はまち外伝   作:ふたなり2

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ようやく八幡と話が出来てひと息の

小町だったが頑固な八幡の考え方に

カチンと来た!当分の間、絶交に?




小町 again ( 分かってよ!)

 

 

その夜お兄ちゃんはあたしの姿が何とか霞んで見えるみたいで

霊体でもあたしに会えた事をとても喜んでくれた。

 

落着いたお兄ちゃんにお供えのお水を持って来てもらい

お下がりを飲んだ。ユキちゃんが言うとおりコクコクと喉を

鳴らして飲む事は出来ないけど久々のお水を味わって生きてる

実か・・・よかったと思った。

 

おや?水を飲むってコップとか湯飲みとか物には触れないんじゃないかって?

あのね、お供えしてある水だけは霊体でも触れられるというか触れる感覚があって

味わうことが出来るのね。

 

「助かったよ、お兄ちゃん!喉が渇いてたんだ!」

 

お母さんが入れてくれた部屋着のスエットに着替えて、お陰で体を伸ばしたり

楽な格好でお兄ちゃんと話が出来るから良かった〜!

 

お兄ちゃんの部屋でベッドの側面を背に、二人体育座りの格好で

久しぶりに仲良く話し込んだ。

 

「葬儀の時大変だったんだぞ!今でもそうなんだけど・・・」

 

「いや、お兄ちゃんゴメン・・途中まで見てたよ。」

 

「自分の葬式を?」

 

「う、うん・・まあね・・」

 

「そっか・・・お前も辛かったんだな・・・」

 

「そうだよ!小町もお兄ちゃんとかお母さん、お父さんにどれだけ

声掛けたか・・・」

 

「そっか・・・」「うん・・」

 

「でも、また戻って来てくれてありがとな。」

 

「うん、居られるだけね・・・」

 

「えっ?ずっと居られるんじゃないのか?お兄ちゃん死んじゃうぞ!」

 

「ダメだよ、絶対にダメ!お兄ちゃんには小町ができなかった事や

やりたかった事をして楽しんでもらいたいの。小町の願いでもあるんだから!」

 

「別に小町がいない人生なんて俺には考えられないぞ、お兄ちゃんも

早く小町の所に行くからな。」

 

「ダメ、小町の場合は偶々こっちの世界に半端な形で残る事ができたけど

自分で死んだりすると小町と全然違う所に行っちゃうよ。絶対小町と会えないよ!

それでもいいの?」

 

「あ~じゃあ、どうすればいいんだよ!?」

 

「さっきも言ったけど小町がやれなかった事をして欲しいの、あたしも

そうじゃないと浮ばれないのよ!お兄ちゃんが幸せになったらあたしも

嬉しいしあっちの世界でも幸せになるんだ~!」

 

「あっちって、やっぱりあの世があるのか?」

 

「う~ん、難しいし事小町には分からないし話せないけどね、

けど何かあるみたいだよ。だからお兄ちゃんには頑張って小町の分まで

幸せになってほしいの、お願いだから!」

 

「俺は小町がいればそれだけで良いし、もし小町がいなくなったら

ずっとお前の側を離れない様にお祀りして供養するよ。」

 

「あ〜分かってないな!お兄ちゃんは!あたしはお兄ちゃんが心配なの…

お願いだから…分かって…」

 

涙がポロポロ出ちゃう……何で死んじゃったのかな、あたし…バカだよね。

 

泣いてるあたしに気付いたお兄ちゃんは、困った顔をして頭を撫でようとしたけど

触れないらしく自分の手を見ていた。

 

「お兄ちゃん、小町ね…お兄ちゃんが自分の為に頑張ってくれるまで

会わないようにする、悲しいけど、お兄ちゃんの気が変わるまで

姿を見せないよ。もう、二度と会えないかも…これが最後のさよならかも

しれないね。お兄ちゃん…」

 

「おい!小町!お前だって俺の気持ち分かってくれよ!お前の側を

離れたくないんだ!俺の事はどうなってもいいんだ!」

 

「だったら小町の気持ちをお願いだから考えて!」

 

「........ 俺の人生だ、小町には関係ない。俺の好きなように生きるだけだ。」

 

「今お兄ちゃんに色々言っても無理みたいだから、小町さよならするね…」

 

「色々ありがとう、お兄ちゃん。お兄ちゃんの気持ちが変わったら

また小町に呼びかけてね、さよなら、大好きなお兄ちゃん……。」

 

「おい!待てよ!小町?小町〜!」

 

「……………」

 

「何だよ!俺は一人で生きていくからな!

勝手に俺の人生決めるなよ!好きにしろ!」

 

うっさい!シスコン!聞こえてるんだからね!何が「俺も死ぬよ」だよ!バ〜カ、バ〜カ!

一回死んだら分かるんだから、本当に〜!頭に来た!当分口聞いてやんないんだからね!

 

・・・・・・・・・

 

「ふふっ、お兄ちゃんとの再開はどうだった?」

 

楽しそうにユキちゃんがあたしに聞いてきた。

 

「別にぃ…聞いてたんでしょ?ユキちゃん趣味悪いよ。」

 

「あはっ、ごめんね、小町ちゃん!怒らないで、でもお兄ちゃんへの小町ちゃんの

対応は悪くなかったと思うよ。お兄ちゃんが、変な事考えちゃったら

大変だからね。」

 

「そっか、よかった…」

 

「でもこれからどうするの小町ちゃん?」

 

「あ~家にいてもお兄ちゃんとかお母さん、

悲しそうだし、少し外に出てみたいよ。」

 

「ね、ユキちゃん。外って何処までなら

行けるのかな?」

 

「う~ん、難しい質問になるかな…最初は

家の回り位しか行けないと思うけど、

小町ちゃんが慣れてくれば駅位は行けるん

じゃないかな?」

 

「お~それはいい感じじゃない!じゃあさ、

お兄ちゃんと買い物とか行けるじゃん!?

あ〜でも、今ケンカ中だった。」

 

「買い物はどうかと思うけど、一緒に行く事は

出来ると思うよ。」

 

「よかったよ~!例え買えなくてもお兄ちゃんと

ウインドショッピング出来るなら楽しいもん!

ケンカ中だよね…一人で行こう、もう!」

 

「そうだね、でも気を付けて!小町ちゃんが

お兄ちゃんをつれ回したりそんな事ばかりしたら

お兄ちゃんが満足して時間オーバーになっちゃうよ。」

 

「う~ん、難しいんだよな。お兄ちゃんをその気に

させないといけないし、あたしもお買い物したいしさ。」

 

「あ~ん、何かいいアイデアないの?」

 

「ね、気晴らしに外に行こうよ。小町ちゃん!」

 

「うん、そうだね。お出掛けの前に着替えを

何着ようかな?」

 

「あははっ、そんなに着替えてたらすぐに

飽きちゃうから制服で行こうよ。」

 

「あ~ユキちゃん、そうだね、ありがと!」

 

霊体だとドアを開けたりしないでもOKだから

こんな時は便利なんだけどね、それ~って、

家の外に出てみた。

 

で、何処行こうかなって、行くとこないし。

仕方ないかぁ~近所の公園でも行くかぁ。

 

あ~何か引っ張られる感じがするから、

ここまではギリセーフなんだな、覚えてこっと。

って、あそこのベンチに座ってるのって、

誰?総武高の制服着てるよね。ふ~む、

悲しそうな顔してるしお兄ちゃんの知り合いかな?

あれ?何か胸の辺りがほのかに赤くなってる

気がするよ、何でかな?

 

「ユキちゃん、あの人ってお兄ちゃんの

知り合いかな?何となくそう思うんだけど。」

 

「うん、そうだと思うよ。」

 

「だよね、ねっ、ユキちゃんも分かる?」

 

「まだ小町ちゃんに言ってなかったけど

お兄ちゃんに好意を持っている異性は

胸の辺りが赤くなってるから分かりやすく

見分けが付くからお兄ちゃんにも進言

しやすいよ、また逆に黒く見える場合は

悪意やよく思ってないから注意しやすい。」

 

「えっ、何それ?凄い便利じゃん!?

そんなの売ってたらお兄ちゃんも苦労しなくて

済んだし世の中の皆んなが喜ぶよ!」

 

「残念ながら売ってないし。」

 

「そうなんだよねぇ~。」

 

「何でこんなとこに居るんだろう?様子見てみようかな。」

 

「そうだね、その方がいいかもね。」

 

「先輩、大丈夫かなぁ?もう、五日も学校休んでるし

お葬式の時だって誰の事も見てなかった気がするし、

とても声を掛けられる状態じゃなかったから……クスン。」

 

「先輩…?お兄ちゃんの事を『先輩』って呼ぶのはただ一人!

え〜っと、何だっけ?…一色さん?だっけ、そうそう、

総武高の生徒会長さんの一色いろはさんだ!」

 

お兄ちゃんって一色さんにも思われてたの?へぇ〜!意外って言うか、

小町的にはポイントめちゃ高いんだけど!だって、結衣さんに雪乃さんでしょ?

そんでもって結構可愛いいろはさんって、メチャモテだよお兄ちゃん!

 

でもさぁ〜、ちょっと複雑な気分だね。うちのお兄ちゃんが、女の子に

モテてるなんて?だって、ゴミいちゃんだよ?でもまあ〜モテてるのは

身内的に気分がいいし、良かったんだけど。これだけモテても

モテてる自覚が全くなかったよね?ひょっとして大分と鈍いのかな?

コリャ益々厄介だぞ!

 

 

 

to be continued

 

 

 






波乱の展開で苦労する小町だけど

頑張れ!小町〜俺も応援してるぜ!



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