ゴジラvsビオランテ F・battle 作:サイレント・レイ
――― 白神研究所 ―――
白神が筑波に向かったその日……否、既に日付が変わった真夜中に主不在の研究所の入口に中型トレーラーが停まっていた。
更に鍵が掛けられている扉に男性達が複数へばり付いていた。
で、暫くして…
「……良し、開いた」
…中国語を話す此の男性達は、ピッキングで上手い具合に鍵を開けた。
更に…
「……セキュリティも止めたぞ」
…セキュリティもハッキングをされて解除させられていた。
しかも……と言うよりこんな僻地に隣近所が近くにある訳がなく、男性達の憂いは完全に無くなった。
その為だろう、男性達は声を出して笑い合っていた。
「それじゃ、俺達は研究所に行くからな」
「ああ、アクアカレンの回収作業は任せろ」
男性達は二手に別れて、一方はアクア・カレンの所へ向かい、もう一方は研究所内に入っていった。
「……此れがアクア・カレン……世界唯一の青い薔薇…」
…でアクア・カレンの所に向かった一行は僅かに研究所を迷ったが、何とか目的地に辿り着いて硝子ハウス越しに懐中電灯で照らしたアクア・カレンに見惚れていた。
「ああ、流石は日本人だな。
良い物を作ったじゃないか」
「だが沢山あると聞いたが、一輪だけしかないのか?」
どうやら彼等は数日前にアクア・カレンが壊滅寸前までいった事を知らない様であった。
「…一輪だけと言え、コイツを回収するぞ」
リーダー格に他の者達が頷いて全員硝子ハウスに入った。
「どうだ?
持って行けれるか?」
「……大丈夫だ。 見た処、固定具を外せばプランターごと持って行けれます」
回収可能との一言に他の者達は次々に嬉しそうな小声を漏らしていた。
「後は向こうは連中がアクア・カレンの資料を持ってくれば良いだけだな」
「…しかし貴重と言え、なんで此れまで持っていく事になったのです?」
「そう言えばそうだよな。
こんな花が祖国中国に何か恩恵を与えるのですか?」
「……それがなんでも上の連中が、花関連の企業からコイツの回収も頼まれたらしい」
疑問の答えを聞いた者達は上層部の身勝手に苦々しくしていた。
「…やれやれ……上の連中、金を貰い過ぎて断れなかったな」
「俺達にもその一部を分けてくれれば良いのに…」
しかもどう考えても自分達に恩恵が来ない此の行為にリーダー格も含まれていたのだから…
「ま、コイツを大量生産出来れば世界的にシェアを取れるって事か」
「変に育てて毒薔薇を作り出さなければ良いんだけどな」
「あ、それ言えるな!」
だがそれでも此の者達は、自分達がやろうとしている行為に、誰一人罪悪感を全く感じていなかった。
「さて安いと言え、給料貰っている以上、さっさとコイツを持って帰るぞ」
そして微笑しながらアクアカレンを回収しに近づこうとしたが、その直前に最後尾の者が頭を撃ち抜かれた!
「何だ!?」
「隠れろ、隠れろ!!」
更にもう一人の額に赤いレーザーポインターが照らされた直後に撃たれたが、他の者達は半ば反射的に物陰に隠れて拳銃を抜いた。
「クソッタレ!! 敵がいるぞ!」
内一人がレーザーポインターから敵がいるだろう方角を予測しての発砲に、仲間達もそちらに向かって射ち初めて、瞬く間に銃撃戦が始まったが…
『……許さない…』
…不意に女性の声が聞こえた為に全員が一瞬硬直した。
「…な……何だ、今の声は!?」
「何所からしたんだ!?」
「今、日本語で“許さない”と聞こえたぞ!」
聞こえた声に全員が顔を引き吊らせた。
しかも現時刻は全てが眠っている丑三つ時で明かりは懐中電灯以外は皆無、しかも銃声内でもはっきり聞こえた事がより不気味な感じにしていた。
『……許さない!』
再び女性の声が聞こえたが、先程のモノより口調が強くなっていた。
「…何所だ……何所にいる!?
出てこい!!」
「…っ! 馬鹿、よせ!!」
恐怖のあまりに一人が物陰から飛び出すと拳銃を身構えたが、仲間達に取り押さえた。
だが他の者達も大なり小なり正体不明の声に怯えていた。
そして敵側も声が聞こえたのか、只、相手の様子がおかしい事に気づいて様子見をしたのか、銃撃が止んでいた。
『…許さない!!』
また女性の声が聞こえ、今度は全員が拳銃を抜いた。
「何所にいる!?」
「出てこい!!」
正体だけでなく、所在も分からない為、男性達は背中を合わせて身構えた。
「出てこい、ぶち殺してやる!」
「糞っ!!……?
どうした?」
一部が殺気立っていたが、仲間意識一人が 震えながら物凄い汗を出していた事に気づいた。
「おい、どうした?」
「何か見つけたのか?」
震えている者に仲間達が構えを解いて声をかけていたが、当の本人は怯えて何も言わずに震えながら硬直していた。
そして何の気なしに震えている者の目線の先を見たら…
「おい、あの花がどうかしたか?」
…その先にアクア・カレンが有ったが、一見しても何も違和感を感じなかった。
だが…
「…チョット待て!
あの花……あんなにデカかったか!?」
…更にアクア・カレンの異変に気づいたもう一人の言う通り、アクア・カレンは最初に見た時より二回り大きくなっていた。
「…まさか……気のせいだろ……!!」
否定的な事を言った者がいたが、よく見たらアクア・カレンの直方体のプランターがヒビが出来る程に膨らんでいた。
そして男性達の目の前でアクア・カレンが細長風船の様に根元から一気に巨大化し、それを見た男性は何も言わずに後ずさっていた。
しかもアクア・カレンは一定周期で巨大化し、回を重ねる度に巨大化の比率が倍単位で増えていた上に周期も縮まっていた。
そしてとうとうアクア・カレンの巨大化に耐えきれなくなったプランターが裂け、固定具が折れてしまい、アクア・カレンが床に落ちて横倒しになった。
「……近づくぞ」
「あ、ああ…」
男性達の一部が不安な表情で顔を見合わせて横倒しのアクア・カレンに拳銃を突き付けながら近づこうとしたが、アクア・カレンの根が巨大化しながら床に突き刺さって一人でに起き上がり…
『…許さない!!
お祖父様の研究所を踏みにじるなんて……絶対に許さない!!!』
…アクア・カレンから先程までの女性の声を発し、根が床を破壊すると硝子ハウスを破壊する程に一気に倍加した!
「…ば、化け物!!」
「なんだかんだ、コイツは!!?」
「う、うわぁぁー!!!」
――― 同・研究室 ―――
その頃、研究室に侵入した者達は目的物を捜索し、違った物は次々に無造作に捨てられていた。
「…どうだ、見つかったか?」
「否、まだだ」
「糞っ! 何所にあるんだ!?」
目的の物が中々見つけられない事に苛立った一人が、手に持っていた資料を引き裂いた。
「落ち着け、まだ時間はある」
物に当たり散らしている者に仲間が咎めたが、その者は止めようとしなかった。
だがその荒れた者が蹴飛ばしたゴミ箱が壁に当たって横倒しになり、ゴミ箱から落ちた紙の束を仲間が何の気なしに拾い上げて表紙を確認したら…
「……オルガナイザー…G1!
おい、有ったぞ!!」
…それが目的物の一つであるオルガナイザーG1……ゴジラ関連の資料である事に嬉々としながら仲間達に報せた。
「…間違いない、此れだ」
そして集まった仲間達と共に確認したら、一切欠けてない多しかな物であった。
「おい! アクア・カレンのサンプルと資料を見つけたぞ」
更に別室を調べていた仲間がアクア・カレンの一つと資料を持ってきた為、他の者達も控え目の歓声を上げた。
「…だが、残念だがゴジラ細胞は無かった」
……只、最後の部分に舌打ちする者が結構いた…
しかも…
「……ああ糞!
オルガナイザーG1のデータディスクを見つけたが、消去されている!」
…オルガナイザーG1のデータディスクを見つけるも、パソコンで確認したらデータがデリートされていた。
「……全て上手くいくとは限らないって事か」
「ああ、コイツ等だけでも手に入れたから、良しとするか」
オルガナイザーG1の資料を持っていた者が、資料を数回叩いて苦笑し合っていた。
実は此の資料、白神はセバスチャンから最終的には焼却するかシュレッダーにかけるなりして処分するように厳重に言われていたが、白神はデータディスクのはちゃんと消去したが、資料の方は忘れてゴミ箱に突っ込んだままにして行ってしまったのだった。
そしてその結果、オルガナイザーG1の資料が奪われると言う最悪の形になっていた。
「ま、俺達は此処までとするか」
「ああ、此れだけでも十分ボーナスは貰える筈だしな」
「引き上げるぞ」
笑い合いながら獲得品を持って引き上げようとした時…
「…っ! 何だ!?」
「銃声だぞ!」
…銃声が多数聞こえ始めた。
しかも銃声が一旦止んで、硝子が割れる音と共に再び始まった銃声に混じって仲間の悲鳴も聞こえていた。
「何だ!? アイツ等、何と撃ち合ってるんだ!?」
疑問と恐怖を感じさせる音が多数が聞こえていたが、突然それ等が全て止み……暫く不気味に感じる静寂が訪れた。
「……止んだぞ」
「…終わった……と言う事か?」
どうも最悪の予測をしていたのか、男性達にも嫌な沈黙感が漂っていた。
「……っ!」
「どうした?」
「しっ!! 何か気配を感じる」
そして何かが此の部屋に近づいてきたと思ったら…
「…っ!?」
…当然、研究室の角の床のフローリングが音を上げて盛り上がったと思ったら、一直線に男性達の所に向かった!
だが男性達は直ぐに拳銃を抜くと、謎の突起物に一斉に射ちまくり……その何割かが直撃した突起物は男性達の直前で止まった。
「……何なんだ?」
「し、知るか!」
男性達は破壊された床に、拳銃を突き付けながら息を乱して硬直していた。
そして動きが感じられない間に拳銃の弾倉を交換すると、一人が手信号で仲間に援護を頼むと、破壊された床に警戒しながらゆっくり近づいていった。
そして拳銃を構えながら恐る恐る床の残骸に手を伸ばし…
「……ふん!!」
…素早く脇に投げ捨て、素早く拳銃を身構えて光源皆無であるも必至に確認したが、何かを見つける処か、何も気配を感じられなかった。
更に懐中電灯で照らしてみたが、やはり何も見つけられなかった。
「……殺ったみたいだぞ」
確認し終えて立ち上がると、振り向きながら仲間達に報告した後、次々に空笑いが起こって……最終的に全員が笑ったその時、報告した者の背後の確認箇所から触手が現れたと思ったら、その者の腰に絡み付いて引き釣り込んだ!
そしてその十秒もしない間に引き釣り込まれた者の悲鳴が嫌な音と共に聞こえた。
更に続けて触手が壁を突き破ってもう一人に絡み付き、棚等に叩き付けながら振り回して、最後に壁を破壊する程に叩き付けた!
そして動かないその者を開放したと思ったら、別の一人に絡み付いて、そのまま何所かに引き釣っていった…
残された者達は此れ等の一瞬の出来事を飲み込めずに呆然としていたが、数十秒後に最後に釣れていかれた者の絶叫が聞こえた為に我に帰り…
「…に、逃げろぉぉぉー!!!」
…再び床を突き破って現れた触手に拳銃を射ちまくって、仲間のトレーラーの所へと悲鳴を上げながら走り出した。
又、オルガナイザーG1の資料を持っていた者は、距離に加えて触手に入り口を押さえられた為、窓を突き破って外に飛び出すと、そのままの勢いのままに、草木に引っ掻かれながら斜面を転がっていった。
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