はまち外伝   作:ふたなり2

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ほのかの想い人、野球部の浜田君情報を

仕入れる為に友達に聞き合わせをする留美。

その結果を元にいいアイデアを考える。








留美と八幡 ( 留美の諜報活動 )

 

 

教室では粛々と八幡の授業が進められた。

 

最初は緊張もあると思うけど、ぎこちなさがとれて

慣れて来たのか八幡らしい落ち着いた雰囲気と

低くて意外と渋い声で教科書を朗読する。

 

教室の隅で静先生が満更でもない様な顔で静観してる。

 

「この俳句を読んだ人を分かる人はいますか?」

 

「はい、先生。」

 

「他にも誰かいませんか?」

 

速く当ててよね!他にいないんだから!

 

「じゃ、鶴見さん。」

 

何で嫌そうな感じで当てるのよ。

 

「松尾芭蕉です。」

 

「はい、正解。芭蕉はこの時の事を俳句にしたためて

いますが、他にもこんな俳句を読んでいます。07年の

○○大学の受験に出題され当時話題を呼びました。他にも……」

 

教科書に載って無いエピソード的な話を交え進学校の受験に

繋がる現役大学生らしい話題を出してアレンジしてる…

八幡も頑張ってるんだな。

 

最初は冷やかしをしてた吉田も大人しく授業を聞いてノートを

とっている。負けないようにノートに書き込みっと…。

 

 

・・・・

 

 

放課後,浜田君情報を仕入れに割りと仲のいい

クラスメイトの本田和美に其れとなく聞いてみた。

 

「そう言えば、もうすぐ野球の予選始まるのかな?」

 

「なに?珍しね留美が野球なんて、興味ないんじゃないの?」

 

「この時期になると予選とか甲子園大会とかテレビで

中継するしウチの学校は何処まで行けるのかなって?」

 

「う〜ん、予選とか練習試合がもう始まってるけど

難しいところだね。なんせ激戦の千葉だし

予選のベスト8まで残れば万々歳じゃないの?」

 

「そっかぁ〜甲子園ってそんなに凄いんだ。」

 

「うん、サッカーでもラグビーでも全国出場ってメチャ

凄いよ。有名大学から特待があるしプロもチャンスがあるから、

だから憧れるんだよ。」

 

「ウチのクラスの浜田君は一年でサードのレギュラーとれて

頑張ってるんだな。留美も応援してあげてよ。」

 

和美は自分の事の様に腰に手をやって胸を張っていう。

幸いな事に此方から聞かなくても話題を浜田君にしてくれた。

 

「一年でレギュラーって凄くない?上手いんだ、予選期待できそうね!

じゃ結構モテたりして。和美も狙ってるんじゃなの?」

 

「うん、そりゃあ〜仲良く慣れたらというか多少はね。

でも、望、望がいるからね…。」

 

「えっ、浜田君って望と付き合ってるの?」

 

「いや、付き合ってないけど、ほら、あれ望が浜田君に

お熱で浜田君に近づいて来る子、全部追い払っちゃうから。」

 

「野球部でもマネージャーやってるしクラスでも何時も一緒で

まとわり付いてる。」

 

「よく話してるのは知ってるけど、知らなかった。」

 

「最近じゃ、彼女みたいに振舞ってるって評判よ。」

 

和美、最後には不機嫌そうに零した。

 

「そうね、応援するたびに睨まれちゃうと困るもんね!」

 

「そうだよ、ほんと。」

 

深く溜め息をつく和美を横に苦笑いをついてしまう。

 

「肝心の浜田君は望の事をどう思ってるんだろうね?」

 

「さあ、そこまではね。ひょっとして留美も浜田君狙い?

ショック〜」

 

「ない、ない、ないから!絶対ないから、安心して!」

 

「そこまで否定しなくても、アハハ分かったから。」

 

「じや〜、私クラブあるから。」

 

「あれ?留美って帰宅部じゃなかった?」

 

「ううん、入部したの奉仕部に。」

 

「なにそれ?」

 

「悩んでる人や困って相談したいと思ってる人を

応援するクラブ、それが奉仕部。和美も相談事が

あったら訪ねて来てねクラブ棟の3階よ!」

 

「じゃあね。」

 

「うん、バイ!」

 

・・・・

 

奉仕部の部室に三人が集まった。八幡は何時もの様に机の角に陣取って

文庫本を静かに読みふけってる。ほのかちゃんも何時もより落ち着いてるけど、

作戦会議が今からかと多少緊張してるかな。

 

最初は私からの諜報活動報告だった。

 

「やっぱり、浜田君彼女いなかったよ。」

 

「えっ?…よかったぁ。」

 

ほのかは少しだけ安堵の顔を浮かべ嬉しそうだ。

この子は、はにかんだ時とか本当に可愛いい!

ポニーテールも凄く似合ってて和美によると

一部の男子に人気もあるらしい。

 

八幡は本を読みながら黙って私の報告を聞いてる。

 

「だけど、マネージャーの望が浜田君にアタック中

というか何時も一緒に行動してて最近は彼女の様に

振舞ってるみたい。」

 

「そう…。」

 

ほのかちゃんが言葉少なにポツリと言った。

 

「まあ、サッカーとか野球のレギュラーでクラスの

中心的な存在ならモテてもおかしくない。むしろ現状で

まだノーマークなのも珍しいぞ。」

 

「他にも狙ってる子多いみたい。」

 

「ライバルが多いってことだな、しかし、可能性はある。」

 

「可能性って?」

 

不安そうな顔でほのかちゃんが八幡に尋ねる。

 

「アタック中の野田望を筆頭にライバルはいるが彼女はいない。」

 

「だから?」

 

「同じくライバル参戦して私の事も見て!とアピール出来る。」

 

「そういう事ね。」

 

「そこでだ、名付けて『ステルスほのか』作戦だ!」

 

「はぁ?何それ?」「何するんですか?」

 

八幡がまた中二病な事を言い出した。

 

「聞~いてあげようじゃないかぁ~八幡くん~で、スっ、

ステルス?その『ステルスほのか』作戦って言う作戦を・・・」

 

ついつい、乗っちゃってヘスティア様口調でお相手を・・・えっ?

キャラが全然違うって?いいじゃん!うっさいわね!

 

「それはだな、俺の百八の奥義の一つステルスヒッキーの変化技だ!

いつの間にか気が付くと其処に居たり気が付くとすでに消えていたり

自分の存在を限りなく無にして周りに溶け込む技がステルスヒッキーだ。

その技の応用したのがステルスほのか・・・気が付くと何時も傍で見ている、

またいつも応援しに来てくれる、帰りがけよく会ったりする。

いつの間にか気になる存在になり、お互い両思いに。」

 

「何?そのストーカー?キモがられる存在になるだけだよ。」

 

ほんと、八幡大丈夫なの~?ほのかっちがストーカー犯罪者に

なっちゃうよ。物陰からいつも、そっと見ているってヤバイ…ヤバイよ!

 

「うん、引かれるの嫌だな、でもありがとう先生・・・」

 

「おっ、おう・・・」

 

なに、なに?八幡ほのかちゃんにお礼言われて赤くなってるし。

 

ほのかちゃんも頬を赤らめ俯き加減で困ってる。

 

「八幡、真面目に考えてよ。」

 

「う~ん、仕方ないだろ、むしろステルス・・・お勧めなんだけどな。」

 

「まだ言ってるの?却下!」

 

「留美、その言い方雪ノ下そっくりで怖いぞ。」

 

へっ~雪ノ下先輩と似てたんだ?覚えてこっと…

 

頭をガシガシかきながら不満顔で八幡も唸っている。

 

「でも、お弁当との差し入れとかはしてみても良いかもね。」

 

「あっ、それなら私にでも出来るかも。」

 

「他にも、考えなくちゃ。」

 

「やはりここはアイツらの意見を聞かないと俺だけでは

どうにもならん。」

 

「そうだね、雪ノ下・由比ヶ浜先輩ならいいアイデアを

聞けそう。」

 

「うん、でも私の為に相談に乗ってくれるのかな?」

 

「大丈夫だよ、先輩たち応援してあげるって言ってたもん!

ねっ、八幡!」

 

「あぁ、そうだな。ただし、過大な期待だけはしないようにな。」

 

「それはいいよね、ほのかちゃん。」

 

「ええ、大丈夫です。私の事応援して頂けるだけで

うれしいです。」

 

一通りの奉仕部の先輩の事と応援して貰える事を

ほのかちゃんには話をして了解を貰ってるから

明日の会議が少しだけ楽しみだしいいアイデアを

頂ければと思う。

 

 

話し込むと時間が経つのが速く下校時間が来ていた。

 

先輩達や八幡を交えて本格的な会議を明日にほのかちゃんと

帰り支度をして八幡にサヨナラのあいさつをした。

 

「八幡、明日もお願いね!」

 

「お前らも気を付けて帰れよ。」

 

「先生、ありがとう、さよなら〜」

 

「お前ら、じゃない〜!留美!」

 

「あ〜ルミルミ〜、ほのかっち〜気を付けろよ〜。」

 

ほのかちゃんが吹いてる〜笑うな〜!

 

「ルミルミ言うな〜キモい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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