絶対零度のお嬢様が往く   作:みか

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いつ如何なる時でもクールで、無表情がデフォルトの主人公。その腹の内で何を考えているのか、少し想像してみました。



第1話 部隊名は…ブラッドだ

こんにちは、お初にお目にかかる、私は天王寺夏姫(てんのうじ なつき)という。年齢は確か16歳だ。身長は最後に測った時には確か150センチくらいだった。

 

ごめん、少し盛った。148センチと少しだった。その時の体重は35キロくらいだったと思う。

 

フェンリルの極致化なんとやら所属だというラケル博士に推薦され、この度ゴッドイーターの仲間入りをする事になった。

 

 

今は一昔前の改造手術に使われそうな硬いベッドに寝かされ、博士達の長ったらしい説明を聞いている所だ。

 

「気を楽になさい」

 

と言われても、楽に出来るはずもない。だって、きっとものすごく痛いんだ。

 

『一番良いのはゴッドイーター』『ゴッドイーターなんて辞めなさい』(同著者)という本で読んだが、大の大人でも泣き叫び、許しを乞いたくなるほど痛いらしい。

 

『例えるなら、そう…アラガミに右腕を捕食されるような痛み』(一部抜粋)

 

って、そのまんまじゃないか。私は自慢じゃないが、痛みには弱い方だ。お父様とのキャッチボールで顔面にボールがぶち当たり、きりもみ回転で数メートル吹き飛んで、泣いてしまった事だってある。

 

しかし、幼い子供に150キロオーバーでボールを飛ばしてくる方も問題だと思うのだが……

 

「」 あ、まずい。ラケル博士が何か言ってたけど聞いてなかった。もう一度言って貰えないかな?

 

首を持ち上げ、10数メートル頭上に見える小窓を覗いてみる。

 

ラケル博士と、その後ろに控える顔立ちの整った男性が見えた。彼とは、先ほど一度顔を合わせたような気がする。

 

 

うろ覚えだが、彼は確かジュリウス、ジュリウス・マーセナス少尉だ。

 

博士は満面の笑みを、ジュリウス少尉は厳しい視線を、それぞれこちらに向けている。

 

 

この空気、どうやら私のアクション待ちか?

 

横にある、大きな刀、というより剣に手を伸ばしてみる。これで良いのかな?

 

手を着ける前にちらりと博士達の方を伺うと、ジュリウス少尉が首を一度縦に振った。

 

「やるしかないか……」

 

 

最後に1つ深呼吸し、右腕を下ろす。黒色の腕輪がカチッとはまり、上からキュイーンと音をさせながら、ドリルのような装置が下がってきた

 

 

「これ絶対痛いやつだ」

 

 

腕輪から何かが私の中に入ってくるのがわかる。

 

 

 

「」

 

……ちょっと痛すぎて、言葉が出なかった。

 

 

思わず身体を強ばらせる。

 

 

「かはっ……」

 

 

息が…息が出来ない。

 

 

身体が海老反りになる

 

 

「うわあああぁぁぁ……」

 

 

これはちょっと本当に死ぬかもしれない。なんか辺りが暗くなってきたし

 

 

 

痛みを軽減するために、ベッドから落ち、辺りを転げ回ってみる。

 

……ただ、あまり効果はないみたいだった。

 

 

「あああ……」

 

 

何だか少し、気持ち良くなってきた……綺麗な川が見える。

 

 

「ぶくぶく」

 

 

川を渡ろうとしたら、途中で流され、こっちの岸に戻ってきてしまうという夢を見ていたら、いつの間にか痛みが治まっていた。

 

 

 

 

これはもしかして、適合成功した…のかな?

 

失敗する可能性も僅かながらある、という話は聞いていた。運の悪い私だけど、その『僅か』の方に入ってはいなかったようだ。

 

……結構ギリギリだったような気がするけど

 

 

 

ああ、沢山の人に私のひどく無様な姿を見せてしまった。

 

 

このまま何事もなかったかのように立ち上がっては面白くないので、死んだふりをしてみることにする。半分白眼を剥いて口を半開きにすれば完璧だ。

 

 

お母様に何度も、「違うわ! もっと虚ろな目で、こう! こうっ!」

 

 

とダメ出しをされたお陰で、私の死んだふりスキルは今や一種の芸術レベルだと自負している。

 

……私が死んだふりをするのは、決して無様な姿を見せてしまって、恥ずかしいからではない。

 

 

しばらくそうしていると、

 

 

「大丈夫か!?」

 

慌てた様子のマーセナス少尉がやってきた。

 

その問いに答えず、精気のない虚ろな瞳で横たわっていると、不意に抱き上げられる。

 

 

「適合失敗だ、医療班を早く!」

 

小型のトランシーバーのような物で誰かに連絡しているようだ。

 

騒ぎが大きくなりそうなので、そろそろ演技を止めよう。

 

 

ただ、こんな時、何て言えば許してもらえるだろう?

 

ひと昔前には『ドッキリ大成功』という札を出したらしいけど……

 

と、

 

 

『くー』

 

 

小さくだけど、お腹が鳴ってしまった。ああ、恥ずかしい。顔から火が出そうだ。

 

 

ただ、これできっかけは作れた。

 

 

「おなか、すいた、よ?」

 

 

首を傾げながらそう言ってやったら、マーセナス少尉は『死人が喋った!』みたいな顔をした。

 

当然か。

 

 

「平気なのか!?」

 

 

「はい、至って健康です」

 

 

「そうか…、なら良かったが、念の為に精密検査を」

 

 

「あ、はい」

 

 

真面目なんだな、この人。

 

 

からかい甲斐がありそうだ。

 

 

しかし、お姫様だっこなんて人生で初めてされたな、重くないんだろうか?

 

「あの、重くないですか?」

 

 

そう尋ねると、

 

「いや、大丈夫だ。むしろ軽すぎるくらいだ」

 

と返ってきた。

 

 

最後に食べたのは……いつだったか、おとといかな?

 

 

確か、小さなリンゴを食べた。

 

そんな取り留めも無いことを考えている間にも、マーセナス少尉は歩いていく。何だか少し悪い気がするけど、

 

 

まあ、運んでもらえるなら楽でいいか。

 

そんな事を考えながら、私は医務室へと運ばれるのであった。

 




こんな主人公で大丈夫か?


主人公は人の名前を覚えるのが苦手です。紙に書いてあることは完璧に覚えられるのですが……
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