絶対零度のお嬢様が往く   作:みか

11 / 24
たくさんのお気に入り登録ありがとうございます。なんて言ったらいいか……これからも頑張ります。ありがとう


第11話 ノルン内部隠しファイル『リンドウの肖像』 著者A より一部抜粋

「ギルバートさんって、どんな人かな?」

 

「ベテランの人らしいねぇ」

 

 

ミッション帰りに、ヘリの中でナナとそんな話をしてからおよそ3分後

 

 

「我が名はエミール、エミール・フォン・シュトラスブルグだ。今日から君たちブラッドと共に戦う仲間となった、これからよろしく頼む」

 

 

「誰ーっ!?」

 

ナナが叫ぶ

 

「我が名はエミール・フォン・シュトラスブルク! 誇り高き騎士だ」

 

 

新しくブラッドのメンバーになるのは、確かギルバートさんだったはずなのだが

 

 

「このフライアはいい船だね…実に、趣味がいい」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

「しかし! この美しい船の、祝福すべき航海を妨げるかのように、怒涛のようなアラガミの大群が待ち受けているという……」

 

「きっと君たちは……」

 

 

長いので略

 

 

 

「エミールっ! こんな所に、やっと見つけた」

 

 

未だ流暢に語り続けるエミールさんをどう扱うべきなのか持て余していた私達の前に、可愛い帽子を被った少女が華麗に現れた。

 

 

「む…丁度良い所に来た、エリナよ、君も彼女らに自己紹介をしたまえ」

 

「エミールは黙ってて! ブラッドの皆さん、極東(うち)の馬鹿(エミール)がご迷惑をお掛けしました」

 

頭を下げられる。

 

 

「え、えっと」

 

 

 

「状況を説明してほしいな」

 

 

「ジュリウスは黙ってて」

 

 

どこかからジュリウスがやってきたが、面倒くさくなりそうなので一喝する

 

 

「すまない」

 

 

~~~

 

 

「うん? 僕は何か妙な事を言っただろうか?」

 

 

「ほんとにすいません」

 

 

今も頭を下げるエリナ・ジョースター(仮)さんが言うには、彼女とエミールさんはフェンリル極東支部の第一部隊に所属しているそうで、フライアの眼前にアラガミの大群が迫っているとの情報を得て助太刀に来てくれたそうだ。

 

 

 

エミールさんが『ブラッドと共に戦う事になった』と言えばいい所を『共に戦う仲間となった』と言ってしまったお陰で、時期もあって多大な誤解を産む事になった。

 

 

「ご挨拶が遅れました、私はエリナ・デア=フォーゲルヴァイデと申します」

 

「僕はエミール、エミール・フォン・シュトラスブルグだ」

 

 

大仰なポーズを取りながらエミールさんが名乗りをあげる

 

 

「何回名乗るつもりなのよ」

 

 

「無論何度でも」

 

 

エリナさんが溜め息をつく

 

 

「とにかく、私達極東支部のメンバーが来たからには…」

 

 

「心配は完全に無用だ!」

 

 

再びの溜め息

 

 

この娘も苦労してるんだなぁ

 

 

「まあ、2人ともよろしく頼むぜ」

 

 

「任せてくれたまえ」「はい!」

 

「掃討任務は明日から始まる、3人共今日はよく休んで疲れを取ってくれ」

 

エントランスの隅っこにある椅子に座って、私があげた知恵の輪(子供用)をカチャカチャとかまっていたジュリウスが言葉を発する。

 

流石はブラッドの隊長といった所だ、どんな時も締める所は締める。

 

 

「了解した」「了解しました」

 

 

去っていく2人を見送る

 

 

「なんかすごい人だったね」

 

思わずそう零す

 

「そうだな」

 

 

「うん、びっくりしたよ」

 

 

「そうか?」

 

 

みんな同意見のようだったが、ジュリウスだけは首を捻っていた。

 

 

「まあ戦力が増えるに越したことは無いだろ? 神機使いが俺を含めて3人もやってきたんだ、フライアは絶対に守り抜くぞ」

 

 

「頼りにさせてもらおう」

 

 

ジュリウスが微笑みを浮かべる。

 

ナナも、「頑張ろー」 とガッツポーズを取っている。

 

 

そんな和やかな空気の中、私の頭には一つの疑問が渦巻いていた。

 

 

たった一つの単純(シンプル)な疑問

 

 

『一体この人は誰なんだ?』

 

 

目の前でジュリウス達と談笑する男性に「あなたのお名前は?」 と尋ねられないまま、時間だけが過ぎてゆくのであった。

 

いやまあ、多分ギルバートさんだとは思うんだけど、間違ってたら失礼だし

 

どうしよう

 

〜〜

 

 

「そういや、あんたらには名乗ってなかったな」

 

 

謎の男Aことギルバート・マクレインさんが「悪い」と頭をかく。

 

 

「びっくりしたよ〜」

 

 

ナナはさっきもその台詞を言っていた気がする。

 

 

「ナナと夏姫にはまだ自己紹介していなかったのか」

 

「ああ」

 

 

ジュリウスとは既に面識があったらしい。そうならそうと言ってくれればいいのに……このおとぼけ隊長め。

 

 

「そういえば、ロミオ先輩が居ないね」

 

「ロミオ?」

 

「金髪で白いニット帽の」

 

 

「ああ…やっぱりあいつか」

 

 

ギルバートさんが渋い顔をする

 

「どうかしたんですか?」

 

 

「実はさっき出会ってな、とりあえず病室送りにしておいた」

 

 

「何故!?」

 

 

〜〜

 

「何だ、そういう理由か」

 

 

 

ロミオ先輩はロビーの階段付近に立っていたギルの元に走り寄って来て、「俺はロミオってんだ」と言いながら階段を転げ落ちていったらしい。

 

 

ロミオ先輩は横たわり、軽く痙攣しながらも健気に「よ、よろしく」と挨拶の言葉を発していたそうだ。

 

 

「あの時、俺も半ば放心状態で挨拶を返しながら、ブラッドってのは心底凄い連中なんだと感心したな」

 

 

つまり心底すごい馬鹿の集まりという訳ですね、わかります。

 

それにしても、しつこいロミオ先輩にムカついて、つい拳が出てしまったとか、そういう暴力的な話じゃなくて良かった。

 

 

 

「ロミオが抜けた穴は大きいが、ギルと極東の2人が援軍に来てくれた、何としてもロミオの愛したフライアを守り抜くぞ」

 

 

「ロミオ先輩、安らかに」

 

ナナが目をつぶる

 

 

「ブラッド各位、ロミオ・レオーニ上等兵の安息を願って黙祷」

 

 

ギルと2人して目をつぶる

 

 

こうして目を閉じると、ロミオ先輩との思い出の数々が浮かんでくる。

 

格好良いロミオ先輩

 

 

ロミオ「混乱しちまった時はな…空を見るんだ、そんで動物に似た雲を見つけてみろ、落ち着くぞ」

 

 

お茶目なロミオ先輩

 

 

ロミオ「運が良ければ不意を突いてぶっ殺せ、あ……これじゃ4つか」

 

 

 

最後にロミオ先輩に歌を贈ろう。

 

 

「いーつか誰ーにーも、おとーずれる」

 

 

 

「ちょっと待てっ!?」

 

 

 

どこかから声が聞こえた。

 

 

「人が居ない間に、なに勝手にエンディング迎えようとしてんだ!」

 

 

「おのれロミオ、貴様生きておったのか」

 

 

ナナが近くにあった箒を刀のように構える。

 

 

「ロミオ、無事だったのか」

 

 

同時にジュリウスが驚きの声をあげた。

 

 

「当たり前だ! てかギルは俺を病室に送ってくれたじゃねーか、それなのに何黙祷してんだ!」

 

 

「そういう流れなのかと思ってな、すまん」

 

 

「全く…ブラッドは阿呆ばっかかよ!」

 

 

挨拶に夢中で階段から転げ落ちたあなたには言われたくない

 

 

 

「チームワークは十全のようだな」

 

 

ジュリウスが満足げに頷く

 

 

「俺を弄ぶ方向にだけどなっ!」

 

確かに。

 

「……いつか家出してやる」

 

 

結局、拗ねたロミオ先輩を慰める為にブラッド全員で晩ご飯を食べに行く事になった。

 

 

 

それにしても

 

 

ベテラン槍使いのギルバート・マクレイン ブラッドに加入

 

 

激戦区である極東支部のエリナ・ペンドルトン、エミール・フォン・シュトラスブルグの2名がフライアに搭乗

 

 

一気に3人も神機使いが増えて、頼もしい限りである。

 

 

明日から忙しくなるだろうが、みんなと頑張ろう。

 

 

そう思いながら焼き鳥を頬張る。

 

誰だ、居酒屋なんて選んだ奴は

 

「すまない、僕だ」

 

 

エミールさん……まだ居たのか。というか騎士なのに居酒屋って、それでいいのか騎士道。

 

 

うん、皮美味しい

 





ナツキ「回想シーンはノルン内にあった隠しファイルから引っ張って来ました」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。