ゴジラvsビオランテ F・battle 作:サイレント・レイ
――― 希望ヶ花 ―――
学生達には楽しい夏休み期間中である八月の初頭のとある雨の日に、ゆりは希望ヶ花の花屋・フラワーSHOP・HANASAKIを訪れていた。
「……すみません…」
「…あ、ゆり!」
「……ももか」
店先に誰もいなかったので呼び出していたゆりに隣りのファッション店・フェアリーショップから此の店の娘でゆりの親友の来海ももかが彼女に気付いてやって来た。
「今日はいたの」
「そう、やっと私にも夏休みが来たんだけど…」
「…急な仕事が入ったの?」
「そうなの!! 仕事中身の美希ちゃんがアメリカのファッションショーに抜擢されちゃったの!」
「あの蒼乃美希が?」
「うん、だから四葉町で行われるファッションショーに私が代わりに出る事になったの!」
…そこ!! 此は栄転なのだから“左遷”とか“島流し”とか言わない!
「折角のオフ日が無くなったのはまだ我慢出来るけど、美希ちゃんに海外出演を先越されちゃったよう……それに美希ちゃん、親友達と結成しているダンスユニット・クローバーでニューヨークのダンス世界大会に出るらしいし…」
ももかがゆりに愚痴を零し始めようとした時に店から主の一人である女性・花咲みずきが実に良い時に現れた。
ゆりがみずきに花束を…やたら細かく注文して準備をして貰っている間にももかがゆりが制服でいる事に気付いた。
「ゆり、今日は夏期講習は休みの筈じゃなかった?」
その美形の容姿にふさわしくモデルをやっているももかはその性で出席日数が足りず、学力は学年トップのゆりの手助けもあって何とかなっているが基本的に講習や補習の常連になっていた。
此は彼女の妹も別の意味(こっちは悪い方で)でもそうであったのだから、人によっては姉妹揃って情けないと言われてもしょうがなかった。
因みにその妹は現在此の花屋の一人娘と一緒に鎌倉に行っていた。
「いえ、今から出かけるから…」
「出かけるって制服で……あっ!
今日はあの日だから……芦ノ湖に?」
「ええ、そうよ」
肯定した直後にみずきが完成した花束を持って来て、注文通りに完成したいるのをゆりは確認した。
「それじゃ電車の時間だから」
「うん、行ってらっしゃい!」
花束の料金を支払いながらももかに別れを告げたゆりは駅の方に歩いて行った。
只、みずきは状況を理解出来なかったので、ももかに尋ねていた。
「ももかちゃん、芦ノ湖で一体何があるの?」
「私も詳しくは分からないんだけど、何でも何年か前の今日ゆりの親友でもあった先輩が亡くなったらしいのよ」
「ああ、と言う事は御墓参りなのね」
みずきにももかが頷いた直後、遠くの方から大勢の人々が何かを一斉に叫んでいた。
「…呆れた……こんな雨の日にも反対運動をやってるなんて…」
「もうすぐ希望ヶ花原発が稼働するからね…」
ももかとみずきが言う希望ヶ花原発とは昨年吸収合併した隣り街が誘致して建設を進めていたのを此の街が引き継いで間も無く完成間近の日本最大規模の原子力発電所である。
しかも先日に全ての原子炉へ核燃料を注入し終えた事もあって稼働反対運動に熱が籠っていた。
まぁ、此にはゴジラが東京襲撃前に破壊した井浜原発の代替としての期待もあって電力会社が市議会と共に建設と稼働を強行した事もあった。
只、此の原発が後の近い未来に希望ヶ花に周辺の街々を巻き込んで災難をもたらす事になるのだが……当然ながらその様な事など現時点では誰も分かる筈がなかった……そう、誰にも…
――― 芦ノ湖 ―――
ゆりが芦ノ湖に向った翌日、ももかの妹(不肖の…てチョット!!:by本人)の来海えりかは親友の明堂院いつきと花咲つぼみと共に同伴者であるつぼみの祖母・花咲薫子の私用で芦ノ湖の近くに存在するとある場所を目指して電車とバスを乗り継いで現在は徒歩で何時まで続くか分からない山道を移動していた。
「…つぼみぃ~……いつきぃ~……少し休もうよぉ~」
他の三人がまだ息すら乱していないのに、えりかだけはへばって少し後ろにいた。
「全く鎌倉でもそうでしたが、えりかは本当にだらしがないです!」
そんなえりかの前に何か白い兎のような生物……彼女のパートナーの妖精であるコフレが額をペチペチ叩いていた。
しかもその横でコフレにそっくりな……つぼみのパートナーの妖精であるシプレが“同感”と頷いていた。
因みにそっくりな二“人(?)”の見分け方は首と頭のアクセサリーが桃色で髪(?)が立っているのがシプレで二つのアクセサリーが青色で髪が垂れているのがコフレである。
「だったらさぁ~…引っ張って行ってよぉ~…」
…全く反省の色を出さないえりかはコフレと巻き込まれる形でシプレのハート型の尻尾を掴んだ。
自分達の数十倍重い(失礼)えりかが引っ張っているのだから、当然シプレとコフレは痛そうにもがいていた。
「えりか、駄目ですよ」
「そうだよ、怠けていないでしっかり進もうよ」
「でしゅ!」
当然ながらそんなえりかにいつきと彼女のパートナーの妖精・ポプリにつぼみから注意された。
「…え~…だってぇ~…」
……えりか、少しは反省しろ…
「しかしえりかじゃないけど何時まであるのかな?」
「お祖母ちゃ~ん、まだ着かないの?」
いつきに同意見のつぼみが先頭を行く薫子に問い掛けた。
「大丈夫よみんな、もう目的地は見えたから」
薫子が示した先にまだ一部ではあったが、確かに何かの建物が存在していた。
因みに嘗て二つの最強の称号を持っていた薫子は遥かに若いつぼみ達が多少差があったがへばる程の山道を、それも彼女達より重い荷物を持っているにも拘らず汗を掻く処か息すら乱していなかった。
「あの建物が薫子さんの用事がある所なんですか?」
「何なのですかアレ?
こんな所にいるなんてどうかしているんじゃないですか?」
「えりか!!」
「痛い! !痛いコフレ」
完全に失礼な事を言ったえりかにコフレが頭突きをしてポカポカ頭を叩いていた。
「まあ、えりかちゃんの言うのも最もかもしれないけどね」
そんなえりかを薫子は笑って許した。
「…ん?……んんん!!!」
「…つぼみ?」
「どうしたの、つぼみ?」
薫子が何かを言おうとしたが、建物から何かを見付けたつぼみがポケットに入れていた眼鏡を掛けて妙な声を上げた為、えりかといつきが驚いた。
「……お祖母ちゃん、あの建物にあるあの青い花は!?」
まだハッキリ見えていなのにも関わらず、しかも余り視力が良くない筈なのに弩が付く程の花好きのつぼみは建物の一角の硝子張りのハウスに咲き誇っている青い花に気付いて鼻息を荒く興奮した。
此れにはえりかといつき処かシプレ達も呆れていた。
只、薫子だけは笑っていた。
「アレは世界唯一の青い薔薇よ」
「おおぉーー!!!」
漫画みたいに目を輝かせたつぼみは何所ぞの龍神を思わせる大声を出した。
「…あれ? 青い薔薇の花があるのは…確か……白神研究所だった筈じゃ?」
“青い薔薇”の単語にいつきは何かを思い出した。
「そうよ、いつきちゃん。
あそこが白神研究所よ」
「…っ! 何で薫子さんが白神研究所に!?」
薫子の返事にいつきは隣の興味無さげなえりかに反して驚いた。
で最後の一人は…
「お祖母ちゃん! えりか! いつき!
早く行きましょう!!」
…何時の間にかに薫子を抜いて先頭に立っていたつぼみに呆れるのを通り越して笑い出したえりか達に当人は戸惑っていた。
――― 白神研究所 ―――
『…間も無く慰霊祭が行われようとしています』
此の時、研究所の主は夢を見ていた。
そして夢の先は爆弾テロがあって阿鼻叫喚が聞こえる都市部であった。
自身は引き止めようとしている助手や同僚達を振り切って爆心地に向かっていた。
そして地獄絵図と化していたその場所で必死に叫びながら探していたら……視界に目的の少女がうつ伏せに倒れているのが映った。
主が駆け寄って抱き上げた少女の手に頼んでいた薔薇の種が多数入った紙袋が握られていた…
『…そちらはどうですか?』
目を覚ました時、主はテレビを点けたまま寝ていたのに気付いた。
『…御覧ください。
今年も参加者の数が大幅に更新されました』
画面に映っている赤い短髪が先ず目に行く女性アナウンサーの言う通りなのだろう、切り替わった画面の先には凄まじい数の人々がいた。
『やはり今年もゴジラ災害の慰霊祭はかなりのものになると思います』
『霧生満アナ、有難う御座います。
引き続き何かありましたら御願いします』
“ぬーぼー”と言う状態でいた主はそのままテレビを見続けようとしていたが…
「…御免下さい」
…来訪者に気付いてテレビを消して出迎えに行った。
「…御久し振りね、白神君」
「ああ、誰かと思ったら薫子さんか。
そちらのお嬢さん達は?」
「私の孫娘とその親友達よ」
「「「御邪魔します」」」
研究所の主である白神源壱朗は快く薫子達を招き入れた。
そして此の白神との出会いがつぼみ達の最も長い八月の始まりであった。
感想・御意見尾お待ちしています。
此の作品は“ハートキャッチプリキュア!”の27話と28話(えりか回)の間の出来事としています。
後、“フレッシュ”の美希の名前と”スプラッシュスター(SS)”の霧生満をニュースキャスターとして出しましたが、予定では”ハピネスチャージ”迄(GOプリンセス以降のは多分無理)の公式プリキュアにもメルモちゃんのキャンディー(激古と言うな!)を支給させてエキストラ出演をさせますので出来ればその辺もお楽しみ下さい。