世界がまだ西と東に分裂していた時代・・・
1974年11月4日 15:42
コロンビア バランキヤ沿岸。
雨の降りしきる中、一台のバイクが小屋の前に止まった。
バイクに乗っていた男はバイクを降りると、葉巻をくわえ、手元のライターを着火しようとするが、すべて不発に終わる。
男は軽いため息をつくとそばにあった看板を叩いた。看板は木片を散らし、向きが変わる。
MSF(国境なき軍隊)
看板に書かれている文字を背に男は海岸へ歩きだした。
男の名は「スネーク」。このMSFのボスでもあり、かつて全面核戦争から世界を救った英雄。
「で?コスタリカ政府のお偉い先生が、このコロンビアに何の用だ?」
隊員たちとの訓練を中断したスネークは雨音が響く小屋で先ほどと同じように葉巻をくわえてライターを点火しようとしていたが結果は不発に終わる。
「コスタリカ国連平和大学のガルベス教授だ。」
横にいた男。このMSFの副司令官のカズヒラ・ミラーが後付するように今回の訓練を中断せざる負えなくなった原因の男を紹介した。
「実は・・・1年ほどの前からコスタリカで武装集団を見かけるようになりました。」
ガルベスは淡々とした様子で会話を切り出した。話の内容としてはこうだ。
軍隊を持たないはずのコスタリカに謎の武装集団を見かけるようになった。それに対して政府はコスタリカ開発公社に雇われた「多国籍企業の警備員」だと言ったが、それは真っ赤な嘘。最新鋭の兵器や、設備をコスタリカに大量に運び込んでいる・・・しかもその設備や兵器の資金提供者はCIAが関与していると。だから政府の代わりに彼らをコスタリカから追い出してくれとのこと。
「報酬は十分とは言えませんが、あなた方の前線基地としてカリブ海沖にある洋上プラントを提供できます。」
ガルベスは一枚のプラントの航空写真を取り出した。
「いいじゃないか?コロンビアもやばくなってきたところだ。・・・スネーク俺たちには落ち着ける場所が必要だ。」
ミラーは心底満足そうな声でスネークに提案した。
「非公式ではありますが、政府の協力を取り付けました。」
「出来れば移動用のヘリが要るな。」
「掛け合いましょう。」
「待て!」
ミラーとガルベスが勝手に話を進めていくことにスネークはストップをかけると
「俺たちを「戦争の犬」か何かとと勘違いしているようだな。」
「ええ、私はそう聞きました。国家に帰属しない軍隊だと・・・」
スネークは間髪入れず反論した。
「俺たちは・・・国を棄てただけだ。」
その答えに対してガルベスは
「お願いします!助けてください!」
スネークにすがりつき、頼み込んだ。だがスネークはガルベスを突き放すように
「奴ら(CIA)が絡んでいるなら力では無理だ。政治で解決するしかない。」
「国は動けないのです!」
「帰って政府のお偉方に伝えろ。知り合いの交渉人なら紹介してやると。」
「いえ・・私は政府の代行に来たのではありません。」
「じゃあ何のために?」
スネークは声を低くして聞くと
「私は大学で数十年に渡って平和を説いてきました。今夜ここには・・・教育者として来たのです。」
ガルベスは後ろにいる赤いレインコートを着た人物に目を向けた。視線を感じたのか、その人物はフードを取り、顔をあらわにした。まだ少女だった。
「私の教え子です。大学で平和について学んでいます。名前はパス・・・パス・オルテガ。」
パス。それはスペイン語で平和を表す。
「へぇ、俺と同じ名前だな。俺はカズヒラ(和平)日本語で平和って意味だ。よろしくパス。カズって呼んでくれ。」
ミラーは親しみを持とうと握手しようとしたが、その手はパスによって握られることはなかった。その時だった。
「ただいま。」
小屋の入り口のドアが開き、ずぶ濡れで泥だらけで顔すらわからない男が出てきた。
「・・・カズ・・泥のプレゼントありがとう。」
「いや・・違うんだライト、あれは・・そのぐ、偶然で・・・」
「へぇ、人に泥ぶっかけといて謝りもせず、俺の顔見た瞬間、謝りもせず急いで車を全速力で発進させたのは単なる偶然と?」
みるみるうちにミラーの顔が青ざめていく。
「何か言うことは?」
怒りのこもった口調でライトという名の男は言うと
「・・・なあライト。コーヒいるか?」
ミラーはライトに怒りを注いだ。
「ちょっと来ようか。」
ライトはカズの首根っこを掴むとずるずると引きずって行く
「や、やめてくれ!!スネーク助けて!!」
「すまないがライトには逆らえない。」
「そ・・そんな・・うわーー!!嫌だ!!死にたくない!!!ああああああぁぁぁぁ・・・」
ミラーは小屋の二階へと引きずられていった。
「あの方は?」
ガルベスはライトのことを聞くと
「あいつはうちの隊員だ。」
とスネークの声と共に二階から壮絶なミラーの悲鳴が聞こえてきた。
しばらくするとライトが二階から降りてきた。
「カズは?」
「上でのびてるよ。」
ミラーのトレードマークであるサングラスを指先でくるくると回しながらスネークの問いに答えると
「この人たちは?」
「客人だ。それよりも泥を落とせ。」
「はいはい。」
ライトはスネークに投げられたタオルを受け取ると顔と頭を拭いた。すると泥は剥がれ落ち、最初は泥にまみれて見えなかった素顔があらわになった。
微かに緑がかかった青い目に、少々くせ毛だが、柔らかそうなブロンドヘアー。そしてなにより整った顔。まるで絵にかいた美少年をそのまま映し出した風貌だった。
「俺の名前はライト。よろしく」
ライトは笑うと、手元にあったサングラスを頭に掛けた。
初めてのMGSでした。これからも温かい目で見てもらえたらな~。と思っています。