まあ、それはいいとして...
今回もリンクスタートです!
イ「暑い...。さすが火山のフィールドだな....。」
サ「そうですね...。」
早く素材取って帰らないと体中の水分が全て飛んでいきそうだ....といってもこの世界で脱水症状なんて起こらないだろうけどな。
イ「目的のインゴットってどの辺にあるんだ?」
俺の質問にサクラは首を傾げ、
サ「確か....火口近くにあるって情報を聞いています。」
イ「げっ!まだここより暑くなるのかよ......。」
うんざりする......。
サ「ふふっ。」
サクラは微かに笑みを浮かべてこちらを見てくる。
イ「どうかした?」
サ「い、いえ!ごめんなさい!イアさんを見てたら面白くて...つい。////」
イ「つまり...顔が面白いと...。」
軽くショック受けるな......それ。
サ「ち、違いますよ!?感情が豊かで見ていて楽しいって意味です!」
イ「自分じゃそんなことあまり分からないからな...。」
するとサクラは少し悲しそうな顔をする。
サ「羨ましいです...。」
イ「何がだ?」
サ「どうして...いつも自然にしていられるんですか?」
胸の前で両手を合わせ、切なそうに聞いてくる。
イ「それは」
「グルルルルルルルルル!!!!!!!!!!」
答えようとした瞬間、雄叫びによって遮られる。話しながら移動しているといつの間にか火口付近にたどり着いていたようだ。
イ「こいつが目的の素材を落とすモンスターか!?」
恐竜のような風貌。体を包むように伸びている巨大な翼。燃え盛る火炎の如く唸り続けている。
サ「<B・レックス>...間違いありません!」
B...多分ボルケーノとかそんなところだろう。俺は武器を構えて対峙する。
イ「サクラ!そこの岩の影に隠れてろ!」
俺の指示にサクラは首を横に振る。
サ「私も戦います!いくらなんでも1人じゃ無茶です!」
サクラも武器を構える。長い刀...居合刀か!?
サ「<抜刀術>...いかせてもらいます!」
イ「あ、おい!」
サクラは居合刀を構えたまま、<B・レックス>に向かっていく。
「グルルルルッ!!!!!」
当然向かってくるサクラに反応し、<B・レックス>はは尻尾による打撃を放つ。
サ「はぁ!」
直撃寸前にサクラの右手が『七色』に閃き武器を抜き取る、すると...
イ「あれはまさか!?...というか尻尾が切れた!?」
当たる寸前だった尻尾が居合刀の一撃だけで千切れ、火口へと飛んでいく。
サ「抜刀術単発スキル...
火炎竜は怒り狂い、顎を大きく開き噛み砕こうとしてくる。
イ「させるか!」
俺はモンスターの顎の下に潜り込み、格闘術単発スキル<虎砲>をお見舞いする。
痛烈なアッパーを受けた火炎竜は怯む。
サ「そのスキルは...<虹の拳士>ってイアさんだったんですか!?」
俺は<七光り>という二つ名よりも<虹の拳士>という二つ名の方が有名になっていた。
イ「驚いたか?」
サ「当たり前です!」
<B・レックス>を怯ませて距離を取ったことに安心したのか、サクラはモンスターから目を放していた。そのため、火炎竜が翼を広げたことに気づいていない。
イ「危ない!」
サ「え?」
火炎竜は体を包むようにしていた翼を広げて、風を巻き起こす。突然強風に吹かれたサクラは吹き飛ばされる。.......それだけならよかったのだが飛ばされた先は大きな穴が空いていた。
サ「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
イ「くっ!届けぇぇぇ!!!!!」
俺は穴に落ちていくサクラへ咄嗟に手を伸ばし、庇うように体を抱える。そして武器を片手用直剣に変更し、勢いを殺すため壁に突き刺す。
火花を散らし、剣の耐久度もガリガリと減っていく中、落ちるスピードは減らない。
そのまま地面に激突した。
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イ「生きてたな...。」
サ「はい.......。」
結論から言って、HPバーが数ドット残る形で生き残ることに成功した。
イ(あそこで少しでも直剣に変更するのが遅れてたら...間違いなく死んでたな。)
サ「......転移結晶も使えません。」
イ「メッセージも送れないな。」
生き残ったのはいいけど...この穴を脱出するための方法が見つからない。
サ「どうしますか?」
俺は顎に手を当て、
イ「壁を走って登るとか?」
サ「...さすがにそれは無理だと思いますよ?」
サクラの制止を聞かず、俺は壁に向かって助走を開始し、壁の前で上へ飛ぶ。
イ「うぉぉぉぉぉ!!!」
敏捷力を最大に発揮し、垂直の壁を脚力だけでよじ登る。
サ「嘘!?」
これも格闘術の恩恵だな...敏捷値を少しプラスする、ここでも役に立つなんてな。さすがの茅場晶彦もこれは想定外だろ。
イ「あ...うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
途中までは順調だったのだが、俺は足を滑らせ再び地面とキスをすることになった。
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サ「この案は無しですね......。」
イ「そうだな.....。」
もうちょっとだったのに...新しい案を考えようとすると腰のポーチがもぞもぞと動く。
「ぎゃう!」
イ「リル.....なんてのんきなやつだ......。」
ポーチに入っていた理由は......寝てたからだ。
サ「か、可愛いです!」
サクラはリルに興味深々らしい。
イ「紹介が遅れた、こいつはファントムフェンリルのリル!最近テイムしたんだ!」
リルをサクラに預けて、その間に俺は新たな案を出す。
イ「......仕方ない、今日はここで寝よう。」
サ「えぇ!?でも...寝る場所が....。」
俺はアイテムインベントリからあるものを引っ張りだす。
イ「キャンプセット一式なら持ってるしな...っと!」
サ「何であるんですか?」
イ「攻略だと外で寝るなんて日常茶飯事だからな....。」
寝袋を敷きながら、俺は気になっていたことを口にする。
イ「サクラの抜刀術って...もしかして抽選スキル?」
サ「はい......人前じゃあまり使いたくはないんですけど......。」
イ(あぁ...なるほど。)
サクラはSAOじゃ珍しい女性プレイヤーだ。なおかつ顔も整っていて、それだけでも注目を浴びるのにそこに抽選スキル持ちなんてことが知られたら.....嫌でも目立つよな。
サ「見た目だけならただの長い刀ですけど......スキルを使えば必ずばれちゃいますから。」
イ「そうだよな.....俺も最初は人前で使っていいか悩んだからな。」
サ「虹色ですからね...。」
どうやら抽選スキルのライトエフェクトは虹で統一されているらしく、俺だけが<虹の拳士>として有名なのは、他の抽選スキル持ちプレイヤーは上手く隠してやり過ごしているみたいだ。
俺は寝袋に入りながら、ふとあることを思い出す。
イ「サクラ。」
同じく寝袋に入り、横になっていたサクラはこちらを向く。
サ「何ですか?」
イ「さっきの......どうしてそんな自然に出来るのか.....だったか?」
サ「はい。」
イ「簡単なことだと思う。ただ単に...この世界でまで自分を偽るのはどうかと思ってるだけだ。」
サクラは微かに声を発する。
サ「...別の自分になりたいとは思わないんですか?」
イ「思わない。」
即答した俺にサクラは動揺する。
サ「ど、どうしてですか?」
イ「結局どんな自分でも自分だし...一時的にこの中だけで自分を変えたとしても本当にその場凌ぎでしかない。それに......何か演じるって疲れるだろ?」
サ「ぷっ!あははははははは!!!!」
イ「え!?また変な顔してたか!?」
戸惑う俺にサクラは
サ「い、いえ...そうじゃなくて!何かイアさんと話してたら変わりたいって悩んでた自分がおかしくて!」
イ「と、とにかく!大事なのは自分を受け入れることだ!」
サ「...ありのままの自分でいいんですよね?」
イ「そういうことだ......さて寝ようか。」
サクラに背を向ける。
サ「あ、あのっ!」
俺はもう一度サクラに向き直る。
イ「どうかした?」
サクラはもじもじとしたあと意を決したように口を開く。
サ「眠るまで......そ、そのぉ.....手、手を繋いでても.....いいですか!?/////」
イ「そんなことなら......ほら。」
俺は寝袋から片手を出し、サクラの手を取る。
サ「あ、ありがとう......ございます。////////」
イ「大丈夫、じゃあお休み!」
サ「は、はい!お休みなさい!」
イ(今日は色々あったな....。)
と思考しようとするが......すぐに睡魔に引き込まれた。
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イ「....あぁ、朝か。」
寝袋から這い出て、周りを見る。壁、壁、壁。状況は変わっていない。サクラが起きる前に簡単な朝食を作るか....。サクラを見ると幸せそうな表情をして眠っている。
イ「何か吹っ切れたのか?」
1人呟くが、寝袋から出ていたサクラの片手を寝袋の中に入れて、俺は朝食の準備を始めた。
しばらくして、
サ「うぅ~ん......朝ぁ?」
寝ぼけ眼のサクラが寝袋から出てくる。
イ「あぁ、おはよう。」
サクラはしばしこちらを見つめ、顔を赤らめる。
サ「お、おはようございます!?ご、ごめんなさい!みっともないところを見せてしまって!?」
イ「朝は誰だってそうなるだろ、はいこれ。」
俺はあらかじめ火にかけておいたスープをサクラに手渡す。
サ「ありがとうございます。/////」
俺たちは朝食と言うにはあまりにも寂しいものを談笑しながら胃に収めた。
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イ「で?どうしようか?」
サ「そうですね...救助は期待しない方がいいですよね?」
イ「...このままここに住むとか?」
俺は冗談で言う。
サ「...それもいいかも知れませんね!」
イ「え!?」
サクラはいつもの上品な雰囲気の中にどこかいたずらっぽい雰囲気も混ざっていた。
サ「冗談です♪本当にどうします?」
イ「あ!」
俺はあることに思い至り、壁の方へ駆け出す。
サ「どうしたんですか!?」
サクラも俺のあとに続く。俺は壁を探り、確信する。
イ「やっぱりあった!」
俺が手にしたもの、それは鉱石インゴットだ。
サ「どうして...こんなところに?」
鉱石インゴットをサクラに手渡す。
イ「おかしいと思ったんだ。こんな穴があるなんて、多分ここはあいつの巣なんだ。」
サ「つまり...この鉱石は<B・レックス>のエサなんですか?」
イ「そんなとこだと思うぞ...あれ?」
何か違和感があり、俺は動きを静止する。
サ「まだ何かあるんですか?」
イ「いや...ここがあいつの巣ってことは...朝になったら戻ってくるんじゃないか?」
俺たちは2人同時に上を見る。そこにはちょうど穴に下りてくる巨大な影があった。
イ「やっぱりか!?」
サ「えぇ!?」
<B・レックス>はこちらに気が付き、唸り始める。
サ「戦うんですか!?」
イ「まあ...普通に勝てるとは思うけど....。」
違う、戦うんじゃない...俺は1つの考えを思いつき、サクラを肩に担ぐ。
サ「ちょ!?ちょっと!?」
イ「いいから捕まってろ!リルもポーチから出るなよ!」
俺は軽い助走から入り、徐々にスピードを上げて、壁を走る。しかしそれは昨日みたいに上に登る走り方じゃない。<B・レックス>を中心に円を描くように走る。
すると、火炎竜はこちらを見失い、きょろきょろと首を動かす。そのすきに昨日切ったはずなのにもう再生している尻尾の先端を掴む。
「グルゥッ!?」
<B・レックス>は驚き、そのまま翼を広げて、猛スピードで穴から飛び出す。火口に落ちないように俺は尻尾から勢いよく手を放す。
サ「きゃあぁぁぁぁぁ!?」
イ「イエーイ!!!!!」
「ぎゃうっ!」
三者三様のリアクションを取り、宙を舞う。まるで永遠に飛んでいるような時間だったが、すぐに地面に足がつく。俺はサクラを抱えて目いっぱい足を広げ、勢いを殺す。
そんなに高く飛んだわけじゃないのでダメージもあまり受けない。
こうして俺たちは主街区へと帰れることになった。
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イ「あ~!!疲れた!!」
転移門をくぐるなり、俺は盛大に声を張り上げる。
サ「そうですね~!」
サクラも伸びをしながら同意の意を示す。
イ「それじゃ...武器作ってもらってもいいか?」
サ「はい!行きましょう!」
すぐにリズベット武具店へと行き、さきほど入手したばかりのインゴットを用意する。
サ「武器は何にしますか?」
イ「じゃあ...グローブで頼む!」
グローブと言っても当然ガントレットになる。
サ「かしこまりました!出来たら渡しに行くので...噴水の前で待っていてくれませんか?」
イ「ここじゃダメなのか?」
サ「少し...集中したいんです。」
イ「分かった、待ってる。」
リ「ほら、キリトも出ていく!」
キ「俺もなのか....。」
俺とキリトは外に出される。
キ「どうだったんだ?」
イ「まず...穴に落ちて、一晩そこで過ごしたな。」
今までに起こったことを伝える。
キ「そのインゴット...本当にエサなのか!?」
インゴットを見つけた下りを話すとキリトは驚愕する。
イ「それ以外に何があるんだよ?」
キリトはリズに作ってもらったという剣を取り出す。
キ「これ...この素材になったインゴットの鉱石は...ドラゴンのンコだ。」
イ「.......まじで?」
キ「.......まじだ。」
何かそれを聞くと........超使いたくなくなるわ。
***************************************
サ「お待たせしました!」
ちょうどキリトがメッセージで誰かに呼び出されたタイミングでサクラがやってくる。
イ「出来たのか!?」
サ「今までで最高の出来です!」
転移門前の噴水なので人目もあるのだが、サクラは人目を気にせずに声を上げる。
サ「名前は<紅烏>です!どうぞ!」
武器が渡される。淡い赤を基調としたグローブだ。
イ「ありがとな!」
サ「...それで、お代ですけど.....。」
イ「あぁ、いくr!?」
俺の言葉は最後まで続かなかった。なぜなら...俺の唇はサクラの唇によってふさがれていたからだ。
サ「....好きです!私をイアさんの専属鍛冶師にしてください!」
イ「いや、その...ごめん、俺は....」
サ「分かってます!イアさんに好きな人がいるのは!」
イ「何で知ってるんだ!?」
キリトは言ってないだろうし...まさか、リズから漏れたか?
俺は会ったことが無かったが、シリカから名前は何度か聞いたことがあったから.....シリカとリズは顔見知りらしい。
サ「いえ...その...寝言で....。」
イ「まじかよ....。」
この世界寝言まで再現してあるのかよ!?意味無いだろ!ていうか....寝言でシリカのこと言ったのか!?
イ「そうだ....俺は好きな人がいる。だからごめん。」
サ「...でも、諦めたくないです。だから専属鍛冶師になりたいんです!せめて傍にいたいから!」
イ「.......はぁ。多分ダメって言っても聞かないんだろ?」
このまま好意を利用した感じで専属鍛冶師になってもらうのはクズのやることだとは思う。
サ「勝手なのは分かってます!どうかお願いします!」
イ「やっぱり許可出来ない。」
サ「そうですよね....」
イ「専属じゃなくても......また武器を作ってくれるか?」
これが妥協点だ。
サ「はい!もちろんです!...そしていつかきっとイアさんの専属鍛冶師になってみせます!」
イ「...もしその時がきたらよろしく頼む。」
その言葉を最後に俺たちは別れたけど....俺は知らなかった。この一部始終を少女が見ていたことに。
「どうしてですか........イアさん。」
少女の呟きは誰にも届かなかった。
長引きました!
最後の専属鍛冶師の辺りがどうしても納得がいかないので...まだ修正を加えると思いますが、ひとまずはこれで投稿します。
恐らくグダグダで目に余ると思いますが、次回も見て頂けると幸いです!