ゴジラvsビオランテ F・battle 作:サイレント・レイ
――― 白神研究所 ―――
此の時、トレーラーで待機していた者達は、突然研究所内からの銃声と破壊音、更に仲間達の阿鼻叫喚が聞こえてきた事に戸惑っていたが、暗闇で何も見えなかった上、誰も状況確認をしに行かなかった為、“知らない幸せ”を得ていた……現時点では…
そしてそんな彼等の所に仲間の一人が恐怖で顔を引き釣り、弾切れの拳銃を投げ捨てて駆け込んできた。
「おい、どうした!?
中で何が起こっている!?」
「早く出せ!! 早く!!!」
逃げ込んだ者は、状況を理解出来ないでいる仲間の一人の胸倉を掴んで答えず、「出せ!!」と言い続けた。
「だが他の奴等を待たないと…」
「死にたいのか、お前等!?」
「だがな……?」
“逃げる”か“まだ残る”かの応酬をしていたが、不意に…
「…ぁぁあああ!!!」
…上空から仲間の悲鳴が聞こえたと思ったら、窓から飛び出した男性が落下……否、地面を抉る程に叩き付けられた!
勿論、こんなので普通の人間が無事でいられる訳がなく、直ぐに派手に吐血きて絶命したが、死んでも尚もオルガナイザーG1の資料を握っていた為に執念を感じられたが…
更に研究室から逃げてきた者達が現れたが、直ぐ触手に捕まって悲鳴を上げながら奥に引き摺り込まれていった。
残された者達は男性の死を間近で見た上、目の前で触手に捕まった仲間達の簡単に予測出来る悪しき未来を察して硬直していた。
だが直ぐに研究所内から触手が彼等に向かって来る(否、“伸びてくる”と言うべきか?)のを見て、無意識のですよ内に攻撃を開始した。
しかも研究所に入った者達と違って、彼等はより攻撃力の有る突撃銃を携帯していた為、触手は粉砕こそ出来なかったが、苦しむ様に上下左右に動き回っていた。
「3、2、1、伏せろ!」
…内一人が手榴弾を取り出して安全ピンを抜いて時間調整をした後、仲間達に忠告して触手目掛けて投げた。
触手に手榴弾が当たったと思ったら狙い通りに直ぐ炸裂し、被弾して先端が千切れた触手は緑色の液体を撒き散らしながら撤収していった……千切れた先端は暫くのたうち回っていたが…
「…に……逃げるぞ!!」
我に帰った彼等は、逃げてきた者が言いたかった事をよく理解して直ぐ乗車を開始した。
勿論、近くの仲間の遺体処か、資料を放置している事から他の仲間達の安否等、今や知った事ではなかった。
だがその間にも触手が次々に彼等に向かってきたが、先に乗り込んだ者達が援護をしてくれたお陰で誰も捕まる事はなかった。
「乗ったか!?」
「…良し、全員乗り込んだぞ!」
「出すぞ!!」
全員が乗り込んだ事が確認されたら、直ぐトレーラーを発進させ……白神研究所が見えなくなる所まで来たら、振り切れたのか、銃声が止んだ。
「…振り切れたのか?」
「ああ、振り切れた!
俺達は助かったぞ!」
後部の仲間からの報告を聞いて安堵したのか、一人が笑い出し……他の者達も釣られて次々に笑い出して、最終的に全員が肩を叩き合いながら笑っていた。
だが…
『……逃がさない…』
…突然、女性の声が聞こえて、一瞬で笑い声が消えた。
「…な、何だ!? 今の声は!?」
「そんなまさか………っ!!」
そしてその直後、トレーラーが金属音を上げて前方に傾いたと思ったら、突然トレーラーが空転音を響かせると、奇妙な上昇感を感じた。
「何だ!? 何が起こった!?」
「ああ!! 後ろの奴等が!!」
トレーラーが上下左右に不規則に激しく揺れて、車体後部に乗り込んでいた者達が何かに捕まっていたが、誤って開いた後部扉から次々に悲鳴を上げながら車外に落ちていった。
しかもあり得ない位の高さであり、その事に残った者達が戸惑いながら仲間達の生存率が皆無である事を認知していたが、落下していった者達は一様であったが“知らない幸せ”を手に入れる事が出来ていた。
なにせ、運転席側の者達は揉みくちゃにはなっていたが…
「…っ! うあぁぁー!!!」
…不意に前方を見た者が悲鳴を上げながら指を指した先に触手が……それも研究所で見た物より遥かに大きな物が、フロント硝子をノックするかの様に何度も軽く叩いていた!
「早く扉か窓を開けろ!!」
「だが此の高さじゃ…」
「いいから開けろ!!」
無意識の内にトレーラーから脱出を試みようとしたが…
「っ! ああ、駄目だ!!」
「こっちもだ!!」
…左右の扉を、別の小型の触手が外側から押さえ込んだ為に出来なかった。
「だったら後ろn……っ!!」
更に後部から脱出しようとしたが、先読みされたののか、触手が凄まじい力で縛ってトレーラーの後部を嫌な金属音を上げて潰れた!
勿論、触手が待ち受けているフロント硝子が論外の以上、彼等の逃げ道は完全に消失した。
しかも揺れるトレーラーのヘッドラインが偶然にも照らした先に、明らかに触手ではない……触手群の大元と思われる巨大な物体を見てしまい…
「嫌だ、嫌だぁぁー!!!」
「助けてくれぇぇー!!!」
「死にたくない!!!
死にたくない!!!」
…どう考えても確実な死を迎える未来が待ち受けている状態に全員が泣き叫んでいた。
だが触手はそんな彼等などお構いなしに暫く振り回した後、無慈悲にトレーラーを投げ捨てた。
男性達の悲鳴と共に落下したトレーラーは、叩き付けられた衝撃で変型しながら一度跳ねて横倒しになり……少しして漏れだした燃料に引火・爆発を起こして炎に包まれた。
しかも燃え盛るトレーラーから脱出する者が誰もおらず、落下の衝撃に耐えたか死亡するか関係無く全員を火葬していた。
此の現状を作った物体は、それ等を凝視するかの様に先端を炎上しているトレーラーに向けて硬直していたが、突然小刻みに震えだし…
『……お、お母様……お父様…』
…我に返って、自分がした事を後悔しているかの様に激しく揺れ始めた。
更に言うと、トレーラーにした事は、自分の両親を奪った憎む者の行為と全く変わりがないと自覚していた。
『…違う……私は……私は!!』
そしてなにより、嘗て守護者の一人として此の世界を数度守り抜いた自分が感情に任せて人の命を……それも多数も奪った事に自己嫌悪していた。
しかも自分を“化け物”呼ばわりして恐れていた男性達の言葉が次々に蘇っていた。
その為、苦しみ足掻く様に触手が無茶苦茶に振り回して木々を薙ぎ倒し、時折地面ごと抉り取っていた。
『…嫌ぁぁぁー!!!』
一通り破壊行動を行った後、最後に天へと高く伸びた。
その姿は怨敵……水無月かれんの全てだった奪ったゴジラが天へと咆哮する姿に似ていた…
「堕ちたな、水無月かれん。
だがその姿、今のお前に相応しいぞ」
その光景を数日前の三原山の噴火を見ていた者が、かれんの遺品の一つである携帯らしき物を右手の中で転がし、何度か軽く投げ上げながら上空で笑いながら、文字通りの“高みの見物”をしていた。
少し時間を戻して、トレーラーが走り去って少しした後、夜闇の中からサングラスを掛けた白人男性が遺体に近づいていた。
「…悪いな。
コイツは頂いていくよ」
遺体から抗核バクテリアの資料を力任せに奪った白人男性は、そのまま遺体近くに落ちている触手の切れ端を拾い上げて、笑みを浮かべながら見つめていた。
「…ウェ、ウェスカー様、此所は危険です。
早く退避を」
「ああ、しかし中々面白い事が起きそうだな?」
謎の咆哮が響いた事もあってガスマスク越しでも分かる位に怯えている重装備の部下達に、白人男性ことアルバート・ウェスカーは触手を肩に掛けて部下達に続き、一旦立ち止まると咆哮が聞こえた方角に振り向くと、心配している部下達に反して笑った後、真顔に戻って立ち去っていった。
――― 同時刻・精神科学開発センター ―――
此の時、精神科学開発センターは職員全員が帰宅かセンター内の自室に引き上げて眠りに着いていたが、亜美だけは今晩は当直であった為、彼女の頭上の物以外が消灯して薄暗い職員室で、寝間着にケープを肩に掛けた姿で分厚い本を読んでいた。
最も日付が変わってからそこそこ時間が経過していて、本を読み終えて閉じると同時に眠気を感じて欠伸をしながら背伸びをすると、自室に引き上げようと立ち上がった直後に職員室の電話が鳴り響いた。
不意に、しかも真夜中に電話が鳴った事に驚いた亜美は、電話の方に振り向いて少し硬直していたが、直ぐ気を取り直して電話を取った。
「…もしもし、精神科学開発センターですが」
『もしもし…その声は……亜美?』
「え…ええ、そうですけど…」
女性と思われる電話先の相手が自分の名前を言った事に亜美は驚いていた。
「…失礼ですが、どちら様ですか?」
『未希よ、三枝未希』
「…三枝……未希……っ!
未希ちゃん!?」
眠気で頭が鈍っていて相手の名乗り名を理解出来なかった亜美だったが、直ぐ相手がアメリカにいる身内である事に気づいた。
「未希ちゃん、こんな時間にどうしたの?」
『…え?』
「……こっちは今、真夜中なのよ」
『…真夜中?……ああ御免、私が今いる所は昼だったから…』
どうやら未希はアメリカと日本に時差がある事を忘れていた様であった。
「…それより未希ちゃん、何故電話を掛けてきたの?」
眠気が吹っ飛んだ亜美は、未希が電話を掛けてきた事(時差を忘れてはいたが…)に何かを察していた。
『…実は妙な気を感じてね。
最近、何か変な事が起こってない?』
「ゴジラ以外のは余り無いけど…」
『それも気になるけど、そっちじゃなくて…』
自分でもよく分かっていないのか、未希は上手く言葉に出来ないでいた。
『…ねぇ亜美、かれんがどうなっているか分からない?』
「……かれんちゃん?」
未希の質問が予想外だったか、亜美はキョトンとしていた。
『実はさっき三原山のゴジラが活発に動くのを感じる直前に、かれんを感じたのよ。
しかもかれんからゴジラと似たようなモノも感じたの』
「なんですって!?」
未希の言葉に思わず叫んだ亜美だったが、直ぐ我に返っると恥ずかしそうに右手を口に当てた。
「未希ちゃん、それ間違いないの?」
『……亜美、何か心当たりがあるみたいね?』
「ええ、実は数日前に子供達が描いたゴジラの予知夢の絵の一つに、未希ちゃんが言った事に繋がりそうな物が有ったのよ」
『ああ、アレね。
懐かしいわね…』
昔よくやらされた予知夢を描く事に、未希が懐かしそうにしていた。
「その内の一つが、ゴジラが青い花みたいなのと戦っている物だったの」
『ゴジラが青い花と…ってその花って!?』
「ええ、私もまさかと思っていたけど……その青い花は………アクア・カレン……かれんちゃんじゃないかって思うの…」
亜美の意見に未希も同感としていたが、二人共暫く何も言わずに硬直していた。
『亜美、悪いんだけど、白神研究所に行ってかれんを確かめてくれない?』
「…分かったわ。
只、明日…既に今日だけど、昼過ぎまで私は外せない打ち合わせがあるから、それ以降になら…」
『ありがとう、私も直ぐ帰国するから』
「帰国って未希ちゃん、貴女は確か研修を兼ねた長期間の調査をしているんじゃ?」
重大な事である事は分かっていたが、未希の帰国する事に亜美は驚いていた。
『』
「でもそれだと、あまり長くはこっちにはいられないわね」
『ええ、でもそうも言ってられないわ』
一様が付くが、取り敢えず帰国出来るが、それが短期間であった為に亜美は複雑そうにしていた。
『それじゃあ、また近い内に…』
「ええ、待っているわよ」
未希との電話を終えた亜美は、気を取り直して眠りに着こうと自室に引き上げていった。
最も自覚はしていたが、暫く寝つけないでいた…
感想・ご意見お待ちしています。
さぁ、此の作品の原作の片割れは”ハートキャッチプリキュア“である事を忘れてしまいそうな影の薄さでしたが(オイ!!)、次回はそれらしい事をします。