気付けば日間ランキングにこの小説が乗っていて倒れそうになった、いろいろドキドキしたバレンタインデーでした。
みなさんは今日どのように過ごされましたか。
本日投稿したこの話は、秀吉君がまだ高校一年の時のこと。
なおかつ、これは秀吉君も知らない女の子たちのお話となっております。
それでは、お楽しみください。
これは、秀吉たちがまだ高校一年の時のこと・・
~ バレンタイン 前日 ~
「えー、ではこれより!バレンタイン直前、チョコづくり教室を開催します!」
「ぱちぱちぱち」
「ゆ、優子、これって・・」
「なんで、こうなったの・・」
・・・時は数十分前の事・・・
「あ、鏡花さん!」
「…優子、どうしたの」
アタシは、とある理由で、友達の鏡花さんを呼んだ。
「急に呼び出してゴメン。ちょっと教えてほしいことがあって」
「……なんとなくわかるけど言って」
「バレンタインチョコの作り方を教えてください!」
「……チョコの作り方?」
「そうよ」
「……………なんで私?」
「料理上手だから」
「……………それだけ?」
「うん…、で、どう?」
「……私以外にも料理が得意な人いるでしょ」
「ごめん、私の周りには料理が得意な男ばかりだから」
私たちの頭に、明久君・秀吉・内海君の顔が浮かぶ
そのうち、内海君だけこちらを温かい目で見てくる
「「・・・」」
「……そうだったね、なら仕方ないか。後、今度内海君を殴りに行こう」
「お願いします。あとそれ同意よ」
「……そうだ、もう一人使える人呼んでおく」
「あ、それなら美波も呼んでいい?」
「…………大丈夫だと思う。ところで、どこでやるの?」
「・・・・(汗」
「……決めてなかったんだね」
「すみません…」
「はあ……。なら、私の家でする…?」
「!!!!! いいの!?」
「いい。なんとかする」
「ありがとうございます!!」
美波に電話したところ、二つ返事で了承してくれた。
数分後、美波が到着し・・
「鏡花さん、いったい誰を呼んだの?」
「……二人が知らない人」
「「えっ!?」」
そんなこと言っていると、奥から走ってくる人影が見えて……、
「はっっっっけええええええん!! キョーーちゃーーーーーーん!!!!!」
「……」むぎゅっ
勢いよく鏡花さんに抱きつき押し倒した
「え、えーっと・・」
「あ、あなたは…?」
「おお!君たちが件の人だね。私はね!「……シロちゃん……いい加減下りて……」あ、ごめんね」
「「(シロちゃん?)」」
彼女の見た目は小柄で白髪、天真爛漫っていうか、とにかくそんな言葉が似合う少女だ。
……ていうか、あの鏡花さんから“シロちゃん”なんて言い方が出たほうが驚いたわ・・
「改めて、私は和泉 真白!シロちゃんって呼んでね!!」
「「は、はあ…」」
「……シロちゃんは料理研究会に入っていて、料理とかお菓子のうでは明久君並み」
「えへへ!それほどでも~!!」
「……人は見かけによらないって言葉がよくわかる」
「えへへ!それほどでも~」
「……別に褒めてない」
「うそん!?」
「「(意外にかみ合ってるわ、この二人)」」
自己紹介も手早く終わらせて、鏡花さんの家に向かう
~数分後~
「……三人とも、家着いた、早く入って」
……相変わらず大きい家だわ。
「お邪魔しま~す!」
「「お邪魔します!」」
・・・・そして冒頭に戻る
「はーーい!それではテキパキ教えていくので、ちゃんとついてきてね!!」
「「お願いします!」」
「教える前に、まず二人に聞いておきたいことがあります」
「「??」」
「優子ちゃんたちは、どんな気持ちでチョコ作る?」
「え、そ、それは……」
「好きな人に贈るため? 家族とか友達に贈るため?」
「「それは……」」
「まずはそこをちゃんとはっきりしてから、始めようか」
「(……シロの真面目な姿が似合わないなんて思ったら明らかに場違いだよね)」
「…………私は、好きな人に贈る。
私は彼女とかじゃないけど、やっぱり、私の作ったもので喜んでほしいから」
「へえ・・」
「それに、彼は私より料理が上手だから。女のプライドってものがあるのよ、だから、ちゃんと作ったものを食べてほしい」
「ふむふむ、じゃ、美波ちゃんは?」
「ウチは……、その……」
そういえばアタシは、美波を呼んだけど、美波が誰にチョコをあげるのか知らない。
思えば、アタシは美波と、誰が好きかとかそういった話をしたことがなかった。
というより、なぜかアタシの気持ちのほうがすぐにばれてしまうから、そんな話をしたくないっていうのもあるんだけど…
アタシ、そんな分かりやすい?
「(はあ・・)……美波、ちょっとこっち来て」
「え?何?」
鏡花さんはそう言って、美波の手を引いてどこかに連れて行った
「いったい何かしら?」
「んん~、よくわからないけど、とにかく始めちゃおうか」
「は、はい!宜しくお願いします先生!」
side鏡花
私は強引に美波の手を引き、こちらの声がキッチンの二人に聞こえないところまで連れてきた
「……ここでいいかな」
「ちょっと鏡花、いきなり引っ張って。いったい何?」
「美波はまだ、迷っている」
「!?」
「前聞いたときはもう諦めるって言った。でも、実際はまだ迷ってる」
「それはっ!!」
「私はまだ、美波と一年も過ごしてないけど、美波の気持ち、というよりそういった考えはよく分かる。伊達にあの優子の幼馴染はしてない」
「鏡花……」
珍しくしっかり話してるけど、これはしっかり言わなければならない
「優子も同じだった。
明久君はあの性格だから、女子によく好かれる。鈍感で朴念仁だから、誰かと付き合うなんてことはなかったけどさ」
優子も、他人の恋愛に敏感なくせに明久君が関わると途端に鈍感になるし。優子も結構男子にモテるんだよ。まあ、明久君とシスコンがいるから向こうが勝手にあきらめてたけど。
「優子は初め、自分に自信が持てなかった。恋心を自覚した後もそれは変わらなかった」
人の恋心はともかく、明久君が女子に好かれる性格というのは、昔からずっと一緒の優子が一番わかっていることだ。
「でも、優子は諦めることはなかった。あの子の気持ちは、揺らいでも折れることはなかった」
優子は、明久君のことが大好きだから。その気持ちを無くすことは今までなかった。
「だからあの子はまっすぐ前を見れる。自分の気持ちを偽らずに」
「!!」
これは、美波にとって苦しい言葉だけどさ、
「美波は、明久君のことが好き?」
side美波
「美波は、明久君のことが好き?」
そう聞かれたとき、ウチはスッと声に出すことが出来なかった。
ウチの、気持ち・・?
そんなの、決まっている……。ウチは、もう……、諦め…「諦めてない」「えっ…」
「美波は諦めてない。ただ、まだ仮面をかぶっているだけ」
「そんなっ!ウチはっ!」
「なら、さっきシロに聞かれたとき、どうして言葉が詰まったの」
「!?」
それは・・、ただ・・、
「ここならキッチンに声は届かない。だから、自分の気持ち、包み隠さずはっきり出して」
自分の……気持ち……。
「……好きよ。ウチは、吉井が好き! 日本に慣れないウチに、友達になってくださいって言ってくれた吉井が! 鏡花や優子たちと会わせてくれた吉井が! ウチのこの一年を、明るく照らしてくれた吉井が!」
吐き出す、思っていること、溜まっていること全部。
「ウチは好き。でも……」
「吉井は優子に、優子は吉井に惚れてる。だから、ウチの気持ちを出したくなかった!!」
「どうせなら、この気持ちを忘れたかった!!」
「でも!忘れることなんてできないわよ!!」
「ウチのこの気持ちは、ウチにとって大切なものだから!」
「それでいい」
ポンッと頭に手を置かれ、そのまま撫でられる。
「美波の気持ちは、まだ折れてない。ただ曲がってしまっただけ。曲がっただけなら、戻すことはできる」
「でも、あの二人はお互いに惚れているのよ…ウチは、どうすれば…」
「諦める必要はない」
「!?どういう・・」
「好きな人のことを思うことも、ひとつの恋の形。お互い好きになることも、片思いも、それはどっちも恋。だったらさ、」
「たとえ片思いでも、ずっと好きでいるのは、ちゃんと“恋”だよ」
「美波は諦めたりなんかしない。優子と同じ、いや、優子以上に自分の気持ちを固く持っているから」
「自分の気持ちを偽るってことは、それだけ守りたいものってことと同じ」
「なら大丈夫、美波は進める。自分の気持ちを信じて進める」
「いいの…?諦めなくて」
「うん」
「叶わない恋だったとしても、進んでいいの……?」
「うん」
その言葉を聞いたとき、ウチは思いっきり泣いた。
ウチにとって、この気持ちは大切なものだから、傷つくのがただ怖かった・・。
でも、ウチはもう諦めない。
これがウチの、恋の形だから。
「鏡花」
「何?」
「ウチ、頑張る」
「……ん、頑張れ」
☆
「あ、やっと戻ってきた!!」
「鏡花さん、美波、何してたの?」
そう言われ、ウチと鏡花はお互い顔を向けて
「「内緒!」」
☆
チョコづくり教室が終わり、時間が進む。そして・・
~ バレンタイン当日 ~
「吉井!」
「ん?どうしたの、島田さん?」
「きょ、今日ってバレンタインデーでしょ」
「う、うん。そうだけど・・」
「こ、これ!受け取りなさい!!」
渡されたのは、綺麗にラッピングされた包み。
「こ、これ!?」
「手作りチョコよ、ありがたく受け取りなさい」
「ありがとう島田さん!!」
「ちゃんと味わって食べてね。あと・・」
「本命かどうかは、自分で考えてね!」
~ おまけ ~
優子・鏡花の場合
「明久君、秀吉!はいこれ、バレンタインデーのチョコよ」
優子が作ったのは、スタンダードなチョコレート。
「……秀吉、明久君、これ・・」
鏡花が作ったのは、袋詰めされラッピングされたチョコクッキー。
「ありがとう、優子さん、小鳥遊さん」
「ありがとうなのじゃ姉上、小鳥遊」
優子と鏡花は顔を合わせ、
「「……」」
((二人きりになって渡せばいいのに・・))
そう、同時に思っていた
「私にはないのかい?」
……とりあえず、そう言ってきた内海をまず殴ることに決めた二人だった
「えっ、ちょっと待ちなよ二人とも。なんでこぶしを構えてるのかな・・?」
ボコッ!ボコッッ!!
「「うん、すっきりした」」