ハイスクールD×D 赤腕のイッセー   作:nasigorenn

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全然上手く書けないことに苦戦中です。
やっぱり初めて書くものは難しいですね。


旧校舎のディアボロス
1話 彼の毎朝


 天使、堕天使、悪魔やその他の人外が犇めく世界。

その中で人間の殆どが知らないが、中には彼等の力を借りたり崇めたりする者達もいた。

悪魔への対価と引き替えの願いや、神への信仰なんかがそれに当たる。

人間達と彼等との間にあるのは持ちつ持たれつの関係が近いだろう。悪魔は力を貸すかわりに人間の欲望から様々な報酬を得る。天使は信仰の力により世界に奇蹟をもたらす手伝いをする。

どちらも居なくてはならない存在である。

中には堕天使のように一方的に何かを奪い去る者達もいるが、それは割愛しておこう。

そんな中、逆に人間から進んで悪魔の頼みを聞く者達が現れた。

彼等は金を報酬に頼まれた依頼をこなす。それがどれだけ危険であろうと。

『仲介屋』よ呼ばれる者達の紹介を受けてを彼等は仕事を引き受ける。

その一人が、昨日廃墟に住み着いていたはぐれ悪魔を倒した兵藤 一誠である。

 彼はそうして毎回自分の身分には不相応の大金を手に入れている。

 

 

 朝、爽やかな空気が窓から部屋に入って来る中、一誠は眠そうな目を擦りながら起床する。

目に映るのは見慣れた木製の天井。

そのまま起き上がり面倒臭そうに辺りを見回す。狭い一室に畳みが敷いてあり、先程まで一誠が寝ていた布団が汚らしく置かれていた。

一誠はゆっくりと動き出し、部屋に直に繋がっている炊事場に向かうと冷蔵庫を乱暴に開ける。

だが、彼が開けた冷蔵庫には何も入っていない。

それこそ元々無かったかのかと言うくらい、冷蔵庫の中は空だった。

 

「チッ……」

 

彼自身、何かあればいいかなという淡い期待から開けてみたが、いくら希望を抱こうと現実は変わらないのである。

彼はもとから自分の冷蔵庫に何も入っていないことを知っている。

冷蔵庫を眺め終えた一誠は気を取り直し、顔を洗うことにした。

炊事場の水道から水を出し顔を洗って歯磨きを済ませると、先程までいた寝室に戻り制服に着替える。その間ずっと腹の虫が唸り声を上げていたが、一誠は無視を決め込み面倒臭さそうに鍵を取ると猫背で出口へと向かう。

そして外に出ると、自分が住んでいるアパートのボロい扉を閉めて鍵をかけた。

 

「はぁ……面倒臭ぇけど、今日も行くか……」

 

一誠はそんなことを洩らすと共に歩き始めた……学校にいために。約束を守るために。

 

 

「よぉ~、おはようさん」

 

学園に向かう通学路の最中、一誠は後ろから元気よく声をかけられ振り返る。

そこに居たのは黒髪の青年。

名を久遠 冬弥と言う。一誠と同じ駒王学園の生徒であり、そして………一誠に仕事を持ってくる仲介屋だ。

彼等は人からだけでなく、悪魔も堕天使からも仕事を聞き入れ、それを一誠のような『特殊』な人間に仲介する。それ故に裏のそういった関係に顔が広いのだが、その分正体もまったく分からない。人間なのか悪魔なのか堕天使なのか、それ以外の何なのか。

一誠自身、久遠が仲介屋である以外何も知らない。

だが、彼にとってそれだけでいい。

重要なのは仕事を仲介して貰えることであり、久遠の正体は何だって良いのだから。

一誠にとって久遠とは腐れ縁のあるビジネスパートナーである。

そんな久遠は妙に朝から上機嫌だった。

勿論、それは昨日の依頼成功の報酬を受け取ったからである。

だが、そんな久遠に対して一誠は寧ろ落ち込み気味である。

 

「どうしたんだ、一誠? そんな暗い顔してよぉ」

 

からかうように聞いて久遠だが、一誠が返事の代わりに鳴らした腹の音を聞いて表情を変える。それは至って真剣な顔だ。

 

「おい一誠! も、もしかしてお前さん………」

「んだよ」

 

不機嫌そうそう答える一誠の腹がもう一回唸り声を上げた。

その反応に久遠は頭を押さえ頭痛を堪えた。

 

「ま~~~~~た、やったのか、お前! おい、昨日の二つの依頼、合わせて四百万円もあったんだぞ。それを一晩で何処にやったんだ、お前!」

 

久遠の頭が痛い理由。

それは毎回一誠が難しい依頼を熟して結構な額の金を手に入れているというのに、その翌日には金欠になっていることである。

この後一誠が言う台詞を久遠はもう何回聞いたか分からないくらい聞いた台詞であろうことを久遠は予測出来た。

凄く気まずそうな顔で一誠は答えた。

 

「そ、その………白夜園に……な」

「またかよ、お前! そりゃあ個人の金の使い道にケチを付ける気はねぇけどさぁ、いくら何でも渡しすぎだろ! お前が生活出来てねぇんじゃ話にならねぇだろうが」

 

一誠の答えに盛大に頭を抱える久遠。

この二人が組んでからずっと続いているこのやり取りは未だに解決する目途がない。

一誠が言った『白夜園』とは、彼が生活していた孤児院だ。

詳しい話は知らないが、一誠は物心付いた時には既に孤児院にいた。

そこでの生活は親は居ないが楽しく、寂しくなかった。

だが、貧乏で経営はいつも危うく、三食食べられた日の記憶は無い。

幼心に一誠はこの状況をどうにかして園の皆と、世話になっている園長を助けようと考えた。

その頃、一誠は目覚めた……とある『異能』に。

それを使って何か出来ないかと考えた一誠はがむしゃらに色々な事をし、危険な事にも手を出し始めた。

その頃は丁度自分に勝てるものは居ないと天狗になっていた時期であった。実際に普通の人間では一誠に適わなくなっていた。

だが、とあることで瀕死の重傷を負ってしまい入院。それにより白夜園は一誠の治療費を出したために更に経営は悪化。孤児院で生活している子供達は一日一食しか食べられなくなった。

身体を完治させた一誠はその事実に園長に泣いて謝るが、園長はただ一誠が無事で良かったと言い、何も責めない。善人なのである。

だが、それを一誠は許せなかった。

自分の所為で皆に迷惑をかけたのだから、助けられた恩を返さなくてはと使命感に燃えた。

その思いを抱きながら中学に上がった頃に久遠と出会い、仕事を仲介して貰っている。

一誠が毎回大金を手に入れているのに金欠なのは、迷惑をかけた白夜園に殆ど寄付しているからである。

ちなみに高校に上がった際、一人暮らしを無理にでもしたのはより仕事を受けるためである。白夜園で生活していれば食事には困らなかっただろう。

 

「今更言うなよ、知ってるだろ」

「だけどよ~。お前はもっと自分に回しても良いと思うけどなぁ」

 

呆れ返る久遠に一誠も何とも言えない顔をする。

このやり取りもいつものこと。

それが一誠のいつもの登校風景。

そして二人で話しながら歩くこと十数分。

駒王学園に二人は到着した。元が女子校だったということもあってか校舎は綺麗で土地も大きい。プールも着いている豪勢な学園である。

二人はそのまま歩いていると、何やら騒がしい一団を見つけた。

そこには女子に囲まれた二人の男子の姿があった。

普通に考えれば女子に囲まれるというのは男にとって夢かも知れない。だが、その囲っている女子が全員憤怒の表情なら、それは忽ち悪夢でしかない。

そんな悪夢を見て怯えているのは、メガネにカメラを持った男子と禿頭の男子であった。

一誠は二人のことを知っている。

メガネの方が元浜、禿頭の方が松田。

この駒王学園に置いてある意味有名な二人組。覗きや盗撮、衆人の前で平然と卑猥なことを話しているなど、碌でもないことばかりする二人組だ。

御蔭で周りの生徒から駒王学園の変態二人組(ヘンタイツインズ)と呼ばれている。

二人は涙ながらに何かを言うが、その手に持っているカメラから出た盗撮写真が信憑性を失わせていた。そしてそれを見た女子達に盛大に殴られていた。

 

「あの二人もかわらないねぇ~。本当、お気楽な学生ってのは羨ましいもんだ」

 

久遠の言葉に一誠は無言で同意する。

たまに一誠もあの二人くらいはっちゃけられたらどれだけらくなんだろうかと考えたことがあるからだ。生憎、お気楽では居られないのが一誠をとりまく環境である。

そして変態二人を無視して歩き始めた二人は今度は別に騒いでいる集団を見つけた。

そこに居たのは男女共に視線を集める二人の女生徒。

一人は真っ赤な髪をした絶世の美女、もう一人は艶やかな黒髪をポニーテールにした大和撫子である。

共に美しく、その身体は学生にしては過剰なまでに良い発育具合を誇示していた。

 

「今日もウチの学校のお姫様達は絶好調みたいだな」

「そうだな」

 

この二人の事を一誠達は勿論知っている。

この駒王学園に置いてこれほど有名な人達はいないだろう。

三年のリアス・グレモリーと同じく三年の姫島 朱乃。

この学園でもっとも美しい女生徒であり、周りからはお姉様と呼ばれている。

だが、一誠達が知っているのはそう言った表立った事ではない。

リアス・グレモリーと言えば冥界で有名な『元72柱』グレモリー家の次期党首。つまり悪魔である。

そして姫島 朱乃はリアス・グレモリーの懐刀、レーティングゲームのクイーンの駒。

これもまた悪魔である。

何故一誠達が二人の裏事情まで知っているかと言えば、久遠の取引先が関係しているからだ。

その二人が騒がれている中、一誠達は教室へと向かっていく。

彼等にとって彼の者達が何であれ、邪魔でなければ問題は無いからだ。

 もし邪魔をするというのなら、その時一誠は………

 

 容赦なく殴り砕くだろう。

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