ドラゴンボールIF   作:通りすがりの筋肉

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まぁ、のほほんと描いていきます



はじまり

宇宙のどこかに、惑星ベジータと言う星があった

そこには、宇宙一の強戦士族、サイヤ人がいた

彼等は宇宙の帝王、フリーザの命令で宇宙のあらゆる惑星を滅ぼし、異星人に高く売る地上げ屋として働いていた

 

今日もまた...

 

『オラぁ‼︎』

 

ドカーンッ‼︎

 

特徴的な髪型をした、左頬に大きな傷のついた男が気功波で異星人の軍団を焼き払った

彼の名はバーダック

サイヤ人の下級戦士である

彼は他の星に攻め入る度にボロボロになって還って

来るため、今では戦闘力が1万を超えていた

彼等サイヤ人は、死の淵から蘇る度に戦闘力が上がる習性がある

サイヤ人の下級戦士は、基本的には高くても戦闘力が3000程なので、1万を超えている彼はエリート戦士にも匹敵し、その勇猛さはサイヤ人の間でも有名であった

 

『てめぇバーダック、人の獲物を横取りすんじゃねぇよ!』

 

『ふんっ、てめぇがトロトロしてっからだよ、トーマ』

 

『な、なんだとぉ〜⁉︎』

 

バーダックのチームメイトの男が、いかにも悔しそうにバーダックにつっかかって来た

彼の名はトーマ

バーダックの戦友であり、最大の友である

顔は少し長いが、短髪の男前である

 

『はいはい、こんな時にケンカしてんじゃないよ』

 

『でもよ〜セリパ...』

 

『でもじゃない!』

 

『ふんっ』

 

短髪の女が、二人をなだめた

彼女はセリパ

トーマと同じくバーダックの戦友であり、バーダックチームの紅一点

そしてサイヤ人の数少ない女性である

少し冷たそうな切れ目をした美人である

 

『早くしな、トテッポとパンブーキンがしんどそうにしてたよ!』

 

『ちっ、しゃあねぇな。 トーマ、ぐずぐずしてんな、行くぞ』

 

そう言うとバーダックは、凄い速さで飛んで行った

 

『な、てめぇ⁉︎』

 

そうしてトーマとセリパは、バーダックの後を追って飛んで行った

彼等の飛んで行った方は、大小色々な爆発が起こっていた

バーダックやトーマのチームメイト、トテッポとパンブーキンが戦っているのだ

 

『ちっ、うじゃうじゃ出て来やがって! トテッポ、大丈夫か⁉︎』

 

『...おぅ』

 

二人の巨漢が、並み居る異星人を相手に戦っている

一人はバーダックチーム一の巨漢、トテッポ

無口で、いつも何か食べてる変わり者

額には大きな三つの傷があり、頭はハゲている

もう一人の髭をはやした男がパンブーキン

少し肥えた体型だが、見た目に合わず素早い動きで、敵を倒している

 

『ち、何やってんだてめぇら』

 

『おぅ、バーダック! 来てくれたか⁉︎』

 

『もうすぐトーマ達も来る。 さっさと片付けるぞ』

 

『おうっ‼︎』

 

『...わかった』

 

バーダックが加勢し、形勢は逆転した

少し遅れてトーマとセリパも加わり、勢いにのった彼等はすぐに敵を全滅させた

 

『よし、ここは片付いた。 後は一気にカナッサ星人を絶滅させる‼︎』

 

バーダックの声に全員頷き、残る異星人に攻撃を仕掛けた

そして、この星は滅びて行った...

 

 

 

『けっ、ちくしょう...』

 

パンブーキンが、頬に出来た傷を訝しげに触っている

先程の戦闘で負傷したらしい

 

『はっ、てめぇが油断してっからだよ。 しかしバーダック、息子の誕生祝にいちゃあ、少しやり過ぎたなぁ』

 

『息子の誕生祝だと? けっ、くだらねぇ冗談だ』

 

今日、バーダックには二人目の息子が産まれたのだ

長男になった息子のラディッツは、まだ5歳だが、もう戦士として惑星ベジータの王子、ベジータと共に他の惑星に攻め込んでいた

 

『この星も片付いた事だし、惑星ベジータに還って会って来たらどうなんだい?』

 

『へっ、何の見所もねぇ最下級兵士のクソガキに、ワザワザ会いに行くバカがいるか。 どうにでもしろと言っとけよ』

 

バーダックが冷たく言い切る

彼等サイヤ人は親子の愛情が希薄な種族なのだ

それでもセリパがこう言った発言をしたのは、やはり女性だからだろう

 

『アンタ、そんなこと言うとまたギネに怒られるよ?』

 

『...うるせぇ』

 

『『『『ハハハハハw』』』』

 

ギネとは、ラディッツと今日産まれた息子の母親であり、バーダックの嫁(サイヤ人に夫婦の概念があるかは不明だが)である

彼女の紹介は、また後でしよう

とにかく、バーダックはどうもギネには頭が上がらないのだ

 

『しかし、十日以内に全サイヤ人に帰還命令を出すなんて、どうしたんだろうな?』

 

『さぁ? アタシにはフリーザの考えはわかんないね』

 

『セリパ、スカウターを切れ、盗聴されるぞ』

 

『あ、すまないね』

 

『だが、確かに怪しいな。』

 

今、全サイヤ人に十日以内に惑星ベジータに帰還するようフリーザから命令が出ている

元々サイヤ人の殆どは、フリーザを快く思っていない

それでもフリーザに付き従うのは、その強さと、戦いの場をくれるからに他ならない

 

『嫌な予感がするぜ...』

 

バーダックは、一人呟いた

 

 

 

 

 

『フリーザ様、全サイヤ人に帰還命令、出し終わりました』

 

『ご苦労様です、ザーボンさん』

 

『...本当にサイヤ人を、この宇宙から消すのですか?』

 

『はい、伝説の超サイヤ人などが現れたら、不愉快ですからねぇ』

 

『何だか勿体無い気はするが、まぁいいだろ』

 

『しかしドドリア、奴らもただでは消されないだろう。 一応、用心はしておけよ』

 

『何だお前、ビビってんのか?』

 

『いや、私はただ、奴らサイヤ人は個々では大したことないが、徒党を組むと厄介だから用心した方がいいと思ってな』

 

『なに、たかが猿もどき、団結したところで私の敵ではありませんよ...』

 

『はっ...』

 

『...フフフ』

 

 

 

 

 

『ギネ、今還ったぞ』

 

『バーダック! おかえり!』

 

『あぁ』

 

バーダックは惑星ベジータに帰還後、真っ先に病院に向かった

そこで、一人の女性がバーダックを迎えた

彼女がギネ

バーダックの嫁である

少し長めの髪に、優しそうな綺麗な瞳をした女性だ

彼女はサイヤ人の中では変わり種で、戦闘はあまり好きではなく、今はもっぱら食堂で料理人として働いている

今は産休(サイヤ人にあるのかそんなの?)を取り、病院にいたのだ

そして、今日、念願の次男が産まれたのだ

その子は今、保育器に入っているらしい

 

『赤ちゃん、見た?』

 

『...どれがそうだかわかんねぇよ』

 

『大丈夫! バーダックにそっくりだから、すぐにわかるよ! ねぇ、見て来なよ!』

 

『...ちっ、わぁったよ』

 

『やったぁw』

 

『ふんっ...』

 

バーダックは、渋々と言った感じで、息子を見に行った

そこで、一人の赤子が目に入った

 

『...カカロット、か。 こいつか、俺のガキは』

 

確かに、バーダックとによく似ていた

元々サイヤ人は、顔のタイプが少ないため、よく似た顔の者がいるのは大して珍しくないのだが

 

『....』ピピッ

 

バーダックは、ただ無言でカカロットの戦闘力を、スカウターで計測した

 

『ちっ、戦闘力たったの2か』

 

明らかにガッカリしたと言った態度を取った

産まれた時点で戦闘力を図り、その戦闘力でクラスが決まるのがサイヤ人だ

戦闘力が2と言うことは、カカロットはバーダックと同じ最下級戦士である

 

『まぁ、俺のガキだしなぁ。 ん?』

 

バーダックはふと、カカロットの隣の保育器に入った赤子に目が行った

 

『...ブロリー、か。 こいつか、パラガスのガキは。 戦闘力は...1万⁉︎ 馬鹿な、産まれたばかりでもうそんなに高い戦闘力があるのか⁉︎』

 

バーダックは驚愕した

惑星ベジータの王、ベジータ王ですら、戦闘力は1万と数千

この赤子は、産まれたばかりで自分に近い戦闘力を持っている

成長すれば間違いなくベジータ王を超えるだろう

 

『...こいつは、何か危険な臭いがするな』

 

この時、バーダックは予感した

この赤子が将来、とても危険な存在になる事を

 

 

 

『あ、バーダック、どうだった?』

 

バーダックは、ギネのいる部屋に戻って来た

 

『あぁ、見てきたよ』

 

『で、感想は?』

 

『感想? 何だそりゃ?』

 

『もう、可愛いとか、色々あるでしょ⁉︎』

 

『...そうだな』

 

『もう、ホント素っ気ないわねぇ! ラディッツの時もそうだったし!』

 

『うるせぇ』

 

バーダックの頭は、あのブロリーという赤子の事で一杯だった

だが、ギネには語らなかった

 

『あぁ、早くラディッツ還って来ないかなぁ。 早くカカロットを見せてあげたいなぁw』

 

『.........』

 

 

 

 

 

〜十日後〜

 

『ラディッツ、結局還って来なかったね...』

 

『何でも攻め入った星をおとすのに時間が掛かったらしい。 まぁ、今日中には着くだろうよ』

 

『そっかぁ...』

 

ラディッツの還りが遅くなり、ギネはここ最近落ち着かなかった

ラディッツは無事なのか?

怪我してないか?

元気に帰って来てくれるのか?

そして...

 

『カカロット、大丈夫かな? ちゃんと地球って星に辿り着けるかな?』

 

『...さぁな』

 

戦闘力の低いカカロットの様な下級戦士は、赤子の時に飛ばし子として他の惑星に飛ばされ、成長してからその星を侵略するのだ

産まれて間もなくこの腕にも少しの間しか抱くことが出来なかった我が子を想い、ギネは少々鬱になっていた

その時、

 

 

 

ドカッ‼︎

 

 

 

誰かが、家のドアを勢い良く開けた

二人は一瞬、ラディッツかと思った

しかし、そこにいたのは慌てた表情をしたトーマであった

 

『バ、バーダック‼︎』

 

『どしたぁ、トーマ?』

 

『トーマさん、いらっしゃい。 何かあったの?』

 

『た、大変だ! ベジータ王がフリーザに殺された!』

 

『な、何⁉︎』

 

『えぇ⁉︎ な、何で⁉︎』

 

『フリーザの野郎は、俺達サイヤ人を惑星ベジータごと消すのが目的で帰還命令を出したんだ! それに気付いたベジータ王が、数十人のサイヤ人とフリーザに攻撃を仕掛けたらしいんだが、フリーザに...』

 

『そ、そんな... バーダック、私...』

 

『.........』

 

『今、フリーザの部下が俺達に攻撃を仕掛けて来てる。 お前も来てくれ!』

 

『...あぁ』

 

『バーダック!』

 

『...ギネ、おめぇはここにいろ』

 

『そんなっ! 私も戦う!』

 

『ダメだ、おめぇは足手まといだ。 行くぞ、トーマ』

 

そう言ってバーダックは、飛び出して行った

残されたギネは、ただ悲しそうな顔をしていた

 

『...ギネ、あいつ、あぁは言ったが、ホントはお前を...』

 

『...わかってる。 私が辛いのは、こんな時に、何も出来ないのが、辛いし、悔しいの...』

 

『ギネ...』

 

『トーマさん、バーダックをお願いします』

 

『...あぁ、任せときな!』

 

そして、トーマもバーダックを追って飛び立った

ギネはただ、その背中を見送る事しか出来なかった

 

『バーダック、無事に帰って来て...』

 

戦場では、多くの仲間が死んでいた

敵の数は、こちらとは比べ物にならない

一人、また一人と、見知った顔が生気を失い、血で赤く染まって行く

 

『バーダック、ここももう保たないよ!』

 

『危ねぇ、セリパ!』

 

『えっ?』

 

『死ねぇ‼︎』

 

『くっ...』

 

一人のフリーザ兵が、セリパに襲いかかった

避けられない事を悟ったセリパは、硬く瞳を閉じた

が、

 

『おらぁ!』

 

『ぐはぁ⁉︎』

 

間一髪、トーマがフリーザ兵の前に現れ、腹に渾身の膝を入れた

 

『油断してんじゃねぇ!』

 

『あぁ、トーマ、ありがと』

 

『へっ///』

 

しかし、状況は変わらない

バーダックのチームは、何とか死人は出ていないが、誰かがやられるのも時間の問題だ

 

『...てめぇら、ここを頼む』

 

『な、バーダック、何する気だ⁉︎』

 

『...また、後でな』

 

『バーダック‼︎』

 

バーダックは一人、空に向かって飛び出して行った

トーマ達は交戦中なので、追うことが出来なかった

 

『あいつ、まさかフリーザに⁉︎』

 

『そ、そんな⁉︎ 殺されるよ⁉︎』

 

『おいトーマ、何とかならねぇのか⁉︎』

 

『...くっ』

 

『ちっ、野郎、スカウターを持って行ってねぇ。 連絡がとれねぇ!』

 

『そんな‼︎ じゃあバーダックは⁉︎』

 

『今は信じるしかねぇだろ‼︎』

 

『バーダック...』

 

『(死ぬなよ、バーダック...)』

 

バーダックは一人、塔の上からフリーザの宇宙船を見ていた

頭の中には、死んでいった仲間の顔、怒り

そして、ギネ、ラディッツ、カカロットの顔が浮かんでいた

 

『(俺が... この、俺が......)』

 

バーダックは両の拳を握りしめ、瞳に決意を浮かべた

 

『(未来を、変えてみせる‼︎)』

 

バーダックは、飛び立つ姿勢を整え、勢い良く空に向かって飛んだ

宇宙船に近付くと、数百人の兵士が行く手を阻むんだ

バーダックは一人拳を振るい、撃ち、かわし、次々に兵士をなぎ払った

だが、バーダックもボロボロだった

いったい何度蹴られ、殴られ、撃たれただろう

だが、バーダックは止まらなかった

ただ、未来を変えるために

無事に帰って、一人泣いているであろう妻の頭を撫でてやるために

 

『フ、フリーザァァァァァァ‼︎‼︎‼︎』

 

バーダックは己を奮い立たせるために吼えた

身体に喝を入れるために

途切れそうになる意識を保つために

 

『フリーザァァァァ、出て来やがれぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎‼︎』

 

そして、宇宙船に辿り着いた

何人もの兵士に捕まれ、ろくに身動きも取れないまま、兵士ごと引きずるようにして辿り着いたのだ

 

『俺は貴様が許せねぇぇぇぇぇぇぇ‼︎‼︎‼︎‼︎』

 

そして、フリーザが姿を現した

余裕を見せてはいるが、微かに表情に怒りが浮かんでいるのがわかる

周りにいた兵士達は怯え、顔を青くしている

バーダックだけは、不適な笑みを浮かべていた

 

『へへっ、これで、全てが変わる...

この惑星ベジータの運命...

この、俺の運命...

そして、貴様の運命も‼︎』

 

バーダックの右手に、全エネルギーを使った渾身の気功弾が現れた

対するフリーザは、指先に豆粒程の大きさの球体を作った

そして...

 

『これで最後だァァァァァァ‼︎』

 

バーダックがフリーザに向けて気功弾を撃った

フリーザは微動だにしない

 

『ホホホッ』

 

フリーザは不適に笑い、指先の球体を巨大化させた

見る見る内に球体は、衛生並みの大きさになり、バーダックの気功弾を飲み込んだ

 

『な、何っ⁉︎』

 

『ホホホッ』

 

フリーザは再度笑い、指を軽く動かした

次の瞬間、小型の太陽の様な球体は、惑星ベジータに向けて動き出した

バーダックはおろか、多くの部下をも飲み込みながら...

 

『あああああぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎』

 

そして、バーダックは球体に飲み込まれた

頭の中に、トーマ達、ラディッツ、カカロット、そして、ギネの苦しむ姿が浮かんだ

バーダックは、悔しさ、無力感に襲われた

 

『ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎』

 

球体はバーダックを飲み込み、惑星ベジータに堕ちた

そして、美しさすら感じさせる爆破を起こした

 

『ホホホホホ、ほら見てごらんなさい、ザーボンさん、ドドリアさん、こんな美しい花火ですよ‼︎

ホーホホホホホ‼︎』

 

フリーザは、狂ったように笑った

それを見ていたザーボン、ドドリアの顔は、引きつっていた

そして、惑星ベジータは、巨大な爆破と共に、姿を消した...

 

 

 

 




次回予告

おぅ、バーダックだ
何だ?
この惑星ベジータに似た星は?
それにこのケ◯ッピみたいな種族はなんだ?
俺はいったい、どうしちまったんだ?

次回、ドラゴンボールIF

伝説の超サイヤ人

読めよな

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