絶対零度のお嬢様が往く 作:みか
「もうすぐ作戦エリアだ」
「了解」
私は今、ブラッドのメンバーと一緒に輸送用のヘリに乗っている。
あの後、晩餐会はつつがなく終了した。いやー、まさか午後の貴婦人の口付け(あっさり目のスープだった)があんなに美味しいなんて思わなかった。
何ていうか…随分とあっさりしていながらも、魅惑的な香りを放っているというか。
とにかく不思議な味だった
そうそう、りんごのピッツァも美味しかった。果物入りのピッツァなんて今まで食べた事が無かったけれど、甘くていくらでも食べられそうな味だった。
美味しい食事に夢中で何か大切な事を忘れたような気がするが、まあ忘れるような事だし、問題はないだろう。
「作戦内容をもう一度確認する」
晩餐会から一晩が明け、いよいよ特殊部隊ブラッドとして本格的に任務をこなしていく事になった。
本日のミッション名は『カウボーイ』
平原に巣くったナイトホロウ数体とドレッドパイクの群れを掃討するという、新人でも危険度の低いミッションだ。
メンバーは私とナナ、お目付役のジュリウスとサポート役のロミオ先輩、ブラッドのメンバーでの初仕事という事でラケル博士とジュリウスが相談して、難易度のあまり高くないものを見繕ってくれたらしい。
新人である私とナナにとっては、ありがたい話だ。
そう言えばミッション前に、ジュリウスから部隊の指揮を執るよう言われ、作戦の立案と命令をする事になった。何でも、ジュリウスが動けない時でも部隊指揮を執れるような人材を育てておきたいらしい。
別に実戦でやらなくてもいいだろうと思うのだが。
「到着だ」
「よしっ、頑張るよ」
ヘリで『嘆きの平原』と呼ばれるエリアにやってきた私達は、エリアの外れにある高台に降ろされた。
高台から下りると、そのまま固まってアラガミの討伐に向かう。
「……」
「……」
アラガミに見つからないよう、あまり音を立てないで索敵を行うのが作戦の基本だ。これにより、アラガミに対し先手を打つ事が出来る。
慎重に索敵を行うことおよそ1分
「…居た」
数十メートル先にナイトホロウが群生しているのが見えた。
銃形態に切り替え、スコープを覗く。
「当たって!」
銃身の先から発射された弾丸は正確にナイトホロウを撃ち抜いた。
いや、弾丸もオラクル細胞の集まりだから…噛みちぎった、という方が正しいかもしれないが。
私の射撃を皮切りに、ジュリウスのアサルトとロミオ先輩のブラストも火を吹く。ちなみにナナはショットガンだから、視野が狭くなっている私達の代わりに辺りの警戒をお願いしている。
「弾切れだ」
「オレも」
3人のオラクルポイントが無くなる頃には、ナイトホロウは全滅していた。
「ドレッドパイクが来たよ!」
ナナの声に、慌てて神機をブレードフォームへと変形させる。
私達の背後から現れたのは、5体のドレッドパイクだった。
「ジュリウス、ロミオ先輩、フォローお願い。ナナ、行くよ!」
「ああ」「わかった」「うん〜」
ヘリの中で簡単に説明したように、私とナナが正面から突っ込み、ベテランの2人に撃ち漏らしたアラガミの撃破をお願いする、というシンプルな作戦でいくことにした。
「でぇぇい」
右手を引き、腰を回転させて強力な突きを放つ。
あっという間にドレッドパイクが1体ひっくり返った。
「たあぁ!」
ナナも負けてはいない。
ブーストを起動してのタコ殴りでドレッドパイクを地に沈めた。
「邪魔だよっ」
ナナに背後から襲い掛かろうとした3匹目を蹴りで迎撃する。体勢が崩れたドレッドパイクをジュリウスがすかさず両断した。
「それっ!」
ロミオ先輩が残った2体に大きく横なぎの一撃を放ち、手傷を与える。
「ごめん、仕留め切れなかった」
「任せて、ロミオ先輩」
「フォローする」
鳴き声を上げて後退しようとするドレッドパイクを、容赦なく私とジュリウスのオラクル弾が撃ち砕いた。
ドレッドパイクの断末魔の叫びが一度辺りに木霊すると、静寂が戻ってきた。周囲にアラガミはもう居ない…と思う。
「え? 終わり」
ナナが意外そうな声を上げた。
「ああ、任務完了だ、帰投するぞ」
「今回楽勝だったな~」
ジュリウスとロミオ先輩が居てくれたから、こんなにも早く終わってしまった。
「……」
こんなに楽でいいんだろうか? 何かアクシデントが起こりそうで逆に怖いのだが。
「帰投まで、他のアラガミが……」
『ドシャッ』
…何か大きなものが背後に降り立つ音がした。
恐る恐る振り返る
「で、ですよねー」
新人ゴッドイーターが出会いたくないアラガミベスト5に入っている(であろう)アラガミ、疾風の雷帝(死語)ことヴァジュラが、私達に牙を剥いていた。
やっぱり私は運が強いらしい。……悪運と言う名の運だが
今回主人公は真面目に頑張ってます。
区切る所が無かったので、今回少々短めにしました。続きは明日投稿できると思います。
親方、空から女の子が!
残像だ