ゴジラvsビオランテ F・battle 作:サイレント・レイ
――― 白神研究所 ―――
白神研究所に到着したつぼみ達一行は研究所の主・白神源壱朗に招かれて取り敢えず居間で休んでいた。
「あ~…ちかれた…」
…休むを通り越してだらけて突っ伏していたえりかがコフレとシプレにジト目で見られていた……ポプリは妖精専用の飲み物・キュアフルミックスを美味しそうに飲んでいた。
因みにコフレ達は研究所に到着した時は夫々のパートナーの鞄の中に隠れていたが、白神が退室したので出てきたのだ。
でその間に他の三人は部屋の至る所に存在している資料を見ていた。
「…凄いです。 どの花も有名な物ばかりです」
「うん、此れ等の品種開発に白神博士が関わっていたんだ」
つぼみといつきは特にゲージに入れられて飾られている花々に圧倒されていた。
「しかも博士と一緒に写っている学者達も全員有名な人達ばかりだ」
更にいつきは写真の中で白神と一緒にいる人達に驚いていた。
「でも薫子さん、何で世界的権威の白神博士と知り合いでいられたのですか?」
つぼみとえりか(多分)も聞き立てていた通り、いつきの疑問は最もであった。
「白神君とは大学の同期であった上に同じ研究室にいたから親しくして貰っているのよ。
それに彼には私と空さんの仲人を勤めて貰ったしね」
「博士に仲人を勤めて貰ったのですか!?」
「ええ、私も此処までとは思わなかったけど研究所時代から凄い才能を持っていたわ。
此れ等だけでなく育成促進微生物を多数作り出して世界最高峰のフランスの研究所に招かれた程だからね」
いつきだけでなくつぼみも薫子の話を聞いていたが、えりかが部屋の片隅に飾られている一つだけ雰囲気が違う写真を見付けた。
「…ねぇ、此れって博士の家族かな?」
えりかの肩の上でコフレが相変わらずの目線であったが、彼女の所につぼみ達が集まった。
「本当だ。 えりかの言う通り博士の息子か娘さんの夫婦かな?」
「…ああ、此れは水無月家に嫁いだ白神君の娘さん家族との写真ね」
「じゃあ、此の前にいる子は御孫さんかな?」
「ええ、そうよ。
此の子の名前はかれんと言う名前だったわね」
幸せそうにしている白神達の前にいる少女・かれんにつぼみが目を向けていると…
「……あれ、此の人は…」
「…シプレ?」
…何時の間につぼみの肩にいたシプレがかれんに反応した。
「ねぇコフレ」
「あっ! 此の人は!」
「…でしゅ?」
シプレに続いてコフレも反応したが、まだ生まれて間もないポプリは首を傾げた。
「シプレ、此の人に何かあるのですか?」
「此の人は……っ!?」
つぼみの質問にシプレが答えようとしたが近付いて来ている白神の気配に気付いて打ち止めになった。
勿論、コフレとポプリも気付いて人形の振りをした直後に紅茶と茶菓子を持った白神が入って来た。
「待たせてすまないな。
少し浄水器の調子が悪かった性で花の水遣りで遅くなってしまったよ」
「良いのよ白神君」
白神が持ってきた紅茶等が乗った盆を受け取った薫子がそれ等をテーブルに並べた。
「悪いが男独り身の上にこんな場所だから安物しか用意出来なかった」
「いえいえ、そんな事はないわよ」
つぼみ達が着席して自己紹介が始まった。
「改めて私は薫子さんの親友の白神源壱朗だ」
「おばあちゃんの孫の花咲つぼみです」
「つぼみの親友の明堂院いつきです博士」
「…つぼみの“大”親友の来海えりかです!」
何を思ったのか、いつきに対抗して“大”の部分をえらく強調したえりかだったが、そのえりかの名に白神が反応した。
「…えりか?……君の名前はえりかなのか!?」
「え!? ええ、はい…」
白神の反応にえりかが思わず押されていた。
「白神君!」
「…あ、否すまんな。
実は私の一人娘の名前と一緒だったんでね」
「ああ、あの写真の人ですね」
写真を指し示したいつきに白神が頷いた。
「…ん? えりか……水無月…英理加って!
あの夫婦揃って世界的演奏家だったあのヴァイオリニスト水無月英理加は博士の娘だったのですか!?」
「ほぉ、君みたいな子でもまだ英理加を知っていたか」
いつきの驚きながらの言葉に白神は笑いながら頷いた。
只、いつき同様に驚いているつぼみは兎も角、えりかは無反応で余り興味無さそうだった……コイツは…
「…で私とは別の英理加は今何所に?」
調子に乗ったえりかが普通どう考えたらタブーと思われる事を言った為、いつきとつぼみがギョッとした。
只、そんなえりかでも白神が寂しそうな表情をしたらその事に要約気付いた。
「あ~と、え~と……すみません」
「否、良いんだよ………うん?」
えりかの謝罪を受けた白神がテーブルの上で人形のフリをしているシプレ達に気付き、ジッと見詰められた為にシプレ達だけでなくつぼみ達迄が見えない所から汗を流していた。
只、薫子だけは微笑んでいた。
「……そ…それ等は私が作った人形ですけど、どうですか?」
えりかが何とか誤魔化そうとしたが…
「…成る程、私が知るのは栗鼠みたいなのだったが今のプリキュアの妖精は兎に似たのなんだな」
…白神のシプレの額を突つきながらの発言につぼみ達が驚いて一斉に立ち上がった。
「……は…博士、一体何を言っているのですか!?」
「そう驚く事はないだろう。
君達三人娘が今活躍しているプリキュアである事も分かっているよ」
白神から更なる追い打ちを受けたつぼみ達が後ろに下がった。
「…っ! ちょっと待って下さい!
博士は僕が女性である事も分かったのですか!?」
いつきは実家の道場の本来の後継者である兄さつきが病弱の為、代わりに彼女が後継者になる為に私情を殺して普段から男装していた。
此の為、つぼみの様に知らずにいつきに恋心を抱いて真実を知ってショックの為に後日寝込む者が多数いた。
だが完成度の高い男装をするいつきを白神は女性である事を見抜いていた。
「ああ、君の腰はスラッとしている男性のではなく、女性の膨らんだものであるから直ぐに分かったよ」
白神の指摘にいつきが思わず自身の腰を押さえ、ていた。
そして三人揃って薫子の方に一斉に振り向いたが…
「別に薫子さんは私に話したりしていないよ。
まあ、薫子さんが昔プリキュアであった事は報せてはくれたけどね」
…つぼみ達の考えを察した白神が笑って否定した。
「簡単な事だよ。
私の身内にプリキュアがいたからだよ」
「……博士の身内に…」
「…プリキュアがいた?」
「…誰が……ってまさか!」
つぼみに続いてえりかといつきも先程シプレ達が気にしていた人物に思い当たって…
「「「ああーー!!!」」」
…一斉に写真のかれんを指差した。
「かれんさんはプリキュアだったんですか!?」
「ああ、アレは一様隠しているみたいだったが……不器用な性格だったから簡単に分かったよ」
白神が笑って更に薫子が吊られて笑ったが、何だか引っ掛かる事があったつぼみ達は表情が引き釣っていた。
「薫子さん、
此の際つぼみ君達をかれんに合わせても良いかな?」
「ええ、それは良いわね」
白神と薫子の言葉につぼみ達が思わず目線を合わせた。
「此の研究所にかれんさんがいるのですか!?」
「ああ、いるよ。
今から特別に会わせて上げるから付いて来たまえ」
驚きと期待が入り交じった表情をしたつぼみ達は白神の提案を受け入れて彼の後に続いた。
「……どうしたの、いつき?」
「博士に家族のがまだいるのかと思ってね」
「……そう言えば…そうですね…」
「いげばわがんじゃない(訳:行けば分かるんじゃない)?」
「……えりか…」
行く間際にえりかが茶菓子を栗鼠みたいに方張っていた性でつぼみ達から冷たい目で見られていた。
ーーー 同・植物ハウス ーーー
「…此の場所は!?」
「つぼみ、どうしたの?」
移動中につぼみが自分達が向かう先に何かに感付いた。
そして…
「…かれん、お客が来たぞ」
…その場所に硝子ハウスの中に一杯咲いている青い薔薇が存在していた。
「おおー!!」
「…す……凄く綺麗…」
青い薔薇の美しさにつぼみ達が見とれた。
「…でも博士、かれんさんは何処?」
我に帰れば此の場に自分達しかいない事からえりかの疑問はそうなのだが……ちょっとねぇ…
「此の薔薇…アクア・カレンが彼女だよ」
「…はい?」
白神の言葉をえりかは理解出来ないでいた。
「アクア・カレンはね、白神君が亡くなったかれんちゃんの細胞を薔薇に交ぜて作った物なのよ」
「作ったと言ってもまだ未完成だがね」
薫子の説明に白神が苦笑してつぼみ達が驚いた。
だがよく見たら硝子ハウスの手前に置かれたテーブルに遺影と思われる居間の物より成長した姿かれんの写真を中心にアルバムと花束に葡萄ジュース入りのデカイ瓶、後携帯電話みたいな物が置かれていた。
「まあ、アクア・カレンが青い薔薇として出来たのは偶然だが、此の薔薇にはかれんの心が宿っている筈だ」
「それはこころの花を守るプリキュアである僕達も信じたいです」
「博士、かれんさんと会話をして良いですか?」
「ああ、勿論」
つぼみの願いを白神は快く了承した。
つぼみがアクア・カレンに近寄っている間、いつきとえりかはアルバムを手に取って見ていた。
「こんにちは、かれんさん。
私はプリキュアの後輩である花咲つぼみです」
アクア・カレンに挨拶したつぼみは見詰めていた。
「本当に綺麗です……かれんさんに相応しい位です」
(…おだてても何も出来ないわよ)
「…っ!」
不意につぼみ耳に照れた女性の声が聞こえた。
(貴女達が新しいプリキュアなのね。
本当に聞いた通り何処か私の身内の一人に似ているわね)
「…博士! 私、かれんさんの声が聞けました!!」
「本当か?」
「はい、照れた様な感じでした」
当初は疑っている様であった白神だが、つぼみの様子から間違いないと思った様だった。
「そうか、本当にそうか」
「はい! 此の薔薇に間違いなくかれんさんの心が入っています!」
つぼみの興奮した声に白神が驚きと嬉しさが交ざった表情をした。
「…そうか……君にもかれんの声が聞こえるのだね」
「…きみ“にも”って私以外にかれんさんの声を聞く事が出来る人がいるのですか?」
「ああ、かれんの親友で…」
「ああーー!!!」
白神が誰なのかを言おうとしたが、突然のえりかの叫びに遮られた。
だがよく見たら叫んだえりか何処か、シプレとコフレ迄驚いていたが、いつきとポプリはキョトンとしていた。
「えりか、どうしたの?」
「つぼみ、此れ、此の写真見てよ!」
えりかが示したアルバムの写真の一人つにかれんが誰かと仲良く肩を並べて写っていたが…
「あ! 此の人って!」
「そうだよ、ゆりさんだよ!
ゆりさんがかれんさんと一緒に写っているよ!!」
…その人物は現在より幼いゆりが写っていた。
しかもかれんとゆりが一緒の物はがその写真以外にも合ったのだから完全に偶然とは言えなかった。
「ほぉ、君達はゆり君を知っているのか。
そう言えばゆり君は君達と同じ希望ヶ花に住んでいたな」
「博士、もしかしてかれんさんのの声が聞ける人って…」
「ああ、ゆり君だよ」
「…それでかれんさんは私を知っていたんだ……そう言えば此の花束の包み…よく見たら私の所の物だ!」
「…ゆりちゃんとかれんちゃんは親友だったの?
そう言えば確か助手で隠居した貴方の研究を引き継いだのがゆりちゃんのお父さんだったけどそれと関係があるの?」
流石に薫子はかれんがゆりと関係がある程度事迄は知らなかった様だった。
「否、それは関係が無い。
あの二人は精神科学開発センターの先輩後輩であってね。
どうもお互い人見知りの性分だったから馬が合ったみたいだったから親しくなったらしい。
まぁ、その為にゆり君が毎年かれんの命日に来てくれるのだからね」
「精神科学開発センターって確かゴジラへの備えで作られた組織ですよね?」
「ああ…」
「……?」
いつきの質問に白神が頷いたが、何故か“ゴジラ”の単語を聞いたら悲しそうな表情をした。
そしてえりかが何かに気付いた。
「ちょっと待って下さい!
博士、もしかして此所にゆりさんもいるのですか!?」
えりかの指摘につぼみも“あっ!”となったが…
「残念だがゆり君はもういないぞ」
「ゆりちゃんもう帰っちゃったの?」
ゆりがいないと聞いてつぼみとえりかが複雑そうにしていたが、薫子は何か疑問を感じた。
「…ゆり君宛に精神科学開発センターから連絡があって、血相を変えて今朝早くに迎えの車に飛び乗って行ったんだ」
「…精神科学開発センターから……まさか!!」
白神の話を聞いた薫子は何かに思い当たって表情が変わった。
「…つぼみ、ちょっと急用が出来たから暫くしたら地元のホテルに戻ってくれない?」
「良いけどお祖母ちゃんは何所に?」
「…私は……伊豆大島の三原山に行ってくる」
「三原山!? 薫子さん、あそこは…」
薫子が何をしに行こうとしているのかを白神だけが察していた。
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