長話も何だからと喫茶店に入る事になり…
私と八幡を乗せたバスは駅ターミナルビルの中に
吸い込まれる様に入り終点で降り立った。
電車の乗り換えに八幡と移動していると後ろから声が。
「ヒッキー!今帰りなの?」
明るい通る声の後から足音も掛けてくる。
えっ、誰、誰なの?
振り向いてみたら、明るく可愛らしい読者モデルみたいなスタイルの
いい女の人と上品なうえ、綺麗でスレンダーな女の人が立っていた。
可愛い人はさも久しげに手を振り八幡に近づいて来るし、
その横を綺麗な人がゆっくりと近づいて来る。
うわ誰?もしかしたら彼女さん?いないって言ってたよね八幡…
本当にもう、嫌だな。
「こんな所で久しく出会ったなと思ったら、可愛い女子高生を
かどわかして誘拐しようとしているの犯罪谷君?」
「久々に会ったら犯罪者扱いなんですか?雪ノ下さん」
「ヤッハロー!ヒッキー久々だね、あれその子総武校生?」
「今、教育実習に行っていると聞いてたけど総武校だったんだね。」
「ああ、そこで教えてる一年の鶴見留美だ。お前らも覚えているだろ?
2年の時に行った千葉村とクリスマスイベントの時の留美だよ。」
「え~っ!あの時の留美ちゃん!?ヤッハロー、久しぶり元気してた?」
「お前、バカっぽいからその挨拶止めろって。」
八幡突っ込むの笑っちゃうから止めて!吹いちゃう!
も〜流行ってないよね、その挨拶〜でも面白い!
「バカっていうなし。」
「覚えているわ、懐かしいわね、こんにちは鶴見留美さん。」
「留美、お前も覚えているだろう雪ノ下と由比ヶ浜を。」
「覚えています、こんにちは雪ノ下先輩、由比ヶ浜先輩、
お久しぶりです。」
「ホント、留美ちゃん凄く可愛くなってビックリしたよ!
でもなんか、ユキノンの高校生の時と感じが似てるな…
思い出しちゃう。」
「あら、こんなに私、可愛かったかしら?昔から可愛かったの
間違えなかったのだけれど。」
「あの…雪ノ下さん?自画自賛してない?」
「そんな、お二人とも凄く綺麗で可愛くて羨ましいです。」
「えっ?あたしが綺麗?そうかな?えへへっ。」
「由比ヶ浜、お世辞をまともに受けるなよ。リップサービスだ。」
「いいじゃん!誰かさんが全然言ってくれないんだもん、ね~。」
「はいはい、みんな世界一綺麗だよ~。」
「全然、本気で言ってないし!もぉ~」
由比ヶ浜先輩が八幡の二の腕をポコンと軽くコブシで突く。
なんか由比ヶ浜先輩、上目遣いで八幡見てるし……。
八幡も苦虫を噛んだ様な顔をしてるけど…。
「そんな事よりも」
「そんな事扱いされた~」
「そんな事よりもどうしてあなたと留美さんが一緒に帰っているの?」
「偶然、同じバスに乗り合わせたんだよ。」
「二人とも何処かに行ってきたのか。」
「ええ、今日は時間が取れて由比ヶ浜さんと少しショッピングを。」
「この後、ユキノンとお茶かご飯でもって言ってたとこなんだ。」
「ヒッキーも一緒にどお?」
「いや、行かない。」
「即答って、いいじゃん!留美ちゃんもどお?ね、
少しならいいでしょ?」
「いや、ダメだってこれから帰ってから千葉テレビでプリキュアの
再放送があるし小町の夕飯が待ってるしな。」
「まだ、高校の時みたいな事言ってんの?小町ちゃんには、
あたしからメールしとくからね。」
進歩ないな八幡、高校の時とおなじって。で、小町って誰?
「私は行くとは言ってないわよ、由比ヶ浜さん?」
「え~久しぶりなんだからいいでしょ?ユキノンもヒッキーもね。」
「仕方ないわね…少しだけなら。」
「比企谷君、鶴見さん一緒にどう?」
「相変わらず、由比ヶ浜には甘いな雪ノ下は。」
「分かったよ…留美少しだけ付き合うか?」
「八幡が行くなら行くよ。」
「えっ?…八幡?」
「あっ、比企谷先生が行くなら…」
「へぇ〜ヒッキー、比企谷先生って呼ばれてるんだ、
なんか変な感じ…でも、少し見直しちゃうかも!」
さっきから八幡、由比ヶ浜先輩から何やら疑惑の目で見られたり
羨望の眼差しで見られたり大変!
それじゃ〜って事で構内の喫茶店に入りお茶を飲むことに。
別にすぐ帰っても何にもやる事ないし暇だしね。
雪ノ下先輩さんと私はレモンティーを八幡と由比ヶ浜先輩は
コーヒーを注文した。
「それにしても、留美ちゃんが総武高に入ってるなんて何か
運命的なもの感じるね。」
「担任の先生が平塚先生なんだぜ。」
「自分の事の様に自慢してないかしら比企谷君?」
「あ~偶然と言えば偶然だな。」
「照れて誤魔化してる。」
「うっせ。」
本当に仲良いんだな、八幡たち。話題に入り込めないボッチ確定だ。
「留美に聞きたいんだが学校での話を2人に少し話してもいいか?」
「別にいいわ、構わないよ。」
八幡、急に話し振って来たと思ったら、そこ?
「そうか、実は留美は奉仕部に入部しててそこに、いろはの
妹も同じく入部してる。」
「え〜っ!それじゃ〜留美ちゃん奉仕部の後輩にもなるの?」
「そういう事になるな。」
「驚いたわ、一色さんの妹さんも入部しているなんて。」
「本当に驚きだよね、でも奉仕部の後輩が出来て
部を継続してるなんて何か名誉な事だよね。」
「いいのか、悪いのか?分からないわね。」
八幡2人にサービスしすぎたよ!もう!
少しだけイタズラしてみようかな?
「比企谷先生、奉仕部の顧問も務めているの。」
私は思いっきり笑顔を浮かべ横にいた八幡の二の腕に
軽く腕を絡めて2人にアピールしてみた。
「何だよ留美、引っ付くなよ!」
八幡照れてる照れてる。
「比企谷君…?いつから奉仕部の顧問もしてるの?」
うわ、雪ノ下先輩なにか目が怖い…。
「む〜っ。ヒッキー鼻の下伸びすぎ!」
由比ヶ浜先輩、口がへの字です。
「分かったから、腕を絡めるな!お前いつから
そんなに懐いたの?俺に腕を絡めれるの小町だけだから。」
「小町って誰よ…?」
「妹だよ。」
「うわ、八幡ってシスコンなの?」
「お前も千葉村の時、会ってるぞ、ウチの小町に。」
「覚えてないから!会えば分かるかも?」
「八幡のウチに遊びに行っちゃおうかな?」
「はぁ〜?」「え〜っ!」「なぜ、そうなるの?」