禁断の“眠り姫”   作:プリンセス メア

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16年の月日

モイラのかけた呪いの実現を阻止するために、王様は国中にこのような御触れを出しました。

 

『……王女の16歳の誕生日の次の日まで糸紡ぎの使用を禁じる。

現在糸紡ぎを所持する者は、すぐさま役場に持参せよ。

指示に従わぬ者には“死”が訪れるであろう……』

 

 

 

その御触れが出されてから1週間後、城の中庭に糸紡ぎの山ができていました。

 

 

「火を放て!」

 

王様のかけ声とともに、兵士たちが火をつける。

 

ゴオォォォ…………

 

 

赤々と燃え立つ糸紡ぎの山を見つめる王様。

 

 

「これで娘も安心して成長できるはず…………。

あの“呪い”も実現できないはずだ…………。」

 

 

この日を境に、国から糸紡ぎの姿が消えました。

 

しかし、王女様を呪いから守るため、と人々は不自由なく過ごしていました。

 

と同時に、王女様は、すくすくと成長していきます。

 

成長すればするほど、

美しくなり、

賢くなり、

感情豊かになり、

芸術の才能を開花させていきました。

 

王女様の噂は、たちまち広がっていきます。

 

王女様の姿を見た貴族の子息はもちろん、一般市民、果ては肖像画を見ただけの隣国の王子まで、彼女を妻にしたいと願うようになりました。

 

 

「王女様、今日もたくさんの手紙と肖像画が送られております。」

 

「ありがとう、そこに置いてくれないかしら?」

「はい、王女様。」

 

部屋に届けられた手紙を一通一通丁寧に読んでいく王女様。

 

そして、その返信をしたためてゆく。

 

「…………オーロラ、お前もまもなく16歳じゃ…………。

そろそろ夫を選ばねばならぬな。」

 

16歳の誕生日を1週間後にひかえた日の夜、王様が王女様に話しかけました。

 

「…………ですが、お父様。

(わたくし)は、まだ夫を欲しておりませぬ。

16歳になっても、結婚していない町娘もいるのです。

 

なぜ(わたくし)だけは、こんなにも早く結婚しなければならないのですか?」

 

「お前はこの国ただ一人の王位継承者なのだぞ。

早くお前の夫となる者を選ばなければ、安心できんのじゃ…………。」

 

「お父様…………。」

 

「…………まあよい。

確かにまだ早すぎるかもしれんな…………。

 

しかし、20歳になるまでには結婚しておくれ…………。」

 

「…………わかりました。

では、(わたくし)は、下がります…………。」

 

王女様は、自室に戻っていきました。

 

 

(もうすぐでオーロラも16歳か…………。

何も起こらないままでいてほしい…………。)

 

 

玉座に座る王様は、王女様の姿が扉の向こうに消えるまで、見つめていました。

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