「それじゃ~奪っちゃお~」
ローが二つのリムーバーを持って近づいてきた。
その様子を見ていたハイはタツミの指が動いたのを見逃さなかった。
「ロー、コイツ動いたから気をつけろ!」
「ほいほ~い」
タツミの動きに気をつけながらリムーバーをくっ付けた。リムーバーから四本の足みたいなものが出て二人の体に貼り付き電流を流した。
苦しむ声を上げながら徐々にコアが露出し始めた、がインクルシオの黄色の目が光りだした。
それを見たローは三日月状の剣で攻撃したが、片手で受け止められた上に破壊された。さらにあと少しで浮き上がるコアを強制的に戻し始めた。激しい放電がぶつかり合う、好機と見たハイに攻撃されるがその攻撃をものともせずに未だ止めることはなかった。
あたり一面に閃光が迸る。閃光が収まると傷を負いながらも立ち上がるタツミとユウキ。
「あれぇ~まだ立てるんだ~?」
「いいぜ!もう一度ぶっ倒してやる!」
ハイとローがしゃべっているが気にせずに、タツミは一本の機械的な直剣を地面に突き立てる。自分の右耳にあるイヤリングを手に持った。
「ユウキ行けるか?」
「行けるじゃないよ行くんだよ!」
タツミは心の中で言葉を呟き、ユウキは常に最強だった自分自身の姿を見る。
「インクルシオォォォォォォォォォ!!!」
「いくよヴィオラ・ロザリオ!」
赤色のオーラを発しながら大きい騎士の姿を現したかと思うとその姿をドラゴンに変化し、タツミに纏わりつく。
紫色の竜巻をを起こしながら、辺り一面に花びらをまき散らしながら竜巻を拘束し、一本の紫のバラが創られた。
繭のような状態から二人は現れた。その姿は一新されていた。
タツミは先ほどのドラゴンを纏わせたような様で正に竜騎士だった。ユウキは六門の大砲が追加され重装に見えるが、何かを隠しているようだ。
「いくら二次移行したって扱えないだろ!」
先に動き出したのはハイ、ではなくタツミの方だった。先ほどの戦闘より移動速度を上がっており一瞬で間合いに詰め寄ることができ、腹部に重いパンチを喰らわせる。
吹っ飛ぶハイに助けに向かおうとするロー。背後から六門の大砲で撃ち落とすユウキ。
その姿を見たタツミは吹っ飛んで行った方向に向かった。
兄の姿を少し見たユウキは持っていたランスを構えた。
「僕は負けない」
ローに向かってイグニッションブーストと同等の速度で一突きしようとするが、間一髪で躱される。相手は虫の息だが、油断はしない。
二門の小型大砲を撃つ。バックステップで躱すが衝撃で身が崩れる。その隙を中型二門で砲撃。大型二門で止めを刺す。センサーで相手の反応を見る。相手のISは解除され操縦者のローは気絶していた。手早く拘束して、タツミの方へ向かった。
「死ねぇぇぇぇぇっ!!!」
ハイは怒涛の雄叫びを上げながら半壊した状態で剣で攻撃してきた。
タツミは背後に回り込んで背部を殴り、地面に落ちていく寸前で片足を掴み投げ飛ばす。飛んで行ったハイを追い越してさらに上に跳んでいき、キックの姿勢で向かって飛んでいるハイの腹部に蹴りこむ。あまりにも高い位置からの蹴りに加え落下とその分加速した速度が合わさり、五体満足で生きていれるかがわからない。
その一撃が終わりの合図となった。
「兄ちゃん!」
「ユウキどうやら無事だな」
「うん。兄ちゃんも大丈夫だね!」
三メートルくらいのクレーターに気絶して倒れているハイを縛って教師の所へ向かった。
大きな衝撃音が遠い場所から聞こえたと同時に避難誘導を終えたキセツとナターシャは他の生徒と教師と共に周辺を飛び回り、逃げ遅れた人はいないか、新たな敵や危険物はないか探索していた。無線通信が全員に入った。
『皆さん、襲撃犯の確保が終わりました。応援に行ける方は第二更衣室及び講道館脇へ』
山田先生からの通信を聞いて向かおうとする時、センサーにこちらに向かっている反応が出た。あまりにも突然の反応で対応できなかった。それは敵か味方かわからなかった。
こちらに向かっているタツミ、ユウキ、秋二には目もくれず、三人が縛ったハイとロー、タイダロを奪うと三人を上空に投げ飛ばすと同時に火球を作り出し三人へ向けて撃った。
三人に当たると同時に小規模の太陽がその場にあるようだった。
『敗北者ノ処分ハ終ワッタ。コレヨリ帰還スル』
火球が消えると共に突然現れた侵入者は消えた。まるで瞬間移動をしているみたいだった。
楽しく行われるはずだった学園祭は襲撃犯により中止することになった。重症患者が二人、軽症患者が二十人余り、他建造物五棟の爆破による破壊。そして捕縛した敵は新たに侵入してきた者に殺された。
IS学園が開校して以来の襲撃事件。
それは新たなる火種の幕開けでもあった。