを無茶苦茶にする程の大喧嘩を繰り広げ、その後にお互いの恋の良さを認め、義兄弟の契りを交わしたのだ。』
『ヘぇー、そんなことがあったのか………』
『そして、今やお互いの技術を合わせてこの様な素晴らしいイラストを描ける様になったのだ。』
『お互いの技術…………それなら、スタッグギルディさんは何をしてるんだ?』
『僕はね、このタブレット端末やタッチペン、さらにはこの大型モニターも造っているんだよ。』
『えェェェェ!アレスタッグギルディさんが造ってるの!すっげー!』
『うん、だからね…龍二には兄さんのイラストの技術と僕の物を造る技術、どちらも学んで欲しいんだよ。』
『えっと、別に俺は良いんですけどそれって恋愛属性の修行になるんですか?』
『大丈夫、そこは君の気持ち次第だ、君が何を思ってイラストを描くかによってその結果は変わってくるよ。』
『何を思って描くか…………分かりましたビートルギルディさん!スタッグギルディさん!俺、頑張って修行します!』
今日の成果、まだまだ二人には及ばないけど最初よりは上手くなった。
この調子で頑張るぞ!
どうだったでしょうか。
後もう少しで原作に入れそうです。
誤字があれば教えてくれると嬉しいです。