あれからのことを話そう
僕たち兄弟と明久の仲はさらに深まって、今度は僕達が明久の家に行くことになりました
そこで初めて明久の姉、玲さんに会いました
「アキ君のお友達ですね。初めまして、アキ君の姉の吉井玲です」
「は、初めまして、木下秀吉、です‥」
「ふ、双子の姉の木下優子です…きっ今日はよろしくおねがいします」
「姉?アキ君に女の子の友達ができたのですか…」
「「「!?」」」
玲さんはすでにブラコンと化しているみたいです。謎のプレッシャーを幼稚園児三人が感じていますから。 …やっぱり吉井家怖い…
「本来ならお仕置きするところですが…」
「えっ?」
「どうやら、お二人にとってアキ君は大切な友達のようですしね。そんな二人に免じて何も致しません」
「それじゃあ!」
「その代わり、絶対に手放してはいけませんよ。秀吉君に優子ちゃん、アキ君をよろしくお願いします」
「「はい!」」
明久の姉、玲さんと姉弟で親しくなったり、
運動会が行われたとき、かけっこで明久がぶっちぎりの1位をとっていたりと、僕の友達は話題に事欠かさない人だね
そんな面白おかしい毎日が続いた。そして、
「秀吉、秀吉達はどこの学校に行くの?」
僕達は、残り一週間で小学生になります
「明久は睦月小、だよね」
「うん。家も近いし運動場も広いからね」
「なになに、何の話をしているの?」
「優子ちゃん!」
「僕達の行く学校について話してたんだ」
「僕は睦月小に行くけど、二人はどこに行っちゃうのかなぁと…」
…明久も分かっているだろう、木下家は睦月小とかなり離れた所にあるんだ。でも、
「もちろん僕達は、」
「睦月小学校に行くわ」
「えっ、ええ~!?でも、睦月って秀吉達の家から遠いし…」
「いざってときには車で送ってもらうよ」
「うっ…じゃっじゃあ…」
「…ねえ、明久君は私達に来てほしくないの?」
「うっ…」
「明久君にとって私達が大切な友達であるように、私達にとっても明久君は大切な友達なんだから」
「それでも…ダメ?」
「!! うん…分かったよ。これからもよろしくね、秀吉、優子ちゃん!」
「「もちろん。これからもよろしく(ね)、明久(君)!!」」
睦月小に行くことをお母さんに伝えると、
「もちろんOK♪明久君と仲良くね♪」
あっさりOKがもらえました。僕達の母親ながら相当緩い人です
六日後、小学生となる日が明日へと近付いた
今日は、僕の物語、つまり、『木下秀吉』となってちょうど三年が経ったのだ
この三年間、いろいろなことが起きた
明久と会ったあの時から、僕達の運命は大きく変わっていった
原作とは大きく異なっていった
でも…、これでいいんだと思う
僕はこの世界の木下秀吉であって、小説の中の『木下秀吉』じゃないんだ。
この世界の人間はこの世界だけのものなのだから
今の幸せな明久やお姉ちゃんの姿を見れるだけで、僕は嬉しく思う。本物とは違う偽物でも、大切なものを笑顔にすることができたのだから
あっちでは、結局出来なかった
でも、こっちで僕は誰かを笑顔にすることができるって分かったから
それだけで僕は、一歩目を踏み出すことができた
○○として、『木下秀吉』として。 そして、この世界に生きるただひとりの木下秀吉として
「木下秀吉です。よろしくおねがいします!」
小学生生活が始まった
僕にとって転機となる六年が、今、始まった
「秀吉!優子ちゃん!僕達同じクラスだって!!」
「ホント!?」
一年目、三人一緒のクラスに入ることができた
これが世界の修正力なのかもしれないけど…
「とりあえず、一年間よろしくね♪秀吉、優子ちゃん♪」
明久やお姉ちゃんが幸せそうだからいいや
最初の一年、楽しい毎日が続いていった。しかし二年生では…
「はぁぁぁぁ~…」
「……えーっと、大丈夫?秀吉…」
二年生、明久とは同じクラスになったがお姉ちゃんとは別のクラスになった。六年あって別のクラスになることは必ずあると分かっていたから特に驚きはしなかったけどさ、そのかわり…
「秀吉ちゃん!!宿題終わった?」
「…うん、オワッテイマスヨ」
「ホント!?後で見せてね。お願いね♪」
女子生徒は去っていった
「…今のでわかるでしょ…」
「…うん、何かゴメンね…」
お姉ちゃんが居ないことで女の子扱いされることが圧倒的に増えてしまった
本来ならお姉ちゃんがストッパー役になってくれて、あんまり女の子扱いされることがなかった。が、お姉ちゃんと教室が離れたことで一気に増えていったのだ
「もうやだよ…」 (´;ω;`)ブワッ
「ああ!!!泣かないで秀吉!」
もうそろそろ限界が来そうです…。お願いします。誰か助けてください…
「はぁ…」
「秀吉?本当に大丈夫?」
「辛い…」
帰り道、三人でこのことについて話していた
「私は教室が違うけど噂は聞こえているからね、本当に大変ね…」
「…明久、お姉ちゃん、何か良い手はありませんか…」
「えっ、う~ん、そうね…」
「あっ!口調変えてみたら?」
「口調?」
「うん!男らしい口調、たとえば『俺』とか。もしくは、『儂』とか?」
…これが世界の修正力、秀吉の気持ちがよ~く分かった。だから使わせてもらう
「儂、か…」
「ねぇ!試しに何か言ってみて」
「僕は、儂は…、ワシは」
「ワシは、木下秀吉じゃ!!」
秀吉憑依五年目、原作の『木下秀吉』に近付いた。…心を犠牲にして
~人物紹介③~
吉井玲(小学生期)
明久の姉、十歳。すでに吉井家に染まっている
十歳ながら重度のブラコン手前まで迫っている
すでにこの頃から天才であった
常識は…、うん…。