禁断の“眠り姫”   作:プリンセス メア

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誕生日と呪い

遥か昔、後継者のいない王国がありました。

 

王様も王妃様も………、国中が後継者の誕生を待ち望んでおりました。

 

 

ある時、王妃様が一人“聖なる泉(フォンテーヌ・サント)”と呼ばれる泉で身を清めていると、美しい天使が一人現れました。

 

 

「あなた方は、もうすぐかわいい子どもを授かるでしょう」

 

 

その天使の言葉通り1年後、王妃様は赤ちゃんを産みます。

 

待ち望んだ後継者は、かわいらしい女の子でした。

王様・王妃様は、王女様に“オーロラ”と名づけました。

 

 

王女様の誕生の知らせは国中を駆け巡り、各地でお祭りが開かれました。

 

王城では貴族や、かねてから交流のある国々の君主も招いてのパーティーが開かれました。

 

そして、王様は王女様の健やかな成長を約束してもらうために、国を守護する7人の魔女を呼び寄せました。

 

一人目の魔女…美しさを司る“ウェヌス”が揺りかごの前に立ち、恭しくお辞儀をして、

 

「はじめまして、王女様。

私はあなたに“美しさ”を贈りましょう。」

 

 

二人目…賢さを司る“ミネルバ”が続けて、

 

「私からは“賢さ”を、

いつか国を治めることとなるあなたに贈りましょう。」

 

 

三人目…芸術を司る“ミューズ”が流れるような調べと共に、

 

 

「私からは、“芸術の才能”を贈りましょう。

 

いかなる芸術においても、素晴らしい作品が創れるように…。」

 

 

双子の魔女…感情を司る“アイネ”と“フィラエ”が声を揃えて唱える。

 

「「王女様に“豊かな感情”を贈りましょう。」」

 

 

六人目…融和を司る“コンコルディア”が優しい声で語りかける。

 

 

(わたくし)からは、“優しさ”を贈ります。

 

苦しむ者にそっと手を差しのべるように…。」

 

 

最後に七人目の魔女が贈り物を贈ろうとしたとき。

 

 

「国中がおめでたいというのに、なぜ(わらわ)を招かなかったのかの…?」

 

 

一人の魔女が現れた。

 

 

彼女は、この国の8人目の魔女、絶望を司る“モイラ”。

 

かつて彼女は、7人の魔女を引き連れた建国の英雄によって封印されたと伝わる、いにしえの魔女。

 

 

(わらわ)からも贈り物を贈らせてもらおう。」

 

そう言うと、モイラは手を高く上げる。

 

「王女は誰からも愛されるであろう………。」

 

他の魔女と同じ、希望を持てる贈り物だとホッとしたとき!

 

 

「………しかし!

16歳の誕生日、その日没までに王女は糸紡ぎの針に指を刺すだろう!

そしてそのまま死ぬであろう!」

 

「!?」

 

 

その場に居合わせた人々の顔から安堵の表情が消える。

 

「そんな!」

 

「今すぐ呪いを取り消せ!」

 

「否!

これでこの国もおしまいじゃ!

あーっはっはっは………!」

 

 

 

モイラの高笑いが城内に響き渡る。

笑い声が消えたとき、モイラの姿は消えていた。

 

 

「ああ………、かわいいオーロラが………」

 

「そんな………」

 

「お待ちください、王様、王妃様。

 

まだ私は贈り物をしておりません。

私が王女様をお救いいたしましょう。」

 

悲しみに暮れる王様と王妃様に優しく話しかけたのは、七人目の魔女…希望を司る“マイア”。

 

 

「呪いを解くことができるのか………?」

 

 

マイアは、首を横に振る。

 

「私にはモイラの呪いを()()に解くことはできません。

ですが、呪いを和らげることはできます。

 

 

“死ぬ”のではなく“100年の眠り”に就くだけです…。

100年経てば、王女様を目覚めさせる王子が現れ、王女様を救うでしょう………。」

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