やはり俺の真・恋姫†無双はまちがっているฺฺ   作:丸城成年

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陽の光の如く

 俺は今、春蘭と秋蘭の買い物に付き合っていた。正確には店へ華琳の服を見に来ている春蘭達に半強制的に連れてこられたのだ。

 

「なあ、八幡はこの服をどう思う?」

 

 秋蘭がピンク色を基調とした可愛らしい服を見せてきた。華琳は秋蘭や春蘭に比べれば小柄だが、いくらなんでもこれは子供っぽいだろう。

 

「流石に可愛らし過ぎだろ」

「な~に~、お前は華琳様が可愛くないと言うのか!!」

「そういう意味じゃねーよ。その服がちょっと子供っぽいって意味だ」

 

 男の視点で助言が欲しいと連れて来られたのに、意見を言うたび訳の分からん解釈で春蘭が絡んできて、俺は疲れ切っていた。女の買い物に付き合うってだけでも面倒なのに、勘弁して欲しい。

 

「うむ、確かに」

「店主、とりあえずこれを一着貰おう」

「待て何故買う。没になったんじゃないのか」

 

 今の話の流れで何故春蘭は買う事にしているんだ。

 訳が分からないよ、とゲスいマスコット風に心の中で呟く。

 

「本当に似合うかどうかは試してみるまで分からんだろ」

「じゃあ、本人連れて来いよ」

「お忙しい華琳様をこんな雑事に連れて来いだと~。貴様はそれでも華琳様の部下か!?」

 

 言いたい事は分かるが、わざわざ試したい服を買って行くのは贅沢過ぎるぞ。セレブか、いや普通にセレブだな。しかし、女って買い物その物を楽しむ所があるしな。

 

「華琳も自分の服は自分で買いに来たいんじゃないか?」

「はあ? 何を言っているんだ。もちろん華琳様の服は華琳様と買い物に出た時に買うぞ」

 

 今、買ったじゃん。今、服買いましたよね。

 春蘭の言葉に怪訝な表情をしている俺に秋蘭が説明してくれる。

 

「言っていなかったが、今回は下見だ。それと買った服は華琳様に似せて作った人形に着せてみて、似合うようなら華琳様と買い物に来た時にそれとなく勧めるのだ」

 

 め、面倒くさい。こいつ等が華琳のことを好き過ぎるのは知っていたが、ここまで面倒臭い奴らだったのか。一周半回ってキモいまである。

 

「人形に着せた位で印象って変わるか?」

「姉者の作った人形は凄い出来だ。人形と馬鹿に出来んぞ。着せ替えをしている所は見せられんが一度服を着せた状態を見せてやろう。驚くはずだ」

 

 春蘭が作ったのか。細かい作業をしている姿が想像出来ん。しかし、秋蘭がここまで言うんだったら本当に良い出来なんだろう。

 

「さて、そろそろ次に行くか」

「姉者、今日は何軒位回るとしようか?」

「今日はまだ時間がある。最低でも10軒は回らんとな」

 

 げえっ、あと十軒・・・だ・と!? その時間を使って華琳の仕事を手伝って、空いた時間で華琳を連れてくるんじゃ駄目なのか?

 

「姉者……」

 

 秋蘭が春蘭へ責めるような視線を送る。

 あと十軒とか無理だから、秋蘭ガツンと言ってやれ。ガツンと。

 

「少な過ぎるだろう。もう五軒は行ける」

「ちょっ、おまっ」

「そうだな。十軒はいくら何でも少な過ぎたな。すまん。よし、では二十軒を目指して行こう」

 

 うっそだろ秋蘭、お前もかよ。二十軒ってそれ今日中に終わるの? 八幡もう帰って良い?

 

「では次に行こうか、八幡」

「回れるだけ回るぞ」

 

 そうこうしているうちに秋蘭と春蘭に挟まれて逃げられなくなった。そして、引っ張られるようにして目ぼしい店という店を回るはめになってしまった。

 

◆◆◆

 

 日が落ちて開いている店が無くなって、やっと買い物は終了となった。

 

「今日はイマイチだったな姉者」

「そうだな。華琳様に相応しい服はあまり無かったな。何処かに腕の良い職人はいないものか」

 

 【イマイチ】、【あまり無かった】嘘だろ。何十着買ったと思っているんだ。その抱えきれない位の服を今、俺が持っているんだぞ。

 

「八幡、どうした元気が無いな。お前の天の御遣いの知識か何かで何とかならんのか?」

「無茶振りだな、俺は職人でも何でもないんだぞ」

 

 服なんて縫えないし、デザインを考えるのも無理だ。制服とかメイド服、あとドレス姿なんかは見てみたいけど。

 

「何か無いのか、我々を陽の光の如く照らす気高き華琳様に相応しき服は!!」

 

 陽の光の如く……か。

 

「それならキュ〇サンシャイ〇だろ。日光だし」

「「きゅ〇さんしゃい〇?」」

「そうだ、俺のいた国にはプ〇キュアという人気者達がいるんだよ。キュ〇サンシャイ〇はその中の1人で、サンシャイ〇と言うのは日光という意味だ」

 

 陽の光ならサ〇シャインだなトゥイ〇クルは星だから違うだろう。

 

「ほう、人気者で日光の名を冠する者か。その者の衣装であれば華琳様が着るのに相応しいかもしれん。職人に作らせて見よう。細かな形や色は覚えているのか?」

 

 ハー〇キャッチ〇リキュアか。もう5年位前のものになるのか。それを覚えているかどうかだと。フッ、愚問だな。

 

「馬鹿にするなよ。どんな角度からだって描ける位に覚えているぞ」

 

 録画して何回見たと思っているんだ。

 

「よし、では今から職人に依頼しに行くぞ」

「今からか!?」

「当然だ。兵は拙速を尊ぶと言うからな」

 

 秋蘭は春蘭に比べて大人しいかと思っていたがこいつも大概だな。しかし、華琳のコスプレ姿は俺も見たい。今回は全面的に協力しよう。本当に楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 




軽い話の方が書き易いかな。

それにしても話が進まない。完結に1年位掛かりそうです。

お読みいただき、ありがとうございます。

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