ゴジラvsビオランテ F・battle   作:サイレント・レイ

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第4話 ゆり三原山へ

ーーー 精神科学開発センター ーーー

 

 

 此の時、ゆりは精神科学開発センターに到着しようとしていた。

 そして到着して車から降りたゆりを白衣を纏った短髪の女性が出迎えた。

 

「来たわね、ゆりちゃん。

元気そうで何よりね」

 

「…お久し振りです、水野先生」

 

 ゆりは恩師である水野亜美に頭を下げなから挨拶をした。

 

「…でも感動なんかしている場合じゃないわね」

 

「はい」

 

 ゆりと亜美は早歩きでセンターの中に入って行った。

 

「それより御免ね。

折角かれんちゃんの所にいたのに呼び出して…」

 

「…水野先生、その事は余り気にしていません。

それで電話にあった事は?」

 

「……その事はね…」

 

 亜美の表情が曇った。

 

「…今迄何とも無かったのだけど、此の月に入って一人出たと思ったら日が経つに度に次々に増えていって…」

 

「…昨日、遂にみんなが同じ夢を見たのですね?」

 

「…そうよ。 ゆりちゃん、貴女は?」

 

「私も今月に入ってから見初めて、日が経つ度に鮮明なものになっています」

 

 実を言うと此の精神科学開発センターは一言で言ったらサイキッカー育成機関と言う半ばオカルト染みた組織で人によっては正気を疑う様な組織であった。

 最も此の組織は日本政府が危惧するある事への備えの一つとして国のバックアップで運営される一様まともなものであった。

 しかも精神科学開発センターは度々名前を変えていたが、創設されてから半世紀以上も経過している歴史ある組織であった。

 だがどうもその恐れる事が現実になろうとしていた。

 そしてゆりと亜美が目的の部屋の前で自衛隊の…それも見るからに高官に見える男性が携帯片手に従兵と思われる者達と何かのやり取りをしていた。

 

「…そうか、スーパーX2は大丈夫なんだな……分かった、任せた………ん?」

 

 高官はゆりと亜美に気付いて敬礼した。

 

「…水野先生、此の人は?」

 

「紹介するわ、此の人は…」

 

「…統幕議長の黒木陸将です。

すみませんが本来此の担当の部署の者達が別の所に出向いてますので、代わりに私が来たので」

 

 亜美が言う前に黒木が自分から名乗り出た。

 その黒木にゆりが驚いていたが、代理であれ統幕議長…自衛隊の陸海空三軍を束ねるドンが来ている時点で此の一件がどれだけ深刻なものであろうかが分かった。

 

「自己紹介は此れ迄として中へ」

 

 黒木にゆりと亜美が頷いて部屋の中に入った。

 そしてその部屋では最高でも小学校低学年位の子供達が一生懸命に何かの絵を描いていた。

 

「…あ!! 先生!」

 

「ゆりお姉ちゃんもいる!」

 

 一人が亜美とゆり達に気付いてそれが全員に伝染してチョットした騒ぎになったが、手馴れた様子で直ぐに沈める二人に黒木が少し感心していた。

 

「みんな昨日見た夢の絵は出来た?」

 

 亜美の質問に子供達全員が一斉に元気良く「はーい!」と手を上げながら答えた。

 

「それじゃ、みんな絵を先生達に見せてくれるかな?」

 

 そして子供達が一斉に掲げた絵には…

 

「「…っ!?」」

 

…上手い下手の落差がかなり激しいが、全ての絵にゴジラが描かれていた。

 顔面アップで『放射熱線』を吐いている物、燃え盛る都市で暴れている物、火口の中(と思われる)へ落下している物…etc

 分かっていたとは言え、此の光景にゆり処か黒木迄が驚いていた。

 そしてその内の二枚がゆりの目に入った。

……でその内の一枚は…

 

「…え~と、貴女は?」

 

「みゆき、星空みゆき!」

 

「みゆきちゃん、此の絵は?」

 

「ゴジラに三人のプリキュアが戦っている夢!」

 

 にぱっと笑っているみゆきが描いた物には確かにゴジラが桃色・青色・黄色の三人のプリキュアと思われる者達が戦っていた。

 しかも驚く事に此の戦っているプリキュア達はゆりが見たものと違って過去の者達ではなく現在の者達であった。

 只、ゆりは黄色のプリキュアは知らない様であった。

……でもう一枚は…

 

「貴女は?」

 

「…き、黄瀬やよいです」

 

「やよいちゃんは何を描いたの?」

 

「私も良く分からないけど…ゴジラが大きな青い花と戦っているのです」

 

 少し(と言うかかなり?)緊張しているやよいが描いた物はゴジラが自分の身体の大半を蔦の様な物に絡まれながらも青い花に『放射熱線』を吐いていた。

 蛇足ながら此の絵は他のと群を抜いていた。

 

「…水野さん、あのゆりと言う娘とその彼女が注目した二人は信用出来ますか?」

 

「はい、もしかしたらあの三人は三枝未希に匹敵するものを持っていると私は見ています」

 

 亜美が精神科学開発センター始まって以来の逸材である“三枝未希”の名出した事もあって黒木が驚きながらも頷いた。

 因みにその三枝未希は全盛期より能力が衰えていたが、現在は外交圧力に屈した日本政府の性で派遣兼研修と言う形でアメリカに文取られていた。

 

「やはりゴジラの復活が近い……と言う事か…」

 

「…そうですね」

 

 亜美が自分に同意したのを聞いた黒木は少し考えて…

 

「…水野さん、あの三人…出来ればゆり君だけでも貸して頂けませんか?」

 

「……私も同行が許されるのでしたらゆりちゃんだけを…」

 

「分かりました」

 

 黒木の提案を条件付きで受け入れた亜美は子供達と会話していたゆりを呼んだ。

 

「…何でしょうか?……と言うより大体予測が出来ていますが…」

 

「分かっているなら良い。

既にヘリを呼び出している。

悪いが私に付いて来て貰うぞ」

 

「…あの三原山に行くのですね?」

 

「ああ、あの三原山にだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 三原山 ―――

 

 

伊豆大島・三原山…東京を襲撃したゴジラが人為的に噴火を起こした火口に落下した日本政府直轄の重要地なのだが、その島…と言うより三原山が現在自衛隊や科学機関が包囲する様にして精密な調査が行われている現状をゆり達はヘリから見ていた。

 

「…凄い事になっていますね」

 

「ええ、それだけ此の出来事が恐ろしい事だと言う事よ」

 

 どうやら黒煙を上げている三原山の現状にゆりと亜美は絶句していた。

 

「話の途中で悪いがそろそろ着陸するぞ」

 

 だがそんなゆりと亜美に黒木が着席とベルトの着用を促した為、打ち切りになった。

 最もその黒木はパイロット席に赴いて着陸地点を指示していた。

 

「…あそこだ。 外輪山のあのテントの近くに降ろしてくれ」

 

「了解」

 

 黒木の指示通りの場所にヘリが着陸しようとしていた外輪山の場所に早くも此の事態を嗅ぎ付けたマスコミや野次馬達が詰め掛けて騒いでいた。

 そしてその場所に着陸して黒木が出迎えの自衛官達に敬礼しながら降り、亜美に続いて降りたゆりが野次馬達の中に顔見知りがいるのに気付いた。

 

「…薫子さん!?」

 

「やっぱり貴女も此所に来ていたのね、ゆりちゃん」

 

「…ゆりちゃん、此の人知り合いなの!?」

 

 亜美に頷きながら薫子が此の場にいた事にゆりが驚いていた。

 そして黒木が何かを感じたのか、薫子を中に入れるようにと指示を出した。

 

「…でも薫子さん、何故此所に?」

 

「勿論、その理由は貴女と同じよ。

まぁ、此の場所にいる時点で分かる筈だけどね」

 

 ゆりに答えながら薫子は苦笑した。

 そして亜美が二人が何を求めているのかを察した。

 

「黒木さん、ゆりちゃんとあのお婆さんに車を貸して火口に行かせてやれませんか?」

 

 亜美の提案を黒木が同意したと思われる雰囲気であったが…

 

「危険です!! 三原山は何時噴火してもおかしくない状態です!」

 

「…三原山はそんなに危険なのか?」

 

「はい、しかも有毒ガスが発生している模様です」

 

 兵士の報告に黒木は少し考えた。

 

「…責任は私が取る。

私も同行するから酸素ボンベとガスマスクを用意してくれ」

 

「…分かりました」

 

 何処か納得しない様子であったが敬礼しながら了解して用意をしに行ってくれた。

 

「有り難うございます。

後、出来れば私も連れて行ってくれませんか?」

 

「構いませんが貴女は目的地に着いても車から降りてはいけませんよ」

 

 黒木が亜美の同行にも条件付きではあったが許可した後、注文の車がやって来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 同・火口付近 ―――

 

 

 報告通り……と言うかどう見ても危険な状態であった三原山の火口に黒木と亜美が車内にいたが、ゆりと薫子は火口内部が見渡せる場所に立っていた。

 最も黒木が目を瞑り腕を組んだ状態でジッとしているのに反して亜美が心配そうにゆりと薫子を見続けている現状からも、念の為に二人供ガスマスクを着けていた。

 そして火口内部からゆりと薫子は何かを感じ取っていた。

 

「……薫子さん、やっぱり…」

 

「ええ、封印が弱まっているわね」

 

 西新宿でゴジラがスーパーXを撃破後に自衛隊に三原山に誘因されて落下した後、当時のプリキュアの一人が文字通り命懸けで封印を施した副作用で三原山が噴火する事は今までは無かったのだが……どうやらそれが間も無く過去形で語られようとしていた。

 

「それに封印が消えていないと言う事はゴジラが此の火口の中で生きていると言う事ですね」

 

 ゆりと薫子は封印は兎も角、落下してから数年が経過しているにも拘らず火口の中でゴジラが生きている事に余り驚いていなかった。

 まぁ、此の事は誘因作戦の発案者である生物物理学者・林田信自身が抹殺不可能と言っていた。

 

「やはりプリキュアと言え命懸けで封印を施しても、一人ではゴジラを完全に封印出来なかったみたいね」

 

 因みに此の封印を施したプリキュアは翌日に火口付近で変身が解けた状態で倒れているのを自衛隊に発見されて回収後そのまま入院したが、残念ながら封印の反動に加えてゴジラから受けた傷と高濃度放射能に被爆した為にその数日後に最後迄意識が回復せずに家族に見守られて亡くなった。

 まぁ、此は仲間の四人が未だに遺体が見付かっていない事を考えれば不幸中の幸いであったと多分言えるだろう…

 勿論、此の事はプリキュアである者かそうであった者、彼女達の一部の関係者達以外の人物にしか分からない出来事であったので、ゴジラ襲撃の唯一の謎として記録されていた。

…で話を戻して、ゆりと薫子には三原山の火口のほぼ全体を覆う桃色の円陣に蝶々の紋章が見えていたが、その紋章が所々で揺らめぎが発生していて見るからに弱々しさを出していた。

 此等の事から二人は封印が解け始めていると結論付けていた。

 

「それに元々此の封印が完璧な物でなかったみたいですし…」

 

「しかも此の封印を貴女は兎も角、かれんちゃんが補修した形跡が無いわね」

 

 薫子の指摘に一瞬ゆりの表情が曇った。

 

「…此の状態ですと、ゴジラ次第では三原山が噴火したら封印が崩壊する可能性があります」

 

「流石に此所からだとゴジラの様子が分からないけど確かにそうね。

此の状態だともう補修位では駄目ね」

 

 薫子は少し考えていた。

 

「…賭けになるけどつぼみ達を呼んで、一度封印を解いて直ぐ再封印をした方が良いかもしれないわね」

 

「……そうした方が良いかもしれませんね…」

 

 ゆりと薫子の不安を煽るかのように三原山の火口から熔岩が煮えたぎる音が聞こえていた…





 感想・御意見御待ちしています。

 今回は初登場の黒木が原作より出世させていますが、此にはちゃんと理由がありますので。

 後、スマの残り三人は精神科学開発センターにはいませんので、別の所でちゃんと出します。
 それと本作ではプリキュア勢は各チーム最低一人は精神科学開発センターにいたとしています。
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