絶対零度のお嬢様が往く 作:みか
あとこれはどうでもいい話なのですが、作者の好きなキャラクターは『ツルギ』です。
「おや、まだ何か用かな?」
「あ、あれ? ユノさんは?」
ロミオ先輩に誘われて局長室に向かった私達(ジュリウス除く)だったが、室内にはグレム局長とレア博士が居るだけで、ユノさんの姿は既に無かった。
「ヘリで飛行中、かしらね。極東支部へ向かって」
レア博士がロミオ先輩の問いに答えてくれた、優しい。
「しまった…遅かったか」
「やっぱりね~」
ナナが呆れ顔でため息をつく
「じゃ、失礼しましたー」
回れ右して出て行こうとするロミオ先輩をナナが止める
「先輩、このまま局長室を出るのは失礼だよ」
「じゃあどうすりゃいいってんだよ」
「そこはほら、ラケル先生に言われて挨拶に来たとかって適当に…」
「なるほど…ナナお前頭いいな」
ちなみに丸聞こえだ。レア博士なんかは頭を抱えている。
「えー、ブラッド候補生としてご挨拶をしたいと思い、馳せ参じました」
姿勢を正したロミオ先輩が悪びれずにそう言い放った。
「それはまた殊勝なことだな、こちらこそよろしく頼む」
グレム局長……さっきの会話は丸聞こえだっただろうに、律儀な人だ。
「ほら、夏姫も、局長に何か言いたい事があったんだろ?」
急にロミオ先輩に話題を振られる。
打ち合わせも何もしていないのだが……
「ほう、ナツキ君が」
座って腕を組んでいるグレム局長が目を細め、こちらに身体を向けた。
ロミオ先輩を軽く睨んでやると、任せた! というようにウインクされた。
後でジュースでも奢ってもらう事にしよう。
「あの、局長」
「なんだね?」
何故か身を乗り出される。
「フライアでは神機兵という物が開発されているとお聞きしたのですが」
「うむ」
「それはどのような物なのでしょうか?」
「ふむ、では簡単に……神機兵と言うのは、ここに居るレア博士と君たちブラッドの創設者であるラケル博士、このお二方の父上であるジェフサ・クラウディウス博士によって考案された人型の兵器の事だ……」
~(中略)~
「有人制御になるか無人制御になるか……いずれにせよ、神機兵なら、この荒廃した世界を救う事が出来ると信じている。我々の手でアラガミに怯える事の無い世界を取り戻したいものだな」
「なるほど、勉強になりました」
15分程グレム局長の話を聞いた。
要点だけまとめて言うと、
・神機使いで無くとも制御が可能である
・凄い、強い、格好良い
・費用がかさむ
・赤い雨の中でも通常通り稼動できる
・有人制御と無人制御、2つの運用法が考えられている
こんな所だろうか。
ちなみにロミオ先輩とナナは立ったまま爆睡している。
「すまんがレア君、人数分の椅子を用意してくれるかな?」
そんな2人を見てグレム局長が苦笑した。
~
「まあお茶でも飲んでいきなさい」
グレム局長が机の上にあったベルを鳴らすと、秘書と思わしき女性がお茶を持ってやってくる。
「ありがとうございます」
お礼を言うと、金色の髪をした女の人はにっこりと笑って会釈してくれた。
「茶菓子も必要だな」
私達が全員席に着いたのを確認して、グレム局長が机の下から大きな缶を取り出した。
中に入っていたのは現在は高級品であるチョコレートやクッキーなどの美味しそうなお菓子。
「いただきます」
「わーい、ありがとうございま~す」
「お前らちょっとは遠慮ってもんを… あ、局長いただきます」
「どうせ本部からの貰い物だ、遠慮せずにどんどん食べてくれ」
クッキーを1つ口に運ぶ
「うわー、チョコレート? これって全部チョコレート?」
「美味しいね…」
「うわ、めっちゃ幸せそうな表情」
「喜んで貰えてなによりだ」
グレム局長にどんな訓練をしているのか聞かれたので、毎日の訓練の様子について簡単に話す。
時折質問を織り交ぜながら、興味深そうに聞いてくれた。
続いて任務について話す。
頷きながら話を聞いてくれていたグレム局長だったが、毎回想定外のアラガミが侵入して困っている、とこぼすと、急に険しい顔になった。
「そんな危険な事が……」
「まあなんとか対処出来ているので大丈夫です」
「しかし……」
グレム局長が手のひらを組んで考え込む
「…何か対策を講じなければならんな」
「ブラッドにはお金をかけているから、ですか?」
レア博士が軽い調子で尋ねる。
「まあ、な」
グレム局長が目を細めた。
「さて、そろそろ訓練の時間ではないのかね?」
グレム局長の言葉に慌てて時間を確認する。
「本当だ、やべぇ、遅刻しちまう」
「行こう、夏姫ちゃん」
2人が立ち上がる。
「うん」
私も立ち上がり、折りたたみ式の椅子をまとめる。
「後はこちらでやっておこう、ナツキ君は訓練の方へ急ぎたまえ」
時間が無いので、局長の言葉に甘えるとしよう。
「お菓子とお茶、ごちそうさまでした」
「ああ」
一礼し、局長室を後にした。
「いやー、グレム局長って案外良い人なんだな」
「そうだね」
「今度、おでんパン渡してみるよ」
「それは止めとけ」「それは止めといた方がいいよ」
そんな会話をしながら訓練室まで走る私達であった。
レア「何故あんなにもブラッドを気に掛けるのですか?」
グレム「特に深い意味はない」
レア「ご冗談を」
レア「あの娘が何か?」
グレム「……」
グレム「それより、諜報部に情報精度を向上させるよう、よく言っておく必要があるようだ」
レア「諜報部は充分仕事をしていると思いますが」
グレム「ブラッドには大金を掛けている。貴重な神機使いが死んでからでは遅いからな」
レア「ふふっ、素直じゃない方ですこと」
コンコン
クジョウ「失礼しま……」
グレム「遅いぞクジョウ、俺が呼んだらすぐ飛んで来んかっ!
クジョウ「は、はいい~」
グレム「ふん、まあいい、例の件はどうなっている?」
クジョウ「そ、それは…現在急ピッチで進めている最中でして」
グレム「まだ出来ておらんのか? この、ノロマめ!」
レア(照れ隠しに使われて、クジョウ博士もお気の毒に)