ゴジラvsビオランテ F・battle 作:サイレント・レイ
「……此所は?…」
気が付いた時、自身は学生服(しかも夏場なのに冬服)を纏って夜の大都市……何故か火災で赤く染まり、人々の阿鼻叫喚が引っ切り無しに聞こえてくる瓦礫だらけの場所に立っていた。
しかも遠くの方角から多数の破壊音と何かの生物の鳴き声が聞こえていた。
「…本当に…此所は……!?」
現状を理解出来ずに立ち尽くしていたが、眼前に自身より僅かに年下と思われる少女達が瓦礫の山々の間にいるのに気付いた。
何故か少女達は自分に気付いている気配が無く、遥か前方を凝視していた。
「…来ますね」
「みんな良い?」
「大丈夫だよ」
「私も大丈夫だけど、そう言う貴女は?」
「勿論、OKだよ!」
一体何が来ようとしているのか全く分からなかったが、リーダー格と思われる者の言葉に他の者達が一斉に頷いた直後、特大の爆発音に続いて倒壊音、更に少女達が言う何かと思われる者のものと思われる咆哮が響き渡った。
そしてその何かが近付いて来るのか、地響きが……否、肌に感じ取れる程の特大の足音が徐々に大きくなってきていた。
しかも足音の主はかなりの巨体なのだろう……足音がする度にアスファルトの小石が跳ね、一部の瓦礫の山が崩れていた。
そして摩天楼の言葉が当てはめれる程の大高層ビルの影から…
「…あ……アレは!?」
…火災の逆光で見え難くかったが、最初に肉食恐竜の代名詞であるティラノザウルスを思わせる巨顔が現れ、続けて炎の様な形の背鰭を背中に大量に生やした胴体に身の丈より長い尻尾を生やしたとてつもなく巨大な生物……否、怪獣が唸り声を上げながら現れた。
しかも此の怪獣はその背鰭の形の如く、強烈な怒気を感じさせていた。
そして怪獣は少女達に気付いて目を向けると彼女達を敵と……憎むべき敵だと認知したのか、唸り声を上げた後、宣戦布告として大きく咆哮した。
「みんな行くよ!」
「「「「Yes!!」」」」
少女達もリーダー格の号令と共に怪獣と戦おうと一斉に飛び出して行った。
怪獣は少女達の動きを予測していたのだろう、背鰭が派手な放電音を上げて周辺の空気が揺らぐ程の強烈な熱を放ちながら青白く光輝やかせ、大きく息を吸い込んだ後、口から青白の『放射熱線』を少女達目掛けて放った。
だが少女達の一人が先頭に出て緑色の防御膜を展開……防御膜こそ破壊されてしまった上に両手から白煙が上がっていたが『放射熱線』を何とか防いだ。
怪獣が『放射熱線』を防がれてしまった事に驚いている隙に少女達は怪獣に向って行った。
勿論、怪獣も直ぐに『放射熱線』の次弾を足元に放ってそのまま少女達に振ったのだが、今度は避けられてしまった。
そして少女達は怪獣の懐に入り、何処か可愛らしい身形に反して高速で動き回りながら殴る・蹴るを続けていた。
だが怪獣はその巨体の為に対応出来ずにやられ放題であった上に少女達が意外に力もあって痛そうな……否、不快な声を上げてはいたが傷何処か痣(?)らしきものが全く出来ていなかった。
しかし不快なのに変わりは無く、怪獣は尻尾を激しく振って時折ビルに当たって接触箇所を抉り取るか、勢い余って頭からビルに突っ込んでいた。
それでも怪獣の身体に器用に歩き登ってまで攻撃しつつ、ちょこまか動き回っている少女達を振り落とそう頭や両手を振り回し、或いは尻尾を直接自身に又はわざとビルに当てて崩して瓦礫をぶつけていたがことごとく空振っていた。
終いには少女達を押し潰そうとビルに身体をぶつけて擦っていたが、此も空振りであった上…
「…いくよ!」
「「せ~の!!」」
…逆に少女達の内二人がそのビルの頂上部をへし折って(!)怪獣に落され、更に連鎖的に起こったビルの倒壊に巻き込まれて流石に痛そうな声を上げながら倒れ落ちた。
だが怪獣は直ぐにビルの残骸を吹き飛ばしながら立ち上がって「効いていない」と言わんばかりに咆哮した。 しかも一方の少女達は光剣(?)まで出して攻撃し続けていたが、決定打を全く得られない為に逆に焦りを見せ始めていた。
「…っ! 不味い!!」
怪獣が再び『放射熱線』の充填を始め、しかも目線の先に逃げ遅れた人々がいるのに気付いた少女の一人が怪獣の下顎に体当たりして無理矢理閉じさせ、更にもう一人が金色の鎖(?)で口を押さえた上に二人が緑色の円盤・紫色の花吹雪を夫々同時に放ち、最後の一人が蹴飛ばした炎の球体を含めた三つが怪獣の背鰭の中で一番大きいものに直撃した! 此等の攻撃は決定打になからなかったが、怪獣がバランスを崩して高層ビルに前のめりにぶつかり、くぐもった声を上げながらビル諸共倒れた。
その時に口の枷が外れたのか、『放射熱線』を瓦礫に埋もれながら無造作に放って運悪く被弾したビルが倒壊した。
「今だ!!」
更に少女達がリーダー格の号令下、五人が夫々の技を一斉に怪獣……と言うよりビル倒壊の砂煙で目標が見えない為に
怪獣がいると思われる場所へ渾身の力で叩き込んだ!
「…やった?」
怪獣が悲鳴みたいな咆哮を上げた為に致命傷を得たと思われたが…
「…っ! いない!!」
…少女達の攻撃で生じた複数の閃光、そして砂煙が消えたそこに怪獣が存在しておらず、崩れ落ちたビルの残骸しかなかった。
「……消滅したのでしょうか?
手応えを感じましたし…」
「いえ、あの怪獣が……あの怪獣の王様が此位でやられる筈がない……悔しいけどね…」
一人が希望的な予想を言ったが仲間がそれを直ぐ否定した。
「…火力不足もあって…逃げられた……と言う事ね」
「糞!! 後一人おったら倒せた筈やったのに!」
「じゃあ、何所にいったん…!?」
不意に怪獣の咆哮が何所からともなく聞こえたと思ったら…
「「「…!?」」」
「後ろやと!?」
「後ろ!?」
…少女達の背後のビルが突然崩れ、そこから怪獣が再び……しかも無傷の状態で現れた!
更に驚き、警戒を解いていた少女達に『放射熱線』を放った……がギリギリの処で少女達が避けた為、その先に存在していたガスタンクに直撃して盛大な火柱を上げるだけに終わった。
「……危なかった」
「…っ! 逃げて!!」
だがその火柱に注意がいっていた上に誤って怪獣に近付いてしまった少女の一人が…
「………え?」
…振り向いた頭上の光景を理解出来ずに呆然としていた表情を浮かべた少女の頭部を怪獣が丸ごと噛み付き……マミって振り回されていた。
「ああ!! よくもぉぉーー!!!」
「ちょっ、待って!!」
更に仲間が殺られる衝撃過ぎる光景を見て激情した一人が制止を聞き入れずに怪獣の顔目掛けて殴りかかったが、その怪獣がマミったのを吐き捨てながら素早く前に屈んで少女を回避した上、此の勢いを利用した尻尾の打撃によるカウンターを避けられて不抜けた少女に叩き付けて吹き飛ばした!
「……何て奴なの…」
「不意打ちだったけど一瞬で二人も…」
「やっぱり王様の称号は伊達じゃないんだね」
今更ながらであったが、残った三人は自分達を挑発する様に咆哮した怪獣の強大振りを感じ取っていた。
「…でもやるしかない!」
「「ええ!!」」
半ば自暴自棄気味に突っ込んで来た少女達を見た怪獣は『放射熱線』の充填を始めたが、何故か撃つ気が全く感じられなかった。
だが少女達が懐に入った直後、何と『放射熱線』を逆に飲み込み……白く点滅した怪獣の全身から強力な衝撃波が放たれて少女達を周囲のビル諸共吹き飛ばした。
「「きゃあぁーー!!!」」
「ミルゥーー!!!」
しかも少女達の二人(何故か片方は兎みたいな姿に変わった)がビルに叩き付けれたのを見て、そのビルの根元に『放射熱線』を放って倒壊させた。
「……へ?」
悪い事にそのビルが倒れる場所に先程吹っ飛ばされた一人、オマケにマミったのがいて倒壊に巻き込まれてしまった。
更に此の間に怪獣は『放射熱線』を充填を始め……背鰭の発光色が青白から赤色に変わったら、『放射熱線』より遥かに強力な『赤色熱線』を倒壊したビル目掛けて放って着弾地点に特大の火柱が上がった。
そして火柱が煙に変わり、それも晴れたそこにビルの痕跡が全く無く、勿論その下にいた少女達の姿も消滅していた。
「…み、みんなぁぁーー!!!」
傷だらけになりながらも巻き込まれずに難を逃れた少女は仲間達が消滅した光景を見て絶叫した。
逆に嬉しそうに巨体を揺らしながら咆哮した怪獣は少女に振り向いて「次はお前だ!」と言わん許りに睨みながら睨みながら鼻を鳴らして唸り声を上げた。
「……あ…ああ…」
最後の一人になってしまった事からの絶望と自分を嘲笑っている様に見える怪獣への恐怖心から思わず後ずさっていた少女に止どめを刺そうと怪獣は背鰭を再び赤く発光させ始めた。
だが怪獣が『赤色熱線』を放つ直前に少女が何とか立ち直って(或いは開き直った)桃色の結晶群を渾身の力で放った為に『赤色熱線』と結晶群の押し合いが起こったが、外見上は拮抗していたが怪獣が余裕を見せていたのに反して少女の方は『赤色熱線』の熱と焦りから汗だくになっていた。
暫くして突然勢いを増した『赤色熱線』が結晶群を根こそぎ粉砕して少女を飲み込んで巨大な火柱が上がった。
そしてその火柱が煙に変わって消えると……信じられない事に少女が立ってはいたが、突然膝を地面に着けたかと思ったら衣装が光の粒子に変わっていき……変身が解けると同時に前方に倒れたのを見た怪獣は勝利宣言と取れる特大の咆哮を身体を揺らしながら上げた。
そして怪獣が少女と戦いの一部始終を見ていた自身に背を向けて何所かに去ろうとしていたのもあって、考えるより先に俯せに倒れている少女に駆け寄った。
そしてその少女を抱き上げながらひっくり返すと…
「…っ! つぼみ!!?」
…戦えなくなった自分に代わって戦いの場に身を置いた後輩の少女に代わった。
「嫌ぁーー!!!」
月影ゆりが悲鳴を上げながら我に帰った時、そこは真夜中の自分のベッドの上である事に気付いた。
「…今のは……夢…だったの………?」
不意に此所に急いで近付いて来る足音が聞こえて…
「…ゆりちゃん、どうしたの!?」
…慌てた様子で母・春菜が勢いよく扉を開けてやって来た。
「ゆりちゃん、どうしたのその汗?」
春菜に言われてゆりは自分の寝間着が真夏の夜とは言え、自分でも驚く程に汗で濡れているのに気付いた。
「…お母さん、何でも無いわよ。
只悪い夢を見ただけだから…」
不安そうな春菜を何とか説き伏せたら、春菜はシャワーと着替えを薦めて自室に引き上げて行った。
だがその後、ゆりはベッドから起き上がって暫く窓の外を見詰めていた。
「…今の夢……アレは………ゴジラと戦ったプリキュア達の夢……私、何であんな夢を…」
かつて伝説の戦士プリキュアの一人・キュアムーンライトであったゆりの心情を表す様に窓の外は雷を伴った豪雨であった。
「…っ!?」
そして雷光が一瞬照らした闇夜の先に夢の中で見たゴジラが背鰭を青白く発光させながら天へ咆哮する幻がいた。
「……そう言えばもうすぐ貴女の命日だったわね…」
ゴジラの幻を見たゆりは何とも言えない失笑をしていた。
感想・御意見お待ちしています。
……しょ…衝撃的な始まりですが、今回のはゆりの夢でありますが、事実のとは細部はチョット違いますので…