ゴジラvsビオランテ F・battle   作:サイレント・レイ

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第16話 捜査

――― 白神研究所 ―――

 

 

 ブロッサム(つぼみ)達が半壊した白神研究所に到着してから図々しい時間後、未希の通報で研究所は警察官と検察官で溢れていた。

 そして当たり前の事であるが、現場検証の為の調査と写真撮影が研究所の至る所で行われていた。

 

「おうおう、酷いもんだな」

 

「まったくその通りです」

 

 只、その中に未希とは別の自衛官……それも佐官が二人もいて、研究所の入口近くに並べられた担架に載せられていた遺体の一つ一つをカバー捲って確認した後、合掌して簡単に念仏を上げた。

 

「オイ、仏さんは此れ等で全部か?」

 

「…あ、はい!

一部は検死を行う為に運び出しています」

 

「それじゃ、今頃は千夏も頑張っているだろうな。

呼び止めてすまんな」

 

 偶々近くを通った警察官の一人を呼び止めていたが、何で自衛官達……権藤吾朗と結城晃が此所にいるのにはちゃんとした理由が有った。

 その一つが、明らかに普通ではない壊され方の研究所と大量の遺体に疑問を感じた警察から此の調査に最悪の場合、自衛隊に協力要請か引き継ぎの必要性が有るのか無いのかを見極める為に二人が呼ばれてきたのだった。

 特に権藤の場合、今回の検死解剖に彼の妹・権藤千夏が参加している事もあって、本来東京の部隊に所存している彼が同僚兼親友の結城と共に選ばれたのだ。

 勿論、検死から何かが分かり次第、千夏から直接連絡が入る予定であった。

 

「しかし、報告で聞いていたが……コイツは何とも言えんな」

 

「ああ、一部は銃器や爆破物のモノだと分かりますが、大半のは何なんだ?」

 

 権藤と結城は研究所内を歩きながら壊され方に疑問を感じていた。

 

「此れだと千夏も大変でしょうね」

 

「……千夏が気になるのか?」

 

「否、そう言う訳じゃあ…」

 

 権藤の質問に結城が慌てていたが、直ぐ権藤が豪快に笑った。

 

「…心配するな。

お前達の事に俺はなにも言わんよ」

 

「…権藤さん!!」

 

 実際、結城は千夏とそれなりの付き合いをしていたから、権藤に笑いのネタにされていた。

 只、こんな状況下で冗談を言って笑っていられる権藤には流石と言うしかなかった……なにせ、周囲の警察官達がギョッとしていたのだから…

 で、そうこうしている間に権藤と結城は目的地である客間に到着して扉を開けた。

 

「…此所か。

発見者達がいるのは」

 

 そして客間に未希と亜美、更に脱出しそびれたつぼみ達と人形のフリをしているシプレ達がいた。

 因みにつぼみ達は警察が到着する前に亜美の提案で変身を解除していたが、その亜美は解除時に何故か笑っていた上、頼んでもないのに未希を言いくるめてくれた。

 で話を戻して、入室した権藤と結城に未希は立ち上がって敬礼し、亜美も少し遅れて立ち上がって一礼した。

 

「…君は……確かアメリカに長期研修をしていた者だったな」

 

「はい!」

 

「何でそんな者が精神科学開発センターの職員と此所にいたのだ?」

 

「私が此所での異変を察して親友である精神科学開発センターの職員と共にオトズレタのです」

 

「まぁ、俺達は君の直接の上官でないから此の場で此れ以上は聞かんが、それよりもその娘達はどうしてなんだ?」

 

 取り敢えず権藤の追及を逃れた未希だったが、つぼみ達の事で思わず亜美と目線を合わせた。

 

「…どうした?」

 

「……此の娘達は…」

 

 事前に亜美との打ち合わせ通りに、つぼみ達を精神科学開発センターの所属者で自分達が連れてきてしまったと話を着けようとしたが…

 

「…その娘達の事は私が説明します」

 

…未希が言う前に権藤と結城の後ろに現れた刑事と思われる短髪の温和そうな……色黒の為か、何故か狸を連想させる女性が発言した。

 

「…君は?」

 

「申し遅れました。

私は此所の一件を担当している刑事の日向咲です」

 

「随分若い刑事さんだな。

新人か?」

 

「はい!」

 

「…で、その紙袋とパンは?」

 

「あ、すみません。

昼食中でしたので……一つどうです?」

 

「……ねぇ、此れって不味くない?」

 

 女刑事・日向咲はチョココロネを食べながら敬礼して権藤と結城に名乗っていたが、予想外の出来事に未希と亜美は目線を合わせ、えりか達三人は小声で話し合っていた。

 

「では何故あの娘達は此所に?」

 

「此の娘達は此の研究所の主である白神博士の知人でして、博士から頼まれた物を取りに来て此の現状に出くわしてしまったんです」

 

「…本当ですか?」

 

「はい、私から既に筑波にいる博士の助手の雪城ほのか女史を通して確認を取っています」

 

 咲に権藤と結城が少々質問を続けていたが、大方は納得している様であった。

 

「…どう言う事なの?」

 

 只、当のつぼみ達三人は驚いていた。

 

「雪城ほのかって、確か博士を迎えにきたあの女性科学者でしたよね?」

 

「……ああ、あの人だったね。

確かあの黒髪の綺麗な人…」

 

 いつきがほのかを思い出して溜め息を吐いて、つぼみとえりかから冷たい目線を向けられていたが、シプレとコフレが咲の上着のポケットから何かが出たのに気づいた。

 

「…っ! なに出てきてるの!?」

 

 だが直ぐ咲が気づいて慌てて奥に突っ込んだ。

 

「…どうした?」

 

「あっ、いえ…携帯が鳴ったかなぁ~て思いましたので…」

 

「「……?」」

 

 そんな咲の行動に結城が怪しんだ為、咲が笑って誤魔化そうとしていたが、シプレとコフレは気づかれない様に目線を合わせて嬉しそうにしていた。

 

「…それより研究所内でこんな拳銃と弾が多数見つかりましたがどう思います?」

 

 咲が上着のポケットから差し出したビニール袋に入った拳銃を、権藤は彼女に許可を取って袋から拳銃を取り出して確認し、結城もそれを覗き込んだ。

 

「……権藤さん、やはりコイツは…」

 

「ああ、コイツは人民解放軍の制式銃だな」

 

「やっぱりそうですか…」

 

 拳銃に咲達三人は渋い顔付きになった。

 

「…ねぇ、人民解放軍って?」

 

「中国か北朝鮮の陸軍よ。

まぁ、今回のは大方中国だと思うけどね」

 

 えりかの疑問に未希が答えたが、その返事にえりか達三人が驚いていた。

 実は研究所の内部や周囲の被害者達は警察の持ち物調査の結果、中国の情報部に所属する者達である可能性が高いと出た為、少しややこしくしていた。

 しかもアメリカ軍の制式銃の物と思われる弾も極少数確認された事もあって、前述のを含めて警察は自分達の手に余ると判断して、自衛隊だけでなくアメリカにも協力を要請していた。

 だがなにより此の一件を気づいているのかは分からないが、中国が何もアクションを取らない事が不気味に思われていた。

 

「…で、コイツ等は此所で何をやっていたのだ?」

 

「遺体の所持物から彼等はゴジラとアクア・カレンの関連資料を狙ったみたいです」

 

「……アクア…カレン?」

 

「青い薔薇ですよ」

 

「ああ、アレか……だが何故奴等は薔薇なんかを?」

 

 権藤達三人はアクア・カレンが狙われた事に首を傾げ、つぼみ達は目線を合わせていたが、その直後に権藤の携帯が鳴った為に確認したら発信者は妹の千夏であった。

 

「…もしもし千夏か?」

 

『もしもし兄さん』

 

「大体要件は分かるが、検死結果が分かったのか?」

 

『ええ、そうよ…』

 

 携帯から検死結果を伝えられた権藤は、千夏に礼を言って電話を切った。

 

「……検死の結果、遺体の死因は全身骨折や衝撃によるモノだが、どれも人間の力技で出来ないそうだ。

しかも気になる事に、遺体の全てから薔薇の刺らしき物が確認出来たらしい」

 

「「…薔薇の刺!?……っ!」」

 

 権藤の報告…特に“薔薇の刺”につぼみと未希が反応して立ち上がったが、見事に揃った言動に驚きながら目線を合わせた後、つぼみが顔を赤くして座った。

 只、権藤達はそんな二人に冷たい目線を向けていた。

 

「…失礼ですが、もしかしてその薔薇の刺はアクア・カレンの物では?」

 

「アクア・カレン?」

 

「おいおい、じゃあ犯人は薔薇だと言うのか?」

 

「ですが、少なくとも此の事件にアクア・カレンに何らかの関連はあります。

現に巨大な薔薇の蔦回収されている上、その肝心のアクア・カレンが行方不明です」

 

 未希の意見に権藤と結城は否定的であったが、咲は未希をフォローした。

 

「ねぇ、つぼみ、私達が小田原城で見たアレってまさか…」

 

「……やっぱり、かれんさんのだと思います」

 

「つぼみ、君はそれが何となく察したから此所に向かったんだね?」

 

「…確証は無かったんのですけど、あの蔦に触ったら何故かかれんさんを感じたのです」

 

 つぼみ達三人の小声での会話を亜美と未希が気付かれない様に聞き耳を立てていた。

 

「…兎に角、その薔薇を見付ける事が第一だな」

 

「幸い……と言うべきかは分かりませんが、被害者達はアクア・カレンの本体を持ち出してはいなさそうですから…」

 

「…まだ近くにある筈だな」

 

 結城の言葉に咲が頷いた。

 

「既に筑波の白神博士に聞き取りを行いながら呼び出しています。

更に回収された蔦も研究機関に分析を依頼しています」

 

 咲が権藤と結城に説明をしていたら、その咲の所に警察官がやって来た。

 

「日向刑事、本部から報告です。

此の一件を正式に自衛隊へ協力要請を出す事が決まりました」

 

 伝令の警察官からの報告に権藤達は“やっぱりな”と顔に出していた。

 だがその直後、携帯が鳴って対応した結城が突然驚いた表情をした。

 

「どうした、結城?」

 

「……権藤さん、麻生司令から直ぐに東京に戻れとの連絡です」

 

「何、戻れ!?」

 

 結城の言葉に権藤が思わず怒鳴った。

 

「どう言う事だ!?

何故、急に戻らんといかんのだ!?」

 

「それが、理由が全く伝えられませんでした」

 

 突然の帰還命令に加えて、質問が許されなかった事に権藤が怪しんだ。

 

「只、東京処か、関東沿岸部への警戒令が発令されるかもしれないそうなのです」

 

「…警戒令だと!?」

 

 関東沿岸部への警戒令……どう考えてもあるモノを連想して、此の場にいる者達全員が一瞬言葉を失った。

 

「…兎に角、我々は一旦引き上げましょう……三枝、正式な命令だ。

君は此所に残れ」

 

 結城からの命令を受け取った未希は姿勢を正して了解の敬礼をした。

 

「権藤さん、行きましょう」

 

「ああ、それにしても今此の国で何が起こっている?」

 

 立ち去ろうとした権藤が誰にも答えられない疑問を口にした。

 だが…

 

「…日向刑事、日向刑事!!

直ぐに御越し下さい!」

 

…別の警察官が咲の所に駆け寄ってきた。

 

「…どうしたの?」

 

 なにかただ事ではないのを察して権藤と結城も一旦立ち止まった。

 

「…硝子ハウスのアクア・カレンが設置されていたと思われる場所に、何かが地中を通過したと思われる穴がありました!」

 

「…穴? そこから犯人グループとは別の誰かが此所に侵入したと言う事なの?」

 

「いえ、まだそこまでは分かりませんが、現場周辺を探索していた別動班からその穴の続きと思われる物も発見されています」

 

「…で、それは何所に繋がっているの?」

 

「芦ノ湖です。 進路上から見て、芦ノ湖に繋がっていると思われます。

既に本部は芦ノ湖に捜索隊を向かわせました」

 

 咲が何かを言おうとしたが、更に別の警察官が彼女の所にやって来た。

 

「日向刑事、大変です!

芦ノ湖にとんでもない事が!」

 

「…っ!」

 

「ちょっ、つぼみ!!」

 

 つぼみが立ち上がって出ていこうとしたが、直ぐに未希に捕まれた。

 

「何所に行くつもりなの?」

 

「芦ノ湖に行かせて下さい!」

 

 未希は亜美と目線を合わせた。

 

「私も行くわ。

それで良いでしょう、刑事さん?」

 

「良いですよ」

 

 未希の提案に咲は頷いて了解した。

 

「ですが日向刑事、まだ取り調べが…」

 

「此の人達は白よ。

私から警部に話を着けておくから」

 

「……は、はぁ…」

 

「…それじゃ、行こう」

 

 警察官を一様納得させた咲はつぼみと未希、そして目線を合わせた後に頷いたえりか達を引き連れて退室した。

 

「…あのぉ~…刑事さん、そのチョココロネ、一つ貰って良いですか?」

 

「……良いよ」

 

……えりか……お前な…

 





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