ゴジラvsビオランテ F・battle   作:サイレント・レイ

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第8話 悪夢と決意と…

――― ????? ―――

 

 

「……アレ? 此所は…」

 

 つぼみが我に返ったら自分が真っ赤に染まった夜の町に立っている事に気付いた。

 

「…私は……確か小田原にいた筈じゃ…あれ?

何故私プリキュアに…」

 

 しかも自分がもう一つの姿であるキュアブロッサムとなっていた上、真夏の夜には暑過ぎる熱気を感じる此の町に見覚えがあった。

 

「…うん?……此所は…希望ヶ花…っ!! そんな!?」

 

 そしてブロッサムは背後に半壊した実家があるのに気付いた。

 

「…お、お父さん!!……お母さん!!」

 

 ブロッサムは両親の安否を思って実家に駆け寄ったが、残念ながら家の中に誰もいる気配が無かった。

 しかも周囲の家々も破壊されるか炎上しており、ブロッサムの悪い予感を表しているかの様に店先の花々が燃えていた。

 更に隣りのえりか実家であるフェアリードロップに至っては跡形もなく破壊されていた事もあってブロッサムは座り込んだ。

 

「…えりか……マリンは!?

サンシャインも何所に!?」

 

 自分もプリキュアに変身していたのだから姿の見当たらないえりかといつきももう一つの姿であるキュアマリンとキュアサンシャインに夫々変身して希望ヶ花を此の様にした者と戦っていると思うと立ち上がって走り出した。

 

「…マリーン……サンシャイーン……何所にいるのですか!?」

 

 仲間を求めて希望ヶ花を走り回るブロッサムだが、破壊の限りを尽くされて起こった火災と瓦礫のみで、しかもその瓦礫に住民達の屍です埋もれており、その中にブロッサムの顔見知りや学友達が入っていた。

 途切れる事なく続く光景の中…道場を有するいつきの実家の大屋敷が住民諸供燃え落ちているのを見てブロッサムは泣きそうになりながらもマリンとサンシャインを探し続けていた。

 だが薫子の植物園に辿り着いたら…

 

「…あ……ああ!!」

 

…植物園の前部分的の骨を残して焼失していた上に園内の植物の全てが炎上を通り越して消し炭と化していた。

 しかも薫子の物と思える白衣が落ちていた。

 

「……お祖母ちゃん…」

 

 ブロッサムはその白衣を暫く抱き締めていたが我に帰って直ぐ走り出した。

 だが今度は集合団地に辿り着いたら…

 

「…っ! ゆりさん!!」

 

…崩れ落ちているアパートの一つの瓦礫にゆりが左腕と髪以外が埋もれた状態でいた。

 僅かの可能性を信じてブロッサムはゆりの所に駆け寄ったがゆりは既に死んでいた。

 

「……ゆりさん…」

 

(何をしているの!? 早く行きなさい!)

 

 ゆりの遺体を前に涙を流したブロッサムだったが、不意にゆりの叱咤を聞き、それに従って涙を拭うと再び走り出した。

 そして破壊されていた明堂学園に辿り着いたら…

 

「…あ…ああ……あああ!!!」

 

…奇妙な形のクレーターが出来あがっている運動場でマリンとサンシャインが変身が半ば解けた状態で倒れていた。

 

「マリン!! サンシャイン!!

…い……嫌ぁぁー!!!」

 

 二人に駆け寄って死んでいるのを確認したブロッサムは絶叫した。

 

「…っ!? ああ、そんな!

シプレ!! コフレ!! ポプリ!!」

 

 更にブロッサムに追い討ちを掛ける様に彼女の近くでシプレの髪飾りとコフレの首飾りにポプリの鞄が燃えていた。

 ブロッサムは慌てて火を揉み消しながらそれ等を拾い上げたが、その場所をよく見たらシプレ達三人のものと思われる黒い染みがあった。

 勿論、持ち主達がどうなったかは容易に推測出来た。

 

「…誰ですか……誰がこんな事をしたのですか!?」

 

 希望ヶ花だけでなく親しい者達までもを奪われたブロッサムは泣き叫びながら立ち上がった。

 

「砂漠の使徒ですね!

此の現状を作ったのは砂漠の使徒ですね!?

サバーク、サソリーナ、クモジャキー、コブラージャ、ダークプリキュア、出てきなさい!

私が私が相手します!!」

 

 ブロッサムは犯人を彼女達と敵対する砂漠の使徒と思っていたが、それは完全に外れていた。

 まぁ、それ以前によく考えたら此の現状は砂漠の使徒のやり方と全く違っていた上、何より犯人はブロッサムの前方…明堂学園の遥か向こうに遥か以前から存在していた。

 

「……山?」

 

 それにブロッサムがやっと気付いたが、その黒く巨大な細長い楕円形の正体、分からずにいた。

 

「…いえ、あんな場所に山なんか無かった筈……っ!?」

 

 不意にそれの前をワイパーみたいなのが横切り……少し間を置いてブロッサムが何かに思い当たった。

 

「…ま…まさか……そんな…」

 

 先程の言葉を発したと思えない程にブロッサムが怯え始めていたが、何かの生物の唸り声が聞こえたと思ったらブロッサムの存在に気付いたのか、それはゆっくりと左に回って……一瞬楕円形から背中に炎の様な形の背鰭を大量に生やした二足歩行の巨大生物の形に変わった。

 しかもその生物の姿はブロッサム髪飾り知識の中だけだがよく知っている者で……それも最も恐ろしい者であった。

 現に地鳴りを上げる程の足音を立てながら近付いて来る……天を貫きそうな巨体を支える極太の両足に黒くゴツゴツした表皮、足に反して細いが力強そうな両腕、そして閉じられた口から僅かに見える多数の鋭い牙等の姿が火災の光で照らされた巨大生物はブロッサムの目の前まで歩み寄って立ち止まった。

 そして恐怖から思わず後ずさっているブロッサムを怒気を感じさせる瞳で見下ろす巨大生物は花を鳴らして上“唇(?)”を震わせると持ち上げて牙を見せつけた。

 

「…貴方が……貴方が此の現状を作ったのですね………ゴジラ!!!」

 

 ブロッサムの返事に答えるかの様に巨大生物は……否、ゴジラはその巨体を揺らしながら巨大な咆哮を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――― 小田原・某ホテル ―――

 

 

「…み……ぼみ……つぼみ!!」

 

「…っ!……シプレ?

今の夢だったんだ…」

 

 真夜中に目を覚ましたつぼみが眼鏡を掛けて最初に視界に入ったのは不安そうに覗きながら自分を揺らしていたシプレであった。

 最も起き上がってよくよく見たらえりかはコフレ!!頭に乗せてベットの上で胡座をかき、いつきはポプリを抱いて椅子に座っていた。

 

「大丈夫、つぼみ?

随分魘されていたけど?」

 

「……ゴジラに希望ヶ花を破壊された夢を見たんです」

 

「つぼみもその夢を見たの?」

 

「二人も見たのですか!?

ゴジラの夢を!?」

 

 つぼみの質問にえりかといつきが揃って頷いた。

 

「…プリキュアになる前に見た時と同じだね」

 

 いつきにつぼみとえりかが頷いた。

 と言うのも彼女達三人はプリキュアとして覚醒する直前にプリキュア達が守るこころの大樹を砂漠の使徒から防戦し……敗北したキュアムーンライトの夢を見た事があったのだ。

……そして今回のが意味するのはどう考えても…

 

「…やっぱり……ゴジラの復活が近いんだね」

 

 えりかにつぼみといつきは同意するしかなかった。

 

「…えりか……いつき……もし……もし間違ってゴジラが甦ったら……私達は勝てるかな?」

 

 つぼみはシプレを抱き寄せると臥せって震えていた。

 

「…私……怖いです。

一度にプリキュアを五人も殺したゴジラに私達じゃ勝てないと思ってしまうのです」

 

 どうやらつぼみは昼間の白神の話は思い出してゴジラへの恐怖を感じている様だった。

 此れにはつぼみの内気な性格からネガティブな方向に行っている上、つぼみ(ブロッサム)が“史上最弱のプリキュア”と言う悪しき称号を持っている事からも来ていた。

 

「ねえつぼみ、かれんさん達はゴジラが原因で亡くなったけど、不謹慎だけどその出来事があったから僕達はこうして友達になれたんだと思えるよ」

 

 確かにいつきの言葉に一理はあり、当時のプリキュアチームがゴジラで全滅後にかれんとゆりのプリキュアコンビが幻となり、そしてムーンライトの敗北があったからつぼみがシプレとコフレと出合ってプリキュアとなり、そしてデザトリアンと化したえりかといつきの心を知って浄化後に親しくなれた。

 何せ、えりかの場合は転校初日のお節介が原因でつぼみは彼女を嫌っていたのだから…

 

「…うん……そうですね」

 

「ホント、つぼみは泣き虫だね」

 

 いつきにつぼみは頷き、えりかが茶化した。

 

「大丈夫だって!

お祖母ちゃんが言っていた通り、私達三人なら出来るって!」

 

「うん! えりか、いつき、三原山に行きましょう!

そしてゴジラを封印しましょう!」

 

「うん!」

 

「勿論、さぁ~…やるっしゅよー!!!」

 

 決意を新たに右手を重ね合わせたつぼみ達三人にシプレ達三人も加わって笑い合った。

 

「……ふふふ…」

 

 剃んなつぼみ達に背を向けて寝ているフリをしている薫子は微笑んでいた。

 だが…

 

「「「っ!?」」」

 

…その直後にホテルが軋んで微弱な揺れを感じたと思ったら、轟音がキコエル程の大地震が起こった。

 更に地震が治まり始めると何かの爆発音が轟いた。

 

「…チョット、何、今の地震と音は?……て、チョット!!!」

 

「でしゅ!!!」

 

 突然の出来事につぼみがいつきに抱き付き、えりかが二つの現象とつぼみといつきの現状(此れのみポプリも)に騒いだ。

 

「…っ! えりか! 見て下さい!」

 

 何かに気付いたコフレがカーテン捲って慌てて“指(?)”差した場所にえりか達が急いで窓を開けて身を乗り出しながら見たら…

 

「…っ!!」

 

「何あれ!?」

 

「…海が……海が燃えている!!」

 

…南の海が真っ赤に染まっていた。

 しかも他の客や従業員達も次々に窓から身を乗り出すか、

ホテルから飛び出して南の海をミディアム騒ぎ始めていた。

 

「……まさか!」

 

「…お祖母ちゃん?」

 

 つぼみ達は此の現象を理解出来ないでいたが、飛び起きて此れを見た薫子は何かに思い当たって直ぐテレビを点けた。

 

『…スを申し上げます、臨時ニュースを申し上げます。

先程伊豆大島三原山にて大規模な噴火が起こりマグマの噴出が確認されました。

繰り返します、先程伊豆大島三原山にて大規模な噴火が起こりマグマの噴出が確認されました』

 

「…三原山が……噴火!?」

 

 ニュースキャスター坂上あゆみが読み上げる臨時ニュースからえりか達も理解した様であった。

 

『…幸いな事に噴火は一時的らしく、三原山は沈静化を始めている模様です………只今入った情報とよりますと今回の三原山の噴火に東京都及び内閣にて全閣僚を緊急召集して会議が開始された模様です。

情報によりますと現在…』

 

「……まさか此処まで封印が弱まっていたなんて…」

 

「お祖母ちゃん、ゴジラが出てきちゃうの?」

 

「……大丈夫、まだでないわ。

だけどもう時間が無いわ。

明日朝一番に白神君を所に行きましょう」

 

 焦りを隠せないでいる薫子の意見につぼみ達は頷いニュースを見続ける事しか出来なかった。

 しかも此の時、白神研究所で悲惨な出来事が起こったら事など知る訳がなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝、日本政府は伊豆大島の島民に避難命令を発令すると同時に関東沿岸部に避難準備を勧告開始。

 此れ等が何を意味するかは誰の目でも明らかであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほーほっほっ…もう直ぐじゃ。

もう直ぐ待ちに待った時が来るぞ」

 

 同時刻、三原山の上空で此の現状を喜び笑っている者がいる事を誰も知らない…

 





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