ではでは…ゆっくり見ていってくださいね!
俺の足はまた人里に向いていた。
今日は魔理沙と霊夢も一緒である。春夜は…まあ言えば寝坊である。
霊夢「にしても突然稗田阿求に会いたいなんて…何か知りたいことができたの?」
光「まあそんなところだ。てかお前らまで付いてくることなかったのに」
霊夢「暇だからいーの!宴会の準備はまた今度ー」
魔理沙「駆り出されそうだなあ…」
霊夢の言葉に魔理沙は苦笑いを返す。
それを見てから俺は阿求がいるという屋敷の前に立つ。意外と質素な屋敷だな。しかもそれほど広くない。広いけど。
光「えーと…」
霊夢「阿求ー?入るわよー」
俺がどう入ろうかと迷っている脇で霊夢が勝手に扉を開ける。入っていいのか!?
魔理沙「阿求に会うの久しぶりだなー。ほら!兄さん早く早く!」
魔理沙が楽しそうに霊夢の後を行き俺に手を振ってくる。
それに俺は苦笑しながら付いていく。
後で怒られても霊夢のせいにしよう…そう心に決めたのであった。
ちょっと歩いたところで霊夢は一室のふすまを開ける。
そんな躊躇なく…。
「なっ!?…れ、霊夢さんに魔理沙さん…!?い、いるなら言ってください!」
その部屋の中からは驚いた声。
この声の主はもしかして…と俺は部屋を覗く。そこには厚めの着物を着た稗田阿求がいた。丁度物を書いていたらしくその手には筆が握られている。
阿求「もうっ…あら?貴方は?」
光「あっ。俺は魔理沙の兄の霧雨光です」
阿求「貴方が…私は稗田阿求。ここに来たという事は歴史を知りたいのですね。いいでしょう。どの歴史を見たいですか?」
光「…1000年前の十五夜の日に何が起こったかを知りたいんです」
霊夢「十五夜…来週だわ。何かあったの?」
光「うーん…ま、まあな」
魔理沙「おー!霊夢見ろ見ろ!鯉がいるぞ!」
霊夢「あら、ほんと?じゃあちょっと見てくるから光は調べ物しててねー」
霊夢にそう言われ俺は頷く。
それを満足そうに見た後霊夢は魔理沙の元に行く。阿求の方を見ると丁度記録を見つけたところだったようだ。
阿求「これかしら…こんな昔の記録、私も見たことないわ…」
光「十五夜の事は書かれてますか?」
阿求「ええ…っ!これは…?」
阿求が驚いたように記録を見つめる。そしてハッとしたように俺のそのページを見させてくる。
阿求「1000年前…!妖怪の大暴れ…下界の消失寸前で博麗の巫女阻止…死亡者推定50万人…!?」
光「なっ…!?そんな事が!?じゃあその1000年前も…!?」
阿求「そうでしょう…1000年前、その前も妖怪による複数の異変が起きている…ならば今回もその危険性があります!でも…」
阿求はすぐに顔を曇らせる。
その理由を知るのに時間はかからなかった。
光「妖怪が暴れだすことを阻止できない…」
阿求「ええ…早くこの事実を皆さんに伝えなければ!人里の皆さんを死なせるわけにはいかない!」
阿求は急いで身支度を始める。
俺は手渡された記録を見つめ固まった。その目の先にはこの記録を書いたであろう前の稗田の文。『全てを力に変える事で全てを変えることが出来る。だがそれが良い方向とは限らない。その近くにあるものさえも全て犠牲にしてしまうのだ。』と。
俺の程度の能力…『全てを力に変える程度の能力』がそれに当てはまる。この能力は一体…!
阿求「光さん…霊夢さんにその記録を。宴会の中止はもう間に合わない。ならば妖怪を1箇所に集めて阻止を早めるしかない。そして博麗大結界の強化、人里の結界張り…私は慧音さんのところに」
阿求は早口でそれだけ言うと足早のそこを離れる。
それに気づいた霊夢が遠くから声をかけてくる。
霊夢「どーしたのー!」
俺は神妙な顔でわかった事を告げた…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
霊夢「1000年前にそんなことが…!?妖怪を1箇所に…なら無縁塚がいいわね。ほら、この前の過去の紫の時に貴方達が報酬だと言ってきたじゃない」
光「そういえばそんなことも…人里はどうするんだ?」
霊夢「私が結界を張るわ。その維持は慧音に任せるとして…博麗大結界…」
霊夢は空を見上げる。博麗大結界…麗奈がしかけた無敵の保護結界。それが破られる事は無い…だが幻想郷全土の妖怪となれば話は別だろう。
霊夢「あれだけは紫の力を借りないと…それか魔法で二重にかけるしかないわ」
魔理沙「…私やる」
光「そうか__って魔理沙!?」
少し離れていたところにいたはずの魔理沙が声を出す。
できるだけこの話は魔理沙に聞かせたくなかったのだが…いつの間に。
霊夢「…いいえ、これは聖に任せるわ」
魔理沙「なんでだよ!私でもできる!」
霊夢「あーもー!違うわよ!私達"人間"は力を無駄にはできないわ!その時まで力を蓄えておくの!今までの異変の数倍と考えればその規模はわかるはずよ」
魔理沙「…確かに」
魔理沙はショボンと効果音が付きそうな感じで肩を下ろす。
それに霊夢は笑いかける。
霊夢「…まあ、私1人じゃ阻止できないと思うしね。いないよりマシよ!」
魔理沙「っ!そっ、そうだよな!私がいなきゃだもんな!」
霊夢「ふふっ。それじゃあ先に人里に結界張らないとね!」
霊夢はそう言って魔理沙の手を握り慧音と阿求に会うために寺子屋へ向かう。俺に早く来るようにと声をかけてそのまま走っていく。
光「…魔理沙…」
俺はできるだけ魔理沙には無理をしてほしくない。小さい時からそれだけを思って過ごしてきた。
力を持ってるから、博麗霊夢の相棒だから、なんてそんな理由で魔理沙が死ぬのは嫌だ。…あの文章。それがもし俺のことだとしたなら__
その時俺は、どうなっているんだろう
シスコン良きかな良きかな…