霧雨魔梨沙の幻想郷   作:茶蕎麦

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第三十九話

 

 

 

 博麗霊夢は自分の持つ能力のことをよく、空を飛ぶ能力ね、と口にしている。それは何処までも正しい事実であるが、それだけでなく、彼女は博麗の巫女としての能力も確りと修めていた。

 空を飛んで陰陽玉を操り、御札と針を持ってして弾幕戦を行う。脇が甘いところを最期まで気にしていたが、それでも先代巫女が皆伝を認めるくらいには、霊夢は達者な存在である。

 弾幕ごっこでは後塵を拝しているが、古式に則った妖怪退治の腕では魔法に拘る魔梨沙を上回っているのに違いなく、人里でも異変解決はともかく、難しい妖怪関係の事件があったら霊夢にお鉢が回ってくることも多々あった。

 しかし、そんな中でも霊夢には決して回されることのない仕事がある。それは、風見幽香に関する諸々。そこには、幽香に対する里人の畏怖と、一度異変にて彼女を退治したという魔梨沙の判断に所以があった。

 

「あの妖怪、ちょっと強すぎるわー。あたしは相性が良かったからいいけれど、霊夢だったら下手をしたら再起不能にされてたと思うの。それこそ、【歴代の巫女】の一部みたいに。霊夢はまだ、手出し厳禁ということにしておいてねー」

 

 そんな言葉があったのか無かったのかは、里のお偉いさん方しか知りようがない。だが、現実に、主に幽香が持つ最強という称号を気に入らない小人共に絡まれることでしばしば起きる問題において、その解決をするのは魔梨沙の役目となっていた。

 それは、スペルカードルールが浸透しきった今であっても、変わることはない。だから、霊夢は風見幽香という存在を伝聞でしか知らず。

 こうして、霊夢が幽香の前に立つことが出来たのは、その無知に依っていたのかもしれない。

 

 

 

 風一つ。それによって一様に頭を傾げさせる春に咲いた夏の花を認めながら、幽香は空から降りてきた霊夢を見た。

 まず、赤白際立つその衣服が目を引いたが、力篭められた巫女と同色の陰陽玉を八つも使役しているところ等はそれ以上で、幽香にとってすら驚きのものである。

 

「あら。その二色をそんなに沢山使えるというのは凄いわ。聞いていた以上に、貴女は博麗の巫女としての完成度が高いみたいね」

「ふん。これくらい、私にとっては片手間よ。そんなことより、今回の花が溢れている異変、あんたのせいなんでしょ? 風見幽香は魔梨沙から花を咲かせる妖怪だと聞いているし……そうでなくても、何となくあんたが犯人のような気がするわ」

「シャーマンとしての本能も高く備えている、と。これは少し楽しみね」

 

 なるほどと、日傘を遊ばせながら喜びを見せる幽香に、霊夢は強者の匂いを嗅ぎ取って眉をひそめた。

 霊夢は魔梨沙に対抗心があるために、異変を早く解決することに関してやる気を見せるが、しかしその内容が険しくあることまでは望んでいない。

 根っから霊夢は面倒くさがりだ。楽して実を取る方策を好んでいて、魔梨沙のように困難を楽しむような気は更々なかった。もっとも、自分が制定したスペルカードルールに基づいた弾幕ごっこが嫌いなわけではない。

 まあ、より弾幕ごっこを楽しめる相手だと思えばいいかと、霊夢は無理に考えることにした。

 

「反応から、間違いないと思うけれど、一応言質を取るわ。風見幽香、あんたが今回の異変の犯人でいいのね?」

「ええ、そうよ。博麗の巫女」

「むっ、私は博麗霊夢よ。あんたを地にひれ伏させる名前なんだから、覚えておきなさい!」

「魔梨沙の話は聞き流していたから覚えていなかったけれど、今代の巫女は霊夢、というのね。そういえば、先代は何と言ったかしら? 避けられていた節があるから、分からないわ」

「いいから、ちゃんと私を見なさいよ!」

 

 相手のマイペース振りに苛立ち、思わず霊夢はその手に持っていた御札を投じる。目に止まらぬ、といった程ではないがかなりの速度で向かった赤い一枚は、しかし音も立てずに動いた幽香を掠めることすら出来なかった。

 予備動作の確認どころか殆どこちらを望んでいなかったというのに、この回避力。面倒くさい相手だと、霊夢は内心げんなりしながら宙に浮く。

 追うように幽香も飛んで、向日葵畑の空にて二人。青空にて、結構赤い二人は大いに目立った。

 外の世界の幽霊たちは、空を飛ぶ存在が物珍しいのかまとわり付くように周囲で蠢く。異変にあてられた妖精達も、目標物が見つかったからか、妖弾を投じて来たりした。

 しかし、そんな雑魚達相手には慌てず騒がず。二人は互いだけ見て、最小限の動作で自分に向けられた攻撃などを避けていく。

 相手のその達者な様に、お互いに少しばかり驚きを見せる。そして、幽香は嬉しそうに笑み、霊夢は嫌そうに眉をひそめた。

 

「メイドと違い、見ずとも全体を望めている……益々楽しみね。ひょっとしたら、私もスペルカードを使う機会があるかもしれないわ」

「後で言い訳されても困るから、忠告しておくわ。変にスペルカードを大事にしていると、抱え落ちするわよ?」

「そうなったら、ただ弱かったというだけのことよ。私は強いから、そんなことはあり得ないのだけれど」

「私が言うのもどうかと思わないでもないけれど、魔梨沙に負けてる癖して、随分と自信があるのね」

「あの子ったら本当に口が軽いのね。もしかして、私に勝てたことがよっぽど嬉しかったのかしら?」

「知らないわ。ただ、一番強かった相手、と聞けばあんたの名前が出てくるのよ」

 

 霊夢は、声に不満げな色を載せている。それは、口にした魔梨沙の表情を思い起こしたためか。ひょっとすると、姉貴分の一番に、自分がいないがための不機嫌なのかもしれない。

 難しい弾幕、工夫されたスペルカード。縦横無尽に飛び回る魔梨沙が味わった多種多様を天秤にかけることは出来ない。それに、弾幕の創造力だけでごっこ遊びの腕が決まるわけでもなかった。

 だから、順位付けするとするならば、回避力も含めたそのバランス。そして、その全てが飛び抜けていた相手がいたら、迷わず推すのが当然のことだろう。

 そう、風見幽香こそ、最強と。

 

「あの子も分かってはいるのね。そう――私は魔梨沙の最強。霊夢、貴女程度で私に届くと思って?」

 

 実は、幽香は別に自身を誇示することが趣味ではない。ならば今こうして片目を瞑りながら最強と嘯くのは何故か。

 それは幽香の内にある大妖怪の水準を軽々と超えた力が、作用している。その全ては、明らかに逸して知らず彼女を頂点に誘って他を下に見せる。

 そう、ただ幽香は事実を語るのが苦ではないだけなのだった。

 

「全く。どいつもこいつも私を差し置いて、順位付けして。いいわ。ちょっと本気を出してあげる」

 

 しかし、そんな言葉を霊夢は認められない。魔梨沙の一番は私だと、発奮する。二枚のスペルカードを取り出して披露し、そうして本格的に御札を投じ、弾幕ごっこを開始させた。

 静かに笑って応じる幽香の手は空である。そして、そのまま彼女は宙に花束を創って渡す。白い花冠に黄色い管状花。

 白い花が二つでひと束。それを連続して放つのが、幽香の基本的な弾幕のようだ。花びらの一枚一枚までもを美麗に創り上げられた数々。避けるに容易い直線的に狙ってくるそれらに篭められた力を覗いた霊夢は、瞠目する。

 

「なによ、それ……一発でも当たれば怪我しちゃうじゃない。重ねられた力が過剰だわ」

「ふふ。ならばこのくらい、当たらなければいいのではなくて? ひょっとしたら、自信がないのかしら」

「上等。この程度の弾幕に負けるようなら、博麗の巫女失格よ」

 

 そして、霊夢は幽香の挑発にまんまと乗っかり、橋渡すように真っ直ぐ白で埋められた最短距離を避けて、迂回しながら紅の御札を相手に投げつけていく。

 大量の赤と白は、寸でで横に避ける目標から僅かに外れて、青空に斜線を描いた。避けながら二人は右周りに回って行き、やがて先に相手が居た位置にまで着いてから、一斉にその動作を変えていく。

 花は急激に増えて放射状に散っていき、花束を突き出されたかのように霊夢の逃げ場を狭める。御札は相手に自動追尾する種類のものが混じり、幽香の近くで次々と爆音を響かせた。

 

「いいわね。ちゃんと裂かれた空を恐れず飛べている。流石は魔梨沙自慢の妹分ね」

「効いていない……というよりも、当たってない? どうなっているのよ……」

「こう見えて、私は曲芸も得意なのよ」

 

 しかし、そんな騒がしい空にて互いは傷つかない。大いに妖精は墜ちていくが、それに目もくれず、幽香と霊夢は相手の飛行を見つめる。

 ゆっくりと、そしてひらひらと。舞っているかの如くの美しき回避は二人似ているものがあった。だがしかし、その実全く種類の異なるものであると、霊夢は認める。

 爆風の中、散るように飛ぶ幽香に垣間見えるのは、余裕。それは、力を込めて弾の間に出来た空を飛んでいる霊夢とは違う。

 美しくあるように飛んでいるだろう幽香の所作には無駄がある。けれども絶対に命中する筈の弾が彼女にダメージを与えることはない。それが、霊夢には不思議にすら思えた。

 

 霊夢が使役する御札のバリエーション、追尾するタイプのものは霊夢が相手目掛けて遠隔で動かしている訳ではない。命令された通りに力に向かって自動に行くものだ。

 それが身に迫ることは避けられない。だから、本来ならば何らかの障壁で受け止めるのが基本的な対処。魔梨沙のように、力の隆起を計ることで炸裂を事前に察知してその瞬間だけ身体を離すという方法など、普通は採れるものではない。

 しかし、風見幽香は平然とそれを成す。そこには、力に対して敏な部分が透けて見えて、益々霊夢の眉根は険しくなった。

 何しろ、そのような相手には、ろくに勝った覚えがないのだから。

 

「困ったわ。全然違うけれど、どこか魔梨沙と似てるわね、あんた」

「……そうね。認めたくはないけれど、その指摘は正しいのかもしれない。あの子を見ていると、昔を思い出して、少し苛々してしまうことがあるのよね」

「そういう意味で言ったんじゃなかったんだけど……まあいいわ。いくわよ、霊符「博麗幻影」!」

 

 思わぬ独白を受けて霊夢は鼻白むが、しかし効果がない攻撃などもう止めだと、手始めに一枚スペルカードを提示した。

 まず生み出されたのは、霊力によって創り出された霊夢の幻影。それがお祓い棒を振り上げた時に、激しい弾幕は始まる。

 都合二人分の霊夢によって張られた赤い御札の群れは、僅かな隙間しか残さないまま二箇所から三重に広がり周囲を埋め尽くしていく。お目出度い色合いに包まれながらも、それに包まれた途端に起きるのは、厄日のような忙しさ。

 二つの放射が重なり交差を多分に作るがために、隙間探しの難易度は非常に高い。だがそこは幽香、難なく道を見つけて慌てずそこを通う。

 もっとも、抜けられることは霊夢も読んでいたのだろう。丁度二人の彼女がそこに向けて放った弾があった。それらは、一時青空を円状に広がった白き御札の群れ。数多の白は十分に広がってから、二頭の蛇と化して幽香に向かう。

 

「あらあら。これは中々大変ね」

「っ、やっぱりここまでは避けるか……でも、そのくらいは織り込み済みよ! これで、どう?」

 

 まあ幽香が、蛇程度に驚くこともなく。過多なほどにその身を巡る妖気がグレイズの音を奏でるのを聞きながら、隙間を探すその目鋭く、しかし微笑んで彼女は高難度を楽しむ。

 そんな笑みに苛立つ一人の霊夢が直接向けたのは連なる赤粒弾。そして、もう一人の霊夢が放ったのは白粒と赤粒が弧を描いて広がり所定の位置で交わる弾幕。

 更には霊夢の周りにあった八つの陰陽玉が力を篭められたことによって大きさを増し、大玉弾としてランダムに宙を転がっていった。

 紅白が入り混じった空は、まるで慶事の宇宙。複雑に発せられた二色は、先読みを拒絶して、瞳に煩く主張し近くの隙間を忘れさせる。

 

「ふふふ。これは、本気で避けないといけないわね」

「くっ!」

 

 まるで弾幕が月光に狂わされているかのように、入り混じりその行方を不明にさせた、凄まじき難易度。これは、下手をしたら避ける事に失敗するだろう。

 僅か、体が緊張するのを感じる。しかし、だからこそ幽香は笑うのだった。

 それは、必死に弾幕を張る霊夢をあざ笑い、そしてなにより自身の弱さを笑い飛ばすため。魔梨沙の狂笑とは異なるものである。しかし、その笑みはまた霊夢の琴線に触れた。

 

 もう、霊夢の弾幕は幽香の身に迫り、掠めた後に辺りで散華している。決して、勝つのは不可能ではない。打倒できる相手だ。

 幽香の創る花弁など、二重の弾の渦中に掻き消されて届きもしない。圧し続ければ、或いは。それを信じられないのは、激しくうねる胸中の波に拠っていた。

 耐えられなくなり、霊夢は手を下ろしてから、幻影を消す。途端、届くようになった白い花を避けながら、ポツリと彼女は呟いた。

 

「これじゃ、駄目ね……」

「とても楽しい弾幕だったのに、どうして止めてしまったの?」

「このままじゃ勝てないと感じたからよ。無駄だと、思ってしまったの。だったら、次を試す方がいいでしょう?」

「そう。ふふ……先に自分の中の幻影に負けては駄目よ?」

「分かっているわよ!」

 

 霊夢はつい、怒りを顕にする。それは、内心見透かされた事実を察し、しかし恥ずかしさからそれを否定したいがために。

 相手に姉貴分の姿を見つけて、そして勝気を失ってしまったというのは、どうにも正しい事とは思えない。それでも、微笑みに無理を覚えてしまったら、気が萎えてしまうもの。

 絶対強者の幻影が重なった時、心の底で負けを認めてしまった自分が情けないと、霊夢は思った。

 

「なら、もう絶対に負けない自信があるスペルカードで勝負すればいい! これでお終いよ「夢想天生」!」

 

 そして霊夢は目を見開いたままに、その場にあって全てから遠ざかる。他人から見れば、それはまるで彼女が急に薄くなったかのよう。

 霊夢は、この時点であらゆるものから遠ざかり、あらゆるものから影響を受けることはない。魔梨沙に使った以前のものより遥かに向上したその業に、幽香は思わず瞠目する。

 

「あらあら霊夢、貴女ったら本当に面白いわね……」

 

 それは奥義、極みに類するもの。過去、博麗の巫女に飽きるほどちょっかいをかけていた幽香ですら、ここまで美しく発展させた大元の業をも知らない。

 それもそのはず、無敵の状態を維持するのは、神であっても難しいもの。人であっては言わずもがな。戦闘で使うには、その難易度はあまりに高すぎた。

 しかし、霊夢は全てに距離を取りながらも、陰陽玉を操り弾幕を現出させている。またその弾幕の美しき事。幽香も思わず惚れ込んでしまう程には、向かってくる御札の蛇の紫色をした交差は綺麗である。

 遠くなった霊夢の周りを巡る、変色した陰陽玉の白黒赤紫の四色もまた、見事なグラデーションとなって魅せていた。

 

 試しに幽香は花を贈る。しかし、それは届かず彼方にて散っていった。それも当然のことだろう。

 魔梨沙と霊夢は非常に近しい。だが幽香からしたら、今日見知ったばかりの霊夢は遠すぎる。間を空けられた今、最早目の前にあっても見失ってしまう程の距離が出来ていた。

 今回霊夢は境界によって隔てた訳ではなく、ただ無限に距離を取ったばかり。それによって完成するは他と関わることのない無敵。本来ならば、届かない相手を倒すことなど出来ようもない。

 だが、虚ろとはいえ姿を望めるのならば、大体の方位は分かる。無限の道を踏破するも、一歩から。接触したいならば、そこに向かって真っ直ぐ進めばいい。そう、攻略方法はただ一つ。

 

「貴女の完璧な業に対するは、スペルカードに記すにも憚られる、未だ不完全な光線。しかしこれだけで、貴女を墜としてあげる」

 

 無敵を敵に回すのは、最強の役目。天が相手ならば届くまで手を伸ばせ。そして、幽香は空の手の中に力を篭める。掌の中では幻想郷中の妖怪達のものを集めても敵わないであろう妖力に魔力が混じり合い、更にそれらすら呑み込む力が注がれていく。

 やがて、発光し極大すら超えるまでに膨れ上がった力は霊夢以外の辺りの全てを震え上がらせてから、合図もなく放たれた。

 

 調節された光は真っ直ぐ進む。この世になき目標に対しても、直線的に。これは弾幕ごっこ。人を殺めてしまうほどの力は篭められない。でも、力なくして無敵は倒せるのか。それは否、である。

 無限の概念すら打ちのめすくらいの力が要った。その上での不殺さずこそ美しい。果たしてそれを成すだけの力の発露など可能なのだろうか。そんなこと、たとえ地に堕ちた月の賢者であっても無理であるだろう。

 だが、風見幽香はこの世で最も力に長じている。ならば、決してそれも不可能事ではないのだろう。

 幽香は深く笑む。夢幻の力よ今ここに。幻想郷で唯一枯れない花は、無敵を打倒するという幻想を現実化する。

 

「――ぐうっ!」

 

 そう、極光すら醜く見えるほどの眩さを操り、ただ刹那、幽香は霊夢を焼き墜とした。

 奇しくも、それは魔梨沙と同じように。しかし、此度において、霊夢は助け上げられることもなく見逃される。

 一瞬で大分煤けた霊夢は真っ直ぐ墜ちて、向日葵達の間にて弾み、そうして気を失った。

 

「中々楽しい時間だったわ。でも、恋しく思うほどではない。まだまだ満足には程遠いわね」

 

 汚れ一つない日傘を閉じ、幽香は何処からか飛んできた多種の花びらを額に乗っけて伸びている霊夢に顔を向けながら独白する。

 気絶しているものに向ける言葉などなく。だから、続けたそれは現況を語っただけであるのだろうか。

 

「異変解決に励んだ博麗の巫女は倒れ――未だ、私の異変は終わらない」

 

 乱れた服を正しながら、幽香は呟く。その際に歪んだ表情は酷く美しい笑み。

 周りには向日葵以外に見惚れるものなくともその表情が止む事はない。

 それはまた一つ自分の下に向かってくる気配に極上のものを感じた、それだけの理由ではないのだろう。

 

「さあ、魔梨沙、貴女は私をどう墜とすのかしら?」

 

 誰知らず、少しの間だけ変わった幽香の表情は、まるで恋する乙女のようだった。

 

 

 

 

 


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