禁断の“眠り姫”   作:プリンセス メア

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運命の日

16回目の王女様の誕生日を明日に控えた夜。

 

 

「私と妻は、明日の朝から出かける。

夕方までには帰る予定だ。

 

乳母のお前には、オーロラの世話を頼みたい。」

 

「はい、私にお任せください。」

 

「忘れていないと思うが、“呪い”の発動を阻止するのも忘れずに。」

 

「もちろんでございます。

 

決して姫様から目を離しません。」

 

 

――――――――――――

――――――――――――

 

 

今日は、王女様の16回目の誕生日。

 

国の至るところで、飾りつけが行われています。

 

「今よりソラナ伯爵領に向かう。

オーロラ、夕方には戻るからな。

乳母の言うことをよく聞くのだよ。」

 

「はい、お父様、お母様。

 

………………あの、フィリップ・フォン・ソラナ様にこれを………………。」

 

 

小さな封筒を差し出す王女様。

 

 

「恋文ね?」

「ちっ、違うわ………………!」

 

 

頬を赤める。

 

 

「渡しておくわね。

じゃあ、そろそろ行くわ」

 

「行ってらっしゃいませ、王様、王妃様」

 

 

 

二人は、馬車に乗り込む。

 

 

 

ヒヒーン!

 

 

 

「さ、王女様。

お部屋に戻りましょう。」

 

「ねえ、城の中を見てまわりたいわ。

お父様があまり城の中を見せてくれないの。

ね、いいでしょ?」

 

「仕方ありませんね…………。

 

私から離れないでくださいね。

城の中にも危ない場所はあるのです。」

 

 

広い廊下を歩いていく二人。

 

 

……………………

 

「――――これで城内はすべて見回ったことになります。」

 

「思ったより広いのね…………。」

 

「王女様、私は少し厨房に向かいます。

決して妙な場所には入らないでくださいね。」

 

 

乳母が王女様から離れていきます。

 

 

 

(フフッ、自由に見てまわれるわ!

 

さっきから気になっていたのよね、そこのドア……)

 

 

壁に隠れるようにたたずむ扉。

 

 

キィィ…………

 

 

その向こうには螺旋階段。

 

上の方からは、不思議な音色が響いてくる。

 

「何かしら、素敵な音だわ。」

 

 

王女様は、階段を上っていく。

 

 

 

階段の先に扉が見えてきた。

 

 

 

キィィ…………

 

 

 

そこには、糸紡ぎをする老婆が座っていた。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「王女様!?

どちらにいらっしゃるのですか!?」

 

 

乳母が廊下を走り回る。

 

「この扉…………、王女様はここを…………?」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「おばあさん、何をしているの?」

 

「糸を紡いでいるだよ。

やってみるかい?」

 

「ええ」

 

 

老婆は、紡ぎ針を王女様に手渡そうとする。

 

 

一瞬、老婆はニヤリとする。

 

 

「キャッ、(いた)…………。

 

なんだかフラフラするわ…………。」

 

 

 

バタン!

 

 

 

王女様は、眠ったように倒れてしまいました。

 

 

 

「ハハハ!

呪いを防ぐことなどできぬのじゃ!」

 

 

老婆は、呪いをかけた“モイラ”だったのです。

 

「……王女様……!?」

 

 

乳母がたどり着いたとき、モイラの姿はなかった。

 

 

 

…………………………………………………………………………………………

 

 

ソラナ伯爵領より急ぎ戻った王様と王妃様。

 

 

「王女様…………」

 

 

王女様の部屋に入る。

 

 

「ああ、私のかわいいオーロラよ……。

……お願い、もう一度目を開けて……。」

 

 

 

涙を堪えられずにいる二人。

 

 

 

どこからか魔法の気配がする。

 

 

「王様、王妃様。

悲しまないでください。」

 

 

 

そこに現れたのは、マイア。

 

 

「お忘れになられたのですか?

 

王女様は、100年の間、眠りに就くだけです。

 

100年後、王女様が目覚めたとき、一人にならないよう、城中を眠りに就かせましょう。」

 

 

杖を一振りすると、侍女達がたちまち眠りに就きました。

 

 

「王様、王妃様。

お二人にも魔法をかけましょう。」

 

「マイア、私たちはよい。

 

これからソラナ伯爵領に行き、王位を譲渡してくる。

 

 

眠りに就くのは、使用人たちだけでよいのだ……。」

 

 

「さようなら、私のかわいいオーロラ。」

 

「もう二度と会えないけれど、愛しているわ……。」

 

 

 

王様と王妃様は、城をあとにしました。

 

 

眠りに就いた城は、マイアの魔法によって茨に覆われ、静寂の時間が訪れました。

 

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