とある正義の人間兵器《サイボーグ》   作:大器・晩成

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 剣科が密かに胸に秘めている覚悟と、恭助と那由他の過去が明らかになった前回。

 虚空爆破事件の犯人に狙われた恭助と初春の命運はいかに!?

 どうぞ皆様、最後までごゆっくりお楽しみください。


7話 悲痛な咆吼と忌まわしき解放

 恭助と初春の携帯端末が鳴ったのはほぼ同時だった。

 

 その内容も似たり寄ったりのものだった。

 

 やはり、恭助が感じた視線は爆弾魔のものだったようだ。

 

「落ち着いて聞いて下さい。犯人の次の標的が分かりました。・・・・・・この店です」

 

 初春が御坂と佐天に対して冷静に事情を説明する。

 

「なっ・・・・・・何ですってッ?」

 

 それを聞いた御坂が目を見開く。

 

 続いて初春は御坂に協力を仰いだ。

 

「御坂さん、すみませんが避難誘導に協力して下さい」

 

「わかった」

 

 初春の頼みをまだ少し動揺を残しながらも了承する御坂。

 

 それを受け、初春は佐天の方を向く。

 

「佐天さんは避難を」

 

「あ・・・・・・うん」

 

 佐天は初春の言葉に、密かに逡巡しながらも頷く。

 

「・・・・・・初春も気を付けてね」

 

 佐天は無能力者である自らの無力さを改めて感じつつ、そう友人に伝えた。

 

 初春は決意に満ちた目で頷くと、セブンスミストの店員にも避難誘導に協力して貰うため、御坂と共に駆けだした。

 

「佐天さん」

 

 走り去っていく初春達を見ながら、手の届かないどこか遠くの場所を見るような目をしている彼女に誰かが優しく声を掛けた。

 

「・・・・・・相良さん」

 

 佐天は力無くゆっくりと、声のした方向に振り返る。

 

 そこにはたった今電話を終えた相良恭助がいた。

 

「佐天さん。気持ちは分からなくもないけど、別に初春さんは佐天さんが足手まといだから協力を求めなかった訳じゃないんだ、と俺は思う」

 

「え・・・・・・」

 

 心中を言い当てられたことで無意識の内に声が漏れた佐天。

 

「確かに万が一何かあった時、佐天さんと御坂、どっちがより確実に対処出来るかって言えば、きっとそれは超能力者の御坂だろう」

 

「・・・・・・、」

 

 自分でも分かっていた、その現実的な意見を他人の口から聞いて肩を落とす佐天。

 

 しかし彼はこう続けた。

 

「でもだからといって、例え御坂が優れていたとしても、それは佐天さんが劣っている証明にはならない」

 

「・・・・・・、」

 

 佐天は声を上げることさえ出来ず顔を見上げ、恭助の真剣そのものの顔を見る。

 

 冗談かと思ったがそうでは無いのだと知る。

 

「人は万能にはなれない、完璧にはなれない、完全にはなれない、人は人である限り逆立ちしたって神にはなれない。人は自分が思っているより弱くて不完全で脆い。だから人は人とつながって補おうとする、自分に足りない何かを・・・・・・」

 

 少年は静かに述べていく。

 

 少女は静かにそれを聞く。

 

「勿論、御坂だって万能じゃない。超能力者っていう称号は言ってしまえば()()()()()()()()()()()()()のものでしかない。御坂にだって出来ないことはあるし、もしかしたら佐天さんが当たり前のように出来ることでも、アイツには出来ないことがあるかもしれない。逆に御坂と佐天さんで大差ない所だってあるだろうしな」

 

 『能力の強度が高いのなんて、能力が強いということでしか無い』

 

 およそこの超能力者の町である学園都市の人間から出た言葉とは思えない台詞に愕然とする佐天。

 

「相良さん・・・・・・それは・・・・・・」

 

「理想論なんかじゃない、()()()

 

 恭助は佐天の言葉を遮り、そうはっきり断言する。

 

 それは高位能力者に憧れる佐天の夢を、否定するように受け取られるかもしれない。

 

 だが、恭助は甘やかせて慰めるために言っているのではない。

 

 能力至上主義のこの町の偏向した考えに流され、佐天が自分を見失ってしまわないように諭すために言っているのだ。

 

 勘違いをしたままにして、佐天に失敗して欲しくない。

 

 単純な力だけで全てが上手くいく程、この世界は甘くないのだから。

 

 恭助は何度もそれを実感してきた。

 

 あの真っ暗な『闇』の中で。

 

「つまり、佐天さん。アンタには『風紀委員』の初春さんにも『超能力者』の御坂にも出来ないことがある。それは『みんなの帰る場所』になることだ」

 

「・・・・・・『みんなの帰る場所』?」

 

「そうだ。初春さんや御坂が事を片付けて帰る場所、あの二人が今、守ろうとしている日常の象徴になること。これは立場や個人の思想で最前線に立つアイツらにはなれないし、そしてアイツらにとって最も大事なものだ。佐天さんにしか、出来ないことだ」

 

 何時になく真剣な口調でそう言う恭助。

 

 佐天はそれを聞いて、困ったように笑う。

 

「・・・・・・なーんか、そう言われると、それってとっても重要な立場ですよね。正直、私なんかで務まるのかなぁ・・・・・・」

 

 自信なさげにそう言う佐天に軽く、優しく言い聞かせるように言う。

 

「別に深く考えることはねぇよ。佐天さんはただみんなが帰って来た時に、いつも通り笑って迎えてくれれば良いんだ。アイツらもきっとそれを望んでるからさ」

 

 そう言い微笑んだ恭助を見て、佐天は納得した。

 

 彼が風紀委員をしている、人を守るために戦う理由を知ったから。

 

「・・・・・・相良さんは、どうしてそう言い切れるんですか?」

 

 佐天はその予想が合っているか確認するために、静か物腰でそう問い掛けた。

 

「俺も、そんな『日常(帰る場所)』を守るために風紀委員をしているからだよ」

 

 そしてその答えを聞き、佐天は無意識の内に穏やかな笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 セブンスミストは『店内で電気系統の故障が発生したため』本日の営業を中止した。

 

 勿論、それはパニックを避けるための詭弁である。

 

 初春から事情を聞いた店員がアナウンスでそう流したのだ。

 

 おかげで、我先に逃げようとして逆に二次災害が起こるなどということもなく初春・御坂・恭助の三人は滞りなく店内にいる人達を避難させることが出来た。

 

 店内にいる客がいなくなった後、店員や御坂も避難した。

 

 初春と恭助は風紀委員として逃げ遅れた人がいないか確かめるため残っている。

 

 だが、

 

「(犯人が狙うとしたら、間違いなくこのタイミングだよな・・・・・・)」

 

 恭助は初春と同じく重力子の爆発的な加速がこのセブンスミストで確認されたことを聞いた後、電話相手の剣科から犯人と思しき人物の情報を聞いたのだ。

 

 ・・・・・・恐らく、突き止めた本人であろう那由他から直接連絡が来なかったのはまだケンカの真っ最中だからだろう。

 

 またも少しナイーブになった自分を「()()()してるから()()から電話が掛かって来た」などという本人達が聞いたら激怒しそうなシャレで鼓舞しつつ、恭助は自分のスマートフォンの画面を見る。

 

 そこには眼鏡をかけた痩せ気味の男子高校生の写真が映っていた。

 

 名を介旅初矢(かいたびはつや)

 

 那由他が突き止めた今回の事件の犯人である可能性が最も高い人物。

 

 事件の犯人が使った能力と思われる『量子加速(シンクロトロン)』の能力者である。

 

 しかも、爆発があった場所は彼の学校の周辺や日頃の行動範囲内らしい。

 

 ならば何故今まで見逃されていたのかというと、彼の能力の強度がレベル2相当しかなかったためらしい。

 

 確かに、これでは状況証拠があっても、そもそも事件が起こせないことになる。

 

 しかし那由他はこの問題を解決する、ある仮説を立てた。

 

 

 それは『幻想御手』またはそれに類ずる物の実在である。

 

 

 これなら短期間でレベルが上がったとしても説明が付く。

 

 突拍子も無い考えのように見えるが実際このように『書庫(バンク)』と呼ばれる能力のレベルも含めた学生の個人情報が載っているデータと噛み合わない強度の能力を使う犯罪者が起こす事件が、最近になって数件確認されているようだ。

 

 この情報を得た後、恭助は初春と二人きりなったタイミングを計ってこのことを彼女に伝えた。

 

 恭助はとなりにいる初春を一瞥しつつ、その時のやり取りを回想する。

 

 

 

「・・・・・・ということなんだ初春さん。つまり、犯人の今回の狙いは俺と初春さんってことになる。だから初春さんは先に避難しててくれ。確認は俺一人で十分だから―――――」

 

「・・・・・・いやです」

 

「え?」

 

「私は風紀委員であることに誇りを持っているんです。だから途中で投げ出したりしませし、そもそも危険は覚悟の上です。それに私には同じ風紀委員の仲間をそんな危険な場所に残して自分だけ安全な所へ逃げるような真似は出来ません」

 

 初春は最初こそ驚きはしたが、恭助の提案を間髪入れずに断った。

 

 例え力は無くとも、“自分が信じる正義”は絶対に曲げない。

 

 それが彼女の風紀委員としての覚悟。

 

 それが彼女の風紀委員としての矜持。

 

 初めは気絶させてでも彼女だけは避難させようと思った恭助だが、揺るがない初春の瞳を見て、最終的に彼の方が折れた。

 

 そして、恭助は彼女にこう宣言した。

 

「・・・・・・、分かったよ。でもその代わり、安全のために二人で行動しよう」

 初春さんは俺が絶対守る、と。

 

 

 

 さて、つまりそういう経緯があっての現在である。

 

 恭助は五感の神経を研ぎ澄ましながら、人がいなくないことでさっきまでの賑やかさとは真逆の不気味な静けさを漂わせる店内を捜索した。

 

 それは避難し損ねた人いないか確認するためでもあるが、同時に爆弾魔に対する警戒でもある。

 

 恭助が一段と警戒している理由は、今回の爆弾魔の手口が分からないからだ。

 

 以前にもこのように建物内に爆弾が仕掛けられることはあったが、あくまでコンビニなどの空間に被害が行き渡る狭い場所だった。

 

 しかし、今回のセブンスミストは一つのフロアだけでもかなりの広さである。

 

 これでは今までのように爆弾を仕掛けても、ターゲットを風紀委員に絞るには正確性が足りない。

 

 そのため、

 

 爆弾魔が直接、爆弾を投げるなりして襲って来るのか?

 それともセブンスミスト全体を丸ごと吹き飛ばす程の爆発を起こす気なのか?

 はたまたターゲットを爆弾付近に誘導する緻密な罠を用意しているのか?

 もしくはそのどれでも無いのか?

 現状では情報が足りないため、恭助達には予想し警戒を怠らないよう慎重に前進するしか出来ない。

 

 そんな危険な状況で、恭助は傍らにいる少女のことも気に掛けていた。

 

 捜索を開始してしばらくは少しだけ会話を交わしていた二人だったが、今は二人ともほとんど会話らしい会話をしていない。

 

 状況が状況で呑気に会話をする余裕も必要性も無く、二人の足音以外の音が無い分、普段なら聞き逃しそうな小さな音を聞き取ることも可能だが、初春にとってこの耳が痛くなりそうな程の静寂は精神的に辛いのでは、と恭助は考えていた。

 

 さっきは堂々と自分の覚悟を示したが、彼女は軍人でも対暴走能力者専門の警備員でもない平凡な中学生の少女である。

 

 この緊張感の中、むしろ平然としていろという方が酷だろう。

 

 ここまで風紀委員としての責務を忘れず行動した時点で、充分賞賛されるべきことなのだ。

 

 そう、

 

 『彼女のような素晴らしい人は、こんな所で犠牲になるべきではない。』

 

 『そんな危険は自分のような救いようのない存在が背負えばいいことだ。』

 

 それが恭助の出した『答え』だった。

 

「(今までのフロア、今俺達がいる階よりも下の階は俺の洞察力と感覚が正しければ、俺達以外の人間も罠も無かった。断言は出来ないが、おそらく安全だろう)」

 

 彼はそうやって現状を確認すると、『それ』を行動に移すため、どう彼女を言いくるめて二手に分かれ、彼女の方をここより下の階に行かせるか思考しようとした時だった。

 

「お姉ちゃーん!お兄ちゃーん!」

 

 今まで閑散として限りなく無音だった空間に幼い少女の声が響いた。

 

 少女は何故かさっきまで持ってなかったカエルのぬいぐるみを両手で抱き抱え、無邪気な笑顔を浮かべながらこちらに走り寄ってくる。

 

 突然のことで身構えた二人だったが、声の主がさっき上条と一緒にいた女の子と知ると、ホッと胸をなで下ろした。

 

 同時に恭助は少女の安全を確保するという名目で初春と少女の二人を避難させることが出来るのではないかと思い立った。

 

 それは守りたい人達を二人同時に危険から遠ざけることが出来る名案だったが、守りたい人を守るために同じく守りたい人を利用するという自分の思考回路に彼は激しい嫌悪感を覚えた。

 

 その結果、反応が遅れた。

 

「(・・・・・・え?『()()()()()()()()()()()()()()()()カエルの()()()()()』?)」

 

 恭助が違和感に気付いた頃には、少女は彼らの目の前まで来ていた。

 

「メガネをかけたお兄ちゃんが、お姉ちゃん達に渡してって。ハイっ」

 

 少女は屈託の無い笑顔で初春にそのぬいぐるみを渡した。

 

 完全に警戒心を解いた初春も先程までの張り詰めた表情から一変、柔らかな微笑みを浮かべて()()を受け取る。

 

 しかし、対象的に恭助の顔には瞬く間に緊張が走る。

 

「(なッ!『()()()()()()お兄ちゃん』だと―――――ッ!)」

 

 恭助が慌てて初春からぬいぐるみを取り上げようとしたのと、初春が持っているぬいぐるみの顔がまるで強力な引力によって内側に吸い込まれるように歪んだのはほぼ同時だった。

 

「(クっ・・・・・・ソがぁ!)」

 

 恭助は予想外の出来事で思考に一瞬の空白が出来たため手に握力が宿ってない初春からぬいぐるみを難なく奪い取りながら心の中で強く罵倒した。

 

 考えたくもないような卑劣な手段を実行した犯人を、そして頭の端には浮かんでいたのにそれに対して事前に対処出来なかった自分自身を。

 

 今回、爆弾魔が使った手は恭助が予想した手口の中で最も成功率・正確性が高く、そして最も唾棄すべき最悪の手段だった。

 

 『何も知らない無関係な人間に運び屋をさせる』

 

 確かにこれなら相手にターゲットの分かり安い特徴を言えば(この場合、風紀委員の○○な人で充分だろう)、後はプレゼントだの何だの適当に理由付けすることで自動的にターゲットの所まで行くミサイルが出来上がる。

 

 後はある程度時間が経ってから爆破させればいいだけ。

 

 疑うことを知らない純粋で幼い子供なら、ターゲットの警戒心を和らげる効果も有るから一石二鳥。

 

 顔を見られてもターゲットごと爆弾で吹き飛ばせば問題ない。

 

 全くもって、実に合理的で素晴らしい策だ。感動のあまり反吐が出る。

 

「(チクショウ・・・・・・ッ!)」

 

 もうすでに爆発の前兆は始まっている。

 

 避けられない自他の命の危機に、思考が加速する感覚。

 

「(どうする・・・・・・このままじゃ・・・・・・)」

 

 三人とも爆弾が爆発して死ぬ。

 

 今まで死傷者は出ていなかったが今回は違う、と恭助の直感が警鐘を鳴らしている。

 

 彼の直感は、こういう嫌な予感に限ってよく当たる。

 

「(死ぬ・・・・・・初春さんも、この子も、・・・・・・・俺も、・・・・・・全員ッ)」

 

 きっとそれは数秒もしない内に現実になるだろう。

 

 彼らの生命をたった今、断とうとしている者の顔を見ることも、その人物にここまでさせた動機を知ることも出来ず、何も分からぬまま。

 

 だが、恭助はそのことに恐怖も絶望もしなかった。

 

 ただ、納得した。

 

 あんな取り返しのつかないことをしてしまった自分はどうせロクな死に方は出来ないだろうと思っていた。だから自分が惨めに死ぬ分は許容できた。

 

 でも、

 

 しかし、

 

 だからといって、

 

 咎人である自分はともかく、何の罪も無い彼女らまで、こんな訳の分からないことで死なすわけにはいかない。

 

 彼女達がこんな所で残酷に人生を終える理由は無いのだから。

 

 それだけは、決して、許容することは出来ない。

 

「(・・・・・・ステージⅠ・解放(オープン)―――――ッ!)」

 

 故に、今、この時だけは、この忌々しい右腕の力を借りさせて貰う。

 

 その『黒き破壊(カオスデストロイヤー)』なる悪趣味でふざけた識別名(コード)を持つ過剰なまでに破壊と殺戮に特化した腕の力、その片鱗。

 

「ぉおォぶっ飛べぇぇぇぇぇェェェェェェェェ―――――――――ッ!!!!!」

 

 彼の右腕を包んでいる精巧な人工皮膚の内側から、ブゥーンという蚊の羽音ほどの機械音。

 

 右腕に内蔵されている人工筋肉(アクチュエータ)に封印されていた『力』が目覚めた音だ。

 

 それにより彼の右腕に、人の域を超えた爆発的な膂力が宿る。

 

 恭助は初春の手からもぎ取った、爆発物と化したぬいぐるみを、そのままピッチングマシンのようなデタラメなフォームで投擲した。

 

 それは右腕の膂力が上乗せされたことにより、砲丸投げの世界記録を塗り変えかねない勢いで飛んでいく。

 

「(・・・・・・ッ!間に合わない!)」

 

 だが、おそらくこのままでは放物線の半分もいかない地点で爆発する。

 

「(こうなったら俺自身を盾にしてでも守るッ!)」

 

 安全圏には程遠いが、それでもかなりの距離に遠ざけることが出来た。

 

 恭助は、女の子を守るためにその子に覆い被さっている初春の上から更に彼女らを包み込んだ。

 

「(クソったれの神様。俺はどうなってもいい。せめてコイツらだけでも・・・・・・)」

 

 ガラでもなく、最後に相良恭助は神に祈った。

 

 直後、猛烈な爆音と熱風が彼らを包み込んだ。

 

 その爆発。正しくは、アルミを基点に加速させることで周囲に放出された重力子は、容赦なく少年少女ら三人に襲い掛かり、床や天井、商品である服や照明器具など、周囲にあるありとあらゆる物体ごと彼らを飲み込み、吹き飛ばした。

 

 

 ・・・・・・そのはずだった。

 

 

「・・・・・・?」

 

 そこでようやく恭助は気付いた。

 

 確かに爆発音はした。

 

 肌を炙るような熱風も受けている。

 

 しかしそれだけだ、ということに。

 

 本来ならばそれらを知覚する間もなく受けるであろう破壊が、自分達の身に及んでいないことに。

 

「(助かった?でも一体、何がどうなっているんだ・・・・・・?)」

 

 恭助は眼球が干上がりそうな熱風に目を細めながら後ろを振り向いた。

 

 そこには・・・・・・。

 

 

 

 




 今回は佐天のちょっとした救済や初春の覚悟、恭助の心理描写や葛藤を書いてみました。
 特に恭助の心理描写での台詞から、彼の異常なまでの自己嫌悪を感じ取ってくれたら作者も色々頑張って頭を捻った甲斐があります。
 最後に出てきた厨二ネームですが、ただ格好いいから・・・・・・という理由ではありません。ちゃんとあんな『悪趣味でふざけた』ルビを打った理由はあります、メッチャ考えました(でも、あんまり期待させ過ぎてがっかりさせてしまうのは申し訳ないので、あまり過剰な期待はしないでください)。
 さて、長かった虚空爆破事件編も終盤に差し掛かりました。次回もよろしくお願いします。

 
 
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