とある正義の人間兵器《サイボーグ》   作:大器・晩成

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 2話目も手に取って(?)いただきありがとうございます。
 素人作のお粗末なものですが、楽しんで見ていただければ嬉しいです。


2話 とある三バカと常盤台のエース

 ここはとある高校。

 

 学力は平均より少し下回る、いわば落ちこぼれ学校なのだが。

 

「きーっ!相変わらずカミやんは今朝も女の子にフラグ建てたんか!」

 

「そうぜよー。第一級フラグ建築士の名に恥じない仕事ぶりだったにゃー」

 

「道でつまずいてこけそうになっていた子を受け止めただけで何を言ってんだよ。上条さんは今日も絶賛非モテ中ですことよ?」

 

「何やとカミやん!それはボクにケンカを売ったと受け取って良いんやなぁ!」

 

「よーし俺も加勢するぜよ青髪ピアス!」

 

「うわっ!やめろ、お前ら!ふ、不幸だーっ!」

 

「・・・・・・騒がしさだけならトップクラスだぜ、こいつぁ」

 

 三バカ(デルタフォース)が今日も例のごとく例によって、どんちゃん騒ぎをしている光景を見ながら独りごちる恭助。

 

 説明しよう!三バカとはっ

 

 青い髪・耳にピアス・本名不詳の三拍子揃った正体不明なうえ、挙げていったらきりが無い程ストライクゾーンが異常に広いエセ関西弁の変態!通称・青髪(あおがみ)ピアス

 

 金色に染めた髪・ゴツイ十字架のネックレス・私服はアロハというこれまた変人の三拍子が綺麗に揃った義妹ラブのシスコン兄貴!土御門元春(つちみかどもとはる)

 

 道を歩いてリアルに棒が当たるなんて当たり前!不良に絡まれるのも日常茶飯事っ!だがちゃっかり女の子にフラグを建ててしまっていたりする!そしてそれを全く自覚しない超鈍感!「不幸だ」が口癖のツンツン頭!みんなのヒーロー上条当麻(かみじょうとうま)

 

 の三人で構成された恭助のクラスに在籍する問題児集団である!

 

 と、恭助が脳内で三人組を面白可笑しく解説していると前触れもなく教室の扉が勢いよく開いた。

 

「コラーっ!うるさいぞ、お前らぁ!!」

 

 巨乳で美人のくせに色気の欠片もない仕切り屋の真面目ちゃん。我らが委員長(書類上の本当の委員長は青髪ピアスなのだが)、吹寄制理(ふきよせせいり)その人の登場だ。

 吹寄が次々と三バカを成敗していく(何故か一緒に成敗される不幸な上条)。

 

 流石のカミジョー属性(土御門命名)も吹寄には通じない。

 目も当てられないくらいボコボコにされている上条(何故か一番ダメージが大きそう)。

 

 吹寄は三バカを武力によって大人しくすると、振り返って今度は恭助の方を見た。

 

「おい相良ッ」

 

「何だよ、委員長」

 

 腰に手を当てた仁王立ちで、トレードマークである太く凜々しい眉を吊り上げながら呼び掛ける彼女に怠そうに応える恭助。

 

「俺は何もしてないぞ」

 

「なんで何もしないんだッ。お前は治安を守る風紀委員だろうッ?」

 

 そう言われ、成程、と吹寄が怒っている理由に気付く恭助。

 

「適材適所ってやつだよ。対三バカの適役はアンタだろ吹寄」

 

 それともアンタがさっき罪無き子羊(上条)にしたこととか指摘すれば良いのか?という台詞は何とか飲み込んだ。

 

 言ったところで理不尽なしっぺ返しを食らうのは目に見えている。しかし

 

「人を戦車か戦艦みたい言うてくれとるけどサガやんだってボクやカミやんのこと言えへんで!」

 

「は?」

 

「ボクは知っとるんや!サガやんが風紀委員の仕事と言いながら小学生の超絶ロリっ娘と手を繋いで散歩してるという事実をっ!」

 

「な、なんだってぇ!?」

 

 わざとらしくオーバーリアクションをする土御門。

 

「しかもその娘だけでは飽き足らず、行く先々でロリハーレムを作っとるんや!」

 

「ふざけんな!誰がロリコンだコラァ!那由他は新人風紀委員の俺に充てられた指導係で手を繋いでないと俺が勝手にどっか行くとか言って引っ張ってただけだし、お前が言うロリハーレムってのは単純にガキ共の面倒を押し付けられてるだけだっつーの!」

 

「へえーあの子、那由他ちゃんって言うんやね・・・・・・。今度紹介して一生のお願いっ!」

 

「誰がテメェみてえな変態に那由他を紹介するかっ!」

 

「なっ・・・・・・やっぱり独占欲の強いロリコンやないか自分ッ!」

 

「分かった。テメェそこに直りやがれぇぇぇェェェェッッッ!」

 

「二人とも静かにせんかぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァッッッッッッ!!!」

 

 結局ヒートアップした所を青髪ピアスと仲良く吹寄に成敗された恭助だった。

 

 

 

 

 

「ったく酷い目にあったぜ・・・・・・」

 

 吹寄にしばかれた後、恭助は三バカと一緒に罰として昼休みにこの炎天下で良い感じに加熱されているグランドの草むしりをやらされたのだ。

 

「(おかげで午後からずっとシャツが汗でベタベタだぜ・・・・・・)」

 

 本音を言えばこのまま直に帰ってシャワーを浴び、エアコンが効いた部屋で怠惰を貪りたい所だが、生憎これから風紀委員の仕事がある。

 

 流石に二回もサボればただでは済まないだろう。

 

 なのでせめて冷えた清涼飲料水を一杯ひっかけてから行きたいと思い、支部までの通り道にある公園に立ち寄った。

 

「(確かここに自動販売機があったはず・・・・・・)」

 

 探しているとすぐにそれは見つかった。しかし

 

「ちぇいさーっ!」

 

 今まさに謎の女子中学生がそれに美しい上段蹴りを食らわしていた。

 

 するとその自動販売機からジュースの缶が吐き出された。

 

 まさかでも、もしかしてでもなく器物損害及び窃盗の現行犯に会ってしまった。

 

 はっきり言って面倒臭いこと以外の何者でもなかったが、恭助は、ここは一応風紀委員の一員として厳重注意ぐらいはしておこうと思った。

 

「おい、お前」

 

 (くだん)の少女が恭助に気付いた。

 

「何よ、アンタ」

 

「何、じゃねぇだろ。いちいち言わなくても分かんだろ」

 

 犯行現場を見られ焦るでもなく戸惑うでもなく、むしろ悪びれもせず堂々としている少女に対し多少語気を強くする恭助。

 

 すると相手は成程と納得したように目を閉じ、開いて言った。

 

「アンタ、ナンパする相手間違えたわね」

 

「・・・・・・・・・・・・フゥ」

 

 とりあえず頭をひっぱたきたい衝動に駆られたが何とか自制する。

 

 そして彼は呆れ返ったようなジト目で彼女を見ながら、やる気の欠片も無い声で自分が思ったことを正直に言った。

 

「・・・・・・、お前はアレですか?自意識過剰とか中二病とかそんなんですか?お前の頭ん中に詰まってんのはウニかカニ味噌ですか?」

 

「んな・・・・・・」

 

 どうやら少女は自分が滅茶苦茶に罵倒されたことにショックを受けたようで一瞬呆然としたが、すぐに回復し激昂した。

 

「アンタ・・・・・・この常盤台中学の御坂美琴(みさかみこと)様に散々言ってくれちゃって、良い度胸じゃないっ!」

 

「は?常盤台?御坂美琴?」

 

 恭助はそのワードをどこかで聞いた覚えがあった。

 

「お前まさか、常盤台中学の『超電磁砲(レールガン)』か!?」

 

 常盤台中学とは学園都市でも三本の指に入る超名門お嬢様校で、40人以上大能力者(レベル4)、そして2人の超能力者を抱えている。

 

 ちなみに能力のレベルとは基本的に6段階まであり、

 

 全体の6割が属する、厳密には能力を持ってない訳ではないが顕微鏡クラスでしか事象を起こせない無能力者(レベル0)

 

 多くの生徒が属し、スプーンを曲げる程度の能力を発現できる低能力者(レベル1)

 

 低能力者と同じで日常ではあまり役に立たない異能力者(レベル2)

 

 日常では便利だと感じる程度で、能力としてはエリートに入る強能力者(レベル3)

 

 軍隊において戦術的価値を得られる程の能力を持っている大能力者。

 

 学園都市でも七人しかいない、一人で軍隊と対等に戦える程の力を持つ超能力者。

 

 に分けられる。

 

 そして常盤台の『超電磁砲』と言えば超能力者の(能力が生み出す利益が高い順で)第三位であり、学園都市の広告塔にもなっている超有名人である。

 

 恭助は頭を抱えたくなった。そんな人物がこんなチンケな犯罪を起こしている事実に。

 

 そんな恭助の様子を怖じ気づいたと勘違いしたらしい御坂はフフンと勝ち誇ったかのように、無い胸を張る。

 

「今すぐさっきバカにしたことを謝ったら許してあげても良いわよ?」

 

 相手が自分より強い相手かもしれないことをまったく考慮していないセリフだった。

 

 別に恭助が実は超能力者の一人だったのだとかいうことはないのだが、例えいくら強い能力を持っていようと実力の未知数な初見の相手を見くびるのはあまり感心出来なかった。

 

「(だからと言って、やることは変わらねぇがな)」

 

 そう独りごちると恭助は御坂をまっすぐ見据えて一歩前に足を踏み出した。

 

「御坂美琴っ!お前を器物損害及び窃盗の現行犯で逮捕する!」

 

「・・・・・・は?」

 

 どうやら現状理解出来ていない御坂は間の抜けた声を上げるが関係ない。

 

「俺はこう見えても風紀委員だからな。卑劣な犯罪は見過ごせないんだよ」

 

「え、なっ、ちょっと!?」

 

 さっき自分でチンケな犯罪だと思ったばかりだが、例え缶ジュース窃盗でも犯罪は犯罪。しかもよくよく考えたらさっきの慣れた手際(足際?)。常習犯に違いないだろうと判断した恭助だった。

 

「ったく残念だぜ。憧れの超能力者の一人をこの手でとっ捕まえなきゃいけない日が来るなんてな」

 

 実際には恭助自身は特に超能力者になんぞ憧れてもいないし気にもしていない。むしろ憧れているのは・・・・・・。

 

「ちょっと待ちなさいよアンタ!本当に風紀委員なら証拠見せなさいよ!」

 

 まったくもって往生際が悪いと思いつつ、そう言えば自分がまだ盾印の風紀委員の腕章を付けていないことに気付き鞄を漁る恭助。

 

 しかし、腕章はなかった。

 

「何てこった・・・・・・また那由他に叱られる・・・・・・」

 

 自分が目の前の超能力者よりも一応上司の小学生に怒られることを真っ先に懸念していることにどうにも形容しがたい気分になる恭助。

 

「フ、フフン。証拠がないんじゃあアンタを風紀委員とは認められないわねっ」

 

 途端元気を取り戻す御坂。

 

「ハっ、ならテメェの首根っこ掴んで善良な一般人として風紀委員の詰め所に連れて行くまでだっ!」

 

「んなッ?アンタ正気?超能力者相手に勝負挑もうってのッ?」

 

 御坂はバカにしているのではなく驚いて、むしろこちらを心配する素振りをした。

 

 そんな所は自分より弱い能力者を見下すタイプの高位能力者とは違うようだった。

 

 彼女はもしかしたら根は善良な人物かもしれない。

 

 だが、恭助はそんな御坂の態度に何故か苛立ちを覚えた。

 

「超能力者だろうが何だろうが知ったことか。そもそも統括理事会がくれた権限なんてそこまで信用していねぇしな」

 

 統括理事会とはこの学園都市の政治を司る所だ。

 

 しかし恭助は知っていた。その統括理事会は自分達の利益のため意図的にこの学園都市の『闇』を隠蔽していることを。

 

 この町に住んでいるほとんどの者はそれを知らない。

 

「えっと、それって風紀委員のアンタが言って良いことなの?」

 

 御坂もその一人のようだ。不思議そうな様子で困惑している。

 

「そんなことはどうでも良い。大人しく投降するならそれで良い。だが、来るなら来い。相手になってやるぜ、超能力者!」

 

 そんな御坂を無視し宣戦布告をする恭助。

 

「はっ、誰が降参するもんですか。売られたケンカなら買ってあげるわ!」

 

 スイッチを切り替えたらしい御坂も勝ち気な態度で応えた。

 

 戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

 

 

 




 感想・評価・批評など等、お待ちしております。
 では、次回までごきげんよう。
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