とある正義の人間兵器《サイボーグ》   作:大器・晩成

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 処女作です。誤字や脱字、意味不明な表現等が多くあり投稿後も訂正する場合があるかもしれませんが、どうか温かい目でお楽しみください。


1話 相良恭助と木原那由他

 ここはとある研究所。

 

 だが、ただの研究所ではない。

 

 道徳の欠片も見当たらない残酷な人体実験が日常的に行われている『闇』の一つ。

 

 『体晶』を使って絶対能力者(レベル6)を開発しようとした実験。

 

 『体晶』。それは任意に能力者を暴走させることができる劇薬。

 

 そこでは毎日のように人が、しかも年端もいかない少年少女達がモルモットとして使い潰され、一人また一人と死んでいった。

 

 最終的に二人だけが残った。

 

 一人は絶対能力者にはなれなかったが、暴走中に限り超能力者(レベル5)に近い能力を使えることが確認された。

 

 しかしもう一人は『体晶』による能力の暴走を制御出来ず右腕を含む右上半身、さらに左目が文字通り破裂し、瀕死の重傷を負った。そして欠陥品として同時期に行われていた『ある計画』に再利用される形となった。

 

 『ある計画』の名とは『機械化能力者製造計画』。

 

 『人間』として能力を運用する場合、どんな強力な能力を持っていようとそれを扱うのはあくまで生身の人間である。

 

 拳銃で撃たれたり、ナイフで刺されれば普通に傷を負うし、能力を持たないただの人間に基本的な身体能力で圧倒されることもある。

 

 そんな『人間』として当たり前の弱点を克服するための計画。

 

 『人間』を『人間兵器』に変える計画。

 

 欠陥品の少年はその『計画』のため、データ取り用のモルモットとされた。

 

 少年の名は相良恭助(さがらきょうすけ)。彼はその『計画』によって殺人マシンに改造された。

 

 

 

 

 

 ここは学園都市。

 

 東京西部にあり、周りは高い外壁で覆われ、外部と完全に独立している。

 

 街というよりバチカン市国のように国の中に別の国がある感じだ。

 

 そして学園都市は科学の街であり、外より科学が2・30年も進歩しているらしい。

 

 しかもこの町の全学生180万人は脳に『能力開発』を受けることで『超能力』を使えるようになっている。

 

 相良恭助はそんな学園都市に住んでいるとある高校に在学しているどこにでもいる高校生だ。学年は一年。

 

 学園都市の全学校には一応全寮制があるが、学生としては珍しく彼はそれを利用していない。

 

 彼は第2学区にある、とある研究所の一部を住居としている。

 

 しかし彼が所有しているではない。

 

 居候の身である。ただしヒモではない、断じて。

 

 一応、ここの所有者の助手をやっている。

 

 といっても、やっていることは、ほぼ住み込みの家政婦と同じだが。

 

 ということで恭助は起床し制服に着替えると自分の寝室(自室)から廊下に出て、洗面台で顔を洗うといつも通り朝食と昼食用の弁当を作り始めた。

 

 今日の朝食はご飯・味噌汁・ハムエッグの三つだ。

 

 朝食と弁当を作り終えると彼は廊下に出てもう一人の住人、というよりこの施設の持ち主である人物を呼びに行った。

 

 しかしいくらその人物の部屋のドアをノックして呼び掛けても返事がない。

 

 どうやら昨夜も夜遅くまで研究資料とにらめっこしていたようだ。

 

 ようは単純な寝坊というやつだ。

 

 ひたすらバカみたいに呼び掛け続けるのも徒労と判断し、ドアに手を掛ける。

 

 案の定、鍵がかかっていた。

 

 まあ当然かと思い直接叩き起こすことを断念した。

 

 その気になれば体当たりで無理矢理開けることも出来るが、それをやると当然ドアは壊れ、中にいる人物に怒られるだけならまだしも追い出される可能性もある。

 

 ということで、一人で朝食を済ますこととなった。

 

 結局その人物が部屋から出てきたのは学校に間に合うギリギリの時間だった。

 

 唐突だがその人物とは女性である。

 

「(ま、つってもまだ小学生のガキんちょだが)」

 

「何だか失礼なことを言われた気がする」

 

「気のせいだろ」

 

 おはようの挨拶もままならない程急いで準備をした少女、木原那由他(きはらなゆた)と恭助は互いに遅刻ギリギリなのでイライラしつつも、そんな息の合った掛け合いをする。

 

 二人は今、本寄りのバス停に向け全力疾走している。

 

 そんなことをすれば幼い那由他の方が置いて行かれてしまうと思いきや、むしろ恭助が必死に食らい付いているような有様だった。

 

 恭助が遅いのではない、那由他が速過ぎるのだ。

 

 それこそ人間とは思えないスピードで走っているのだ。

 

 逆にこれに息を荒くしながらも付いてきている恭助の方が褒められるべきであろう。

 

 第三者から見れば小学生を荒い息をしながら追いかける変態に見えるが、恐らくここら辺はこの時間帯は人気が少ないのと、あまりの速さに見かけた人も『二つの影が凄いスピードで通り過ぎていった』としか認識できないためだろう。

 

 そうして何とかバスに間に合った二人は運良く開いていた二人がけの椅子に(窓側から恭助、那由他の順で)座り一息吐く。

 

「ふう、久し振りにいい汗かいた」

 

「ヒュー・・・・・・ヒュー・・・・・・(うそ)()けッ。クソっ、相変わらず何てふざけたスピード出しやがるッ。ゲホッゲホッ」

 

 仲良く二人で並んで腰掛けたは良いが、あからさまに不自然なぐらい二人の様子には明らかな差があった。

 

「まっ、私は身体の七割以上が機械だからあのくらい楽勝だよ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 突如那由他は、あまりにあっさりとそう言った。

 

 事実見た目では全く分からないが彼女の身体はほぼ全てが人工物でできている。

 

 純粋な日本人なのにも関わらず、そのツインテールにしている髪は金色に、瞳は青色に変色している。

 

 彼女が自ら望んでいくつもの実験に身を捧げた結果。

 

 何度も失敗と妥協を繰り返した結果。

 

 他の犠牲を何より嫌い、代わりに自己を犠牲にした結果。

 

 守りたい人々を守るため、その人達の代わりに身を削り、守るための力を求めた結果。

 

 それが現在の木原那由他を形作っている。

 

 ある人は彼女を自己犠牲のヒーローと呼ぶだろうか。

 

 ある人は彼女を平然と我が身を切り捨てる狂人と呼ぶだろうか。

 

 だが、恭助にとってそんなことは些細なことだ。

 

 彼女は恭助の恩人で友人、守りたい大切な人だ。

 

 『闇』に堕ちていた自分を日が当たる所まで引き上げてくれた。

 

 心を閉じている自分にそっと優しく接してくれた。

 

 人を傷つけることしかできないこの()()も、人を救うために使えるのだと教えてくれた。

 

 たまに口論になるが、最後は仲直りしていつものように笑い合う。

 

 それが相良恭助にとっての木原那由他。

 

 それ以上でもそれ以下でもない。

 

 もし彼女に危害を加えようとする者、彼女を悲しませる存在が現れたならそんなものは全て自分が排除するし、彼女が助けを求めればどんなに過酷な条件でも助けに行く。

 

 そのために自分は努力してきたし、今もし続けている。

 

 まだ那由他には敵わないとしても、彼女の背中を守れるぐらいは強くなったと自負している。

 

 もちろんそんな小っ恥ずかしいことは本人には言えない恭助だった。

 

「何?私の顔をそんなにじっと見て」

 

 無意識の内にかなり長い間那由他を見つめていたことに気付く恭助。

 

 何だか周りがこっちを見ながらコソコソ話している気がしつつも、彼はあることを思い出し自分の学生鞄を開ける。

 

 そして自分が見つめられていたことを寝癖か何かが原因と思ったのか携帯式の手鏡で確認している那由他にラップで包まれた握り飯を二つ渡す。

 

「朝食、結局食わなかっただろ?休み時間の間にそれでも食ってろ」

 

「いや、食事を一回抜いたぐらい栄養剤で・・・・・・」

 

「アホ。三食の中でも朝食は特別なんだよ。それにガキの頃からそんな錠剤ばっか飲んでっと大きくなれねぇぞ」

 

「・・・・・・ホント、恭助はお節介なお人好しだね」

 

 呆れたように微笑しつつも、自分の赤いランドセルに握り飯を入れる那由他。

 

 そして今度は那由他も思い出したように恭助に問いを投げかけた。

 

「ねえ、恭助。学校で友達できた?」

 

「・・・・・・お前は俺の母親かよ」

 

「だって恭助ってチンピラみたいに金髪で口が悪くて無愛想な上、人見知りでしかも不幸面だからちゃんと友達ができたか不安なんだよ」

 

「金髪はお前と同じで地毛だし人見知りじゃねぇしどっかのツンツン頭みたいに不幸面じゃねえッ。そして口の悪さは生まれつきだッ。ってお前メチャクチャ失礼なこと言っている自覚あるかッ?」

 

「とりあえず『いる』か『いない』かどっち?」

 

 無視かよ、と思いつつ恭助はふて腐れたようにそっぽを向きながら答える。

 

「・・・・・・まあ、会話するぐらいの奴は3・4人いる」

 

「そうなんだ。良かった」

 

 那由他は太陽のように明るく微笑んだ。

 

 不覚にもそれを見て顔を火照らした恭助は、そんな顔を見られないように窓の外を見た。

 

 ・・・・・・学園都市は今日も平和だ。一見そう見える。

 

 しかし一度路地裏に足を踏み込めばスキルアウトという名の無法者達がたむろし。さらに奥深くには『表』の人々の想像を絶する無数の『闇』が今もどこかで蠢いている。

 

 そんな学園都市の『闇』の代名詞といえる者達がいる。

 

 その名も『木原一族』。

 

 科学の天才を多く輩出する名家といえば聞こえは良いが、事実は科学のあるところに必ず現れる悪意の象徴であり。その一族のほとんどの者が人間を躊躇なくモルモットとして扱い使い潰す。むしろそれこそが『木原』なのだと誇っている者もいる。

 

 彼の隣にいる可憐な少女もまた、その一族の一人だと誰が思うだろう。

 

 だが那由他はその他の『木原』とは違った。

 

 那由他は決して被験者を使い捨てのモルモットとは扱わず、安全を第一に考えた。

 

 しかし『木原』はそんな優しさ・・・・・・彼らにしてみれば甘さを見て、彼女に落ちこぼれの烙印を押した。

 

 『木原』は『木原』というだけで科学に愛される。しかしどれ程立派な目標を掲げても、本人の性格の善悪に関係なく科学を悪用してしまう。

 

 そんな恩恵と呪いが合わさった性質を持つ『木原』にとって彼女は目障りだったのかもしれない。

 

 だとしても恭助は決して彼女をそんな風には思わない。

 

 何故なら彼はその『闇』の中にある一筋の光(やさしさ)に救われたのだから。

 

「ぐぇっ!」

 

 唐突に恭助は脇腹にエルボーを食らった。

 

「ってぇ、那由他!いきなり何しやがるっ!」

 

「何度も呼んだのに無視した恭助が悪いっ!」

 

「んな、理不尽な・・・・・・」

 

 ビシッと効果音が出そうな程はっきり言われ途端、縮こまる恭助。

 

 決して小学生にびびったのではなく、二重の意味で上司である相手だから退いたのだと内心言い訳するのに精一杯だった。

 

「今日、風紀委員(ジャッジメント)の仕事があるのちゃんと覚えてるよね?」

 

 風紀委員とは学生達の志願制から選ばれる学園都市独自の治安維持機関だ。

 

 ちなみに大人の志願制から選ばれる人達は警備員(アンチスキル)という。

 

「あ・・・・・・ああ、モチロンっ!」

 

 若干那由他の語気が強いのは、以前恭助が仕事があるのをすっかり忘れていて、同じ支部の先輩に指導係の彼女共々大目玉を食らったことがあるからだ。

 

 指導係・・・・・・つまり歳は恭助の方が上だが、那由他の方が風紀委員になったのが早いので、彼女は風紀委員としては恭助の先輩ということになる。

 

「それって本当?」

 

 訝しそうにジト目で見てくる那由他の視線に目を泳がせる恭助。

 

 今の今まで完全に忘れていたのだ。

 

 さらに那由他から問い詰められそうになり絶体絶命と思われた時。

 

「あっ、ほら着いたぞ、那由他っ」

 

 丁度バスが那由多の降りる予定のバス停に着いて助かった。

 

 

 

 




 拙い文章をここまで読んでいただきありがとうございます。
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